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第一章 マジ異世界ですね
No.9
しおりを挟む「……うん。起きだーーーー!はあ。おはよう、ママ。でも、あの起こし方はやめてほしい。」
「起きにゃいから、わりゅい。」
「はいはい、私が悪いんですよねー。あ、ママ!そうだ。大丈夫?」
「うん。なんかにぇ、魔力をちゅわれすぎた?みたい。」
「うえーーー!大丈夫なの?それ!」
「うん、だいじょうふ。ねえ、あちゃは、むりだけど、ゆうごはんは、つくりたいねえ。」
「そうだね、ラナンさんとかに聞く?」
「うん。いまにゃんじ?」
「うんと、スマホなら8時。」
スマホはカレンダーがこっち仕様に変わっていた。月は数字じゃなくて、暁けの月とか闇入りの月とか、宵の月とか……。日にちは数字ったけど、30日ぴったり。でも、1週間に思えるのが6日で5週で次の月。
たぶん、曜日の感覚はないっぽい。
まあ、毎月同じ日が同じ曜日にあたるから必要ないのかもね。
で、みると今は春宵の月で11日。もし、これが向こうの世界の四月の11日なら、事故から丸一日が経過したことになる。
たぶん、向こうの職場の人や仲の良かった可憐ママに(ずっと先輩ママでお世話になってる)面倒をおかけしているんだろうな。ごめんなさい(合掌)
「うーん。こっちは何時間で1日?かねえ。」
娘が頭を捻る。
「うおっと……。便利だけど、やっぱ怖い。」
奏歌が驚いてスマホを落としそうになる。
「どちた?」
「んー、1日が何時間かわからないっていったじゃない?」
「うん。」
「したらね?8時/30時ってでた。」
「30じかんびゅんの8じってこちょかね?」
「だぶん?……なんで変わるのかな?」
「……わかんにゃい。」
……神さまストーカー説とスマホ意識あり説……。どっちだ?
いや、気にしたら負け……のような気がする。考えてはいけない。
「ちょか、ちゅるーちよう。」
「…らじゃ。」
うん、もう便利だねえで終わろう。
あまり考えると、怖い答えがでてきそうだ。
「とりあえじゅ、きのうのふくにきがえよ?ぢょうかか、クリンで綺麗にちて。あ、だいちゅきなレ◯アのにおいをつけれるかにゃ?
クリーン!ろーじゅけい!
……にゃった!にゃったよ?……まほう、すごい!」
「え?ほんとだー。私もしよ。私はダ◯ニーの前のが好きなんだけど、名前が!あ、でもなったあ。すごいね、うちらの魔法。」
「うん。」
本当に。イメージでできるなら際限ないんじゃないかな?
なんだか楽しくなる。どうせならと色々と綺麗にして、好きな匂いとかにしてみた。
きゃっきゃっとしながらね。当分ここで生活したいし。
ラナンとかの話だと月単位でも借りたりできるって。マンスリーマンションみたいな感じだね。
割安になるみたいだし。お願いしよう。
で、最後にちゃるに貰ったベルトをつける。短剣の鞘がしっかりとホールドされて一体化する。
さすが、女宿……姿見があったので見たら。うん可愛い。なんだろう。美少女を3頭身アバターにした感じ?
きっと、娘の玉のこ…ンンッ……娘の幸せな恋愛を望んだから、二人とも補正が入ったのかもね。やっぱ、女は顔じゃないっていいながら、第一印象って見た目だもんね!
娘はこの世界じゃ小さい(普通なのに……)けど7頭身になった感じだし。
可愛さもさらにアップしてるし。
髪も潤ツヤだし。
私の髪は、前がロングだったせいかなあ。今腰近い。……切るかなあ。邪魔だよね?
娘は完全にロングだよ。コンクールでドレス着るのに、髪留めだけでもゴージャスに盛れるから!
「ママ、そのベルトどうしたの?」
「あ、ちゃるに、もあった。」
「ちゃる?」
「うん、たんけんの魔神?ちゃるとりゅー・×××××××××××××××、がほんちょのにゃまえ?」
「ごめん、ちゃるとりゅー何?なんか、よくわからない発音だったよ?」
「ちゃるとりゅーにゃなくて、あ、あのブリちゃんに、にたねこっ。」
「ブリ?ああ、ママが可愛いっていった、シャルトリュー?」
「ちょう!」
「ちゃるとりゅーがシャルトリューは、わかった。でも、そのあとは言葉に聞こえなかった。」
『当たり前だ。』
「え?にゃんで?」
『我の完全なる名は主だけのものだ。』
「そにゃの?あとにゃんで、でてこにゃいの?」
『姿を表すのも魔力を使う。まだ、眠りから覚めたばかりのようなもの故、もうしばしは、姿は控えよう。』
使うと、またキスが必要だから?
『是なり。』
……なら、中にいてください。緊急時以外は中にいてくださーい。
『ふふ、まあそうもしてはいられぬが、しばしはな?』
「ママ、また短剣と話してた?」
「うん、ごめん。あのね、なまえは、ちゃるとりゅーちか他の人はわかんにゃいんだって。」
「そっか、契約したんだっけ?」
「うん。つよいって。こーちてれば、ふつうに使うぶんには、まりょくたりるみたい。」
「そう……なんだ?」
と納得(?)したところで、扉を叩く音がした。
「えっと、誰か確認するときは、隣の赤い石に触ると。あ、石にラナンさんが写ってるよー。ママ。」
「ほんちょだ。」
玄関のインターフォンのカメラみたいだな。
魔法って、ほんとに便利。
「ママ、もういい?」
「うん。ちまったし、おっけー。」
「オープン。」
カチリと鍵があく。
扉を奏歌が開けると、ラナンさんが昨日と全く同じ姿でいた。
こころなしか、少し匂いがするよ?
「ラナンしゃん、おはようごじゃーます。あの、らなんしゃん、じょうかは、ちまちた?」
「え?わかっちゃう?私、面倒なんだよね?でも、まだ1週間くらい……だよ?普通じゃない?下着はちゃんと浄化してるし?風呂は昨日は入ったし。」
この世界も1週間があるのか……カレンダー表示だと2週目の終わり。
ん?ラナン、1週間?6日は、浄化してない。つまり、6日間洗ってない……ありえない!
ラナン、女性だろうが!
「わたし、それでだき潰され……。」
奏歌がフラリとなる。まあ、一番汚いのが気になるお年頃だし。私も普段から仕事から帰ったら衛生上、お風呂直行だったしねえ。
「うわ、ソカ。大丈夫か?」
と、手を出されかけ、奏歌は後ろに身を引いて尻餅をついた。
そこまで逃げないでも。
「え、ソカ。なん……で?」
「えっと、ラナンしゃん。おふろにはいっても、ようふくがくちゃいのね?あと、ちょかはややけっぺきちゃんにゃのよ。わるぎはにゃいんでラナンしゃん。じょーかちていい?」
「え?あ、わかった。あたし、自分でしようか?」
「だいじょぶ。ジェンブ、クリーン!」
ラナン、昨日石鹸買ってないよね?髪もお湯浴びただけだよね?
魔法で浄化するのも洗うのも面倒って……ラナン、女捨て過ぎじゃない?
だって、宿のおばちゃんはゴツいけど、普通に匂いあまりしなかったよ?
ラナンは、ギルドよりマシ程度だよ。
「あ、ありがとよ。うわっ、いい匂いだなあ。香水か?でも、ケバくないな。微かにいい匂いだな?なんで?綺麗な子たちは、浄化も特別か?」
「ちょか、も、だいじょぶなの。でも、ちちゅれいだよ?まあ、あたちもラナンしゃん、ちちゅれいにゃこといって、ごめんちゃい。」
「いや、いいよ。面倒で適当すぎたのが悪いんだから。」
「ごめんなさい。ラナンさん。私、どーしても匂いがだめで、洗ってないと気持ち悪くて……ごめんなさい。
匂い気に入ってくれたなら、一緒にいる限りは私に浄化させてください。」
「え、いいよー。力使うんだし。」
「ううん。大丈夫だから。」
「うん。だいじょぶだよ。ちゅいでだち。」
「ん、わかった。じゃ、よろしく。」
がははははって、ラナンは笑った。ラナンは、本当に男の人みたいだね。男らしい女性だ。あ、そっか。同性も異性も恋愛対象なら……どっちもいるのか、抱かれたいと思うほうも抱きたいと思う方も。むしろ、それで相手のタイプが決まるのかも。
抱きたい派には奏歌は、魅力的だろうし。抱かれたい派にはラナンは魅力的だろう。
そーいう世界か。
じゃ、ちゃるは抱きたい派には魅力的に映るかも。気をつけてもらおう。
『安心しろ、我を傅かせるのは主のみよ。我が人ごときに屈するわけがあるまい。』
と声がしたので、それなら安心だと思った。無理やりは、絶対に許さない。
もし、奏歌にされたら……絶対に殺してやる。
「じゃ、行くよ。たぶんもう、表にいると思うよ。」
「ふーん。なんか早いねえ。」
「んー、遅いくらいだよ。朝飯を食べに行こう。あとは、どこか行きたいかい?」
つまり、この世界は割と朝早くから動き始めるわけだね。でも三十時間か。疲れそうだ。
「ちょくざいとか、なべがほちいんだけど。」
「鍋か、わりといい値段するよ?」
「うーん、防具より高い?」
「いや、防具よりは安いが。2、300は、覚悟してな。しっかし、本気で料理するのかい?」
「みんにゃしないの?」
「冒険者とかはあまり聞かないねえ。みんな、肉がありゃいいし。」
「……かたよるのに。」
体が資本だろうに。タンパク質は、必要だろうけど……。
あれは、ないわ。うん、ない。
やっぱ、日本で節約してはいたけど……さあ、飽食な日本人には耐えらんないね。あの味は。ダシが効いてないっていうの?あんまり旨味が出てないから、塩だけで味付けたスープみたいだった。
「あ、ラナンしゃんまって。おばちゃん、あのおへやをいっかげつかりたいの。もっとでもいいのだけど。とりあえず、いっかげつ。」
「はいよ。キッチンつきだからね、一泊は105クルーだ。とりあえずは春宵の月ぶんは、半分でいい。ああ、一ヶ月なら2400クルーだ。あ、あんたらは二人だが、一人部屋なんで一人ぶんでいい。だから今月分は1200クルーでいいよ。昨夜分はそれに入れてやるよ。合わせて、払っとくれ。長期は先払い。毎月はじめに払って貰う。ただ、途中でになっても金は戻んないよ?それでもいいかい?」
安いね、それは。お得じゃん。
「あい。じゃ、おねがいちまーちゅ。」
「じゃ、あ、どっちが?ギルドカードかい?姉ちゃんの方かな?」
「あたちもあるから、だいじょぶ。」
ピッてしようとしたら、カウンターに届かない。
ラナンが笑って私を抱き上げてくれた。
「うわ、軽。」
「ありがと。」
ピッとやるとお金が引かれた残りがでた。
「ほう、ずいぶんちびっちゃい冒険者もいたもんだ。毎度。じゃあ、あの部屋は好きにおつかい。」
「ありがと。よろちくおねがいちまちゅ。」
「次は、私が払うね。ママ。」
「うん。わかったよ。」
ラナンに降ろしてもらったら、奏歌と手を繋いで外に向かった。
「いってらっしゃい。」
「いってきまーちゅ。」
扉番のおねーさんたちに挨拶を返しながら、外に出ると……男、男、?が三人で不機嫌そうにしていたのだった。
……なんで?
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