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第三章 異世界を満喫する

No.5

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いきなりな学校話に、ロドリヌスが奏歌に聞いた。

「で?学校に行きたいとか、か?」

それに首を振って答える。
違うのか。いや、ほら高校初日というか、入学式に事故ったじゃない?
だから、私も奏歌が行きたいのかなって。あれから1カ月しかないたってないって……気分はもう何年前?ってくらい濃い毎日だった。

「ううん、ほら、私は一応成人したじゃない?でも、ママは子供じゃん。学校行かきゃいけないとかないのかな?って。」
「義務ではないし、10から12の年に入って15までに卒業だ。
神使学舎については光魔法か見つかり次第だがな。」
「なら、ママは学校に行かなくて大丈夫ってこと?」
「ああ。」
「よかったあ。やっぱ冒険はママとしたいもんね。」
「ね!」

私も奏歌と冒険したい。

「だから!貴女たち、教会には特に気をつけてね?」
「「はーい!」」
「じゃ、そろそろソカの歌が聴きたいわ。」
「そうだね。私が三曲歌ったら、ママね。そのあとは歌える限り歌うよー。」
「え?マジかよ、やっぱ歌うのか……。」

奏歌が歌ってる間に寝たふりするとか……。


「んじゃ、やりますか!」

そして、ソカのピアノが流れ始める。
初めは、指鳴らしなのかエリーゼのためにから始めていた。
そして、綺麗な歌声でAmazing Graceを歌い、O mio babbino caro、Sognoを歌いあげた。
皆んな惚けるように聴いて、拍手した。そりゃーもー大絶賛さっ!
そして、私は寝る振りすら忘れてしまった。
いや、もう!素晴らしかった!
親の欲目を抜きにしても。
しかし……この後に歌えと?
この音痴な私に?
歌えと?
……マジですか?逃げていいですか?無性に逃げたいです。

「ご静聴ありがとうございました。さて、続きまして我が母ショウが歌います!ママ、観念しやがれですよ。」
「うう、うう。」

そして始まるイントロ……覚悟を決めよう。

そして、私は歌いだす。
そう、自分に鳥のような自由な翼をと願う歌。
小中で一度は聴くであろう合唱曲になっている歌。
私もこの広い空に鳥のみたいに飛びたいと願う歌……この歌を知ってから何度も歌のようになりたいと歌った。
富も名誉もいらないからと。
小さい頃から願っていた私の願いでもあった。
……夢見ていた。
でも、現実は厳しく決して柵(しがらみ)から抜け出ることはできなくて……。
自由になることはなくて。
でも、あの頃本当に一つだけ願いを叶えられたら……翼を望んだだろう。
いや、もしかしたら死をも望んだかもしれない。
私は瞳をあげ、空を見上げながら最後のサビに入った時に、いきなり腕を掴まれ、歌を止めた。
すぐに音が止み、周りがシーンとしている。

「行くな、ショウ。」
「え?」

手を掴んだのはロドリヌスだった。
そして私の目線は、ロドリヌスの上にあった。

はい?
え?
なんで?

え  ?  わ た し 浮 い て る の ?

私はロドリヌスの肩くらいまで、浮かんでいた。

「ママ、なんで?」
「ショウ、頼むから飛んで行くな。」
「なあ、ショウは天使なのか?やっぱり。」

真剣なロドリヌスに対して、ハロルドの間の抜けた声が聞こえた。

てんし?
はて?
てんしとはなんぞや?

って、ハラハラと周りに光る白い羽が舞う。
おや?鳥なんていましたかね?
皆が目を向けている自分の後ろを振り向いてみる。
白い何かが目にはいった。

「え、え、えーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

そう、私の背中には真っ白い鳥の様な翼が付いていて、それで浮いていたのだった。

願えば叶うのが……魔法なり(チーン)。




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