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第二章 異世界というものは
No.44
しおりを挟む「さて、ショウ。家に入るか。」
「そだねー。」
「もう少ししたら、家具も届くと思うわ。」
「うわあ、楽しみだね!」
と、おっさんらを無視する方向で奏歌、ロドリヌス、ミリオンも話を開始した。
「わ、我らを無視するか!」
よくわからないおっさん騎士長(っぽいので以後おっさん騎士長呼び!)が顔を真っ赤にして怒っている。
まあ、名も名乗らないで連れていこうって言うのだからねえ。
だってさ、騎士の格好してるからって本当に騎士とは限らない。
そこへ、何故かもう一つの騎士軍団がやってきた。
もーなんなのさ。
面倒ごとが✖️2ならごめんですよ!
「ミリオン様、お久しゅうございます。」
綺麗な仕草で女性騎士が挨拶をする。
「エレノアじゃない。母上の護衛はいいのかしら?」
どうやらミリオンの知り合いらしい。
「はい。ルテリシア王妃よりお迎えに参るよう申し付けらました故に。」
「そう。」
「な、なんだと!わ、我らは、王から申しつかったのだ!」
面倒だなあ。
まあ、礼儀をわきまえてるのは、王妃様のお迎えの方みたいだね。
ミリオンの知り合いだし。
「ねえ、ロドさん。うちらは、犯罪者?それとも功労者?どっち?」
と奏歌が呆れるようにロドリヌスに聞いた。
私?疲れてるから、もう、心底面倒なのです。ドーデーモーイーイーから眠りたーい!……体力はお子様ですもん!
「もちろん、最大の功労者だろう。」
「だよね?ならさ、お客様として招くわけだよね?」
「そうだな。」
「あとさ、王命ってその国の民へしかできないよね?」
「基本はな。」
「じゃあ、無視してもいい?
別に褒められたくてやっわけじゃないし。このおじさんたちに偉そうに連れて行かれるのも嫌だしねえ。
だってさ、活躍したのは、ショウじゃん?なのに、ただの妹扱いっておかしくない?」
それを聞いたミリオンがボソリ。
「まあ、あれは王太子についてるから……。」
「「残念王子!」」
これは、奏歌とハモってしまった。
「まあ、だからエレノアなんだとおもうのよね、本来の迎えは。」
ミリオンは、相手がわかってるんだなあ。
あ、当たり前か~。
すっかり忘れてました。
が、あれについてるのか?うん、なんか納得です。
なら、まあしかし、残念王子からの命令ならば、『ソカ』を一番に見るのも頷けますがねえ。
かなり気に入られてたもんね。
いきなりプロポーズでしたし?一国の王子がですよ?(まあ、それはロドリヌスにもいえますがねえ。)
しかしながら。
「面倒くさい……。」
とぼそりと言ったら、ロドリヌスが慌てて言った。
「だな!なら、帰ろう!コイツらはほっておこう!」
「ロドリヌス様!何を!」
「ショウたちが嫌がって国から出ていったら、誰が責任とってくれるんだ?」
「は?」
は?になるよね。私が出ていこうが、おっさん騎士長には関係ないもん。
まあ?もしかしたら、王様から怒られるかもしれないけども。
そこまで重要人(かなりなチート)だとは思ってないだろうねー。
「ショウ様、ソカ様。大変失礼いたしました。
私、ルテリシア王妃より命を受け、お迎えにあがりました。エレノアと申します。
もし、お許しいただけるのでしたら、王城へお越し願えませんでしょうか?」
後から来た女性騎士が腰をおる。
綺麗な所作の礼ですねえ。
このかたの方がよっぽど高貴な方に見えますよ?
「少し待ってほしいかなあ。」
と私が言ったらにっこりと笑顔をくれました。ちゃんと待つ気もありそう。
ただ、黙ってないのはおっさん騎士長と愉快な騎士仲間!
「待てるか!」
「貴公は黙られよ!というか、城に先に戻りなさい。」
女性騎士は強く窘めた。強い!
「なんだと!小娘が!」
ふーん、この立派な女性騎士が『小娘』ってことは、うちらなんて『馬の骨』くらいに思っているよね?
「……あなた、どこの所属なの?エレノアは、王妃の護衛でもあるけど……王族よ?」
「「「え?」」」
偉そうにしていたおっさん騎士たちは、顔を真っ赤にした後、真っ青になって慌てて帰っていった。
根性ないなあ。
まあ、どんなにえらい貴族でも王族には威張れないだろう。
ミリオンは、勇者のくくりだから、王太子より下に見てんだろうなあ。
「まったく、アレが貴族の一部かと思うと、とても腹立たしくおもいますわ。
それでは、改めまして。
私、ミリオンの姉でもありますの。
ただ、好きな男に嫁ぎましたので、王族とは言っても名ばかりですのよ?」
「ふふ、私が生まれた時にはすでに嫁がれていたの。
公の場では、家臣として振舞ってくださるのよ。」
「当たり前じゃない?それも現勇者ですもの。
馬鹿よねー。王と同等の権利を勇者は持つのに。」
「「え?」」
王と同格?まてまてまて!
「ん?言ってなかったか?」
「言ってなかったわねえ。だって、勇者一人いたら国を滅ぼすのなんか簡単よ?」
ま、確かに。うん、ロドリヌスがいなければ、私でもできそう。
やらないけどね?心底めんどくさいから!
「王には守れないから、勇者や英雄がいるのよ?まあ、勇者と英雄……どちらが強いか?なんて、考えなくてもわかるでしょう?」
まあ、ね。
「つまり、勇者の加護を持っている貴女方を下に見下す方が馬鹿なの。王妃が慌てて私を来させた意味がわかったわ。」
「まさか、あの馬鹿どもに頼むなんて……。」
「王は、頼んでないわよ?」
「え?」
「たぶん、第二王妃ねえ……。」
「まだ、張り合ってるの?」
「ふふ、だって……ね。」
んーと、王族のドロドロってやつかねえ。
ドラマならいいけど、現実なら『面倒くさい』の一言ですよ。
で、そんなやり取りの中、家具がついてしまった。
ハロルドの身分では城にまぬかれもせずには行けないから、そっちはロドリヌスとミリオンに頼むと言った。
そして家具の引き取りをするべく家に入っていってしまった。
「では、ショウ様、ソカ様。一緒に行っていただけますか?」
「断ってもまた来るんだよねえ?」
「たぶん、王は諦めませんねえ。」
はあっと、エレノアさんがため息。
それを見て、思った。
たぶん、この人と第一王妃は常識人だと。
まあ、ミリオンもこんなかじゃ常識的な方だもんね。魔王化したり、オカン化したりするけどさ。
なら、面倒なことはさっさと済ませましょうか?
快適異世界ライフを満喫するために!
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