8 / 21
第8話 お父様(公爵)が泣いて謝ってきました
しおりを挟む
目の前には、黄金に輝く台座。 その上に鎮座する、羊皮紙の束(全権委任状)と、重厚な国璽(ハンコ)。 そして、私の部屋を取り囲むように整列した、黒鎧の騎士たち(元・近衛騎士団)と、目をキラキラと輝かせた侍女たち(マリア率いる親衛隊)。
私は、朝の光の中で立ち尽くしていた。 まだパジャマだ。 頭には寝癖がついているし、手には抱き枕を持っている。 これが、この国を実質的に支配することになった『影の女帝』の姿である。
「……夢なら覚めて」
私は頬をつねった。 痛い。 現実だ。
「おはようございます、リズ様! いや、これからは『総統閣下』とお呼びすべきでしょうか!」
アレクセイが、私の部屋の(ノアが修理してくれた)ドアの横に立ち、敬礼した。 彼の背後では、黒騎士たちが「ハイル・リズ!」みたいなポーズをとっている。 やめてほしい。その全体主義的なノリは、私の安眠に最も適さないものだ。
「……アレクセイ。その呼び方は禁止よ」
「はっ! 失礼いたしました! では『聖女陛下』で!」
「それも禁止。普通に『リズ』でいいわ」
「おお……! 頂点に立ってもなお、フレンドリーさを忘れない! その謙虚さこそが、我々が命を賭して仕える理由です!」
アレクセイが感涙にむせぶ。 もう何を言っても無駄なようだ。
私はため息をつきながら、台座の上の『委任状』を指先で摘み上げた。 読んでみる。 『軍事、外交、内政、人事……あらゆる決定権をエリザベート・フォン・ローゼンバーグに譲渡する』。 フレデリックのサインと、国王陛下のサインまである。 国王陛下、なにやってるんですか。息子が暴走したら止めるのが親の役目でしょうに。 ……いや、国王陛下も今は病床に伏せっていて(2周目の記憶だと、ただの腰痛だが)、政務をフレデリックに丸投げしていたはずだ。 つまり、この国の舵取りは、完全にフリーハンドで私に委ねられてしまったわけだ。
「……クーデターじゃないの、これ」
「いいえ、平和的な政権移譲です!」
マリアが紅茶を運びながら明るく言った。
「国民も大賛成ですわ! 昨日の『豆騒動』と『リズ様のお告げ』のおかげで、街では『リズ様を王に!』というデモ行進が起きているくらいですから!」
デモ行進。 一番聞きたくない単語だ。 騒音の元凶じゃないか。
「あのね、マリア。私は王になりたいわけじゃないの。私はただ……」
「ただ?」
「……二度寝がしたいだけなの」
切実な願いを口にした。 しかし、マリアは深く頷き、神妙な顔つきになった。
「分かりますわ。二度寝。それはつまり『深い思索の海に沈む』ということ。国の未来を夢の中でシミュレーションし、最適解を導き出す神聖な儀式なのですね!」
違う。 単に布団が気持ちいいだけだ。
「分かりました! では、ただちに『二度寝の儀』を執り行えるよう、環境を整えます! ……おい、お前たち! 廊下の警備を厳重に! 蟻一匹通すな!」
「「イエッサー!!」」
黒騎士たちがガシャン! と踵を鳴らす。 うるさい。 その音がうるさいんだよ。
私は諦めて、委任状をサイドテーブルに放り投げた。 もういい。 どうせ何を言っても曲解されるなら、この権力を利用してやる。 ノアの言っていた通りだ。 私が支配者になれば、誰も私に文句を言えなくなる。 「私の昼寝を邪魔する奴は死刑」という法律を作れば、究極の静寂が手に入るかもしれない。
そう思考を切り替えようとした時だった。
「エ、エリザベート……!」
廊下の向こうから、弱々しい、しかし必死な声が聞こえてきた。 黒騎士たちの壁に阻まれ、近づけずにいる人物。 私の父。 ローゼンバーグ公爵だ。
1回目の人生では、断罪された私を「家の恥だ」と切り捨てた父。 2回目の人生では、聖女となった私を利用し、貴族社会での地位向上に邁進した父。 そして今回の人生では、初日に斧でドアを壊そうとし、その後は王太子たちの暴走に恐れをなして姿を消していた父。
その父が、今は騎士たちの後ろで、小さくなって震えている。
「……通してあげて」
私が命じると、黒騎士たちがモーゼの十戒のように左右に割れた。 その間を、父はおずおずと進んできた。 かつての威厳ある公爵の姿はどこにもない。 背中は丸まり、顔色は悪く、高価なスーツもしわくちゃだ。
父は私の部屋のドアの前まで来ると、その場に崩れ落ちるように膝をついた。 そして。
「申し訳なかったぁぁぁぁ!!」
盛大な土下座。 額を床に擦り付け、絨毯に顔を埋めての、完全なる平伏である。
「エ、エリザベート……いや、リズ様! 私が……私が愚かだった! お前の真価を見抜けず、あまつさえ『働け』などと……! お前はすでに、この国を背負うほどの器だったというのに!」
父の声が涙で濡れている。 廊下に響く嗚咽。
私は冷めた紅茶をすすりながら、その様子を冷ややかに見下ろした。 ……今さら? というのが正直な感想だ。 王太子から全権を委任されたと知って、慌てて掌を返したのが見え見えである。 この人はいつだってそうだ。 強い方につき、弱い者を踏みつける。 典型的な、つまらない貴族。
1周目の私なら、父の謝罪に涙し、「お父様、分かってくださればいいのです」と手を取り合ったかもしれない。 だが、3周目の私は違う。 情などない。 あるのは、「こいつをどう利用すれば一番快適か」という損得勘定だけだ。
「……お父様」
私は椅子に座ったまま、静かに声をかけた。 拡声魔法など使っていないが、静まり返った廊下にはよく通る。
「顔を上げてください。汚れますわよ」
「おお……! 許してくれるのか!?」
父がパッと顔を上げた。 期待に満ちた目。 虫がいいにも程がある。
「許すも何も、私は怒っていませんわ」
これは本音だ。 怒るエネルギーすら勿体ない。
「貴方が私をどう扱おうと、どうでもいいのです。ただ……そうですね」
私はわざと言葉を切った。 父がゴクリと喉を鳴らす。
「貴方の存在が、少し『ノイズ』なのです」
「ノ……ノイズ……?」
「ええ。私の平穏な生活において、貴方の『世間体を気にする言動』や『家の利益のための画策』が、非常に耳障りなのです」
ピシャリと言い放つ。 父の顔が青ざめた。
「そ、そんな……! 私はただ、ローゼンバーグ家の繁栄を願って……!」
「その『繁栄』のために、私を犠牲にするのでしょう? もう疲れましたの。だから」
私はサイドテーブルから一枚の紙を取り出した。 昨日、暇つぶしに書いておいた『絶縁宣言書』ではない。 もっと現実的で、もっとえげつない書類だ。
名付けて、『隠居勧告および資産譲渡契約書』。
「お父様。貴方には引退していただきます。そして、公爵家の当主権限と、全資産の管理権を私に譲ってください」
「なっ……!?」
父が絶句した。 周囲の騎士たちやマリアも息を呑む。 親に対して引退勧告。 しかも資産没収。 貴族社会の常識では考えられない暴挙だ。
だが、父は反論できなかった。 なぜなら、私の背後には『王太子の委任状』という最強のカードがあり、周囲には『私を崇拝する武力集団』がいるからだ。 ここで「嫌だ」と言えば、アレクセイが黙っていないだろう。 現に、アレクセイは剣の柄に手をかけ、無言の圧力をかけている。
「……わ、分かった。引退しよう」
父は震える声で言った。
「だが、資産まで……? それでは私はどうやって生きていけば……」
「あら、ご心配なく。屋敷の離れに隠居部屋を用意しますわ。三食昼寝付きです。私と同じ『引きこもりライフ』を提供して差し上げます」
「ううっ……」
「その代わり、公爵家の金庫の鍵と、領地の税収、そして貴方が隠し持っている『へそくり』。その全てを、今すぐここに持ってきてください」
私は右手を差し出した。 カツアゲである。 娘による父親への、正々堂々たるカツアゲだ。
父はしばらく葛藤していたようだが、やがて諦めたように懐からジャラジャラと鍵束を取り出し、さらに指にはめていた高価そうな指輪まで外して、私の手のひらに乗せた。
「……これでいいか?」
「ええ。十分です」
私はニッコリと微笑んだ。 これで、私の活動資金(引きこもり資金)は確保された。 公爵家の資産があれば、最高級の寝具も、世界中の美味しいお菓子も、一生買い放題だ。 ノアに情報を買う金も払える。
「では、下がって結構です。お父様、これからは『隠居老人』として、庭の盆栽でも愛でながら静かに暮らしてくださいね」
冷酷な宣告。 これで父は完全に無力化された。 めでたしめでたし。
……と、私は思った。 これで彼はすごすごと引き下がり、私の視界から消えるはずだと。
しかし。 父・ローゼンバーグ公爵の反応は、私の予想の斜め上を行くものだった。
「……おおぉぉぉ!!」
父が、再び泣き出したのだ。 今度は悲痛な涙ではない。 感動の涙だ。
「なんと……なんと慈悲深い!!」
は?
「私のような愚かな父親を、追放も処刑もせず、屋敷の中で養ってくれるというのか! しかも『隠居』という名の安息を与えてくれるとは!」
いや、体のいい監禁だけど。
「そして、資産の没収……。これはつまり、『汚れた金(私利私欲)』を私から取り上げ、お前自身が清く正しく運用するという決意の表れだな!」
違います。 私の私利私欲のために使うんです。
「さらに『へそくり』まで要求するとは……。私の隠し事など、お前の慧眼の前では全てお見通しだったということか! 参った! 完敗だ! お前こそ、真のローゼンバーグ公爵だ!」
父が私の手を握りしめ(ようとして結界に阻まれ)、ブンブンと空中で手を振った。
「分かったぞ、リズ! この金は、ただの浪費のためではないのだな。国を救うための、あるいは弱き民を救済するための『聖なる資金』として使うのだな!」
勝手な解釈が始まった。 周囲の騎士たちも「おお……」「さすが聖女様だ……」と頷いている。
「よろしい! ならば私も協力しよう! 隠居などしている場合ではない! 私はお前の『執事』として、この資産管理を徹底的にサポートする!」
「は? いや、隠居して」
「いいや、させてくれ! これまでの罪滅ぼしだ! お前が望む『最高の世界』を作るために、私の政治力と人脈、そして裏帳簿の全てを捧げよう!」
父の目に、かつてないほどのやる気が宿っている。 これまでは「自分の出世のため」だった野心が、今は「娘(聖女)への滅私奉公」という歪んだ方向に全振りされてしまったようだ。 厄介だ。 無能な働き者ならぬ、有能な狂信者が増えてしまった。
「早速、この金を使って何をなすべきか!? 北部への支援か? 孤児院の設立か?」
父が前のめりに聞いてくる。 金は渡したくないらしい。 使い道を指示しろと言っている。
私はこめかみを押さえた。 面倒くさい。 非常に面倒くさい。 だが、ここで適当なことを言うと、また変な方向へ暴走しかねない。
私は考えた。 私の望みは何か。 安眠だ。 静寂だ。 美味しい食事だ。
そのためには、屋敷の周りの環境を整える必要がある。 特に、あのうるさいデモ隊や、ガタガタと揺れる馬車の音、そして窓から入ってくる隙間風(アレクセイが割った窓は直したが、建付けが悪くなっている)をどうにかしたい。
「……そうね。まずは、この屋敷周辺の道路を整備しなさい」
私は命令を下した。
「石畳の凹凸をなくし、馬車が通っても音がしないように『静音舗装』を施すの。それから、屋敷の半径1キロメートル以内を『静寂特別区』に指定して、大声や騒音を出す行為を禁止。破った者は……そうね、私の安眠妨害罪で投獄よ」
「な、なるほど……!」
父がメモを取る。
「物流の効率化(道路整備)と、治安維持(騒音規制)! 王都の都市計画を根本から見直すというわけだな!」
大きく出たな。
「それと、窓。王都中の窓ガラスを、二重サッシ……じゃなくて、防音・断熱効果のある『強化魔力ガラス』に交換するよう推奨しなさい。特に私の部屋は最優先で」
「省エネ対策か! 冬の寒さと夏の暑さから民を守るためのインフラ整備! 素晴らしい!」
「あと、美味しい枕。……じゃなくて、良質な羊毛や羽毛の生産ラインを確保して。職人を保護し、最高の寝具を開発させるの」
「地場産業の振興! 職人への支援! 経済が回るぞ!」
父のペンが止まらない。 私の個人的な『快眠要求』が、次々と『国家プロジェクト』に変換されていく。
「最後に。……美味しいお菓子が食べたいわ。砂糖の関税を撤廃しなさい。輸入を自由化して、世界中の甘味をこの街に集めるの」
「自由貿易の推進! 大胆な規制緩和だ! 商人たちが狂喜乱舞するぞ!」
書き終えた父は、震える手でメモを掲げた。
「完璧だ……。これこそ、国を富ませ、民を幸せにする『リズ・ニューディール政策』だ!」
勝手に名前をつけるな。 ただの『リズ・快眠プロジェクト』だ。
「よし、ただちに実行に移す! おい、お前たち! リズ様の勅命だ! 総員、王都改造計画に取り掛かるぞ!」
「「ハッ!!」」
父の号令一下、黒騎士たちの一部と、マリアたち侍女隊が動き出した。 彼らは風のように去っていった。 廊下に残されたのは、私と、護衛として残ったアレクセイだけだ。
「……行っちゃった」
私はポツリと呟いた。 金庫の鍵と指輪は手元に残ったが、父という『新たな嵐』を野に放ってしまったような気がしてならない。
アレクセイが、感心したように頷いている。
「さすがリズ様。あの一瞬で、都市計画から貿易摩擦の解消まで指示されるとは。お父上も、貴女の器の大きさに触れて改心されたようですな」
「……アレクセイ。貴方は行かなくていいの?」
「私はここを動きません。貴女の寝顔を守るのが、私の最重要任務ですから」
このゴリラだけは、どうやっても排除できないらしい。 まあ、黙って立っている分には害はないか。
私はドアを閉め(今回はちゃんと閉まった)、鍵をかけ、結界を張り直した。 ふぅ……。 朝から疲れた。 父の土下座に始まり、国家プロジェクトの発足まで、わずか30分の出来事だ。 この部屋の時間の流れは、外界よりも濃密すぎる。
私はベッドに戻り、手に入れた公爵家の金庫の鍵を眺めた。 これがあれば、ネット通販(魔道具による遠隔購入)で何でも買える。 とりあえず、カタログを取り寄せよう。 そして、父が言っていた「静音舗装」と「強化ガラス」が完成するまでの間、耳栓でも買ってしのごう。
そう思っていたのだが。
数日後。 私の『命令』は、またしてもとんでもない結果を生んでいた。
王都のメインストリート。 そこは、生まれ変わっていた。
かつてはガタガタと馬車が跳ね、泥水が跳ねる悪路だった道が、魔法で加工された滑らかな石畳によって舗装され、まるで鏡のように輝いている。 馬車は吸い込まれるように静かに走り、振動も音もない。 『静音舗装』の効果だ。
そして、街中の建物という建物の窓が、キラキラと光る『強化魔力ガラス』に取り替えられていた。 これにより、室内の保温性が劇的に向上し、薪の使用量が激減。 結果として、森林伐採が減り、環境問題まで改善されたという。
さらに、砂糖の関税撤廃により、王都には世界中から珍しいお菓子や果物が溢れかえり、『スイーツ・ルネサンス』と呼ばれる空前のグルメブームが到来していた。 民衆は口々に叫ぶ。
「リズ様万歳!」 「静かで、暖かくて、甘い生活! これが聖女様の統治か!」 「一生ついていきます!」
支持率はカンスト。 経済効果は右肩上がり。 犯罪率は激減(騒ぐと黒騎士に連行されるから)。
私の部屋には、父から毎日のように報告書が届く。
『本日の成果。 道路整備率80%達成。 砂糖の輸入量、前年比300%増。 国民の幸福度指数、過去最高を記録。 なお、私のへそくりは全て事業に投資し、10倍になって返ってきました。これも全てリズ様の資産として計上しておきます』
……増えてる。 お金が勝手に増えてる。 カツアゲしたはずが、なぜか大富豪になってしまった。
私は報告書を読みながら、呆然とクッキー(輸入物の高級品)を齧った。
「……なんで?」
どうして、私が楽をしようとすればするほど、国が良くなっていくの? これじゃあ、いつまで経っても「無能な怠け者」として隠居できないじゃない。
むしろ、今や私は『稀代の名君』『経済の女神』として、国内外から注目される存在になってしまっていた。
そして、その「国外からの注目」が、新たなトラブルを招くことになる。 窓の外。 静かになった通りを見下ろすと、一台の豪奢な馬車が、音もなく滑るように屋敷へと近づいてくるのが見えた。 掲げられている紋章は、この国のどの大貴族のものでもない。
隣国アークライドの王家。 つまり、ノアの実家だ。
「……まさか」
嫌な予感がした。 ノアは「兄上が感謝してた」と言っていた。 その「兄上」――アークライド王国の第一王子にして、冷徹な合理主義者と噂される次期国王が、視察に来たのではないだろうか。
もしそうなら、面倒なことになる。 彼はノアと違って、冗談が通じないタイプだと聞いている。 私のこの「引きこもり統治」の欺瞞を見抜き、断罪しに来たのか。 それとも、有能な統治者としてヘッドハンティングしに来たのか。
どちらにせよ、私の平穏はまたしても脅かされようとしていた。
「……アレクセイ」
私はドア越しに声をかけた。
「はっ!」
「お客様よ。丁重に、かつ全力で追い返して」
「御意! 不法侵入者は微塵切りにします!」
いや、殺すな。 外交問題になる。
私は頭を抱え、布団の中に潜り込んだ。 お金はある。 静寂もある。 お菓子もある。 なのに、なぜ心の安らぎだけがないのだろう。
答えは簡単だ。 私の周りにいる人間が、全員「濃すぎる」からだ。
次なる刺客、隣国の王太子の登場まで、あと5分。 私の戦いは続く。
私は、朝の光の中で立ち尽くしていた。 まだパジャマだ。 頭には寝癖がついているし、手には抱き枕を持っている。 これが、この国を実質的に支配することになった『影の女帝』の姿である。
「……夢なら覚めて」
私は頬をつねった。 痛い。 現実だ。
「おはようございます、リズ様! いや、これからは『総統閣下』とお呼びすべきでしょうか!」
アレクセイが、私の部屋の(ノアが修理してくれた)ドアの横に立ち、敬礼した。 彼の背後では、黒騎士たちが「ハイル・リズ!」みたいなポーズをとっている。 やめてほしい。その全体主義的なノリは、私の安眠に最も適さないものだ。
「……アレクセイ。その呼び方は禁止よ」
「はっ! 失礼いたしました! では『聖女陛下』で!」
「それも禁止。普通に『リズ』でいいわ」
「おお……! 頂点に立ってもなお、フレンドリーさを忘れない! その謙虚さこそが、我々が命を賭して仕える理由です!」
アレクセイが感涙にむせぶ。 もう何を言っても無駄なようだ。
私はため息をつきながら、台座の上の『委任状』を指先で摘み上げた。 読んでみる。 『軍事、外交、内政、人事……あらゆる決定権をエリザベート・フォン・ローゼンバーグに譲渡する』。 フレデリックのサインと、国王陛下のサインまである。 国王陛下、なにやってるんですか。息子が暴走したら止めるのが親の役目でしょうに。 ……いや、国王陛下も今は病床に伏せっていて(2周目の記憶だと、ただの腰痛だが)、政務をフレデリックに丸投げしていたはずだ。 つまり、この国の舵取りは、完全にフリーハンドで私に委ねられてしまったわけだ。
「……クーデターじゃないの、これ」
「いいえ、平和的な政権移譲です!」
マリアが紅茶を運びながら明るく言った。
「国民も大賛成ですわ! 昨日の『豆騒動』と『リズ様のお告げ』のおかげで、街では『リズ様を王に!』というデモ行進が起きているくらいですから!」
デモ行進。 一番聞きたくない単語だ。 騒音の元凶じゃないか。
「あのね、マリア。私は王になりたいわけじゃないの。私はただ……」
「ただ?」
「……二度寝がしたいだけなの」
切実な願いを口にした。 しかし、マリアは深く頷き、神妙な顔つきになった。
「分かりますわ。二度寝。それはつまり『深い思索の海に沈む』ということ。国の未来を夢の中でシミュレーションし、最適解を導き出す神聖な儀式なのですね!」
違う。 単に布団が気持ちいいだけだ。
「分かりました! では、ただちに『二度寝の儀』を執り行えるよう、環境を整えます! ……おい、お前たち! 廊下の警備を厳重に! 蟻一匹通すな!」
「「イエッサー!!」」
黒騎士たちがガシャン! と踵を鳴らす。 うるさい。 その音がうるさいんだよ。
私は諦めて、委任状をサイドテーブルに放り投げた。 もういい。 どうせ何を言っても曲解されるなら、この権力を利用してやる。 ノアの言っていた通りだ。 私が支配者になれば、誰も私に文句を言えなくなる。 「私の昼寝を邪魔する奴は死刑」という法律を作れば、究極の静寂が手に入るかもしれない。
そう思考を切り替えようとした時だった。
「エ、エリザベート……!」
廊下の向こうから、弱々しい、しかし必死な声が聞こえてきた。 黒騎士たちの壁に阻まれ、近づけずにいる人物。 私の父。 ローゼンバーグ公爵だ。
1回目の人生では、断罪された私を「家の恥だ」と切り捨てた父。 2回目の人生では、聖女となった私を利用し、貴族社会での地位向上に邁進した父。 そして今回の人生では、初日に斧でドアを壊そうとし、その後は王太子たちの暴走に恐れをなして姿を消していた父。
その父が、今は騎士たちの後ろで、小さくなって震えている。
「……通してあげて」
私が命じると、黒騎士たちがモーゼの十戒のように左右に割れた。 その間を、父はおずおずと進んできた。 かつての威厳ある公爵の姿はどこにもない。 背中は丸まり、顔色は悪く、高価なスーツもしわくちゃだ。
父は私の部屋のドアの前まで来ると、その場に崩れ落ちるように膝をついた。 そして。
「申し訳なかったぁぁぁぁ!!」
盛大な土下座。 額を床に擦り付け、絨毯に顔を埋めての、完全なる平伏である。
「エ、エリザベート……いや、リズ様! 私が……私が愚かだった! お前の真価を見抜けず、あまつさえ『働け』などと……! お前はすでに、この国を背負うほどの器だったというのに!」
父の声が涙で濡れている。 廊下に響く嗚咽。
私は冷めた紅茶をすすりながら、その様子を冷ややかに見下ろした。 ……今さら? というのが正直な感想だ。 王太子から全権を委任されたと知って、慌てて掌を返したのが見え見えである。 この人はいつだってそうだ。 強い方につき、弱い者を踏みつける。 典型的な、つまらない貴族。
1周目の私なら、父の謝罪に涙し、「お父様、分かってくださればいいのです」と手を取り合ったかもしれない。 だが、3周目の私は違う。 情などない。 あるのは、「こいつをどう利用すれば一番快適か」という損得勘定だけだ。
「……お父様」
私は椅子に座ったまま、静かに声をかけた。 拡声魔法など使っていないが、静まり返った廊下にはよく通る。
「顔を上げてください。汚れますわよ」
「おお……! 許してくれるのか!?」
父がパッと顔を上げた。 期待に満ちた目。 虫がいいにも程がある。
「許すも何も、私は怒っていませんわ」
これは本音だ。 怒るエネルギーすら勿体ない。
「貴方が私をどう扱おうと、どうでもいいのです。ただ……そうですね」
私はわざと言葉を切った。 父がゴクリと喉を鳴らす。
「貴方の存在が、少し『ノイズ』なのです」
「ノ……ノイズ……?」
「ええ。私の平穏な生活において、貴方の『世間体を気にする言動』や『家の利益のための画策』が、非常に耳障りなのです」
ピシャリと言い放つ。 父の顔が青ざめた。
「そ、そんな……! 私はただ、ローゼンバーグ家の繁栄を願って……!」
「その『繁栄』のために、私を犠牲にするのでしょう? もう疲れましたの。だから」
私はサイドテーブルから一枚の紙を取り出した。 昨日、暇つぶしに書いておいた『絶縁宣言書』ではない。 もっと現実的で、もっとえげつない書類だ。
名付けて、『隠居勧告および資産譲渡契約書』。
「お父様。貴方には引退していただきます。そして、公爵家の当主権限と、全資産の管理権を私に譲ってください」
「なっ……!?」
父が絶句した。 周囲の騎士たちやマリアも息を呑む。 親に対して引退勧告。 しかも資産没収。 貴族社会の常識では考えられない暴挙だ。
だが、父は反論できなかった。 なぜなら、私の背後には『王太子の委任状』という最強のカードがあり、周囲には『私を崇拝する武力集団』がいるからだ。 ここで「嫌だ」と言えば、アレクセイが黙っていないだろう。 現に、アレクセイは剣の柄に手をかけ、無言の圧力をかけている。
「……わ、分かった。引退しよう」
父は震える声で言った。
「だが、資産まで……? それでは私はどうやって生きていけば……」
「あら、ご心配なく。屋敷の離れに隠居部屋を用意しますわ。三食昼寝付きです。私と同じ『引きこもりライフ』を提供して差し上げます」
「ううっ……」
「その代わり、公爵家の金庫の鍵と、領地の税収、そして貴方が隠し持っている『へそくり』。その全てを、今すぐここに持ってきてください」
私は右手を差し出した。 カツアゲである。 娘による父親への、正々堂々たるカツアゲだ。
父はしばらく葛藤していたようだが、やがて諦めたように懐からジャラジャラと鍵束を取り出し、さらに指にはめていた高価そうな指輪まで外して、私の手のひらに乗せた。
「……これでいいか?」
「ええ。十分です」
私はニッコリと微笑んだ。 これで、私の活動資金(引きこもり資金)は確保された。 公爵家の資産があれば、最高級の寝具も、世界中の美味しいお菓子も、一生買い放題だ。 ノアに情報を買う金も払える。
「では、下がって結構です。お父様、これからは『隠居老人』として、庭の盆栽でも愛でながら静かに暮らしてくださいね」
冷酷な宣告。 これで父は完全に無力化された。 めでたしめでたし。
……と、私は思った。 これで彼はすごすごと引き下がり、私の視界から消えるはずだと。
しかし。 父・ローゼンバーグ公爵の反応は、私の予想の斜め上を行くものだった。
「……おおぉぉぉ!!」
父が、再び泣き出したのだ。 今度は悲痛な涙ではない。 感動の涙だ。
「なんと……なんと慈悲深い!!」
は?
「私のような愚かな父親を、追放も処刑もせず、屋敷の中で養ってくれるというのか! しかも『隠居』という名の安息を与えてくれるとは!」
いや、体のいい監禁だけど。
「そして、資産の没収……。これはつまり、『汚れた金(私利私欲)』を私から取り上げ、お前自身が清く正しく運用するという決意の表れだな!」
違います。 私の私利私欲のために使うんです。
「さらに『へそくり』まで要求するとは……。私の隠し事など、お前の慧眼の前では全てお見通しだったということか! 参った! 完敗だ! お前こそ、真のローゼンバーグ公爵だ!」
父が私の手を握りしめ(ようとして結界に阻まれ)、ブンブンと空中で手を振った。
「分かったぞ、リズ! この金は、ただの浪費のためではないのだな。国を救うための、あるいは弱き民を救済するための『聖なる資金』として使うのだな!」
勝手な解釈が始まった。 周囲の騎士たちも「おお……」「さすが聖女様だ……」と頷いている。
「よろしい! ならば私も協力しよう! 隠居などしている場合ではない! 私はお前の『執事』として、この資産管理を徹底的にサポートする!」
「は? いや、隠居して」
「いいや、させてくれ! これまでの罪滅ぼしだ! お前が望む『最高の世界』を作るために、私の政治力と人脈、そして裏帳簿の全てを捧げよう!」
父の目に、かつてないほどのやる気が宿っている。 これまでは「自分の出世のため」だった野心が、今は「娘(聖女)への滅私奉公」という歪んだ方向に全振りされてしまったようだ。 厄介だ。 無能な働き者ならぬ、有能な狂信者が増えてしまった。
「早速、この金を使って何をなすべきか!? 北部への支援か? 孤児院の設立か?」
父が前のめりに聞いてくる。 金は渡したくないらしい。 使い道を指示しろと言っている。
私はこめかみを押さえた。 面倒くさい。 非常に面倒くさい。 だが、ここで適当なことを言うと、また変な方向へ暴走しかねない。
私は考えた。 私の望みは何か。 安眠だ。 静寂だ。 美味しい食事だ。
そのためには、屋敷の周りの環境を整える必要がある。 特に、あのうるさいデモ隊や、ガタガタと揺れる馬車の音、そして窓から入ってくる隙間風(アレクセイが割った窓は直したが、建付けが悪くなっている)をどうにかしたい。
「……そうね。まずは、この屋敷周辺の道路を整備しなさい」
私は命令を下した。
「石畳の凹凸をなくし、馬車が通っても音がしないように『静音舗装』を施すの。それから、屋敷の半径1キロメートル以内を『静寂特別区』に指定して、大声や騒音を出す行為を禁止。破った者は……そうね、私の安眠妨害罪で投獄よ」
「な、なるほど……!」
父がメモを取る。
「物流の効率化(道路整備)と、治安維持(騒音規制)! 王都の都市計画を根本から見直すというわけだな!」
大きく出たな。
「それと、窓。王都中の窓ガラスを、二重サッシ……じゃなくて、防音・断熱効果のある『強化魔力ガラス』に交換するよう推奨しなさい。特に私の部屋は最優先で」
「省エネ対策か! 冬の寒さと夏の暑さから民を守るためのインフラ整備! 素晴らしい!」
「あと、美味しい枕。……じゃなくて、良質な羊毛や羽毛の生産ラインを確保して。職人を保護し、最高の寝具を開発させるの」
「地場産業の振興! 職人への支援! 経済が回るぞ!」
父のペンが止まらない。 私の個人的な『快眠要求』が、次々と『国家プロジェクト』に変換されていく。
「最後に。……美味しいお菓子が食べたいわ。砂糖の関税を撤廃しなさい。輸入を自由化して、世界中の甘味をこの街に集めるの」
「自由貿易の推進! 大胆な規制緩和だ! 商人たちが狂喜乱舞するぞ!」
書き終えた父は、震える手でメモを掲げた。
「完璧だ……。これこそ、国を富ませ、民を幸せにする『リズ・ニューディール政策』だ!」
勝手に名前をつけるな。 ただの『リズ・快眠プロジェクト』だ。
「よし、ただちに実行に移す! おい、お前たち! リズ様の勅命だ! 総員、王都改造計画に取り掛かるぞ!」
「「ハッ!!」」
父の号令一下、黒騎士たちの一部と、マリアたち侍女隊が動き出した。 彼らは風のように去っていった。 廊下に残されたのは、私と、護衛として残ったアレクセイだけだ。
「……行っちゃった」
私はポツリと呟いた。 金庫の鍵と指輪は手元に残ったが、父という『新たな嵐』を野に放ってしまったような気がしてならない。
アレクセイが、感心したように頷いている。
「さすがリズ様。あの一瞬で、都市計画から貿易摩擦の解消まで指示されるとは。お父上も、貴女の器の大きさに触れて改心されたようですな」
「……アレクセイ。貴方は行かなくていいの?」
「私はここを動きません。貴女の寝顔を守るのが、私の最重要任務ですから」
このゴリラだけは、どうやっても排除できないらしい。 まあ、黙って立っている分には害はないか。
私はドアを閉め(今回はちゃんと閉まった)、鍵をかけ、結界を張り直した。 ふぅ……。 朝から疲れた。 父の土下座に始まり、国家プロジェクトの発足まで、わずか30分の出来事だ。 この部屋の時間の流れは、外界よりも濃密すぎる。
私はベッドに戻り、手に入れた公爵家の金庫の鍵を眺めた。 これがあれば、ネット通販(魔道具による遠隔購入)で何でも買える。 とりあえず、カタログを取り寄せよう。 そして、父が言っていた「静音舗装」と「強化ガラス」が完成するまでの間、耳栓でも買ってしのごう。
そう思っていたのだが。
数日後。 私の『命令』は、またしてもとんでもない結果を生んでいた。
王都のメインストリート。 そこは、生まれ変わっていた。
かつてはガタガタと馬車が跳ね、泥水が跳ねる悪路だった道が、魔法で加工された滑らかな石畳によって舗装され、まるで鏡のように輝いている。 馬車は吸い込まれるように静かに走り、振動も音もない。 『静音舗装』の効果だ。
そして、街中の建物という建物の窓が、キラキラと光る『強化魔力ガラス』に取り替えられていた。 これにより、室内の保温性が劇的に向上し、薪の使用量が激減。 結果として、森林伐採が減り、環境問題まで改善されたという。
さらに、砂糖の関税撤廃により、王都には世界中から珍しいお菓子や果物が溢れかえり、『スイーツ・ルネサンス』と呼ばれる空前のグルメブームが到来していた。 民衆は口々に叫ぶ。
「リズ様万歳!」 「静かで、暖かくて、甘い生活! これが聖女様の統治か!」 「一生ついていきます!」
支持率はカンスト。 経済効果は右肩上がり。 犯罪率は激減(騒ぐと黒騎士に連行されるから)。
私の部屋には、父から毎日のように報告書が届く。
『本日の成果。 道路整備率80%達成。 砂糖の輸入量、前年比300%増。 国民の幸福度指数、過去最高を記録。 なお、私のへそくりは全て事業に投資し、10倍になって返ってきました。これも全てリズ様の資産として計上しておきます』
……増えてる。 お金が勝手に増えてる。 カツアゲしたはずが、なぜか大富豪になってしまった。
私は報告書を読みながら、呆然とクッキー(輸入物の高級品)を齧った。
「……なんで?」
どうして、私が楽をしようとすればするほど、国が良くなっていくの? これじゃあ、いつまで経っても「無能な怠け者」として隠居できないじゃない。
むしろ、今や私は『稀代の名君』『経済の女神』として、国内外から注目される存在になってしまっていた。
そして、その「国外からの注目」が、新たなトラブルを招くことになる。 窓の外。 静かになった通りを見下ろすと、一台の豪奢な馬車が、音もなく滑るように屋敷へと近づいてくるのが見えた。 掲げられている紋章は、この国のどの大貴族のものでもない。
隣国アークライドの王家。 つまり、ノアの実家だ。
「……まさか」
嫌な予感がした。 ノアは「兄上が感謝してた」と言っていた。 その「兄上」――アークライド王国の第一王子にして、冷徹な合理主義者と噂される次期国王が、視察に来たのではないだろうか。
もしそうなら、面倒なことになる。 彼はノアと違って、冗談が通じないタイプだと聞いている。 私のこの「引きこもり統治」の欺瞞を見抜き、断罪しに来たのか。 それとも、有能な統治者としてヘッドハンティングしに来たのか。
どちらにせよ、私の平穏はまたしても脅かされようとしていた。
「……アレクセイ」
私はドア越しに声をかけた。
「はっ!」
「お客様よ。丁重に、かつ全力で追い返して」
「御意! 不法侵入者は微塵切りにします!」
いや、殺すな。 外交問題になる。
私は頭を抱え、布団の中に潜り込んだ。 お金はある。 静寂もある。 お菓子もある。 なのに、なぜ心の安らぎだけがないのだろう。
答えは簡単だ。 私の周りにいる人間が、全員「濃すぎる」からだ。
次なる刺客、隣国の王太子の登場まで、あと5分。 私の戦いは続く。
10
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる