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第二章 異世界というものは
No.2
しおりを挟む「ママを誰にもやらない気かな?」
いきなり、横から話しかけられて体がビクッとしてしまった。
「そ、そ、そ、そ、そうか!」
「そうだよー。」
「み、み、み、み、み!」
「うん、見てた。まあ、外から見たら変態だよねー。幼女にちゅー、それも思いっきり大人のちゅーだし。わたし、まじどーしようかと思ったよ。身内のエッチは流石にみたくないし、想像したくないよねー。でもさあ、ママはモテるねえ。」
み、見られてたって……。娘に…。
うう、立ち直れない。
「で?さあ、ママはどっちが……三人の中なら、誰が好み?」
ん?三人?だれ?
「さ、三人って、誰さ!」
お?喋れる?
「おー、やっぱシャルさん?の魔法ってすごいねえ。言葉がちょうスムーズじゃん。これじゃ、また幼児と話してる気が更になくなるねー。」
「マジで喋りずらくない!はあ、よかった。あの、喋りはすんごい疲れるんだもん。」
幼稚園の時に奏歌がいいたいことを言えず、ウッキーィーとなっていたことを思い出す。
言いたいことが伝わらないって、ほーんと疲れるよね。
いやあ、今さら体験するとはおもいませんでしたがね!
まあ、話を聞かない奴に話すのも疲れるけどねー。
「あ、そうそう、三人はていうのはね?
まずは勇者のロドさん、次に冒険者のハリーさん、でもって魔神のシャルさん。
いやあ、それぞれ違うねえ。
うーん、ハリーさんは筋肉マンだし。ロドさんはヒゲ顔がなあ……。まあ、シャルさんはイケメンだけど、『人』じゃないじゃない?」
「……奏歌。いや……ソカ。よーく考えてくれるかな?ママは今何才かなあ?」
「んーそーだよね。まだ3歳じゃあね?『いつか、お嫁さんになってくれる?』『いいよ。』『じゃ、指切りげんまんだよ。』……程度の恋愛で充分かー。
チューはあっても、ほっぺとかさ、まあ、口でも、チュッとして終わり程度?
なのに……あんだけ激しいのされちゃあさあ……悪いけど変態行為にしか見えないもんね(笑笑)
イケメンだからさ、まだ、許されるかもだけどさー。」
いや、イケメンだろうが変態行為だろう?それも魔力吸ってないし!キスし損じゃね?
「そーゆー問題じゃにゃい!あり?言葉が、もどってゆ?」
「んー、どーなのかな?まだ、少しだけど。」
「さて、どーちたものかにゃ。」
「ん、でも聞きづらくはないよ?」
「そう?じゃあ、すこちはまち?むー、にゃんか決まった言葉だけみたい?
あいうえお、かきくけこ、さちしゅせそ、たちつてと、にゃににゅねの、はひふへほ、まみむめも、やゆよ、らりりゅれろ、わをん」
「んーと、さ行とか、な行とかあとウ段かな?まあ、これくらいならいいんじゃないかな?まあ、3歳で流暢過ぎてもとはおもうけどさ。」
「そう?にゃら、いいかにゃあ。まあ、がまんしゅる。うん、そんにゃにはね。しゃべれるときと条件もあるにょかな。んー、子供がむじゅかしい言葉がだめみたいにゃ、感じか。ちかたないな。うん。」
「で?三人のだれ?」
「わかんないち、今はせいかつでせいいっぱいにゃの!」
「……ママはいつもそう……。」
奏歌がちょっと悲しげに見えたがすぐににっこりと笑った。
「まあ、そうだよね。せーっかく、ギルドに登録したんだもん。冒険しなくちゃ。」
「そうそう、おかねも稼がにゃいとね?」
「ん、そうだね。わたしも頑張るよ。」
「うん。」
「じゃ、そろそろ行くよ。」
「は?どこに?」
「んーと、王城?なんか、迎えが来るってさ。大丈夫だよ。あの四人も付いてきてくれるよ。ラナンさんとミリさんとハリーさんとハロルドさん?が。
まあ、何かの時はママの魔神を呼べばいいのじゃない?
『何故、呼ばない?』って、怒ってたじゃん?
きっと、発動条件なんじゃない?」
「名前が?」
「ううん、ママが呼ぶことが。」
そうなのか?
『そうだ。』
あ、そう。わかった。次の危機には呼ぶよ。
『……了解した。』
「まあ、ママは人に頼るってことも学びなよ。」
「えー、頼ってるよ。たくさん。」
「はあああ、もう、ほーんと自分を知らないよね、ママは。」
「どうゆーこと?」
「いいよ、いいよ。もう、でもさ。わたしだってもう16になるんだもん。少しは頼ってね?」
「もちろんだよ。たよらちてもらう。」
「うん、じゃ、ママ。あらためて、よろしく!」
「うん、ママもよろちく!」
そして、二人で笑ったあと、手を繋いで部屋から外に出た。
宿のおばちゃんにお礼をいって、振り返ったらラナンがいた。
「おはよう。よく眠れたようだね。……相変わらずいい匂いだね。」
当たり前だ。ちゃんとローズの匂いにしたもの。
「らなんさんは、また、してにゃいね。もう!じょーか!」
ふわりとローズの香りのラナンからする。
「あははは、すまんね。昨日は風呂だけ使ってバタンキューだ。」
この世界でもバタンキューなんていうのか。
「さあ、お待ちかねだよ?行くかい?」
「うん。」
「いこう。」
私たちは深呼吸をして、外への扉を開けた。そこには昨日、置いてけぼりにしてしまったハロルドとハリーが困り顔で立っていた。
ミリは、笑っていたけど。たぶん、ラナンから詳しく聞いているからかもしれないしね。
「……よかった。ショウ、無事で。」
ぎゅっとハリーが私を抱きしめた。
「ごめんにゃさい。おいてっちゃって。でも、ぶじだよ?」
「……言葉が?」
「ああ、そうにゃんだ。魔法でだいぶスムーズになったよ?」
誰の魔法かはわかないけれど。チューされてかけられたとは言いにくいしな。
「そうか。」
「うん。」
こんな時、無口な男はいいね!余計な詮索がない。
「それでは、ショウ様、ソカ様。参りましょう。」
昨日の眠らなかった女騎士の人がいた。
やべえ、嫌がらせされるかな?
「ママ、大丈夫だよ。あの人は可もなく不可もなくみたい。普通になってるよ。」
「にゃんだ?ふつうって。」
「さあ?」
「まあ、いっか。」
というわけででっかい馬車に、乗ることになりました。
王城……より、本当は魔法とかを練習したい。
しっかし、邪魔な馬車だよね?馬が四頭だての馬車に、ミリ、ハリー、ハロルドと男の騎士が二人乗り込んだ。
わたしらは……ユニコーンっているんだな。
……まてまて、わたしは処女じゃないが大丈夫か?あれ?処女かもしんない?
ピッコーンとまたメール?
ーー神さまだよ。
あのね、昭子ちゃんは体がまっさらになったからね?
だって35年分がなくなったんだもーん。ーー
ほんっとにまあ、いい加減だな!
つまりだ、また、あれに耐えるのか?
それも嫌だな。……記憶いらない。
『我なら痛みもな…』
捨てるよ?捨てられたい?
『……わかった。』
ふは……短剣相手に凄んでどーする。まあ、なんだ。ちょっとだけ八つ当たりだ。
まっさらということは、チューもだろ?ファーストキスとセカンドキスを奪ったんだから八つ当たりくらい、いいのではとも思うことにした。
うちらは、奏歌、ラナン、女騎士と四人でユニコーンの白い馬車で王城へ。白い馬車ですよ、姫か私らは。
「なんかさ、ママ。うちらが夢見る夢子ちゃん的な考えだったらさ、白い馬車に白馬でお城に行くわけじゃん?『きゃー、王子様がわたしを?』なーんて、馬鹿なこと思った痛い奴になるシチュだよね?」
「そーね。」
「ママ?どーしたの?」
「んん、にゃんもないよ。ちょってぼっーとちた。」
「大丈夫?まだ、魔力とか体力とか回復してない?朝ごはんたべなかったもんね。」
「うん、そーだね。」
そうだ。お腹が空いてるからだ。そうに決まっている。だから、暗くなるのだ!
食べる!これが大事!
「御朝食は、勇者様がご一緒にと申しておりました。」
「そーかい。豪勢なもんが出てくるかもな。」
豪勢なものはいらないんだけどな。それより、さっぱりあっさりがいいなと思う。
「はい、ご期待くださいとのことです。」
そのあとはラナンと奏歌は何やら話をしていた。
わたしは聞いてるようで、目は外に向く。
ちなみに、わたしはラナンの膝だ。理由は危ないから。
まあ、仕方ないな。シートベルトもないし。頼りない3歳児の体じゃね。跳ねて転がりそうだもんね。
外を見ると、街並みがよく見えた。
うーん、本当にもとの日本じゃないんだなあ。
ここで、生きていくのか。
……奏歌にはああ言ったけど……、いつかはなんて思ったりもしたけど…。
やっぱり、わたしが恋愛をすることはないだろう。
わたしの願いは、一つ。
奏歌が幸せになってくれること。
もう、それだけでいい。
たくさん望んでも叶わないのはわかっているから。
だから、ただ一つ望もう。
奏歌の幸せを。
そう、死ぬ前もただ一つだけ願いは叶ったから。
今生での願いも一つにしよう。
絶対に叶うように。
そう、奏歌の幸せのためならば。どんな男でも、三人でも手玉にとってでも利用してやるくらいでないといけないのかもしれない。
そう、このくらいの意気込みでないとたぶん幸せなんて掴めない。
お詫びは、奏歌の幸せの後でならいくらでも。
うん、よし。まずはがんばろう!
さあ、お城で勇者と対決だ。
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