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第二章 異世界というものは
No.27
しおりを挟む集落に戻ると、また高い宿にって言われた。
でもさあ、こんなお金の使い方していたら、クエスト受ける意味なくない?どんなに稼いでも出てく方が多くなっちゃうよ。
「ねえ、ロドさん。どうせ結界はるじゃない?なんなら二重かけしてもいいんだしさ。
だから、安宿ってのにもいきたいな。というか、行ってみたい。だって、いつかはソカと二人でクエストに行くようになるんだもん。」
そのためには、一に経験、二に経験。三四がなくて五に勉強!です。
「ねえ、ショウ。そのトカゲみたいの大丈夫かな?一緒に泊まれる?ペットオッケーになるかな?」
そうだよね!ぺット可のとこって、少ないかもしれないよ。前の世界みたいに。今は、それなりに増えてるけど。やっぱりアレルギーの問題もあるからねえ。
「あっ、そっかあ。大丈夫かなあ?」
「従魔にしてるから大丈夫だろ?だが、安宿かあ……汚いぞ?たぶん。」
おや。従魔ならペット不可ではないのですねえ。それはよかったです。
でも、汚いのか……。
だけども、そこはクリーンでなんとかなるよね?
たぶん、きっと、おそらく!
「大丈夫だよ!クリーンするから。」
「わかった。だが、狭くても部屋は一緒だぞ?」
「「イエッサー!」」
ビシッと二人で敬礼した。
で、安宿に行くことになりました。
すると宿の前であの茶化してきた男冒険者と女冒険者にあった。
「おやおや~、討伐不成功で安宿かあ?」
「えー、聞いちゃ悪いんじゃないの?」
「だがよー、昨日まで高級宿にいて、今日はここって。明らかにやばいだろう?」
「まあね?でも、ここも苦しいんじゃない?あっ、それともロド様たちが支払うのかしら?昨日も実はロド様たちが払ったのかも。」
「おう、だから遠慮して?」
二人は勝手な妄想で勝手に盛り上がっている。
「討伐なら成功したよ。」
「またまた。」
「本当に!」
「見え張らなくてもいいのよ?」
「見えなんてはってないし!」
「証拠は?」
……いちいち、イラっとくるやつら。 というか、なんで証拠をあんたらにみせなきゃいけないんでしょうかねえ?
ま、本当はそう思うから無視してもいいんだけど、入り口を塞いでるんだよね!
だ か ら !
私はおもむろに、一個だけ魔石をとって見せた。
もちろんドヤ顔で!へっ!だ。
「え!こんな大きい……魔石?」
「……すげ……。」
「できるわけないわ!あんたたち、卑怯よ?ロド様たちに倒してもらったわね!」
「んな、馬鹿な。」
全く…面倒なやつらだ。
元から信じる気、ナッシングなんじゃん。
「いや、こいつは本当に二人だけだぞ?」
ロドリヌスが呆れたように、口を挟んだ。
「そんな、おかばいになる必要なんてありませんわよ?ロド様さまぁ。」
お色気ムンムンで、ロドリヌスにスリスリと擦り寄る女に呆れた。
「普通、魔法の痕跡で誰が倒したかわかるでしょう?」
「ねえ、おじさんたち本当に冒険者なの?」
「おじっ!」
私たちには痕跡が見えるぞ?
感覚だけど。
ソカの何気ない『おじさん発言』の方にショックをうけてるし……。
「ショウ、それはレベルが高くないと無理だ。」
ロドリヌスの意外な言葉に、ちょっとびっくり。
えっ、だってわかりやすいのに?
「そなの?」
「ああ。」
「ふーん。じゃあ、おばさんとおじさんはレベルが低いんだね?」
「な、なんですって!だいち、おばさんって言われる年じゃないわ!」
「だって、見えないんでしょう?……それに私からしたらおばさんだし。」
「み、見えるわ!見えるわよ!」
「じゃあ、ロドさんじゃないってわからない?」
「そ、そうね。よく見なかったからっ!い、今見たら、あ、あなたのね!」
どう見てもわかってなさそうだけど。まあ、言質はとったからいいや。
「じゃ、ソカ。お部屋行ってご飯たべよ。」
「うん。」
「ロドさん達は、ゆっくりどうぞ。」
腕を取られたままにしているロドリヌスに、ちょっとイラっとする。
「お、おい。」
「ほらほーら。あんなお子様たちはほっといて、私といいことしましょうよぉ?ねえ、ロド様ぁ。」
とさらに腕をからめて、言いよる女冒険者にも、少し呆れた。
「離せっ!俺は悪いが好みがあるんでな。」
と、乱暴に腕を払う。
「なっ!失礼な。あたしじゃ、ダメだっていうの?」
「俺は、嘘つきは嫌いなんだよ。」
ロドさんは、はっきりきっぱり言い切って、私たちの後を追ってきた。
ミリオンは、さっさと後に続いていたけども……さりげなく自分だけね。
そして、人の悪い笑みを浮かべてロドリヌスに言った。
「あれ?ロド様。よかったの?二人ならあたしがちゃーんと守るわよ?」
「ぬかせっ!言っておくが、俺はショウ一筋だからなっ!」
ふんっと胸を張られてもねえ。
ロドさん、あんまり人のいる前で言わない方がいいと思うよ?
だって。
どう見てもあたし子供だしね。
周りに幼女趣味だって思われるよ?
「ロドさん、変態って言われちゃうよ?」
ソカが、ズバリと言ってしまった。
「まあ、ロド様が変わってるのは、有名だから大丈夫よ。」
とミリオンが太鼓判を押す……何をもって大丈夫なのか、怖くて聞けませんでしたよ、私は。
ねえ、ミリオン、あんたも大概だと思うよ……。
安宿の部屋は、いかにも安宿で……いつから掃除してないの?って、思うくらいでした。
サービス業を完全になめとる!
もちろん、ソカと二人で何度もクリーンをかけたのは言うまでもありません。
結界は、なんだか嫌な予感がしたのでロドさんと二重かけにしましたよ。
特製の結界だよ。イシシ。
だってなんか、モヤモヤ嫌な気持ちがね?
そーゆー勘はあたるんだよねー。昔から!
応援ありがとうございます!
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