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第一章番外編(主人公以外の視点)
閑話 《ロドリヌス編 1 後編》
しおりを挟む早速、迎えにやらせたが……やはりというか、逃げられてしまった。
王宮でというのが悪かったのか?それとも王の名を出したのがわるかったのか?
普通なら王命を無視する奴はいないというから……王命にしたのに……余計悪くなったんじゃないのか?
あの子は権力を嫌っていたというのに、俺は馬鹿か!
……結果がこれだ。
あの子の魔力の波動で、大体の位置は読めるが……完全ではない。
強い魔法を使えば一発なんだが……な。
使った!
だが、一瞬で位置が変わった。
転移魔法もこなすか?
すごい。
だが、場所が悪い!
なぜ、原始の森に!この時間はまずい。
飛ぶか?もし、何かあったら。
しかし、予想に反して結界の力を感じる。よかった。
どーやら結界も張れるようだな?
そして、すぐに強い魔力を感じた。まずは、火の魔力。しかし、コレはあの波動ではない。たぶん、姉の方か?
だが、次の瞬間。
恐ろしいくらいの光の放出を感じた。
これだ!この波動。間違いない。
それにより、場所がピンポイントでわかった。
すぐに、飛ぶ。
「お前の魔力は、すぐわかるな。本気で逃げられるとでもおもったのか?
魔力のランクは変わらずとも、流石にレベルの差はあるだろう?
まして、体力がないんだったか?俺は、絶対に逃す気はない。」
嫌そうな顔をするが、それも可愛いいとおもう。俺は、15のガキか!かなり惹かれている。
「にゃんで、そんにゃにこだわるの?べつに、あたちでなくてもいいじゃにゃいか!」
「いや、俺はおまえがいい。俺はお前が物凄く気に入ったんだ。」
「ろりこんにゃの?」
「なんだ?そのろりなんとかって……意味はわからんが、とてつもなく嫌な感じだ。」
よくわからない単語を言われた。そこに姉が手を挙げた。
「あの。」
「なんだ?」
「あの、ロリコンは幼女趣味ってことで幼女が好きなの?勇者さんって。」
「は?いや、もちろんアレコレ……ゴホッ……は、育ってからに決まっているだろうが!
まあ、ただ10年もすりゃ……ねーちゃん以上にはなるんだろう?」
「えーと、私っていくつに見てます?なんか、会話を重複してるみたいで嫌だけども!」
少し高めに言ってみた。女の子というものは、大人に見られるのを喜ぶものだと聞いたことがあったから。
まあ、これがおばん……ゴホッ。妙齢のご婦人になると逆になるがな。
「……12歳くらいか?」
「今現在、んん、……15歳ですよ、もうすぐ16にもなります!もう!何回この会話をすりゃいいの?で、ちなみに、ママ……ショウが10年たっても13歳だからね?私ほどにもならないからね!」
なんだと?まて、まて。15?
3?いや、これほど頭が回るのが三つだというのか?
……天才か?
「15?本当に?ショウは、ただ今だけ小さいとかじゃないのか?あの喋りは、3歳じゃないだろが?………変態っていわれたの意味が今わかった。すまん、15年待つ。では……ダメか?」
たしかに、変態と言われてもおかしくはない。だが、結婚を承諾したところで、すぐに婚儀をするわけではないのだし。そこから愛を育てていけば。
「んーと、あと根本的に勇者のおじさんは間違ってるもの。」
「お、おじ……いや、今は……間違ってるって何がだ?」
何がまずい。子供に求婚したのがか?だが、貴族間では生まれた日に決まることもある。
婚約をしたいが為の求婚なんだから。
「まずさあ、いきなり子供を産めはないでしょう?
どう考えても、エッチだけさせろって言ってるようなものだもん。」
「ん?何が悪いんだ?あと、エッチとはなんのことだ?」
「えー?そこから?うわあ、めんどくさいなあ。」
「エッチがわからんが、何故、俺の子を産めがダメなんだ?最高の求婚で求愛だろう?全てに責任を持つと言っているんだろ?」
「……は?ちょっと待って、求婚求愛?」
「そうだ。子を産めってのは、養う気があるから言った。つまり、その、伴侶としてってことだぞ?どこがおかしい?」
「……ロドリヌス様、あんた、あれ婚姻を申し込んでたのかい?」
「当たり前じゃないか。婚姻を結ばず子を作るなどせんわ!」
当たり前だろ?
子を作るのは夫婦としてにきまっているし、お互いが好きあった時だ。
乱れた関係になるのは、どうでもいい女だけでいい。
俺は、こいつ……精霊のようなショウと縁を結びたいのだ。
そうだな、たぶん誰にも奪われたくないんだ。
「なら、おじさん。まずはさあ『結婚を前提にお付き合いください』からだよ。
……そんなさあ?いきなりさあ、小さな子に『子を産め!』なんてさ。そんなの変態にしか思えないじゃん。それも、上から目線だから命令にも取れるし?
私たちは、この国にいつの間にかだけども。来たばっかりなんだよね。だから、いきなりあんなこと言う奴は、はっきり言って敵認定なんだよ。
もともと、私とかママは恋愛脳じゃないんだもん。だからさ、よくあるお花畑ちゃんみたいに、『私の王子様がやってきたわ♡』って考えられないわけの。
もう、本当に恋愛系は二の次なんだよね。
まずとりあえず、生活の基盤を作りたいわけなの。だって、家もないし、冒険者もなりたてだし。
どうせ、10年以上はママと結婚できないわけじゃない?
ママが成人したらさ、再度申し込んでみたらいいと思うな。」
「……その間に取られたくない。だってなやっとだぞ?やっと見つけたんだぞ?同じ強さの、同じ色の魔力を……。」
今までいなかった。
同じ色をもつ少女。その上だ、たぶん、姉を見る限り美少女に育つ。それにあの微笑みは色気がありすぎだろう?
男に取り囲まれている未来しか、俺には見えない!
「……姉のほう、ソカと言ったか?いま、生活の基盤と言ったよな。それなら俺が養うんではだめか?生活全てを面倒みる……だから、せめて側にいてくれないだろうか?」
「んーと、ママどうする?」
とりあえずという感じで切り出したが、姉は即決せずショウに聞いた。
「だって、これってさあ。結局は、ママ……ショウの問題じゃん?たださあ、えっとおじさん。」
「ロドリヌスだ。」
「えー、言いにくい。」
「ロドで許す。」
言いにくいと?ならば、愛称で許す。
「ロドさん、年の差すごくない?だってさ、10年経ったらロドさんは、爺さんにならん?爺さんにママを任せるのはちょっと……ねえ?」
はっきりいうな。
だが、まさか一般常識を知らないのか?
「?何を言っているんだい?ソカ。もしかして、知らないのかい?魔力が高いと年を取りにくいってことを。」
「は?何それ。」
「……なあ、ハリーとハロルドとミリとあたしなら、誰が一番年上か知っているかい?」
「えーー?んー?」
姉が悩み抜いて言葉を放つ。
「ハリーさんかなあ。」
「ミリだよ。」
「エーーーーーーー!うそっ!」
「次があたし。でハリー、ハロルドだよ。ちなみに年なんだけどね。あたしが146歳だって……みえるかい?
だいたいみんな成人すると年がゆっくりになるんだが、魔力はかなり影響するんだよ。
まあロドリヌス様とショウの年の差は……あんまり変わらないかもしれないけどなあ。なにせ、二人とも魔力が普通じゃないだろ?
ショウがまったく年取らなそうで怖い。
ちなみに、ミリは、200歳超えてるからね?」
おい、どんな育ち方をしたらそんなことを知らずに過ごせるんだ?そもそも、魔力があるのに知らないとは。
「……じゃ、40歳近くに見えるおじ…じゃなかった、ロドさんって魔力多いんだよね……で見た目がそれって……幾つなの?」
「見た目?40歳……喜んでいいのか、わからん。ヒゲのせいか?そんなにミリとは変わらんと思うのだがな。」
「いやいや、全然ちゃうよ?ミリさんは、20代にしか見えないもん。ロドさんはその倍に見えるよ。まあ、ヒゲは、老けさせてるかもだけど。ね、ママ。で、ロドさん、いくつなの?」
俺は30前の年で止めたのだがな。
「……1000年は超えた。」
と言ったら、一拍おいて驚愕されてしまった。だが、老いてるわけではないし。
「だから、あと十数年くらいは待てる。だから、どうだろうか。」
「………。」
「まあ、ショウがどうしたいかだね?あたいもさあ、あの股を開く発言でかなり頭にきたけどさ。よっく、考えたら騎士団の奴らが言ってただけで、ロドリヌス様が言ってたわけじゃないんだよな。まあ、ショウがどうしたいかだね?」
そう、俺が言ったわけじゃない。
だが、子を産めは、求婚にならんのか。時代が変わったのだな。
「んーと。おともだちから?」
「……婚約は、ダメか?面倒見るし。」
「えーと、しょーしゅると、ことわるのできにゃくなるじゃにゃいか?」
「……断るのか?」
断る前提など嫌だ。
俺はかなりのめり込んでいるようだ。
「いや、そこはわからないじゃん?おじ……ロドさんも我慢しようよ。」
「……側にいたい。」
「だが、ロドリヌス様が住んでんのは王城だろ?」
「王城……。」
実に嫌そうだ。なら、俺がすることは一つだ。
「わかった。なら、王城は出る。別に屋敷も建てる……なら構わないか?」
「ロドさん、ママ……ショウがそんなに気に入ったの?
……言っちゃ悪いけど、どこが?」
「全部?」
疑問系になったのは、全てだと思った。知らないことさえも全てだ!
「へー、やっぱ幼女好き?」
「ちがう!……なんだか、達観しているところとか、その姉を大切にするところとか、魔力の色とかオーラとか……だ。」
綺麗すぎる魔力の波動。
七色のオーラ。
だが、なんだろうか。それさえも包み込む優しい光が見える。
何より、チビのわりに毒舌なのもいい!
「けっこう、惚れていたりして?」
「でなきゃ、求婚はしない。」
「……やっぱ、ロリ?」
そこは否定したいところだ。
「改めていう、俺と結婚を前提に、一緒に暮らしてほしい。」
俺はむきなおり、膝をついて改めて結婚を申し込んだ。そう、きちんと貴族並みの婚姻の申し込みをした。
しかしながら相手は、幼女。
なんだかんだと、今日は疲れたという。
話は明日にとなってしまった。
仕方がない。
明日迎えに行くことを伝えて、宿に送り届けた。
次の日。
流石に今度は逃げずに馬車に乗り王城にきた。
王や英雄やらが同席したいとゴネたので、嫌々ながら許したが。
迎えでて紹介しろというから、ラナンたちにそれは任せて中に早々に入る。
子供なんだ、風邪を引いたらどうする。
彼女は俺が微笑むと、婉然と微笑み返してくれた(←してません。)
あまつさえ、抱きしめるとギュッと抱きついてくれた(←してません。)
だが、なんだかんだとまた、チャチャが入る。
その上だ、やはりというか。
ハリーもショウが好きだという。
しかし、それでも下宿という形ではあるが同じ家に暮らせる……まで話が進んだ。
では、ゆっくりと部屋で。
そこで、全く予期せぬ奴の横槍が入った。魔神だと?
確かにコイツの魔力の波動は、ショウの波動の隙間から見え隠れしていたが。
なんと、コイツはショウに肉欲を持っているではないか!
許せない。
無理やり(←でもないが?)
口付けまでしやがったという。
許せるか?許せねーだろう?
と臨戦態勢になったところで、ショウが完全にキレた。
そしてショウを完全に怒らせてしまった。
ショウはまず、話をめちゃくちゃにしたシャルという魔神が宿る短剣をテーブルに置く。
そして、怒りは見事に俺の結界を無効化した。
ありえねー。
いまだかつて、破られたことはない。
ミリオンのように許しを与えた奴が隙間をぬって入ってこれるようにはしていたが。
完全に無効化されたのは初めてだ。
それも……詠唱の助けもない。
ただ
『いらない』
の一言でいらないものが正しく消えた。
そして、呆然している俺たちの声も無視して消えた。
てれぽーと?とはなんだ?
転移だと思うが。
魔力の波動は一瞬で女宿に移った。それにすこし安心した。
「はあ、かなり怒らせたようだな?ロドリヌス様?」
「ああ、下宿話も無くなりそうだ。これというのも。」
ギロリと置いていかれたことから、呆然としている魔神を睨む。
そこに、結界がなくなったことで入ってきたハリーたちがなだれ込んできた。
「ショウは?」
「……逃げた。」
「あんたは逃げるようなことをしたのか!」
ハリーの怒気を感じたが、それがなんだと。
この魔神と短剣をどうしろと。
剣は七色の玉を光らせていた。これは、ショウの力か。
同じ色。
だが、レベルならば俺の方が上のはずだ。
魔法のランクはわからないが。レベルにかなり差があれば、可能か?
なら?
「魔神、契約は何をもってした?」
まさか、処女を捧げたとかはいうまい?まだ、幼い娘なのだから。
「血を持って。」
「なるほど?」
俺は指先にナイフで傷をつけ、血をその玉に垂らす。
「ぐー、な、何を。」
「お前の主になってやる。同じ色の魔力だ。抵抗できまい?」
「な、我は、ぐぅ、く……。」
「従え!」
そして、奴の名が頭に流れ込む。
「従え、シャルトリュー・ブリティッシュアイ・ノルメイン。我が名、ロドリヌスの前に。」
「グーーーーーーーーッ!」
それが本性か?
目の前にいたのは、通常の黒サーベルの三倍以上はある黒サーベルの亜種……銀サーベルだった。
所謂、伝説級の真聖獣と言われているやつか。
流石、伝説。
まだ逆らうか。
ふふふ、ならばと魔力を全開にして従えさせる!
額に俺を表す魔法陣が現れて、次には……少女の姿をしたシャルが現れた。
「くっ、これならば守りやすかろう?」
「我がどちらの性にもなれることに気づいたというのか?あの、短時間で?」
「まあな?これでも1000年以上生きてるんでな。」
「……流石は総色ということか。仕方がない。お前も主と認めよう。」
「あくまで、上からか?お前、俺に逆らえないんだがな?それに、俺が生きているかぎり、その姿は変われないからな?」
「……口付けに雄も雌もないが?」
「俺が許すとでも?」
「……ショウの魔力の方が美味いし、力が出る故な。」
「ふっ、まあ俺の許可のもとなら許してやるかもしれないが?」
これで、こいつも俺のものだ。
だが、ショウを守らせるにはちょうどいい。
「ちょっと、何がどうなったわけ?師匠?」
「久々の呼び方だな?ミリオン。まあ、力でねじ伏せた?」
「シャルのあとの呪文がよくわからなかったけど。」
「真名だからな。他には聞こえまい?さて、あとはどう怒りを解いてもらうかだな。」
「我は知らん!」
そう言って魔神は、本体にもどった。しかし、伝説の銀サーベルの短剣とはな。
まあ、本人は魔神と名乗るあたり、色々あったんだろうがなあ。
まあ、魔神のままで良かろう?サーベルだと教えてはいけないと勘が言っている。怖がるからか?
さてと、どーするか。
「ミリオン、ラナン。ものは相談なんだが……このさいだな。よし、ハリーとハロルドも一枚噛まないか?」
「……まったく、厄介な人に目をつけられたショウにちょっと同情するわ!」
「「まったくだ。」」
ミリオンの言葉にラナンとハロルドが賛同して、流石にハリーには睨まれてはいるが……まあ、あいつとの決着はショウが大人になってからでいいだろう?
ぜったいに、負ける気はないがな。
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