娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!

十夜海

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第二章 異世界というものは

No.26

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「ねえ、あれなーに?トカゲ見たいのが見える?」
「火トカゲか?」
「火トカゲって、魔力おっきい?」
「いや?スライムとからわないくらいか?」
「おっきいの二つコッチにくるよ?あっ、やっぱり前のおっきい魔力はトカゲみたい!
ちっこいトカゲがでっかい何かに追われてる!」

ちっこいトカゲに羽がついてて、象さんの大きさの角が燃えてる牛みたいのに追っかけられていた。
ちっこいトカゲが私に向かってくる。
ちっこいちっこい手を伸ばし助けを求めるように。
これは母である私の母性本能を揺さぶってしまって、私も思わず手を伸ばしてしまった。
そして思わず、トカゲを胸に抱き短剣を抜いて巨大牛の前に出てしまった。

「ショウ!そいつは炎牛だ!Aランクの魔物だ、下がれ。」

ロドリヌスが後ろから声をかけてきた。
だが、この牛はトカゲしか目に入ってないみたい。
でも、私に気づいて止まった。
そして、私を見てブフンッと鼻で笑った気がする(いや、たぶん被害妄想だと思うけど!)
いや、ちがった!

「ブボオ(ちいせーのはどけ!)」
「ちっこいいうな。」
「ブアハウ!(それは俺のエモノ!)」
「ピピィゥ。(こあいよー。)」
「弱いものいじめは、あたしはゆるさん!」
「バッハゥ!ハゥハゥハゥ!(お前が俺にか!あははは!)」

馬鹿にされた。でかい牛に馬鹿にされたよー!私は馬でも鹿でもないんだからねー!きーー!
でもこの地にいるなら、火属性だよね?だって頭燃えてるもんね。

「ウォータースクリュー!」
「グガァァァァァァァァア!」

シューーと頭の火が消えた瞬間に私は短剣で角を切った。
ザザッと巨牛が倒れた。
どうやら角は、急所だったようだね。ふふふ、私を笑うからだ馬鹿者め。

「ショウ!大丈夫か?」
「うん。」
「……初見で普通、簡単に倒す?」
「ま、ショウは普通じゃないから。」
「まったく、肝が冷えた(まあ、やられるとはおもわなかったがな。)ぜ。よく、ツノが弱点だってわかったな?」
「いや?偶然だよ?まあ、火が消えたら、スローモーションに見えたけどね。」
「すろう?なんだそりゃ。」
「んーと、牛の動きがゆっくりに見えたの。」
「いやいやいやいや……早かったよ?あと、ショウ。なんか牛と喋ってない?」
「ん?ああ、馬鹿にしたから。」
「じゃ、まあ、トドメを刺すか?」
「いや?いいよ!だって討伐対象じゃないでしょ?」
「まあ、いいのじゃないかしら?ツノは、切ったし。またツノが生えるまではおとなしい牛になるだろうしねえ。」
「そうだな。まあ、いいか。」
「んじゃ、いいよね?」
「んで、ママ……ショウ。ソレは?」
「ん、ああ、忘れてた。君はどうしたい?」
「ピイ、ピピィゥ(ママ、いないの)。」
「迷子みたい。」
「ピイ、ピピピイ(あそこのタマゴからでたら、怖いのいた)。」
「ママ、また喋ってるの?」
「ピッピ!ピピピピイピイ(ママ!ママだー!あたちのママ!)」
「は?ちがうよー。」
「ピッピピー!ピプピー! ピピウ?(ママって言った!だからママ。アレはねーね?)」
「……ソカのせいでママ認定されちゃったんだけど。どーすんのよ……。」
「ピッピピー(ママ、名前つけてー。)」

あれ?この世界『ママ』の意味通じなかったのに。動物トカゲはちがうの?トカゲは、母をママと呼ぶの?なんか、不思議。

「どうしよう、ロドさん。母にされたみたい。名前つけてって。」
「うーん。飛びトカゲの亜種かなんかか?初めて見るな。ただ、名をつけると従魔にすることになっちまうぞ?」
「従魔か……あたし的にはモフモフがいいな。ねえ、従魔って1匹しかできない?」

1匹しか飼えないなら、サーベルが飼いたいなあ。乗れるくらいの大きさはあるらしいけどさ。
トカゲは嫌いじゃない、むしろ好き。でも、モフモフが足りない。頭から鬣に少しフサフサあるけど、モフモフじゃない。ちょっと固めだし。

「いや、ソレはないが。自分が従える力分だな。あとは食わせられるかだ。魔力と飯をな。魔獣はどちらも必要だからな。」
「そっかあ。チビだしな。従魔って解くのもできる?」
「ああ、主人からならいつでも絆は断てるぞ。あとは、主人が死んだ場合か。ただ、従魔のほうが主人より強くなりすぎて嫌になってれば、主人を食って解くらしいがな。」
「ふーん、じゃあ、とりあえずは大人になるまでは面倒見るなことにしようかなあ。助けちゃったしね。最後まで面倒みないとね。いい?ソカ。」
「うん。あたしは爬虫類は好きだからいいよ。むしろ是非に。」
「んじゃ、名前か……じゃあ、うん頭に涙のマークの石?があるからティアで。」
「ほんとだ。」

ティアってつけたら、私の小指に青い指環みたいな紋章がついた。
ロドリヌスが言うには、わりと高位の魔物か魔獣かもと言っていた。高位だと指環みたいな紋章が現れるらしい。やっぱ、生ファンタジーは違うね!
で、ティアの頭にある雫石にも何かのマークが浮かんだ。
見た目は細いハートの中に梵字見たいのがあって、ハートの両脇に翼みたいな形が左右対象に。
ソレが私の指環のマークの真ん中にもあった。
これが従魔のマークかもね。

「石?………まさかな。」

ロドリヌスが小さく呟いた言葉は、何を意味するのかわからなかったけども。

「さて、魔石をさっさと拾って帰りましょう。」
「「はーい!」」

ミリオンの言葉に元気に返事をすることで、考えるのはやめた。
このトカゲティアがなんであっても、もう既に自分の庇護下に置いてしまったから。



ということで、初日から波乱の討伐となりましたが、無事にクエスト終了です。
また、集落にお泊りして明日は朝早くから王都(だったみたいで、びっくり!……王様いたもんね、当たり前か。)に向かって、レッツゴーですよ。
あと1日、何事もありませんように!

あれ?……フラグ?




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