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第三章 異世界を満喫する
No.21
しおりを挟むああ、本当に気色悪いよー。
大切なんだけど、寄生虫学の研究をされる方の感覚がわかりません!
まあ、私がもふもふへかける愛と同じものを感じているのかも知れないけど……すいません、理解できないです!
動物嫌いの人が私に思うことと、同じなんだろうけどもね。人の趣味、嗜好は迷惑さえかけなきゃいいかな?とは思うよー?
さて、鑑定いってみようか!
名前だけじゃ、倒し方わからないからねっ!
――トキソウォーム
――寄生型ワーム(変異体)
――火属性
――体長は、1メートルから2メートルほど。太さは直径5センチから10センチほど。
――卵を生き物の体内に産み付ける。卵が孵ると体の栄養素及び魔力を全て吸い取り、干からびさせた後に体内から出てきて地中に生息する。
――柔らかな砂の中で生活し、熱源の36度から40度くらいを感知しよっていく性質を持つ。
体が柔らかいため、砂以外の地中では生活できないと言われている。
――変異体のため上記内の特性に当てはまらない可能性あり。
また、特殊能力を持つ可能性あり。
「変異体⁈」
「変異体だと?だとしたら納得だ。通常じゃ考えられないくらい大きすぎる。」
ですよねー。
だって、今見てるのは体長が2メートルなんてもんじゃない!
たぶん10倍?くらいあるかな?
だって、体長全部が出てないのに……比較対象のパパが物置サイズ、シャルが平屋の一軒家サイズ……それを遥かに超えてるわけ!
でかいでしょ?太さは電柱くらいあるよー?
というか、また更に鑑定が詳しくなってる?なんで?スマホ鑑定は進化していくのか?
「うわー、あんなのにお尻刺されたら中からバンッてなるじゃん!」
「ママ、それ以前に入らないって!」
だね!
あれ?でも、でかい生き物なら……ねえ?
って、シャルと私に伸びてきたー!
なんでー!
「嫌だー!くんな!」
叫んだら吹っ飛んだ……。
おーう。
「さすが……って、数が多すぎるし!」
「ったく、水弾!」
ドガッ、ドガッ、ドガッ、ドガッ、とロドリヌスが水の弾で粉砕していく。
が!体が元に戻っていく。
「再生?なに、コイツらは。変異体だからなの?」
「鑑定に特殊能力があるかもって!」
「えっ?……再生能力なんて最悪じゃないの!」
「(風の刃!)」
「(風の爪!)」
「(くっ、切り裂いてもキリがない!)」
ポロローン。
「ダイヤモンドバレット!」
奏歌のハープ攻撃で、地上に見えてるトキソウォームが粉砕した。
だがしかし、すぐにウニョウニョと再生していく。
周りに飛び散る気持ち悪い汁がものすごく臭い。あたりが濁った紫に染まっていく。
「なんでよ!もう、なんで、この世界の物には臭いものが多いんだ!」
奏歌がキレてます。
うん、すんごく同感なんだけどね。
でも、まずは倒さないと!
燃やしたいけど、相手は火属性。
変異体だから違うかもだけど、もし属性がそのままなら、逆にエネルギーあげちゃうことになるし。
どうする?
風の力は、あまり効いてなかった。
奏歌のダイヤモンドバレットは、土魔法……とはいえ、ハープが金剛石らしいんだよね。つまり、ダイヤモンド系。割りと効いてはいるものの、再生が早い。
ロドリヌスの水魔法も効いていたけど、やはり再生する。
でも、幾分かだけど再生が遅い気がする。
やはり、火属性のままなのかな?
なら、水の上の魔法で。
「アイスバレット!」
氷の塊がトキソウォームを貫いて、貫いた場所が凍って、再生しない。
凍らしは、なかなかいいみたいです。
おっし。
「効いてるみたい?じゃ、いくよー!えっと、えっと、あっ、雪女の吐息!」
どこからともなく、吹雪を添えて白い髪、白い肌、銀の瞳の綺麗な白い単衣の着物を着た女性が現れて……ヒュッと息を吹き付けた。
そう、昔話さながらの雪女のように。
トキソウォームは、そのまま氷像のように氷漬けになった。
そして、また雪女はスーッと消えてしまった。
吹雪と一緒に。
「また、貴女は……不思議な魔法を。」
ミリオンに呆れた声を出された。
いやだって、凍らそうかな?
って思ったら昔話の『雪女』が思い浮かんじゃったんだもん。
なので、怖い人はスルーで。
「で、これどうする?」
「生きてるのかな?」
「んん、鑑定!」
――トキソウォーム
――寄生型ワーム(変異体)
――火属性
――冬眠中
――体長は、1メートルから2メートルほど。太さは直径5センチから10センチほど。
――卵を生き物の体内に産み付ける。卵が孵ると体の栄養素及び魔力を全て吸い取り、干からびさせた後に体内から出てきて地中に生息する。
――柔らかな砂の中で生活し、熱源の36度から40度くらいを感知しよっていく性質を持つ。
柔らかいため、砂以外の地中では生活できない。
――変異体のため上記内の特性に当てはまらない可能性あり。
また、特殊能力を持つ可能性あり。
「うん、まだ生きてる。このまま粉砕したらどうかな?」
「まって、ママ!溶けたら、また再生しない?というかさ、溶けたら更に臭くならない?もう。今だって臭い……。」
「(うむ、臭い……。)」
「ちょっと、シャル。私のクビに鼻突っ込んで臭いはやめて。私が臭いみたいじゃん!」
「(いや。主は良い匂いだ。だから、嗅がせろ。)」
「「やめろ(れ)」」
言葉がかぶった。
あ、ロドリヌスがまた……お怒りに。
「ロドさんもいちいち、反応しないの!シャルもくすぐったいし、なんか嫌だからやめて。
で、どーするか。」
回虫は薬で殺して廃棄だからなあ。
廃棄……か。
んー、そだそだ。
これなんてどっかなあ。闇魔法でブラックホール的なものできないかな?
「んー、よし。イメージオッケー!
ブラックホール!」
シャルに背を預けて、私は氷像になったトキソウォームの上に魔力を込めた。
うっ、これ結構魔力持っていかれるー!
「ぐぬぬぬっ、きつ!」
空が黒く染まり始めた。そしてゴオッという、畝る音と共にトキソウォームの頭上に現れた黒い穴。
そこにトキソウォームが吸い上げられていく。
トキソウォームが黒い穴に消えると共にその穴も消えた。
後には綺麗な青空が広がる。
かなり下まで体があったらしく、ものすごい大穴を残して。
「また、どえらい魔法を。」
「でも、くさーい。あっ、そうだ。」
奏歌が歌い出す。
大地を讃えるように、大地を癒すように。
聖なる歌い手のスキル発動ですね。
でも、どうやらこの『ブラックホール』の魔法はかなり魔力を使うらしい。
私は奏歌の歌を子守唄に意識を失ってしまったようだ。
「ショウ!」
歌声の中、ロドリヌスの焦った声を聞いた……気がする。
まあ、いきなり倒れたら焦るよね?
どうやら、魔力を枯渇したらしい………。
目が覚めた後に、ミリオン大魔王の説教が待っているのは……たぶん、確実だよね?
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