52 / 124
第二章 異世界というものは
No.27
しおりを挟む集落に戻ると、また高い宿にって言われた。
でもさあ、こんなお金の使い方していたら、クエスト受ける意味なくない?どんなに稼いでも出てく方が多くなっちゃうよ。
「ねえ、ロドさん。どうせ結界はるじゃない?なんなら二重かけしてもいいんだしさ。
だから、安宿ってのにもいきたいな。というか、行ってみたい。だって、いつかはソカと二人でクエストに行くようになるんだもん。」
そのためには、一に経験、二に経験。三四がなくて五に勉強!です。
「ねえ、ショウ。そのトカゲみたいの大丈夫かな?一緒に泊まれる?ペットオッケーになるかな?」
そうだよね!ぺット可のとこって、少ないかもしれないよ。前の世界みたいに。今は、それなりに増えてるけど。やっぱりアレルギーの問題もあるからねえ。
「あっ、そっかあ。大丈夫かなあ?」
「従魔にしてるから大丈夫だろ?だが、安宿かあ……汚いぞ?たぶん。」
おや。従魔ならペット不可ではないのですねえ。それはよかったです。
でも、汚いのか……。
だけども、そこはクリーンでなんとかなるよね?
たぶん、きっと、おそらく!
「大丈夫だよ!クリーンするから。」
「わかった。だが、狭くても部屋は一緒だぞ?」
「「イエッサー!」」
ビシッと二人で敬礼した。
で、安宿に行くことになりました。
すると宿の前であの茶化してきた男冒険者と女冒険者にあった。
「おやおや~、討伐不成功で安宿かあ?」
「えー、聞いちゃ悪いんじゃないの?」
「だがよー、昨日まで高級宿にいて、今日はここって。明らかにやばいだろう?」
「まあね?でも、ここも苦しいんじゃない?あっ、それともロド様たちが支払うのかしら?昨日も実はロド様たちが払ったのかも。」
「おう、だから遠慮して?」
二人は勝手な妄想で勝手に盛り上がっている。
「討伐なら成功したよ。」
「またまた。」
「本当に!」
「見え張らなくてもいいのよ?」
「見えなんてはってないし!」
「証拠は?」
……いちいち、イラっとくるやつら。 というか、なんで証拠をあんたらにみせなきゃいけないんでしょうかねえ?
ま、本当はそう思うから無視してもいいんだけど、入り口を塞いでるんだよね!
だ か ら !
私はおもむろに、一個だけ魔石をとって見せた。
もちろんドヤ顔で!へっ!だ。
「え!こんな大きい……魔石?」
「……すげ……。」
「できるわけないわ!あんたたち、卑怯よ?ロド様たちに倒してもらったわね!」
「んな、馬鹿な。」
全く…面倒なやつらだ。
元から信じる気、ナッシングなんじゃん。
「いや、こいつは本当に二人だけだぞ?」
ロドリヌスが呆れたように、口を挟んだ。
「そんな、おかばいになる必要なんてありませんわよ?ロド様さまぁ。」
お色気ムンムンで、ロドリヌスにスリスリと擦り寄る女に呆れた。
「普通、魔法の痕跡で誰が倒したかわかるでしょう?」
「ねえ、おじさんたち本当に冒険者なの?」
「おじっ!」
私たちには痕跡が見えるぞ?
感覚だけど。
ソカの何気ない『おじさん発言』の方にショックをうけてるし……。
「ショウ、それはレベルが高くないと無理だ。」
ロドリヌスの意外な言葉に、ちょっとびっくり。
えっ、だってわかりやすいのに?
「そなの?」
「ああ。」
「ふーん。じゃあ、おばさんとおじさんはレベルが低いんだね?」
「な、なんですって!だいち、おばさんって言われる年じゃないわ!」
「だって、見えないんでしょう?……それに私からしたらおばさんだし。」
「み、見えるわ!見えるわよ!」
「じゃあ、ロドさんじゃないってわからない?」
「そ、そうね。よく見なかったからっ!い、今見たら、あ、あなたのね!」
どう見てもわかってなさそうだけど。まあ、言質はとったからいいや。
「じゃ、ソカ。お部屋行ってご飯たべよ。」
「うん。」
「ロドさん達は、ゆっくりどうぞ。」
腕を取られたままにしているロドリヌスに、ちょっとイラっとする。
「お、おい。」
「ほらほーら。あんなお子様たちはほっといて、私といいことしましょうよぉ?ねえ、ロド様ぁ。」
とさらに腕をからめて、言いよる女冒険者にも、少し呆れた。
「離せっ!俺は悪いが好みがあるんでな。」
と、乱暴に腕を払う。
「なっ!失礼な。あたしじゃ、ダメだっていうの?」
「俺は、嘘つきは嫌いなんだよ。」
ロドさんは、はっきりきっぱり言い切って、私たちの後を追ってきた。
ミリオンは、さっさと後に続いていたけども……さりげなく自分だけね。
そして、人の悪い笑みを浮かべてロドリヌスに言った。
「あれ?ロド様。よかったの?二人ならあたしがちゃーんと守るわよ?」
「ぬかせっ!言っておくが、俺はショウ一筋だからなっ!」
ふんっと胸を張られてもねえ。
ロドさん、あんまり人のいる前で言わない方がいいと思うよ?
だって。
どう見てもあたし子供だしね。
周りに幼女趣味だって思われるよ?
「ロドさん、変態って言われちゃうよ?」
ソカが、ズバリと言ってしまった。
「まあ、ロド様が変わってるのは、有名だから大丈夫よ。」
とミリオンが太鼓判を押す……何をもって大丈夫なのか、怖くて聞けませんでしたよ、私は。
ねえ、ミリオン、あんたも大概だと思うよ……。
安宿の部屋は、いかにも安宿で……いつから掃除してないの?って、思うくらいでした。
サービス業を完全になめとる!
もちろん、ソカと二人で何度もクリーンをかけたのは言うまでもありません。
結界は、なんだか嫌な予感がしたのでロドさんと二重かけにしましたよ。
特製の結界だよ。イシシ。
だってなんか、モヤモヤ嫌な気持ちがね?
そーゆー勘はあたるんだよねー。昔から!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる