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第二章 あれれ?王都でドキ?はやすぎない?
ヨンジュウハチ
しおりを挟む「「「「おかえりなさいませ、旦那様。」」」」
セバスが扉を開けると、一斉にメイドと使用人が頭を下げて父を迎えた。
すごい壮観だね。
向こうより使用人が多いからちょっと怖いな。
「うむ、皆も元気そうで何よりだ。
帰るのが遅くなったが、これからここで暮らす息子たちを紹介しよう。長男のカレイドは、10の頃までは何度か来たから、知っているものも多いだろう。
長女のリオーラはいつ以来だったかな?」
「お嬢様が三つの頃でございましょうか?」
「ああ、ハノエルの一歳の頃か……。」
「はい、それ以来はリオーラ様はハノエル坊っちゃまから離れませんでしたので。」
「ああ、そうだったね。
では、改めて長女のリオーラだ。よろしくたのむ。」
「それと。」
「兄様、おろしてください。」
「……挨拶だけだよ。」
「はい。」
兄がおろしてくれたので、父のそばにいく。流石にちゃんと挨拶はしなくては。
えっと、使用人に頭を下げちゃいけないんだったよね。
「この子はハノエル。末の息子だ。体が弱いのであまり屋敷から出ることはないだろう。皆、気にしていてくれるとありがたい。」
「「「「はい。」」」」
「それと、通達しているようにカレイドの婚約者でもある。よろしく頼むよ。」
「「「「かしこまりました。」」」」
「父様、よいですか?」
「ああ。」
「えっと、皆さん初めまして、ハノエルです。体が強くないのでご面倒をおかけすると思いますが、よろしくおねがいします。」
にっこりと笑ったら、みんな固まっちゃった。
俺、変なこと言った?
ちょっと失敗したのかもしれない。
面倒がかかるのが嫌なのかもしれない。
なるべく、面倒かけないようにしよう。
でも、たぶん家族以外にはあまり近寄れないから大丈夫かな?
「……兄様。」
兄のところにタタタと戻り、腰に抱きつくとふわっと抱っこされた。
挨拶に失敗したことが恥ずかしくなって、兄の胸に顔を埋めてしまった。
ここは、領地のメイドさんたちじゃないもんね。
それに、可愛いと言われても次期当主の奥さんが男なのが嫌なのかもしれない。
笑顔だって、好き嫌いはあるし。
ハノエル笑顔が好きなのは、家族以外は変態さんだけなのかもしれない。
ふと、するともとのネガティブな思考がでちゃうんだよね。
「あの、失礼いたしました。ハノエル様。」
「メイド長、あなたまで何ですか。」
「申し訳ございません。セバス様。話には聞いていたのですが、あまりにお美しいので……つい。」
つい?
「旦那様、ハノエル様に話しかけてもよろしゅうございますか?」
「ああ、あまりそばにいかなければ。」
「はい、……ハノエル様、大変失礼いたしました。
私は、こちらのお屋敷でメイド長を務めさせていただいておりますスノーラと申します。皆、リオーラ様とハノエル様が来るのを楽しみにしておりました。ただ、噂以上にお美しいので、つい見惚れてしましました。
如何様にも叱責を受けます。」
「あ、あの。僕の挨拶、変じゃなかった?」
あれ?失敗じゃない?
やっぱり、ハノエルのキラースマイルが効いていただけ?
「大変ご立派な挨拶でございました。」
「ありがとう。よかった。じゃ、よろしくお願いします。」
とりあえず、失敗してなくてほっとした。
「「「「かしこまりました、ハノエル坊っちゃま。」」」」
うわっ。声でかいよ。
さっきよりもなんか、怖いですよ?
目つきが……なんだか。とくに、女性のがちょっと怖い目をしてない?
まあ、挨拶失敗してなくてよかったけど。
「ふふ、よかったね。ハル。」
「はい、兄様。」
「さあ、旦那様方はお疲れです。すぐに湯の用意を。皆、場に戻りなさい。」
「「「「はい!」」」」
ざっと動き出す様は軍隊のようだ。
いや、あの黒い奴らにも似ている。
あれ?なんか、少しだるい。
兄の首に抱きついてスリスリと甘える。
途中で、なんか『あっ』とか『うっ』とか言いながら鼻を抑える使用人とすれ違ったけど。
一体どうしたのかな?
「ハル?……、熱い。セバス、アズリアを。」
「かしこまりました。」
「カレイド様、私は冷たい水と氷をいただいてまいります。」
「ああ、頼む。」
うーん、クラクラする。
気持ち悪い、目が回る。
「兄様……きもちわ…る、い。」
「ああ、吐きそうなら我慢しなくていいからね。」
いや、無理でしょう。
兄に抱っこされて吐きながら行くなんて、迷惑な子意外何ものでもない。
吐瀉物なんて、自分のだって嫌なものだ。そんなもの魔法があっても片付けるのは嫌だと思う。
大丈夫、俺は出来る子だから。
口元を手で覆い、吐くのは我慢する。
兄の前をメイドさんたちが慌てて駆け抜ける。
走っちゃダメじゃない?
兄はあまり揺れないように、早歩きをしている。
部屋に着くとこみ上げてくるものを抑えきれなくなってきた。
「メイド長、タオルを。」
「はい、こちらを。」
「ハル、ほら大丈夫だから、我慢しないで。」
う、☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
すみません、タオルにぶちまけました。
すぐに兄がクリーンしてくれたので、匂いも全て速攻で消えました。
ありがたい。
もどした匂いでさらにもどす……からね。
でも、気持ちが悪い。
全てを吐いてもなお気持ち悪くて……。
目が回る。
「ハノエル、大丈夫かな?ちょっと触るよ?痛いとこはある?ああ、大丈夫。ほら、にいちゃんもハノエルに触ってるよ。」
兄が手を握ってくれて、アズリアの手を受け入れられた。
「んー、かなり熱が高いなあ。お腹も痛い?」
小さく頷く。吐いた後からお腹もギリギリと痛くなってきていた。
頭も痛い。目がまわる。
「体力はまだ大丈夫そうだから、痛みの方の原因は治癒魔法で治すよ。これじゃ、体力を痛みで持っていかれるからね。」
痛い……苦しい。
ふわりと兄の魔力に混じってアズリアの魔力が入ってきた。
体が少し震える。
大丈夫なのに。
ディンゲルのあの後から、兄以外の魔力が怖い。
頭で分かっていても体が勝手に拒否る。だから、兄がいないと……俺には治療もできない。なまじ魔力が強すぎるせいで、拒否ると全く魔力を受け付けないと言われた。
兄の魔力に混じるアズリアの魔力を少しずつ受け入れられると、お腹の痛みが少しずつ緩和していく。それに伴い吐き気も治まっていく。
口の中を兄がクリーンしてくれたおかげで、気持ち悪い後味もない。
「ああ、ハルの顔色に赤みがさしてきた。いい子だ。頑張ったね。」
「うん、もう大丈夫かな?あとは解熱剤を渡すから。食事はスープとかが飲めそうなら飲ませて。
あとは、果実水でいいからカロリーの高い飲み物をあげてくれ。
もし、急変するようなら夜中でも呼んでくれていいからな。
カレイド、あとは任せる。」
「はい。ハル、痛みがないならベッドに行くよ?」
「ん、だ、いじよ……ぶ。」
ベッドに横にされ、ルイくんが用意してくれたらしい寝巻きを着せられる。
すでに部屋には兄とルイくんとセバスだけだ。
兄に飲み物を飲ませてもらうと、熱のせいか……意識が沈んでいった。
やっぱり、ギリでもたなかったか……。弱すぎるハノエルの体……。
もっと強くなりたい。
――――――――――
Side????
――あるメイドの日記
私は天使様にお会いしました。
消して頭がおかしくなったわけではありません。
本当に天使様にしか見えないのです。
ご挨拶での微笑みは、もう、皆が固まってしまうほど極上で、このまま天に召されてしまうのでは?と思えるような光景でした。
もう、天上からのキラキラの光を浴びているかのようでした!
もう、私たちに降臨してくださった天使様です。
お体が弱いなんて、神様が早く手元に置きたくて授けたお体がとしか思えません。
ですが!
この国一番の医師、アズリア様が付いてらっしゃるから、神様の元へは絶対にお返しいたしません!
絶対にですわ。
カレイド様に甘えられる天使様は、また可愛らしくて。
ああ、本当に至福の時間を過ごしました。
移動に耐えられず、少しお身体を壊されてしまいましたが。
アズリア様とカレイド様がつきっきりでお治しくださったおかげで、1週間ほどで完治されましたわ。
ああ、よかった。
私たち、使用人はもう決めてございます。
決して目を離しませんわ。
それに、お美しい天使様です。
不埒な輩がいるかもしれません。
ですので私たちは、天使を守る会を発足いたしましょうとなったのです。
会長はもちろん、メイド長です。
そうしましたら、向こうの屋敷のメイドをしているレイラ様に、向こうに『マイスウィートエンジェルガーディアンズ』略して『M A G』というファンクラブがあるとのこと!
それに入ると特典で、天使写真がもらえるというじゃありませんか!
もちろん入会いたしましたわ。
そして王都支部の支部長がレイラ様と副支部長にメイド長がなりました。
私たちは皆誓いました!
マイスウィートエンジェル様の笑顔を守ると!
そう、あの方はカレイド様だけの天使なのですから!
でも、ぶっちゃけもう少しラブラブしてくださらないかしら?
そしたら滾りますのに。
……お風呂でイチャイチャしてるとの情報があり、のぞいてみたいと思う私たちなのです。
はあ、誰か絵を描いてくださらないかしら?
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