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第四話
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野蛮そうな男たちに囲まれたレイラは、胸に両手を当て肩をすくめた。恐怖心で体が震えそうになっている。一方の男たちはレイラを舐めるような視線で見ながら楽しそうに口を開いた。
「ねぇねぇいくつになったのー? えろい体しちゃってさぁ」
「なぁ可愛すぎねぇ!? なぁなぁ!」
「お前ら落ち着けって。王女様だぞ? 護衛がいねぇなんざあり得ねぇだろ。これ罠なんじゃねぇか?」
「大丈夫だろ。他に誰もいねぇことは充分確認したじゃねぇか、なあ?」
四人は一斉に一人の男に視線を向けた。
「あぁ、そうだな」
そう返事をしたのはリーダーとおぼしき男だった。彼は他の四人とは比較にならないほど屈強な体をしており、いかにも乱暴そうな見た目をしている。彼は嫌らしく口角をあげながら口を開いた。
「王女様だろうが関係ねぇ。身ぐるみ剥が――」
「うぁあああああ!!!!」
リーダー格の男の言葉をさえぎるように、仲間の一人が叫んだ。見ると、腕に矢が刺さっている。レイラを含めその場にいる全員が矢が飛んできたであろう方向に目を向けた時、
「レイラ!! 伏せろ!!」
反射的に体が動き、レイラは咄嗟に手で頭を守りながらしゃがんだ。その直後、レイラだけを避けるように矢が何本も解き放たれたのだ。
「チッ」
「逃げろ!!」
男たちは一目散に山を駆け上っていったが、リーダー格の男だけはレイラが身に付けている宝石を乱暴に奪ってから逃げた。強引に髪飾りを取られ、ブレスレットも一瞬のうちに取られたのだった。
あっという間の出来事に呆然と立ち尽くすレイラの元へ、矢を放った者たちが追いつく。山へ探しに来たのはバーリカの側近たちではなく王太子のゼフトとその側近たちだった。
「レイラ殿下!」
ゼフトがレイラにかけたその声は、先ほど『レイラ!! 伏せろ!!』と叫ばれた声と同じであった。
「ゼフト様……」
ゼフトはレイラの背中にそっと触れ、「もう大丈夫だ」とやさしく言った。彼女は安堵の気持ちで泣きそうになった。
「どうして……こちらに……?」
「なんとなく予感がしたのだ。宮殿中を探しても街中を探しても見つからないというのは実に不可解だと思ってな。王女様が誰にも見つからずに街中で過ごせるわけがないだろう。周りを見渡すとちょうどこっそりと入っていけそうな山が宮殿のそばにあることに気づき、大慌てで山を登ってきたというわけだ」
「そうだったのですか……!」
ホッとした様子のレイラを見て、ゼフトの顔も安心したように緩んだが、レイラの髪の毛が痛々しく乱れていることに気付くと眉をひそめた。
「髪の毛が乱れているが、何かされたのか……!?」
「あ……これは……」
説明しようとした矢先、そばの茂みからガサッという音とともに逃げたはずの男の一人が立ち上がった。そのまま素早く腕が振りかざされ、鋭い物がレイラめがけて投げられたのだ。それを瞬時に庇ったゼフトの腕に短い矢のような物が突き刺さる。
「うっ……」
「ひゃぁああ!!」
すぐさま側近が駆けつけ治療に当たったため、幸いにも出血はすぐに止まり、ゼフトの顔色からも大丈夫な様子が見て取れた。それでも、レイラの目からは涙が溢れた。
「ごめんなさい……私のせいで……っ」
「謝る必要は無い。レイラ殿下が無事ならそれでいい」
「どうして…………っ……どうして来て下さったのですか? こんな……王女としての器を持ち合わせていない私のことなど、放っておいてくださればよかったのに…………」
「あなたを愛することが私の使命なんでな」
「……使命…………?」
悲しそうにそうつぶやくレイラを見て、ゼフトは寂しげな微笑みを浮かべながら話し始めた。
「実は、私にも最近まで恋情を抱いていた相手がいたんだ」
「ねぇねぇいくつになったのー? えろい体しちゃってさぁ」
「なぁ可愛すぎねぇ!? なぁなぁ!」
「お前ら落ち着けって。王女様だぞ? 護衛がいねぇなんざあり得ねぇだろ。これ罠なんじゃねぇか?」
「大丈夫だろ。他に誰もいねぇことは充分確認したじゃねぇか、なあ?」
四人は一斉に一人の男に視線を向けた。
「あぁ、そうだな」
そう返事をしたのはリーダーとおぼしき男だった。彼は他の四人とは比較にならないほど屈強な体をしており、いかにも乱暴そうな見た目をしている。彼は嫌らしく口角をあげながら口を開いた。
「王女様だろうが関係ねぇ。身ぐるみ剥が――」
「うぁあああああ!!!!」
リーダー格の男の言葉をさえぎるように、仲間の一人が叫んだ。見ると、腕に矢が刺さっている。レイラを含めその場にいる全員が矢が飛んできたであろう方向に目を向けた時、
「レイラ!! 伏せろ!!」
反射的に体が動き、レイラは咄嗟に手で頭を守りながらしゃがんだ。その直後、レイラだけを避けるように矢が何本も解き放たれたのだ。
「チッ」
「逃げろ!!」
男たちは一目散に山を駆け上っていったが、リーダー格の男だけはレイラが身に付けている宝石を乱暴に奪ってから逃げた。強引に髪飾りを取られ、ブレスレットも一瞬のうちに取られたのだった。
あっという間の出来事に呆然と立ち尽くすレイラの元へ、矢を放った者たちが追いつく。山へ探しに来たのはバーリカの側近たちではなく王太子のゼフトとその側近たちだった。
「レイラ殿下!」
ゼフトがレイラにかけたその声は、先ほど『レイラ!! 伏せろ!!』と叫ばれた声と同じであった。
「ゼフト様……」
ゼフトはレイラの背中にそっと触れ、「もう大丈夫だ」とやさしく言った。彼女は安堵の気持ちで泣きそうになった。
「どうして……こちらに……?」
「なんとなく予感がしたのだ。宮殿中を探しても街中を探しても見つからないというのは実に不可解だと思ってな。王女様が誰にも見つからずに街中で過ごせるわけがないだろう。周りを見渡すとちょうどこっそりと入っていけそうな山が宮殿のそばにあることに気づき、大慌てで山を登ってきたというわけだ」
「そうだったのですか……!」
ホッとした様子のレイラを見て、ゼフトの顔も安心したように緩んだが、レイラの髪の毛が痛々しく乱れていることに気付くと眉をひそめた。
「髪の毛が乱れているが、何かされたのか……!?」
「あ……これは……」
説明しようとした矢先、そばの茂みからガサッという音とともに逃げたはずの男の一人が立ち上がった。そのまま素早く腕が振りかざされ、鋭い物がレイラめがけて投げられたのだ。それを瞬時に庇ったゼフトの腕に短い矢のような物が突き刺さる。
「うっ……」
「ひゃぁああ!!」
すぐさま側近が駆けつけ治療に当たったため、幸いにも出血はすぐに止まり、ゼフトの顔色からも大丈夫な様子が見て取れた。それでも、レイラの目からは涙が溢れた。
「ごめんなさい……私のせいで……っ」
「謝る必要は無い。レイラ殿下が無事ならそれでいい」
「どうして…………っ……どうして来て下さったのですか? こんな……王女としての器を持ち合わせていない私のことなど、放っておいてくださればよかったのに…………」
「あなたを愛することが私の使命なんでな」
「……使命…………?」
悲しそうにそうつぶやくレイラを見て、ゼフトは寂しげな微笑みを浮かべながら話し始めた。
「実は、私にも最近まで恋情を抱いていた相手がいたんだ」
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