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第二章 異世界というものは
No.43
しおりを挟む30代がやると痛いという……恥を反省したところで家具を見に行こうとなった。
もちろん、ご飯はみんな『美味しい!』って完売しました!
わたし?奏歌に無理やりおにぎりを一個渡された。
仕方なしに食べました。
……まあ、お腹は減っていたからね。胸っていうか、気持ちがいっぱいで食べれなかっただけだもの。
空気ローラーを使う前に、ロドリヌスにまた抱っこされてしまった。……気まずいんだけど、暴れて嫌がるのはさらに気まずいので、諦めました。
ただ、泣いたからさ……寝てしまいそうなんだよね。
前世ならさ、たくさん収納が欲しかったけど……収納は空間収があるわけで……実際にはそんないらないから、本当に自分の趣味で買えるんだよね。
私的には揺り椅子が欲しいな。
キコキコしながら、窓辺でお昼ねがしたい。膝にニャンコがいたら……なお、最高!
あのサロンみたいなとこに置いて、奏歌の弾くピアノや歌を聴くのも良いね。
キッチンは申し分ないけど、鍋やらがないので……欲しいかな。
切る方に関してはさ、魔法でもいいかな?って。だって、この小さな手で、8人分……ティアも食べるようになったから9人分?を切るとなるとちょっと大変だもの。
でもさ、ジューサーとかフードプロセッサーとかが魔道具で作れたらいいなって思う!
生酵素なスムージーは、健康にいいし。野菜をあまり食べようとしないロドリヌスたちには、よいだろう。
まずは、でっかい家具屋さんのようなところに連れてこられました。
私の第一印象は高そう!
「こんにちは~。サマンサさんいらっしゃる?」
「あ~ら、いらっしゃあい。」
あっ、本物っぽいオネエさんがいる。
黙っていたら『海坊主』って呼びたくなる感じの人です。
厳ついの!
きっと、黙って睨んだらヤがつくご職業の方も無理強いできないんじゃないかな?って感じ!
その方の喋り方は、完全オネエさんだよ。
なんていうか、ミリオンは和らげるかんじのオネエ口調だけど、この海坊主さんは、甘ったるい感じの口調なのさ。
んーと、水商売チックって言ったらわかる?
なのです。
「サマンサちゃーん、ミリ様よー。」
「はーい!今行くよ!ミゲルもこれもってよ!」
「はぁい。しょうがないわねぇ~もう。ミリ様、お待ちになっていてね?」
と海坊主さんは中へ。
代わりに綺麗だけど、ミリオンと同じくらいのガタイの女性(?)が出てきた。
なんで女性か?って?
ドレス着てるんだもん。
「あら、ミリ様。ご注文は頂いたのはできてるわよ?」
「まあ、じゃ、まずは見せてもらってもいいかしら?」
「じゃ、こちらの部屋へ。」
と会話が続くけど、私は綺麗なライティングディスクを見つけた。
小さめだけど、飾り棚としても綺麗だった。
でも、目が飛び出るほど高い!
1000万クルーって……。
なんか、匠の品らしい。
よくわらないけど。魔石もあって、なんだか色々魔道具が備え付けらしい。
こんなのをポンと買えるお金持ちがいるのだろうね。
私?いや、まあ、所持金は余裕で足りるけど……私に買う勇気はない。
主婦ってさ、どっちかだよね。
自分の物ならトコトンお金をかける人か、自分以外にかけるのはいいけど自分にお金をかけると罪悪感が……って人。私は後者だね。
小さなお金はまあ、いいんだけど。
がっつりかける気はないね。
まあ、前世はかけるほどの資産もなかったけどさ。
「奥に行くぞ?」
「あ、うん。」
皆んなで奥に行くと、そこには洗面台とドレッサーが合わさったような可愛らしさいっぱいの家具があった。
あっ、コレって。
「ふふ、欲しがっていたのはこんな感じでよかった?ソカ。」
「ふわあ、ちょっと可愛すぎる気もするけど、嬉しい!」
「良かったわ。」
「ヘェ~、ミリ様がねえ?この子にねえ~~。へ~~。」
にやにやとサマンサさんと呼ばれたお姉さんが言った。
「気に入っていただけましたか?えっと、ソカちゃん?
うわあ、可愛いなあ。」
「だーめ触らないでちょうだいな。」
「ケチィー。じゃ、こっちの子!」
と私に手を広げ向かってくる。
「だめだ!」
とロドリヌスは、バックステップでかわす。私を抱っこしたままで。
「なあに?ロド様の物なの?」
「ショウは、物じゃない。」
「ろ、ロドさん。苦しいって!」
「あ、すまん!」
サマンサの手を遮るように、私をぎゅっと抱きしめるから、苦しくて。
「でも、高そう。ミリさん本当にいいの?」
「ええ。もちろんよ。」
「……ショウはよかったのか?」
「うん。だって、化粧しないもん。」
「そうか。じゃ、そうだな。成人したらプレゼントしよう。」
「はは、随分と先だね!でも楽しみにしてるね!」
「お、おう!」
ロドリヌス……貢ぐことなのに、なんでそんなにキラキラした目をするかな。
先のことだからわからないのに。
またまだ、10年以上を費やさないといけないというのに……それまでに『気持ち』が変わらない保証はないのにな。
その後も、見ていたけどやっぱ高め。
『寝る』のは体に大切なことだからと、ベッドだけは妥協せずに寝やすいのを買った。
ベッドを奏歌と体験中、ロドリヌスはサマンサさんに何か言っていた。
ほしいものでもあったかな?
まあいいや。
でも、ここのベッドは天蓋付きベッドが多い。寝やすいけども。でも、少しだけお布団が恋しくなるなあ。
と思いながらも、なんか寝心地は良いので買ってしまったけどね。
持って帰らず後ほどまとめて配達してもらうみたい。
夕方に届くから、ロドリヌスたちがある程度配置しておいてくれるそう。
その後は料理をしない方にはわからないというので、大きめの鍋やらを買った。
マイマイは二つくらい茹でる(?)ことが出来るものやら何やら。でも、オーブンとかそういう魔道具はなかった(残念)。
いつか、作ったりできないかなあ。
ほら、よくあるラノベの主人公みたいに。生産者系とか、チート付与とかさ。
魔道具の作り方がわかれば、なんとかなるんだろうか?
鍋類は全部、ロドリヌスが買ってくれました。自分(だけじゃないよ?)のご飯を作ってもらうからとか……。ハロルドに生温かい目で見られた。
でも、ハロルドがボソッと『ハリー急げよ。』と言っていた。
不謹慎にも頭に浮かんだのは『ハリー、ハリアップ。』某魔法ファンタジー映画で、よく耳にした気がする。好きだったんですもん。
初ご飯作りは皆んなで引っ越した後にしようということになり、荷物だけを置きに下宿先に行く。
そして……そこには嫌な予感が立っておりました。
そう……騎士の方々。
銀色の甲冑に身を包んだ、一際偉そうなおっさんが馬から降りてきた。他には身分が多分高いであろう(見た感じの甲冑からね?)数人の騎士たち。
「お初にお目にかかる。そちらがソカ様並びに妹御であらせられるか?」
「……アタシとロド様を前に偉そうねえ?なも名乗らない貴方に教える筋合いはないわ。」
おや?ミリオンがなんとな~く、喧嘩ごし?
「此度は、勇者殿たちには関係ございません故。また、彼女たちは冒険者であり貴族ではありませんのでね。」
どうやら、面倒な方々が迎えに来たらしい。
……ロドリヌスも目が笑ってないなあ。
ま、そうか。
この国が嫌いになれば、身軽に出て行くかもしれない私たちだからね?
もちろん、こんな『偉そうなおっさん』に付き合う義務はない!
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