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第一章 マジ異世界ですね
No.17
しおりを挟むドカンとやってきた男は、周りを見回してもう一度ニカリとわらって、ミリオンの肩に手を置いた。
「よう、ミリオン。お前か?
いや。違うな。お前の色じゃあない。それに感じる魔力の波動がまったく違う。まさかだが……もしなかして……戻したのか?アレを。」
男はそう言って、指を指しているのは私が壊し、さらに直した塀だ。しかし、元に戻したのになんでわかるんだ?
「んーー、ん?なんだ、そのちっこい魔力の塊は。まさか、精霊か?」
「ちっこいはよけいだ!あたちはにんげんだも。」
「うん。あーー、そうだな。うん、お前だな。この魔力だ。この波動。色。全く一緒だ。だが、精霊じゃないなら魔族なのか?いや、それも違うな。こんなすごい力……今まで感じことはない。
お前は、いったい何者なんだ?」
「貴方こそ、いきなり現れて誰なんですか?ママをいじめるなら許さないんだからね!」
奏歌が思わずというふうに、その元勇者という男に食ってかかる。
「ん?んん?お前もずいぶんとすごいな。なんだいったい、何が起きてる?こんなに強い魔力を感じたのは生まれて初めてだぞ?」
もしかして、鑑定できちゃうのか?やばいんじゃね?
いや、バレても大丈夫なのか?
奏歌は、パパッとスマホを出して男を見るとすぐにスクショしてから私に見せた。
ーーロドリヌス
ーー勇者(元)
ーーギルドランクS S
ーー善人 (オヤジっぽい)
ーーバディ無
ーー魔力感知あり・割と特殊もち
一応は善人ではあるらしい。その上、なんだか特殊能力が入っている。これは勇者能力か?魔力感知。鑑定ではないが、もっていないとは限らない。この『割と特殊もち』という項目が……怖い。
というか、なんで人目線っぽい答えかな!
「で?ちびっこ、お前ら何者だ?」
口元は笑っていて、柔和な笑顔の中で瞳だけは笑っていない。
敵を観察するような鋭い眼を向けられて恐怖する。
心の中の中まで見透かされそうなほど、鋭く強い視線。……はっきりいって怖い!
でも私だって伊達に38も年をくったわけではないのだ。
それに、聞かれたところで私たちだってよくわからないのだから。
そんなことは、神さまに聞け!
「わかんにゃいんだよ!きじゅいたら、森だったもん!ちょかとふたいだったんだも!」
秘技、逆ギレだ。え?対応が38歳とは思えない?
いーんです。だって、もうどうしようもないなら先にキレたもん勝ちじゃない?
「ふーん。しかし、力が普通じゃねーだろ?」
「……普通じゃないの?」
奏歌が首をかしげる。
うん、そうだよね。
さっきも言ったけどさ。
神さまは私には色々チート仕様にしたみたいに話して、奏歌のは使えるようになってるからくらいの言い方だった。
だから、普通に考えて奏歌は普通だと思っていてもおかしくない。
私もそう思っていたもん。でも、みんな曰く。奏歌は魔術師並みらしいのだ。
どーやら魔力過多みたいだ。
でもさあ、その分……体力ないんだからいーじゃんね?
体力やら力やらは……ないんだよね。
「まってくれ。たしかにソカやショウの魔法はすごいが。二人は体力が普通以下なんだ。
魔力な特化しているだけじゃないのか?」
ありがとう。ハロルド。しかし、改めて他人に体力が普通以下って言われるとちょっとだけ悲しいな。
「そうなのか?だが、これは魔力が、高すぎる。特にこのちびっこ……。もしかしてお前、女か?女なのか?」
え?なんで?いまさら?いや、いきなり?なんで?そこ?女とか関係あるのか?男のが魔力高いとか?
奏歌と私の頭には?がいっぱい浮かんだ。
「いや、ソカという子が女だというのはわかった……というか一目瞭然だ。だが、お前の力……強すぎるからな。そっちばかりに目がいった。それになあ……見た目がそれだからなあ。どっちかわからなかった。というか考えが浮かばなかった。まあ、別段……どちらでも構わないんだが。しかし、そーか。女か……。
決めた。
よし、お前、俺の子をうめ。」
……………………………………………………………………………………………………………………………………………。
このオヤジ、なんつった?
「聞こえたか?もちろん今すぐじゃあないぞ?まあ、10年くらい待てば、なんとかなるか……なるだろう?」
いや、13歳でも無理だろ?
まして、オヤジはデカイだろう?
何がって?体もだが、ナニもだよ!
これは、断っていいよね?
ってか、今現在3歳の私に子をうめ発言は……ねえ?
変態に決定してもいいよね?
「いやに決まってる!」
「なんで?」
本当に不思議そうな顔だ。断られると思ってもいないくらいだ。
「いや!へんちゃい!」
「さっきも言ったが、すぐじゃなくていい。お前くらい高い魔力の女じゃなきゃダメなんだ!」
「ほか、ちゃがちぇ!」
魔力だけが目当てなら他にいっぱいいるはずだ!
「ほー、ならソカとか言ったな?まあ、ちと足りないが……。」
と奏歌を見る。挑発だとわかっているが、ヒートアップしかけた私は反応してしまう。
「ちょかはダメ!あげにゃい!」
自ら、弱点を晒してしまったが、奏歌は遠慮もなくバッサリと切った。
「私は、おじさんは趣味じゃないからいや。」
その言葉に私は少し冷静さを取り戻す。
元勇者は、奏歌の言葉に少しだけ肩を落としていたが、相変わらず顔には笑みを浮かべている。たぶん、奏歌へは、本気で言ったわけじゃないからだ。
だが、元勇者の言葉にヒートアップしたのは私ではなく、ラナンとハリーだった。
「ソカをあんたにやる気はないよ?」
「同じくショウもやる気はない!」
「力尽くでも、俺は欲しいなら奪うがな?」
クククと笑っているこの男に皆んなが舌打ちする。
どうやらこの男、かなり強いらしい。
ここには、かなう奴はいないのか、周りは妙に静かだった。
そして、更に言う。
「なあ?強い男の子供を産めるんだ。良くないか?」
は?何を言ってくれちゃうんだ?この男は!
「むかつおとこの子供をうむわけないだろ!バカにゃの?」
「「「「「ばかって?いったぞ……。」」」」」
周りが私の言葉でコソコソと言っている。たぶん、モブ兵士たちだね!
「ほー?なら、俺と勝負しないか?」
「にゃんで?あたちは、なんも益がにゃい!」
冗談じゃない。なんで私がわざわざ勝負してやらないといけないんだ?
元勇者は強いと言った。何でとは言ってないけども。勝ったところで私に有益なことなんかない。
そもそもだよ?3歳の幼女に本気で挑むってどーよ?
お ま え は お こ さ ま か ?
勝っても負けても悪い方に転がりそうだもんね。
もしも勝ってしまえば脅威とされるかもしれないし。強いからと国のために連れていかれてしまうかしれない。
負けたら負けたで、このムカつく元勇者の女になるってことでしょう?ただ、面倒なことが増えるだけじゃんか。
まして、こいつは『結婚』ではなく、『子を産め』っていったんぞ?
幼女相手にエッチがしたいと言っているようなものだ。
……幼女趣味の変態としか思えない!
というふうに私が真剣に考えているのに!
私の後ろで奏歌とミリオンがコソコソ話しているのが聞こえた。
「ねえ、本当にこの子3歳なの?なんか……子供に思えないんだけど。」
「んー、そうよねー。私も、ときたま思うよ(ママ、子供の演技下手って)。でも、これが正真正銘の子供なんだな(現在だけど)。まあ、昔から(こどもっぽいとこもあったからなあ)だからな。
それにさあ、ママは、おっさんにとーってもモテるんだよ。本人全く気づかないんだけどね。」
「それは、なんというか……危ういわね?でも、わかる気はするわ。」
「うん。」
「ちょこ!あたちはちんけんなんだけろど!」
「ごめーん。」
奏歌は私に手を合わせて謝り、ついでとばかりに元勇者にむかいあったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
『あとがき』
読んでいただきましてありがとうございました。
なんだか、びっくりなくらい沢山の人が読んでくれて。
お礼のため、あとがきにしました。
嬉しすぎたので本日は3話目投稿できました。
この話はR18で『なろう』の月光にも投稿していて向こうは、一応R18になる予定です。
こっちは、ファンタジー要素を強くするため改稿バージョンです。
向こうが先行してますが、こちらの方が読みやすく書き直してるつもりです。
ので、興味がある方は『なろう』と比べてみてくださいな。ふふ、間違え探しができますよー。なんて。
では、よろしくお願いします。
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