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第15話 王都決戦(前半)
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「さあ、BBQ大会・後半戦の開始ですわ!」
私の宣言と共に、王都の中庭は、神話の再現のような戦場へと変貌した。 ドガァァァァァァァンッ!!
私のフライパンと、アークデーモンの剛腕が激突する。 空気が破裂し、衝撃波が同心円状に広がる。 周囲の瓦礫が紙吹雪のように吹き飛ぶ中、私は一歩も退かずにデーモンを見据えた。
『ヌウゥ……! 小娘が、どこにこれほどの力が……!』
アークデーモンが歯ぎしりをする。 彼の腕力は、城壁をも粉砕する威力だ。 だが、私にとっては、実家で毎朝行っていた「父との朝の挨拶(全力ハグ)」に比べれば、そよ風のようなものである。
「力ではありませんわ。これは『愛』ですの」
『愛だと……?』
「ええ。食材への愛、スローライフへの愛、そして……」
私はフライパンを弾き返し、デーモンの懐へと踏み込んだ。
「私の安眠を妨げる『害虫』への、慈愛に満ちた鉄槌ですわッ!!」
バゴォォォォォン!!
私の左拳が、アークデーモンの鳩尾(みぞおち)に深々と突き刺さる。 『内部破壊(ペネトレイト・ブロー)』。 魔力を浸透させ、内臓を直接シェイクする技だ。
『ガハッ……!?』
デーモンが血反吐を吐いて膝をつく。
一方、私の隣では、もう一つの激闘が繰り広げられていた。
「ハッ!」
ジークフリート殿下の剣が、銀色の軌跡を描く。 彼の動きは、舞踏のように美しく、そして雷光のように鋭い。
ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!
瞬きする間に三閃。 ヒュドラの首が、三本同時に宙を舞う。
『ギャアアアアッ!!』
ヒュドラが残った六本の首で、一斉に毒のブレスを吐きかける。 紫色の毒霧が殿下を包み込もうとするが、彼は不敵に笑い、マントを翻した。
「竜騎士の加護(ドラゴン・ベール)!」
彼の鎧が紅蓮の光を放ち、毒霧を焼き払う。 その隙に、彼は赤竜の背に飛び乗り、上空へと舞い上がった。
「一気に決めるぞ! 『紅蓮剣・龍牙突き』!」
ズドドドドドドンッ!!
上空からの急降下攻撃。 赤竜のブレスと、殿下の魔剣が融合し、巨大な炎の槍となってヒュドラを貫いた。 再生能力を持つヒュドラだが、傷口を炭化させられては再生できない。
「見事ですわ、殿下!」
「ハハッ! 貴女に褒められると、つい張り切ってしまうな!」
私たちは背中合わせに着地した。 目の前には、まだドラゴンゾンビと、ダメージから回復しつつあるアークデーモン、そして無数の雑魚魔獣たちがひしめいている。
「キリがありませんね。……この数、ダンジョンの底が抜けたかのようだ」
殿下が剣の血糊を払いながら呟く。 確かに、倒しても倒しても、地面から湧き出るように魔獣が現れる。 王城の中庭だけでなく、王都全域が魔獣の海に沈もうとしていた。
◇
その頃、王都の正門前。 ここでもまた、マッスル商会と王国騎士団による、死闘が続いていた。
「うおおおおお! 押し返せぇぇぇ!」
ボブが絶叫する。 彼の手にある冷凍マグロは、すでに解凍されてブヨブヨになっていたが、それでも彼はそれを鞭のように振り回して戦っていた。
「店長! もう武器がありません! カボチャもジャガイモも投げ尽くしました!」 「こっちもだ! ポーションも品切れだ!」
店員たちの悲鳴が上がる。 彼らは超人的に頑張っていた。 だが、物量差はいかんともしがたい。 疲労と、武器の枯渇。 徐々に防衛線が下がり、魔獣の群れが避難民のいる倉庫へと迫っていた。
「くそっ……! ここまでなのかよ……!」 「総長……俺たちのマッスルは、ここまでですか……!」
ボブが膝をつく。 目の前には、棍棒を振り上げたオーガ・キングが迫っていた。
その時。 遙か北の空から、低く、重く、大気を震わせる音が響いてきた。
ブォォォォォォォォォン……!!
それは、巨大な質量を持つ物体が、空気を切り裂いて飛来する音。 ボブが、オーガが、そして戦場にいる全員が、ふと空を見上げた。
「……なんだ、あれは?」
雲を突き破り、現れたのは――飛竜(ワイバーン)の大編隊だった。 だが、ただの編隊ではない。 数十体のワイバーンが、協力して『何か』を吊り下げて運んでいるのだ。
それは、白く輝く、巨大な石の棒。 いや、棒ではない。 美しい彫刻が施された、大理石の円柱。
「あ、あれは……!?」
ボブが目を見開く。 見間違えるはずがない。 あの日、エレオノーラ総長が王城から引っこ抜き、馬車に詰め込み、実家で漬物石として活用していた、あの伝説の『王宮の柱』だ!
ワイバーンの編隊を指揮しているのは、巨大なアースドラゴンの背に乗った、筋骨隆々の巨人――ベルシュタイン辺境伯、バルバロスだった。
「ガハハハハ! 待たせたな、王都の軟弱者ども! ベルシュタイン家の『お届け物』だァァァッ!!」
バルバロスの号令と共に、ワイバーンたちが一斉に鉤爪を外した。
ヒュゴォォォォォォォォッ!!
数トンの質量を持つ柱が、重力に従って落下を開始する。 狙いは、正門前に密集している魔獣の群れのど真ん中。
「総員、退避ィィィッ!!」
ボブが叫び、仲間たちと共に横っ飛びに逃げる。 魔獣たちは空を見上げ、逃げる間もなく――。
ズドォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
天地がひっくり返るような衝撃。 王都全体が震度5の地震に見舞われたかのように揺れた。 柱が突き刺さった地点を中心に、巨大なクレーターが生まれ、衝撃波が同心円状に広がる。 数百体の魔獣が一瞬にしてミンチとなり、あるいは空の彼方へ吹き飛ばされた。
土煙が晴れると、そこには広場の真ん中に深々と突き刺さり、神々しく輝く『柱』が鎮座していた。 そして、その頂点には、仁王立ちするバルバロスの姿があった。
「フン! いい手応えだ! やはり漬物石で鍛えただけあって、以前より硬度が増しておるわ!」
「だ、旦那様ぁぁぁぁッ!!」
ボブたちが歓喜の声を上げて駆け寄る。
「おう、ボブか! よく耐えたな! 褒美に、後でわしの『特製プロテイン』を飲ませてやる!」
「えっ、それは遠慮したいっす……!」
ともあれ、最強の援軍が到着したのだ。 バルバロスの後ろからは、武装したベルシュタイン領の民兵たち、そして兄ヴォルフガング率いる『重装メイド部隊』が続々と降下してくる。
「さあ、掃除の時間よ!」 「お嬢様のお店を汚す不届き者は、消毒します!」
メイド長のマリアが、ガトリング砲のような勢いで投げナイフを連射する。 民兵たちは、巨大なハンマーや斧を振り回し、魔獣たちを「収穫」していく。
戦況は一変した。 ベルシュタイン家の介入により、王都防衛戦は「虐殺」から「狩猟祭」へと変わったのである。
◇
一方、王城中庭。
柱の落下音を聞いたアークデーモンは、驚愕に動きを止めた。
『な、なんだ今の音は……!? 我の配下たちが、一瞬で消滅しただと……!?』
「あら、ようやく届いたみたいですわね」
私はフライパンでデーモンの爪を受け流しながら、空を見上げた。 父の魔力波長を感じる。 あの大雑把で、暑苦しい魔力を。
「お父様ったら、相変わらず派手な登場ですこと。……でも、おかげでこちらも本気を出せそうですわ」
私はジークフリート殿下に目配せをした。
「殿下、あちらは父に任せれば大丈夫です。私たちは、ここの『ゴミ掃除』に集中しましょう」
「了解だ。……しかし、あの柱、本当に武器として使っているとはな。貴女の一族は、常識というものをどこかに置き忘れてきたのか?」
「常識? ああ、あれなら実家の倉庫にしまってありますわ。邪魔なので」
殿下は苦笑し、再び剣を構えた。
『おのれ……人間どもめ……! 調子に乗るなよ!』
アークデーモンが激昂し、全身の魔力を膨れ上がらせる。 その身体が二倍ほどに巨大化し、皮膚が赤黒く変色していく。 『魔神化(デーモン・バースト)』。 自らの寿命を削って力を増幅させる、禁断の奥義だ。
『我ガ真ノ力、見セテクレル! 王都ゴト消シ飛ベェェェッ!!』
デーモンの口元に、巨大な黒い球体が生成される。 圧縮された魔力弾。 あれが放たれれば、王城はおろか、王都の半分がクレーターと化すだろう。
「させんッ!」
殿下が飛び出そうとするが、デーモンが放つ衝撃波に阻まれる。
『無駄ダ! 近ヅケヌワ!』
絶体絶命。 誰もがそう思った。
だが、私は冷静だった。 むしろ、この瞬間を待っていた。
「殿下、下がってくださいまし」
私はフライパンを地面に突き刺し、代わりに懐から『あるもの』を取り出した。 それは、昨日の夕食の残りを詰めたタッパー……ではなく。 一本の、古びた杖のようなものだった。 いや、杖ではない。 よく見れば、それは『柱の欠片』を加工して作った、特製のバットだった。
王宮の柱は、元々結界の制御塔。 魔力を吸収し、拡散する性質を持っている。 私が実家で削り出し、グリップにドラゴンの革を巻いて作った、世界に一本だけの『対魔獣用フルスイング・バット』だ。
「魔力弾……いい球(ボール)ですわね」
私はバットを構えた。 足幅を広げ、腰を落とす。 バッターボックスに立つ強打者の構え。
『ハッ! 何ヲ血迷ッタカ! 棒切レ一本デ、我ガ最強ノ魔法ヲ防ゲルトデモ思ッタカ!』
デーモンが嘲笑う。 黒い球体は完成し、今にも発射されようとしている。
「防ぐのではありませんわ」
私はバットに魔力を流し込んだ。 白い柱の素材が、私の魔力に呼応して黄金色に輝き出す。
「打ち返すんですのよッ!!」
『消エ失セロォォォォッ!!』
デーモンが魔力弾を射出した。 音速を超えて迫る、死の塊。 中庭の空気が歪み、熱波がすべてを焼き尽くそうとする。
私はタイミングを計った。 ボールが来る。 直球ど真ん中。
カッ!
私の筋肉が唸りを上げ、腰の回転がバットに伝わる。
「そこっ!!」
カキィィィィィィィンッ!!
爽快な音が響き渡った。 バットの芯が、魔力弾を捉えたのだ。 拮抗したのは一瞬。 柱の持つ「魔力反射」の性質と、私の「物理的パワー」が融合し、魔力弾のベクトルを百八十度反転させる。
『ナ……ッ!?』
デーモンの目が点になる。 彼が放ったはずの黒い球体が、倍の速度と大きさになって、彼自身の顔面へと戻っていく。
『バ、バカ……ナ……』
ズドゴォォォォォォォォォンッ!!
直撃。 王都の上空に、二度目の花火が上がった。 アークデーモンの巨体は、自らの魔力によって原子レベルまで分解され、光の粒子となって消滅した。
後に残ったのは、青空のように晴れ渡った夜空と、ポカンと口を開けた人々の姿だけ。
「……ホームラン、ですわね」
私はバットをくるりと回し、残心(ポーズ)を決めた。 観客席(中庭)からは、割れんばかりの拍手喝采が巻き起こった。
「すげぇぇぇぇ! 魔法を打ち返したぞ!」 「エレオノーラ様! エレオノーラ様!」
スタンディングオベーションだ。 私は照れくさそうに手を振った。
ジークフリート殿下が、呆れたような、それでいて感心したような顔で近づいてきた。
「……まさか、魔法を物理で打ち返すとは。貴女の辞書に『不可能』という文字はないのか?」
「ありますわよ。例えば……『お腹が空いた状態で我慢する』こととか」
私が答えると、彼は腹を抱えて笑った。
「ハハハハ! 違いない! いや、最高のショーだった!」
これで、三巨頭のうち二体(ヒュドラ、アークデーモン)は沈黙した。 残るはドラゴンゾンビだが……。
ズシン……ズシン……。
ドラゴンゾンビは、仲間たちがやられたことなど気にも留めず、ひたすら私に向かって歩いてきていた。 その腐った瞳には、純粋な食欲だけが宿っている。 ある意味、一番厄介な相手かもしれない。
「しつこい男は嫌われますわよ?」
私がバットを構え直そうとした時。
「待て、エリー! その腐れ肉は、わしに譲れ!」
空からドスンと降ってきたのは、父バルバロスだった。 手には、先ほど投下した『柱』を引き抜いて持っている。 ……また柱だ。 この一家、どれだけ柱が好きなのか。
「お父様、来てくださったのですね」
「おうとも! 正門前はヴォルフに任せてきた。こっちは大物がいると聞いてな!」
父はドラゴンゾンビを見上げ、ニヤリと笑った。
「腐っていてもドラゴンはドラゴン。骨のある相手だ!」
「骨しかありませんけれど」
「細かいことは気にするな! 行くぞォォォッ!」
父は柱を六角棒のように構え、ドラゴンゾンビに突進した。
ガギィィィンッ!!
柱とドラゴンの頭蓋骨が激突する。 パワー対パワー。 単純にして明快な殴り合いが始まった。
「ハッハァ! どうしたどうした! 軽いぞ!」
父は笑いながら、柱をブンブン振り回す。 そのたびにドラゴンゾンビの骨が砕け、肉片が飛び散る。 圧倒的だ。 S級魔獣を子供扱いしている。
「……あの御仁が、貴女の父上か。なるほど、血は争えないな」
殿下が遠い目をする。
「ええ、少し張り切りすぎですわね。腰を痛めなければいいのですけれど」
私は苦笑しながら、周囲の掃討戦に戻った。 雑魚魔獣たちは、親玉がやられたことで統制を失い、逃げ惑っている。 あとは残党狩りだ。
◇
数十分後。 王城中庭の戦闘は、ほぼ終息していた。
ドラゴンゾンビは父によって粉砕され、今はただの骨の山となっていた。 正門前の戦いも、兄の指揮する部隊とマッスル商会の連携により、魔獣軍団を壊滅させていた。
私たちは中庭の中央に集まった。 父、兄、ジークフリート殿下、そして私。 ガレイン卿たち王国騎士団は、私たちの周りでただただ平伏している。
「終わった……のか?」
誰かが呟いた。
「ええ、終わりましたわ。……少なくとも、今夜の分は」
私は空を見上げた。 雲が晴れ、満月が王都を照らしている。 あちこちで火の手は上がっているが、それは破壊の炎ではなく、勝利を祝う篝火のように見えた。
「勝ったぞォォォッ!!」 「マッスル商会万歳! エレオノーラ様万歳!」 「帝国軍万歳!」
歓声が上がる。 兵士たちが抱き合い、市民たちが涙を流して喜ぶ。 その光景を見て、私はようやく肩の力を抜いた。
「ふぅ……。お腹が空きましたわ」
私のその一言に、周囲の緊張が解け、笑いが広がった。
「そうだな。運動の後は飯に限る!」 「総長! まだ肉は残ってますぜ!」 「よーし、二次会だ! 朝まで食い尽くせ!」
こうして、王都決戦(前半)は、人類側の圧倒的勝利で幕を閉じた。 伝説の柱バットによるホームラン、そして筋肉一家の乱入。 この夜の出来事は、後に吟遊詩人によって『王都の奇跡~筋肉と柱の狂想曲~』として語り継がれることになるのだが、それはまた別のお話。
しかし。 まだ全てが終わったわけではない。 王城内には、拘束したジェラルド王子と偽聖女ミレーヌが残っている。 そして、壊滅した王都の復興、マッスル商会の経営戦略、さらに……私と殿下の関係(?)など、問題は山積みだ。
とりあえず、今は目の前の骨付き肉にかぶりつくことにしよう。 難しいことは、お腹いっぱいになってから考えればいいのだから。
「いただきマッスル!」
私の合言葉と共に、王都の夜は更けていった。
私の宣言と共に、王都の中庭は、神話の再現のような戦場へと変貌した。 ドガァァァァァァァンッ!!
私のフライパンと、アークデーモンの剛腕が激突する。 空気が破裂し、衝撃波が同心円状に広がる。 周囲の瓦礫が紙吹雪のように吹き飛ぶ中、私は一歩も退かずにデーモンを見据えた。
『ヌウゥ……! 小娘が、どこにこれほどの力が……!』
アークデーモンが歯ぎしりをする。 彼の腕力は、城壁をも粉砕する威力だ。 だが、私にとっては、実家で毎朝行っていた「父との朝の挨拶(全力ハグ)」に比べれば、そよ風のようなものである。
「力ではありませんわ。これは『愛』ですの」
『愛だと……?』
「ええ。食材への愛、スローライフへの愛、そして……」
私はフライパンを弾き返し、デーモンの懐へと踏み込んだ。
「私の安眠を妨げる『害虫』への、慈愛に満ちた鉄槌ですわッ!!」
バゴォォォォォン!!
私の左拳が、アークデーモンの鳩尾(みぞおち)に深々と突き刺さる。 『内部破壊(ペネトレイト・ブロー)』。 魔力を浸透させ、内臓を直接シェイクする技だ。
『ガハッ……!?』
デーモンが血反吐を吐いて膝をつく。
一方、私の隣では、もう一つの激闘が繰り広げられていた。
「ハッ!」
ジークフリート殿下の剣が、銀色の軌跡を描く。 彼の動きは、舞踏のように美しく、そして雷光のように鋭い。
ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ!
瞬きする間に三閃。 ヒュドラの首が、三本同時に宙を舞う。
『ギャアアアアッ!!』
ヒュドラが残った六本の首で、一斉に毒のブレスを吐きかける。 紫色の毒霧が殿下を包み込もうとするが、彼は不敵に笑い、マントを翻した。
「竜騎士の加護(ドラゴン・ベール)!」
彼の鎧が紅蓮の光を放ち、毒霧を焼き払う。 その隙に、彼は赤竜の背に飛び乗り、上空へと舞い上がった。
「一気に決めるぞ! 『紅蓮剣・龍牙突き』!」
ズドドドドドドンッ!!
上空からの急降下攻撃。 赤竜のブレスと、殿下の魔剣が融合し、巨大な炎の槍となってヒュドラを貫いた。 再生能力を持つヒュドラだが、傷口を炭化させられては再生できない。
「見事ですわ、殿下!」
「ハハッ! 貴女に褒められると、つい張り切ってしまうな!」
私たちは背中合わせに着地した。 目の前には、まだドラゴンゾンビと、ダメージから回復しつつあるアークデーモン、そして無数の雑魚魔獣たちがひしめいている。
「キリがありませんね。……この数、ダンジョンの底が抜けたかのようだ」
殿下が剣の血糊を払いながら呟く。 確かに、倒しても倒しても、地面から湧き出るように魔獣が現れる。 王城の中庭だけでなく、王都全域が魔獣の海に沈もうとしていた。
◇
その頃、王都の正門前。 ここでもまた、マッスル商会と王国騎士団による、死闘が続いていた。
「うおおおおお! 押し返せぇぇぇ!」
ボブが絶叫する。 彼の手にある冷凍マグロは、すでに解凍されてブヨブヨになっていたが、それでも彼はそれを鞭のように振り回して戦っていた。
「店長! もう武器がありません! カボチャもジャガイモも投げ尽くしました!」 「こっちもだ! ポーションも品切れだ!」
店員たちの悲鳴が上がる。 彼らは超人的に頑張っていた。 だが、物量差はいかんともしがたい。 疲労と、武器の枯渇。 徐々に防衛線が下がり、魔獣の群れが避難民のいる倉庫へと迫っていた。
「くそっ……! ここまでなのかよ……!」 「総長……俺たちのマッスルは、ここまでですか……!」
ボブが膝をつく。 目の前には、棍棒を振り上げたオーガ・キングが迫っていた。
その時。 遙か北の空から、低く、重く、大気を震わせる音が響いてきた。
ブォォォォォォォォォン……!!
それは、巨大な質量を持つ物体が、空気を切り裂いて飛来する音。 ボブが、オーガが、そして戦場にいる全員が、ふと空を見上げた。
「……なんだ、あれは?」
雲を突き破り、現れたのは――飛竜(ワイバーン)の大編隊だった。 だが、ただの編隊ではない。 数十体のワイバーンが、協力して『何か』を吊り下げて運んでいるのだ。
それは、白く輝く、巨大な石の棒。 いや、棒ではない。 美しい彫刻が施された、大理石の円柱。
「あ、あれは……!?」
ボブが目を見開く。 見間違えるはずがない。 あの日、エレオノーラ総長が王城から引っこ抜き、馬車に詰め込み、実家で漬物石として活用していた、あの伝説の『王宮の柱』だ!
ワイバーンの編隊を指揮しているのは、巨大なアースドラゴンの背に乗った、筋骨隆々の巨人――ベルシュタイン辺境伯、バルバロスだった。
「ガハハハハ! 待たせたな、王都の軟弱者ども! ベルシュタイン家の『お届け物』だァァァッ!!」
バルバロスの号令と共に、ワイバーンたちが一斉に鉤爪を外した。
ヒュゴォォォォォォォォッ!!
数トンの質量を持つ柱が、重力に従って落下を開始する。 狙いは、正門前に密集している魔獣の群れのど真ん中。
「総員、退避ィィィッ!!」
ボブが叫び、仲間たちと共に横っ飛びに逃げる。 魔獣たちは空を見上げ、逃げる間もなく――。
ズドォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!
天地がひっくり返るような衝撃。 王都全体が震度5の地震に見舞われたかのように揺れた。 柱が突き刺さった地点を中心に、巨大なクレーターが生まれ、衝撃波が同心円状に広がる。 数百体の魔獣が一瞬にしてミンチとなり、あるいは空の彼方へ吹き飛ばされた。
土煙が晴れると、そこには広場の真ん中に深々と突き刺さり、神々しく輝く『柱』が鎮座していた。 そして、その頂点には、仁王立ちするバルバロスの姿があった。
「フン! いい手応えだ! やはり漬物石で鍛えただけあって、以前より硬度が増しておるわ!」
「だ、旦那様ぁぁぁぁッ!!」
ボブたちが歓喜の声を上げて駆け寄る。
「おう、ボブか! よく耐えたな! 褒美に、後でわしの『特製プロテイン』を飲ませてやる!」
「えっ、それは遠慮したいっす……!」
ともあれ、最強の援軍が到着したのだ。 バルバロスの後ろからは、武装したベルシュタイン領の民兵たち、そして兄ヴォルフガング率いる『重装メイド部隊』が続々と降下してくる。
「さあ、掃除の時間よ!」 「お嬢様のお店を汚す不届き者は、消毒します!」
メイド長のマリアが、ガトリング砲のような勢いで投げナイフを連射する。 民兵たちは、巨大なハンマーや斧を振り回し、魔獣たちを「収穫」していく。
戦況は一変した。 ベルシュタイン家の介入により、王都防衛戦は「虐殺」から「狩猟祭」へと変わったのである。
◇
一方、王城中庭。
柱の落下音を聞いたアークデーモンは、驚愕に動きを止めた。
『な、なんだ今の音は……!? 我の配下たちが、一瞬で消滅しただと……!?』
「あら、ようやく届いたみたいですわね」
私はフライパンでデーモンの爪を受け流しながら、空を見上げた。 父の魔力波長を感じる。 あの大雑把で、暑苦しい魔力を。
「お父様ったら、相変わらず派手な登場ですこと。……でも、おかげでこちらも本気を出せそうですわ」
私はジークフリート殿下に目配せをした。
「殿下、あちらは父に任せれば大丈夫です。私たちは、ここの『ゴミ掃除』に集中しましょう」
「了解だ。……しかし、あの柱、本当に武器として使っているとはな。貴女の一族は、常識というものをどこかに置き忘れてきたのか?」
「常識? ああ、あれなら実家の倉庫にしまってありますわ。邪魔なので」
殿下は苦笑し、再び剣を構えた。
『おのれ……人間どもめ……! 調子に乗るなよ!』
アークデーモンが激昂し、全身の魔力を膨れ上がらせる。 その身体が二倍ほどに巨大化し、皮膚が赤黒く変色していく。 『魔神化(デーモン・バースト)』。 自らの寿命を削って力を増幅させる、禁断の奥義だ。
『我ガ真ノ力、見セテクレル! 王都ゴト消シ飛ベェェェッ!!』
デーモンの口元に、巨大な黒い球体が生成される。 圧縮された魔力弾。 あれが放たれれば、王城はおろか、王都の半分がクレーターと化すだろう。
「させんッ!」
殿下が飛び出そうとするが、デーモンが放つ衝撃波に阻まれる。
『無駄ダ! 近ヅケヌワ!』
絶体絶命。 誰もがそう思った。
だが、私は冷静だった。 むしろ、この瞬間を待っていた。
「殿下、下がってくださいまし」
私はフライパンを地面に突き刺し、代わりに懐から『あるもの』を取り出した。 それは、昨日の夕食の残りを詰めたタッパー……ではなく。 一本の、古びた杖のようなものだった。 いや、杖ではない。 よく見れば、それは『柱の欠片』を加工して作った、特製のバットだった。
王宮の柱は、元々結界の制御塔。 魔力を吸収し、拡散する性質を持っている。 私が実家で削り出し、グリップにドラゴンの革を巻いて作った、世界に一本だけの『対魔獣用フルスイング・バット』だ。
「魔力弾……いい球(ボール)ですわね」
私はバットを構えた。 足幅を広げ、腰を落とす。 バッターボックスに立つ強打者の構え。
『ハッ! 何ヲ血迷ッタカ! 棒切レ一本デ、我ガ最強ノ魔法ヲ防ゲルトデモ思ッタカ!』
デーモンが嘲笑う。 黒い球体は完成し、今にも発射されようとしている。
「防ぐのではありませんわ」
私はバットに魔力を流し込んだ。 白い柱の素材が、私の魔力に呼応して黄金色に輝き出す。
「打ち返すんですのよッ!!」
『消エ失セロォォォォッ!!』
デーモンが魔力弾を射出した。 音速を超えて迫る、死の塊。 中庭の空気が歪み、熱波がすべてを焼き尽くそうとする。
私はタイミングを計った。 ボールが来る。 直球ど真ん中。
カッ!
私の筋肉が唸りを上げ、腰の回転がバットに伝わる。
「そこっ!!」
カキィィィィィィィンッ!!
爽快な音が響き渡った。 バットの芯が、魔力弾を捉えたのだ。 拮抗したのは一瞬。 柱の持つ「魔力反射」の性質と、私の「物理的パワー」が融合し、魔力弾のベクトルを百八十度反転させる。
『ナ……ッ!?』
デーモンの目が点になる。 彼が放ったはずの黒い球体が、倍の速度と大きさになって、彼自身の顔面へと戻っていく。
『バ、バカ……ナ……』
ズドゴォォォォォォォォォンッ!!
直撃。 王都の上空に、二度目の花火が上がった。 アークデーモンの巨体は、自らの魔力によって原子レベルまで分解され、光の粒子となって消滅した。
後に残ったのは、青空のように晴れ渡った夜空と、ポカンと口を開けた人々の姿だけ。
「……ホームラン、ですわね」
私はバットをくるりと回し、残心(ポーズ)を決めた。 観客席(中庭)からは、割れんばかりの拍手喝采が巻き起こった。
「すげぇぇぇぇ! 魔法を打ち返したぞ!」 「エレオノーラ様! エレオノーラ様!」
スタンディングオベーションだ。 私は照れくさそうに手を振った。
ジークフリート殿下が、呆れたような、それでいて感心したような顔で近づいてきた。
「……まさか、魔法を物理で打ち返すとは。貴女の辞書に『不可能』という文字はないのか?」
「ありますわよ。例えば……『お腹が空いた状態で我慢する』こととか」
私が答えると、彼は腹を抱えて笑った。
「ハハハハ! 違いない! いや、最高のショーだった!」
これで、三巨頭のうち二体(ヒュドラ、アークデーモン)は沈黙した。 残るはドラゴンゾンビだが……。
ズシン……ズシン……。
ドラゴンゾンビは、仲間たちがやられたことなど気にも留めず、ひたすら私に向かって歩いてきていた。 その腐った瞳には、純粋な食欲だけが宿っている。 ある意味、一番厄介な相手かもしれない。
「しつこい男は嫌われますわよ?」
私がバットを構え直そうとした時。
「待て、エリー! その腐れ肉は、わしに譲れ!」
空からドスンと降ってきたのは、父バルバロスだった。 手には、先ほど投下した『柱』を引き抜いて持っている。 ……また柱だ。 この一家、どれだけ柱が好きなのか。
「お父様、来てくださったのですね」
「おうとも! 正門前はヴォルフに任せてきた。こっちは大物がいると聞いてな!」
父はドラゴンゾンビを見上げ、ニヤリと笑った。
「腐っていてもドラゴンはドラゴン。骨のある相手だ!」
「骨しかありませんけれど」
「細かいことは気にするな! 行くぞォォォッ!」
父は柱を六角棒のように構え、ドラゴンゾンビに突進した。
ガギィィィンッ!!
柱とドラゴンの頭蓋骨が激突する。 パワー対パワー。 単純にして明快な殴り合いが始まった。
「ハッハァ! どうしたどうした! 軽いぞ!」
父は笑いながら、柱をブンブン振り回す。 そのたびにドラゴンゾンビの骨が砕け、肉片が飛び散る。 圧倒的だ。 S級魔獣を子供扱いしている。
「……あの御仁が、貴女の父上か。なるほど、血は争えないな」
殿下が遠い目をする。
「ええ、少し張り切りすぎですわね。腰を痛めなければいいのですけれど」
私は苦笑しながら、周囲の掃討戦に戻った。 雑魚魔獣たちは、親玉がやられたことで統制を失い、逃げ惑っている。 あとは残党狩りだ。
◇
数十分後。 王城中庭の戦闘は、ほぼ終息していた。
ドラゴンゾンビは父によって粉砕され、今はただの骨の山となっていた。 正門前の戦いも、兄の指揮する部隊とマッスル商会の連携により、魔獣軍団を壊滅させていた。
私たちは中庭の中央に集まった。 父、兄、ジークフリート殿下、そして私。 ガレイン卿たち王国騎士団は、私たちの周りでただただ平伏している。
「終わった……のか?」
誰かが呟いた。
「ええ、終わりましたわ。……少なくとも、今夜の分は」
私は空を見上げた。 雲が晴れ、満月が王都を照らしている。 あちこちで火の手は上がっているが、それは破壊の炎ではなく、勝利を祝う篝火のように見えた。
「勝ったぞォォォッ!!」 「マッスル商会万歳! エレオノーラ様万歳!」 「帝国軍万歳!」
歓声が上がる。 兵士たちが抱き合い、市民たちが涙を流して喜ぶ。 その光景を見て、私はようやく肩の力を抜いた。
「ふぅ……。お腹が空きましたわ」
私のその一言に、周囲の緊張が解け、笑いが広がった。
「そうだな。運動の後は飯に限る!」 「総長! まだ肉は残ってますぜ!」 「よーし、二次会だ! 朝まで食い尽くせ!」
こうして、王都決戦(前半)は、人類側の圧倒的勝利で幕を閉じた。 伝説の柱バットによるホームラン、そして筋肉一家の乱入。 この夜の出来事は、後に吟遊詩人によって『王都の奇跡~筋肉と柱の狂想曲~』として語り継がれることになるのだが、それはまた別のお話。
しかし。 まだ全てが終わったわけではない。 王城内には、拘束したジェラルド王子と偽聖女ミレーヌが残っている。 そして、壊滅した王都の復興、マッスル商会の経営戦略、さらに……私と殿下の関係(?)など、問題は山積みだ。
とりあえず、今は目の前の骨付き肉にかぶりつくことにしよう。 難しいことは、お腹いっぱいになってから考えればいいのだから。
「いただきマッスル!」
私の合言葉と共に、王都の夜は更けていった。
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