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第19話:ノヴァルナ包囲網
#00
しおりを挟む皇国暦1565年4月8日―――
恒星間クルーザー『ジュエルダガー』号の操縦室から見える、正面の視界に緑豊かな惑星が迫って来る。ノア達が目指していた旧モルンゴール帝国領の惑星、ヒュドラムである。
そこにはかつてのモルンゴール恒星間帝国の、初期からの様々な情報が記された本。つまり実際の紙に書かれた数多の本が収蔵された、超巨大書庫が存在しているという…
データによればヒュドラムの大きさは、バサラナルムよりやや小型。海の面積が少ない緑の惑星であるところは似ているが、バサラナルムが湖沼の多い星だったのに対し、ヒュドラムは深い森林に覆われているようだ。
センサー情報を映し出したホログラムスクリーンに眼を遣った、船長のジョナサン=カートライトが怪訝そうに言う。
「少々、思ってたのと違うな。もっと近代的な惑星だと想像していたんだが、解析情報には、大きな都市がほとんど見当たらないぞ」
その言葉に反応したのは、通信士席に座る案内役のモルンゴール星人、ガルバック・アスム=ランヴェラだった。
「そうだ。ここは旧帝国の直轄領だった星だが、モルンゴール人の星でなくヒュドラン人の星で、文明も彼等の文明のままなんだ」
「古くから帝国に支配されてたのにか?」
疑いの表情で尋ねるカートライトに対し、ガルバックは軽く首を振りながら言葉を返す。モルンゴール星人の習性では、不快感を示す仕草とされていた。
「きみたち銀河皇国の人間は、いまだに我々を悪の帝国か、何かだったと思っているようだが、我々は従属を受け入れた文明には、極力その文明の維持と存続に協力する事を、戦いの神ラ・ジェンに誓っているんだ」
「ほう…」
気のない返事のカートライトだが、ガルバックは強い口調で続ける。
「電子データばかりでなく、実際の書物で知識を保存するのも、ヒュドラン人の文明であり、それを維持存続したのは旧帝国である事を、忘れないでもらいたい」
これを聞いてカートライトは、“まぁ、考え方は色々あるさ…”と思いはしたものの口には出さずに、ノア達がいるラウンジとのインターコム回線を開く。
「お嬢さん方、書庫惑星ヒュドラム。到着したぞ」
ラウンジでソファーに座るノアは、カレンガミノ姉妹やラン・マリュウ=フォレスタをはじめとする、スタッフ一同を見渡して頷いた………
▶#01につづく
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