18 / 20
第18話 王宮の柱、修復(物理)
しおりを挟む
王都決戦から、三日が経過した。 アルカディア王国の王都は今、かつてない熱気と、心地よい筋肉痛に包まれていた。
カンッ、カンッ、カンッ! ドガァァァン!
あちこちから、復興の槌音……にしては少々破壊的な音が響き渡っている。 半壊した市街地では、マッスル商会の店員たちと、ベルシュタイン領から駆けつけた屈強な民兵たちが、驚異的なスピードで瓦礫の撤去と建物の修復を行っていた。
「へい! そっちの壁、傾いてるぞ! 俺が支えてる間に釘を打て!」 「了解ッス! ……ふんぬッ!(素手で釘を押し込む)」 「おいおい、屋根の梁(はり)が足りないな。その辺のワイバーンの骨を使っとけ!」 「へい! 強度抜群ッス!」
彼らの手にかかれば、倒壊した家屋は数時間で元通り――いや、以前よりも無骨で頑丈な要塞のような家へと生まれ変わっていく。 王都の住民たちも、最初は呆気にとられていたが、今ではすっかり彼らに感化され、一緒に汗を流していた。
「さあ、休憩ですよ! マッスル商会特製『復興支援カレー』の配給です!」
広場では、巨大な鍋を囲んで炊き出しが行われている。 具材はもちろん、先日討伐された魔獣たちの肉と、ベルシュタイン産の巨大野菜だ。 スパイシーな香りが、疲れた人々の食欲と活力を刺激する。
「うめぇ! このカレー、食べると疲れが吹き飛ぶぞ!」 「ありがとう、エレオノーラ様! マッスル商会万歳!」
市民たちの顔には、もはや悲壮感はない。 自分の手で、自分の街を立て直すという希望の光が宿っていた。
◇
そんな復興の様子を、私は王城のテラスから眺めていた。 手には、もちろん冷えた牛乳瓶を持っている。
「ふふっ、いい眺めですわ。人間、働き、食べ、そして眠る。これぞ健全な営みです」
私は牛乳を飲み干し、満足げに息をついた。
「お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます」
背後から、セバスチャンが声をかけてきた。 彼は相変わらず塵一つない燕尾服姿で、恭しく一礼する。
「本日のスケジュールですが、午前中に商業ギルドとの打ち合わせ、午後はマッスル銀行(仮)の設立準備、そして夜はドラグノフ帝国との祝勝晩餐会となっております」
「忙しいわね。スローライフはどうなったのかしら?」
「お嬢様が動く限り、スローライフは『音速』で過ぎ去っていくかと」
「うまいこと言うわね」
私は苦笑した。 確かに、王都に戻ってきてからというもの、私の周りは常に嵐のようだ。 でも、それも悪くない。 私が動くことで、みんなが笑顔になり、美味しいご飯が食べられるなら、少々の忙しさはスパイスのようなものだ。
「ですがその前に、一つ片付けなければならない大仕事がありますわ」
私はテラスの手すりに寄りかかり、背後の建物――王城を見上げた。
王城アルカディア。 かつては白亜の美しさを誇ったこの城も、今は見るも無残な姿になっていた。 第1話で私が柱を引っこ抜いたせいで傾き、その後の魔獣の襲撃や、ミレーヌの爆破未遂(窓が吹き飛んだ)、そして私の「柱バット」による衝撃などで、あちこちに亀裂が入り、今にも崩壊しそうな状態だ。 廊下を歩くには登山靴が必要で、玉座の間は滑り台のようになっている。
「このままでは、国王陛下も安心して公務ができませんわ。それに、私の商会の『本店所在地』が廃墟だなんて、ブランドイメージに関わります」
「左様でございますな。……して、いかがなさいますか? 建て替えるとなると、数年はかかりますが」
「いいえ。修理(リペア)しますわ」
私は腕まくりをした。
「ベルシュタイン流のやり方で、ね」
◇
数十分後。 王城の正面玄関前には、国王アルカディア三世をはじめ、宰相や大臣たち、そして私の父と兄、ジークフリート殿下が集まっていた。
「エレオノーラよ……本当に直せるのか? このボロ屋敷を」
国王陛下は、やつれた顔で私に尋ねた。 彼はこの数日の心労で、一気に十年は老け込んだように見える。 息子のジェラルド王子が引き起こした不祥事、聖女の裏切り、そして国難。 全てが終わった今、彼に残されたのは、傾いた城と、莫大な借金(マッスル商会への)だけだった。
「ご安心ください、陛下。私の辞書に『手遅れ』という言葉はありません。あるのは『力技』だけです」
私は自信たっぷりに胸を張った。
「まずは、あの『柱』を回収しなければなりませんわね」
私が指差したのは、王城前の広場に深々と突き刺さっている、巨大な大理石の柱だ。 第15話で、父バルバロスが空から投下し、魔獣の群れを壊滅させた、あの「王宮の柱」である。 今や、王都を救った『救国の聖柱』として、市民たちが花を供えたり、拝んだりする観光スポットになりかけていた。
「あれを抜くのか? ……数百トンはあるぞ。それに、地面に十メートルは埋まっている」
ジークフリート殿下が、柱を見上げて腕組みをする。
「ええ。普通の重機では無理でしょうね。でも……」
私は父と兄を振り返った。
「ベルシュタイン家の人間が三人いれば、抜けないものなどありませんわ。ねえ、お父様?」
「ガハハ! 違いない! 大根引きの要領だな!」
父が豪快に笑い、兄もニヤリと頷く。 私たちは柱の周りに配置についた。 見守る市民たちが、固唾を飲んで注目する。
「せーのっ!」
ズズズズズズズ……ッ!!
三人が同時に力を込めると、大地が悲鳴を上げた。 広場の石畳が波打ち、亀裂が走る。
「ぬんッ!!」
ズポォォォォォォォンッ!!
凄まじい音と共に、全長二十メートル近い巨大な柱が、スポーンと勢いよく引き抜かれた。 土砂が噴水のように舞い上がる。
「抜けたぞぉぉぉ!」 「すげぇ! 人間起重機だ!」
市民たちから歓声と拍手が巻き起こる。 私は柱を肩に担ぎ、埃を払った。
「ふぅ。いい運動になりましたわ。……少し曲がってますけれど、まあ誤差の範囲内ですわね」
投下時の衝撃で若干「く」の字に曲がっているが、叩けば直るだろう。
「さあ、これを元の場所――『謁見の間』に戻しますわよ!」
私たちは柱を担ぎ、王城の中へと進んでいった。 入り口の扉は狭すぎて通らないので、父が「お邪魔するぞ!」と体当たりで壁ごと粉砕して入り口を拡張した。 国王陛下が「ああ、余の城が……」と涙目になっていたが、リフォームには多少の犠牲が必要なのだ。
◇
謁見の間。 ここは城内で最も被害が大きかった場所だ。 天井は落ちかけ、床は三十度ほど傾いている。 かつて私が柱を引っこ抜いた「穴」は、そのまま空洞になっており、そこから隙間風が吹き込んでいた。
「さて、ここからが本番ですわ」
私は柱を床に下ろし(ズシン!)、現状を確認した。 建物全体が歪んでいるため、単に柱を戻すだけでは直らない。 傾いた天井を持ち上げ、歪んだ床を水平に戻し、その状態で柱を嵌め込む必要がある。 高度な建築技術と、精密な計算が必要な作業だ。
――普通なら。
「お父様、お兄様。天井を持ち上げてくださいまし」
「おう、任せろ!」
父と兄が、天井の梁(はり)に手をかけ、スクワットの要領で腰を落とした。
「ヌオオオオオオッ!!」
メリメリメリメリッ……!!
凄まじい音が響く。 数千トンの重量がある王城の天井が、二人の筋力によって物理的に持ち上がっていく。 ギシギシと悲鳴を上げる建材。 パラパラと落ちてくる漆喰。
「殿下、床の傾きを修正しますわよ! あそこの沈んでいる部分を、下から押し上げてください!」
「む、無茶を言う……! だが、やるしかないか!」
ジークフリート殿下も苦笑しつつ、床下に潜り込み(正確には、下の階から天井を突く形で)、剣の腹を使ってテコの原理で床を押し上げた。
「せいッ!!」
バキィッ! ゴゴゴゴゴ……!
王城全体が生き物のように蠢く。 外で見ている市民たちは、城が踊っているように見えたことだろう。
「よし、今ですわ!」
天井が水平になった一瞬の隙を突き、私は柱を抱えて跳躍した。
「はあっ!!」
私は柱を、かつてあった穴に向かって叩き込んだ。 ガチンッ!!
上部の穴にはまった。 次は下部だ。
「……あら? 少し長さが足りませんわね?」
建物が歪んで伸びてしまったのか、それとも柱が縮んだのか、数十センチほど隙間が空いている。 これでは支えにならない。
「なら、伸ばせばいいんですわ!」
私は柱の中央部分を両手で掴み、魔力を流し込んだ。 イメージするのは、筋肉の伸長。ストレッチだ。
「んん~っ……伸びなさいッ!!」
ミシミシミシミシ……ッ!!
大理石の柱が、私の握力と魔力によって、飴細工のように引き伸ばされていく。 物理法則が泣いて謝る光景だが、ベルシュタイン家では常識だ。
「よし、ジャストサイズ!」
柱の下部が、床の穴にピッタリと収まった。
ドスンッ!!
その瞬間、王城全体の揺れがピタリと止まった。 父と兄が手を離しても、天井は落ちてこない。 床も水平を保っている。
「か、完成……?」
国王陛下がおそるおそる玉座に座ってみる。 滑り落ちない。 コーヒーカップを置いてみる。 こぼれない。
「直った……! 直ったぞぉぉぉ!」
陛下が万歳をする。 家臣たちが抱き合って喜ぶ。
だが、私の作業はまだ終わっていなかった。
「いえ、まだ仕上げが残っています」
私は柱の前に立ち、ペタペタと触れた。
「この柱は、元々結界の制御装置でしたわね。……でも、今のままではただの石柱です。魔力回路が断線していますわ」
第1話で私がへし折った際に、内部の魔術回路がズタズタになってしまったのだ。 これを修復するには、国一番の魔術師が数年がかりで儀式を行う必要がある……と、宮廷魔術師のマーリンが言っていた気がする。
「面倒くさいですわね。……ええい、新しい回路を刻んでしまえばいいんですわ」
私は右手の指先に、高密度の魔力を集中させた。 指先が青白く発光し、熱を帯びる。
「ベルシュタイン流・魔術刻印(タトゥー・カービング)!」
ギュイィィィィィィン!!
私は指先をドリルのように使い、柱の表面に猛烈な勢いで文字を刻み込んだ。 古代語? ルーン文字? いいえ、そんな複雑なものは知らない。 私が刻むのは、ベルシュタイン家に伝わる『家訓』だ。
『筋肉は裏切らない』 『力こそパワー』 『食べた分だけ強くなる』 『敵は物理で殴れ』
これらの力強い言葉(言霊)を、魔力を込めて刻み込むことで、新たな魔術回路を形成するのだ。 名付けて『マッスル・エンチャント』。
「ハッ! セイ! ヤーッ!」
数分後。 柱の表面には、荒々しくも力強い文字がびっしりと刻まれ、黄金色の光を放ち始めた。
ブォォォォォン……。
柱が脈動を始める。 そして、その波動は王城全体、さらには王都全域へと広がっていった。
パァァァァァッ!!
王都の上空に、巨大な光のドーム――結界が再展開された。 しかし、その色は以前のような淡く儚い青色ではない。 燃えるような赤と、輝く黄金色が混じり合った、見るからに攻撃的な『極厚結界』だ。
「な、なんだこの結界は……!?」
マーリンが腰を抜かす。 測定器の針が振り切れている。
「防御力……測定不能! 物理耐性SSS! 魔法耐性SSS! さらに、結界に触れた魔獣を自動的にカウンターで殴り飛ばす『迎撃機能』まで付与されています!」
「あら、便利でしょう? これで枕を高くして眠れますわ」
私は額の汗を拭い、満足げに頷いた。 少しデザインが「ゴリマッチョ」な雰囲気になってしまったが、機能性は抜群だ。
「……エレオノーラよ」
国王陛下が、震える声で私を呼んだ。
「は、はい」
「余の城が……魔王城より強そうになってしまったのだが……」
「お気になさらず。これからは『マッスル・キャッスル』として、観光名所にすればよろしいかと」
陛下は遠い目をして「マッスル……キャッスル……」と呟き、ガクリと項垂れた。 感謝されているのか、呆れられているのか分からないが、まあ結果オーライだ。
◇
その夜。 修復された王城の大広間(もちろん、床は水平だ)にて、盛大な祝勝晩餐会が開かれた。
シャンデリアが輝き、楽団が軽やかな音楽を奏でる。 並ぶ料理は、いつもの王宮料理のようなちまちましたものではなく、マッスル商会提供の「魔獣肉の丸焼き」や「大皿料理」がメインだ。 貴族たちも、最初は戸惑っていたが、一口食べればその美味さに虜になり、フォークとナイフを捨てて手づかみで肉を貪っていた。
私は、修復された柱の近くで、グラスを傾けていた。 中身はもちろん、特濃ミルクだ。
「お疲れ様、エレオノーラ」
ジークフリート殿下が、ワイングラスを持って隣に並んだ。 彼は正装に着替えており、その姿は絵本に出てくる王子様そのものだ。 まあ、中身は生粋のバトルマニアだが。
「殿下もお疲れ様でした。床下の作業、手際が良かったですわよ」
「はは、城を持ち上げるなんて経験、二度とできないだろうな。……しかし、驚いたよ。あの柱に刻んだ文字、あれは本気か?」
殿下が柱を見上げる。 そこには『筋肉は裏切らない』という文字が、神々しく輝いている。
「ええ。真理ですもの」
「違いない。……我が国にも導入しようかな。国境の壁に『力こそパワー』と刻めば、侵略者もビビって逃げ帰るかもしれん」
二人は顔を見合わせて笑った。
「そういえば……ジェラルドとミレーヌはどうなった?」
殿下がふと思い出したように聞く。
「ああ、彼らなら……」
私は窓の外、遠く北の方角を見た。
「今頃、ベルシュタイン領の鉱山で、ツルハシを振るっている頃ですわ。『夜勤』の時間ですから」
「……鬼だな」
「商会長とお呼びになって? 彼らには、働いた分だけ美味しいご飯と、健康的な筋肉を提供していますもの。ある意味、王族として生きるより幸せかもしれませんわよ?」
実際、ボブからの報告によれば、最初は泣き言ばかり言っていたジェラルドも、初めて自分で掘り当てた鉱石を換金し、その金で食べたカツ丼の味に感動して、「労働の喜び」に目覚めつつあるらしい。 ミレーヌに至っては、持ち前の要領の良さで鉱山労働者たちを束ね上げ、『姉御』と呼ばれているとか。 人間、置かれた場所で咲くものだ。
「さて……これで王国の憂いもなくなりました」
私はグラスの中身を飲み干した。
「明日からは、また忙しくなりますわよ。マッスル商会の世界進出、新商品の開発、そして……」
「そして?」
殿下が身を乗り出す。
「溜まりに溜まったスローライフの遅れを取り戻すことですわ! 畑も温泉も、まだまだやりたいことが沢山ありますの!」
私が目を輝かせて言うと、殿下は優しく微笑んだ。
「そうか。……なら、私も手伝わせてもらおうかな」
「え?」
「マッスル商会の『特別顧問』として、しばらくこの国に滞在することにしたんだ。親父殿(皇帝)にも許可は取ってある。『ベルシュタインの技術(と筋肉)を盗んでこい』と言われてな」
「あら、産業スパイ宣言ですか? 大胆ですこと」
「隠し事はなしだ。……それに、貴女のそばにいれば、退屈しなそうだしな」
殿下の手が、そっと私の手に重ねられた。 その体温が、心地よく伝わってくる。
「……人使いは荒いですわよ?」
「望むところだ」
私たちは見つめ合い、そして自然と笑みがこぼれた。 広間の中央では、父と国王陛下が肩を組んで踊り出し、兄がメイド長のマリアと談笑している。 平和で、騒がしくて、最高に幸せな夜。
私がへし折った柱は元に戻った。 でも、壊れた関係(王家との確執など)は、新しい形(ビジネスパートナー兼、債務者)で再構築された。 そして何より、私自身が、かつての「猫を被った令嬢」から、「ありのままの自分」を取り戻すことができた。
これこそが、本当の意味での「修復」だったのかもしれない。
私は輝く柱を見上げ、心の中で呟いた。
(ありがとう、柱さん。貴方のおかげで、素敵な人生になりましたわ)
柱が一瞬、ピカッと光った気がした。 『筋肉は裏切らない』の文字が、ウインクしたように見えたのは、きっと気のせいだろう。
さあ、宴はまだまだこれからだ。 私は新しいグラスを手に取り、高らかに宣言した。
「皆様! 今夜は無礼講ですわ! 飲み明かしましょう、マッスル!!」
「「「マッスル!!」」」
王城が揺れるほどの歓声と共に、夜は更けていった。
カンッ、カンッ、カンッ! ドガァァァン!
あちこちから、復興の槌音……にしては少々破壊的な音が響き渡っている。 半壊した市街地では、マッスル商会の店員たちと、ベルシュタイン領から駆けつけた屈強な民兵たちが、驚異的なスピードで瓦礫の撤去と建物の修復を行っていた。
「へい! そっちの壁、傾いてるぞ! 俺が支えてる間に釘を打て!」 「了解ッス! ……ふんぬッ!(素手で釘を押し込む)」 「おいおい、屋根の梁(はり)が足りないな。その辺のワイバーンの骨を使っとけ!」 「へい! 強度抜群ッス!」
彼らの手にかかれば、倒壊した家屋は数時間で元通り――いや、以前よりも無骨で頑丈な要塞のような家へと生まれ変わっていく。 王都の住民たちも、最初は呆気にとられていたが、今ではすっかり彼らに感化され、一緒に汗を流していた。
「さあ、休憩ですよ! マッスル商会特製『復興支援カレー』の配給です!」
広場では、巨大な鍋を囲んで炊き出しが行われている。 具材はもちろん、先日討伐された魔獣たちの肉と、ベルシュタイン産の巨大野菜だ。 スパイシーな香りが、疲れた人々の食欲と活力を刺激する。
「うめぇ! このカレー、食べると疲れが吹き飛ぶぞ!」 「ありがとう、エレオノーラ様! マッスル商会万歳!」
市民たちの顔には、もはや悲壮感はない。 自分の手で、自分の街を立て直すという希望の光が宿っていた。
◇
そんな復興の様子を、私は王城のテラスから眺めていた。 手には、もちろん冷えた牛乳瓶を持っている。
「ふふっ、いい眺めですわ。人間、働き、食べ、そして眠る。これぞ健全な営みです」
私は牛乳を飲み干し、満足げに息をついた。
「お嬢様、ご機嫌麗しゅうございます」
背後から、セバスチャンが声をかけてきた。 彼は相変わらず塵一つない燕尾服姿で、恭しく一礼する。
「本日のスケジュールですが、午前中に商業ギルドとの打ち合わせ、午後はマッスル銀行(仮)の設立準備、そして夜はドラグノフ帝国との祝勝晩餐会となっております」
「忙しいわね。スローライフはどうなったのかしら?」
「お嬢様が動く限り、スローライフは『音速』で過ぎ去っていくかと」
「うまいこと言うわね」
私は苦笑した。 確かに、王都に戻ってきてからというもの、私の周りは常に嵐のようだ。 でも、それも悪くない。 私が動くことで、みんなが笑顔になり、美味しいご飯が食べられるなら、少々の忙しさはスパイスのようなものだ。
「ですがその前に、一つ片付けなければならない大仕事がありますわ」
私はテラスの手すりに寄りかかり、背後の建物――王城を見上げた。
王城アルカディア。 かつては白亜の美しさを誇ったこの城も、今は見るも無残な姿になっていた。 第1話で私が柱を引っこ抜いたせいで傾き、その後の魔獣の襲撃や、ミレーヌの爆破未遂(窓が吹き飛んだ)、そして私の「柱バット」による衝撃などで、あちこちに亀裂が入り、今にも崩壊しそうな状態だ。 廊下を歩くには登山靴が必要で、玉座の間は滑り台のようになっている。
「このままでは、国王陛下も安心して公務ができませんわ。それに、私の商会の『本店所在地』が廃墟だなんて、ブランドイメージに関わります」
「左様でございますな。……して、いかがなさいますか? 建て替えるとなると、数年はかかりますが」
「いいえ。修理(リペア)しますわ」
私は腕まくりをした。
「ベルシュタイン流のやり方で、ね」
◇
数十分後。 王城の正面玄関前には、国王アルカディア三世をはじめ、宰相や大臣たち、そして私の父と兄、ジークフリート殿下が集まっていた。
「エレオノーラよ……本当に直せるのか? このボロ屋敷を」
国王陛下は、やつれた顔で私に尋ねた。 彼はこの数日の心労で、一気に十年は老け込んだように見える。 息子のジェラルド王子が引き起こした不祥事、聖女の裏切り、そして国難。 全てが終わった今、彼に残されたのは、傾いた城と、莫大な借金(マッスル商会への)だけだった。
「ご安心ください、陛下。私の辞書に『手遅れ』という言葉はありません。あるのは『力技』だけです」
私は自信たっぷりに胸を張った。
「まずは、あの『柱』を回収しなければなりませんわね」
私が指差したのは、王城前の広場に深々と突き刺さっている、巨大な大理石の柱だ。 第15話で、父バルバロスが空から投下し、魔獣の群れを壊滅させた、あの「王宮の柱」である。 今や、王都を救った『救国の聖柱』として、市民たちが花を供えたり、拝んだりする観光スポットになりかけていた。
「あれを抜くのか? ……数百トンはあるぞ。それに、地面に十メートルは埋まっている」
ジークフリート殿下が、柱を見上げて腕組みをする。
「ええ。普通の重機では無理でしょうね。でも……」
私は父と兄を振り返った。
「ベルシュタイン家の人間が三人いれば、抜けないものなどありませんわ。ねえ、お父様?」
「ガハハ! 違いない! 大根引きの要領だな!」
父が豪快に笑い、兄もニヤリと頷く。 私たちは柱の周りに配置についた。 見守る市民たちが、固唾を飲んで注目する。
「せーのっ!」
ズズズズズズズ……ッ!!
三人が同時に力を込めると、大地が悲鳴を上げた。 広場の石畳が波打ち、亀裂が走る。
「ぬんッ!!」
ズポォォォォォォォンッ!!
凄まじい音と共に、全長二十メートル近い巨大な柱が、スポーンと勢いよく引き抜かれた。 土砂が噴水のように舞い上がる。
「抜けたぞぉぉぉ!」 「すげぇ! 人間起重機だ!」
市民たちから歓声と拍手が巻き起こる。 私は柱を肩に担ぎ、埃を払った。
「ふぅ。いい運動になりましたわ。……少し曲がってますけれど、まあ誤差の範囲内ですわね」
投下時の衝撃で若干「く」の字に曲がっているが、叩けば直るだろう。
「さあ、これを元の場所――『謁見の間』に戻しますわよ!」
私たちは柱を担ぎ、王城の中へと進んでいった。 入り口の扉は狭すぎて通らないので、父が「お邪魔するぞ!」と体当たりで壁ごと粉砕して入り口を拡張した。 国王陛下が「ああ、余の城が……」と涙目になっていたが、リフォームには多少の犠牲が必要なのだ。
◇
謁見の間。 ここは城内で最も被害が大きかった場所だ。 天井は落ちかけ、床は三十度ほど傾いている。 かつて私が柱を引っこ抜いた「穴」は、そのまま空洞になっており、そこから隙間風が吹き込んでいた。
「さて、ここからが本番ですわ」
私は柱を床に下ろし(ズシン!)、現状を確認した。 建物全体が歪んでいるため、単に柱を戻すだけでは直らない。 傾いた天井を持ち上げ、歪んだ床を水平に戻し、その状態で柱を嵌め込む必要がある。 高度な建築技術と、精密な計算が必要な作業だ。
――普通なら。
「お父様、お兄様。天井を持ち上げてくださいまし」
「おう、任せろ!」
父と兄が、天井の梁(はり)に手をかけ、スクワットの要領で腰を落とした。
「ヌオオオオオオッ!!」
メリメリメリメリッ……!!
凄まじい音が響く。 数千トンの重量がある王城の天井が、二人の筋力によって物理的に持ち上がっていく。 ギシギシと悲鳴を上げる建材。 パラパラと落ちてくる漆喰。
「殿下、床の傾きを修正しますわよ! あそこの沈んでいる部分を、下から押し上げてください!」
「む、無茶を言う……! だが、やるしかないか!」
ジークフリート殿下も苦笑しつつ、床下に潜り込み(正確には、下の階から天井を突く形で)、剣の腹を使ってテコの原理で床を押し上げた。
「せいッ!!」
バキィッ! ゴゴゴゴゴ……!
王城全体が生き物のように蠢く。 外で見ている市民たちは、城が踊っているように見えたことだろう。
「よし、今ですわ!」
天井が水平になった一瞬の隙を突き、私は柱を抱えて跳躍した。
「はあっ!!」
私は柱を、かつてあった穴に向かって叩き込んだ。 ガチンッ!!
上部の穴にはまった。 次は下部だ。
「……あら? 少し長さが足りませんわね?」
建物が歪んで伸びてしまったのか、それとも柱が縮んだのか、数十センチほど隙間が空いている。 これでは支えにならない。
「なら、伸ばせばいいんですわ!」
私は柱の中央部分を両手で掴み、魔力を流し込んだ。 イメージするのは、筋肉の伸長。ストレッチだ。
「んん~っ……伸びなさいッ!!」
ミシミシミシミシ……ッ!!
大理石の柱が、私の握力と魔力によって、飴細工のように引き伸ばされていく。 物理法則が泣いて謝る光景だが、ベルシュタイン家では常識だ。
「よし、ジャストサイズ!」
柱の下部が、床の穴にピッタリと収まった。
ドスンッ!!
その瞬間、王城全体の揺れがピタリと止まった。 父と兄が手を離しても、天井は落ちてこない。 床も水平を保っている。
「か、完成……?」
国王陛下がおそるおそる玉座に座ってみる。 滑り落ちない。 コーヒーカップを置いてみる。 こぼれない。
「直った……! 直ったぞぉぉぉ!」
陛下が万歳をする。 家臣たちが抱き合って喜ぶ。
だが、私の作業はまだ終わっていなかった。
「いえ、まだ仕上げが残っています」
私は柱の前に立ち、ペタペタと触れた。
「この柱は、元々結界の制御装置でしたわね。……でも、今のままではただの石柱です。魔力回路が断線していますわ」
第1話で私がへし折った際に、内部の魔術回路がズタズタになってしまったのだ。 これを修復するには、国一番の魔術師が数年がかりで儀式を行う必要がある……と、宮廷魔術師のマーリンが言っていた気がする。
「面倒くさいですわね。……ええい、新しい回路を刻んでしまえばいいんですわ」
私は右手の指先に、高密度の魔力を集中させた。 指先が青白く発光し、熱を帯びる。
「ベルシュタイン流・魔術刻印(タトゥー・カービング)!」
ギュイィィィィィィン!!
私は指先をドリルのように使い、柱の表面に猛烈な勢いで文字を刻み込んだ。 古代語? ルーン文字? いいえ、そんな複雑なものは知らない。 私が刻むのは、ベルシュタイン家に伝わる『家訓』だ。
『筋肉は裏切らない』 『力こそパワー』 『食べた分だけ強くなる』 『敵は物理で殴れ』
これらの力強い言葉(言霊)を、魔力を込めて刻み込むことで、新たな魔術回路を形成するのだ。 名付けて『マッスル・エンチャント』。
「ハッ! セイ! ヤーッ!」
数分後。 柱の表面には、荒々しくも力強い文字がびっしりと刻まれ、黄金色の光を放ち始めた。
ブォォォォォン……。
柱が脈動を始める。 そして、その波動は王城全体、さらには王都全域へと広がっていった。
パァァァァァッ!!
王都の上空に、巨大な光のドーム――結界が再展開された。 しかし、その色は以前のような淡く儚い青色ではない。 燃えるような赤と、輝く黄金色が混じり合った、見るからに攻撃的な『極厚結界』だ。
「な、なんだこの結界は……!?」
マーリンが腰を抜かす。 測定器の針が振り切れている。
「防御力……測定不能! 物理耐性SSS! 魔法耐性SSS! さらに、結界に触れた魔獣を自動的にカウンターで殴り飛ばす『迎撃機能』まで付与されています!」
「あら、便利でしょう? これで枕を高くして眠れますわ」
私は額の汗を拭い、満足げに頷いた。 少しデザインが「ゴリマッチョ」な雰囲気になってしまったが、機能性は抜群だ。
「……エレオノーラよ」
国王陛下が、震える声で私を呼んだ。
「は、はい」
「余の城が……魔王城より強そうになってしまったのだが……」
「お気になさらず。これからは『マッスル・キャッスル』として、観光名所にすればよろしいかと」
陛下は遠い目をして「マッスル……キャッスル……」と呟き、ガクリと項垂れた。 感謝されているのか、呆れられているのか分からないが、まあ結果オーライだ。
◇
その夜。 修復された王城の大広間(もちろん、床は水平だ)にて、盛大な祝勝晩餐会が開かれた。
シャンデリアが輝き、楽団が軽やかな音楽を奏でる。 並ぶ料理は、いつもの王宮料理のようなちまちましたものではなく、マッスル商会提供の「魔獣肉の丸焼き」や「大皿料理」がメインだ。 貴族たちも、最初は戸惑っていたが、一口食べればその美味さに虜になり、フォークとナイフを捨てて手づかみで肉を貪っていた。
私は、修復された柱の近くで、グラスを傾けていた。 中身はもちろん、特濃ミルクだ。
「お疲れ様、エレオノーラ」
ジークフリート殿下が、ワイングラスを持って隣に並んだ。 彼は正装に着替えており、その姿は絵本に出てくる王子様そのものだ。 まあ、中身は生粋のバトルマニアだが。
「殿下もお疲れ様でした。床下の作業、手際が良かったですわよ」
「はは、城を持ち上げるなんて経験、二度とできないだろうな。……しかし、驚いたよ。あの柱に刻んだ文字、あれは本気か?」
殿下が柱を見上げる。 そこには『筋肉は裏切らない』という文字が、神々しく輝いている。
「ええ。真理ですもの」
「違いない。……我が国にも導入しようかな。国境の壁に『力こそパワー』と刻めば、侵略者もビビって逃げ帰るかもしれん」
二人は顔を見合わせて笑った。
「そういえば……ジェラルドとミレーヌはどうなった?」
殿下がふと思い出したように聞く。
「ああ、彼らなら……」
私は窓の外、遠く北の方角を見た。
「今頃、ベルシュタイン領の鉱山で、ツルハシを振るっている頃ですわ。『夜勤』の時間ですから」
「……鬼だな」
「商会長とお呼びになって? 彼らには、働いた分だけ美味しいご飯と、健康的な筋肉を提供していますもの。ある意味、王族として生きるより幸せかもしれませんわよ?」
実際、ボブからの報告によれば、最初は泣き言ばかり言っていたジェラルドも、初めて自分で掘り当てた鉱石を換金し、その金で食べたカツ丼の味に感動して、「労働の喜び」に目覚めつつあるらしい。 ミレーヌに至っては、持ち前の要領の良さで鉱山労働者たちを束ね上げ、『姉御』と呼ばれているとか。 人間、置かれた場所で咲くものだ。
「さて……これで王国の憂いもなくなりました」
私はグラスの中身を飲み干した。
「明日からは、また忙しくなりますわよ。マッスル商会の世界進出、新商品の開発、そして……」
「そして?」
殿下が身を乗り出す。
「溜まりに溜まったスローライフの遅れを取り戻すことですわ! 畑も温泉も、まだまだやりたいことが沢山ありますの!」
私が目を輝かせて言うと、殿下は優しく微笑んだ。
「そうか。……なら、私も手伝わせてもらおうかな」
「え?」
「マッスル商会の『特別顧問』として、しばらくこの国に滞在することにしたんだ。親父殿(皇帝)にも許可は取ってある。『ベルシュタインの技術(と筋肉)を盗んでこい』と言われてな」
「あら、産業スパイ宣言ですか? 大胆ですこと」
「隠し事はなしだ。……それに、貴女のそばにいれば、退屈しなそうだしな」
殿下の手が、そっと私の手に重ねられた。 その体温が、心地よく伝わってくる。
「……人使いは荒いですわよ?」
「望むところだ」
私たちは見つめ合い、そして自然と笑みがこぼれた。 広間の中央では、父と国王陛下が肩を組んで踊り出し、兄がメイド長のマリアと談笑している。 平和で、騒がしくて、最高に幸せな夜。
私がへし折った柱は元に戻った。 でも、壊れた関係(王家との確執など)は、新しい形(ビジネスパートナー兼、債務者)で再構築された。 そして何より、私自身が、かつての「猫を被った令嬢」から、「ありのままの自分」を取り戻すことができた。
これこそが、本当の意味での「修復」だったのかもしれない。
私は輝く柱を見上げ、心の中で呟いた。
(ありがとう、柱さん。貴方のおかげで、素敵な人生になりましたわ)
柱が一瞬、ピカッと光った気がした。 『筋肉は裏切らない』の文字が、ウインクしたように見えたのは、きっと気のせいだろう。
さあ、宴はまだまだこれからだ。 私は新しいグラスを手に取り、高らかに宣言した。
「皆様! 今夜は無礼講ですわ! 飲み明かしましょう、マッスル!!」
「「「マッスル!!」」」
王城が揺れるほどの歓声と共に、夜は更けていった。
90
あなたにおすすめの小説
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
追放先の辺境で前世の農業知識を思い出した悪役令嬢、奇跡の果実で大逆転。いつの間にか世界経済の中心になっていました。
緋村ルナ
ファンタジー
「お前のような女は王妃にふさわしくない!」――才色兼備でありながら“冷酷な野心家”のレッテルを貼られ、無能な王太子から婚約破棄されたアメリア。国外追放の末にたどり着いたのは、痩せた土地が広がる辺境の村だった。しかし、そこで彼女が見つけた一つの奇妙な種が、運命を、そして世界を根底から覆す。
前世である農業研究員の知識を武器に、新種の果物「ヴェリーナ」を誕生させたアメリア。それは甘美な味だけでなく、世界経済を揺るがすほどの価値を秘めていた。
これは、一人の追放された令嬢が、たった一つの果実で自らの運命を切り開き、かつて自分を捨てた者たちに痛快なリベンジを果たし、やがて世界の覇権を握るまでの物語。「食」と「経済」で世界を変える、壮大な逆転ファンタジー、開幕!
離婚と追放された悪役令嬢ですが、前世の農業知識で辺境の村を大改革!気づいた元夫が後悔の涙を流しても、隣国の王子様と幸せになります
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リセラは、夫である王子ルドルフから突然の離婚を宣告される。理由は、異世界から現れた聖女セリーナへの愛。前世が農業大学の学生だった記憶を持つリセラは、ゲームのシナリオ通り悪役令嬢として処刑される運命を回避し、慰謝料として手に入れた辺境の荒れ地で第二の人生をスタートさせる!
前世の知識を活かした農業改革で、貧しい村はみるみる豊かに。美味しい作物と加工品は評判を呼び、やがて隣国の知的な王子アレクサンダーの目にも留まる。
「君の作る未来を、そばで見ていたい」――穏やかで誠実な彼に惹かれていくリセラ。
一方、リセラを捨てた元夫は彼女の成功を耳にし、後悔の念に駆られ始めるが……?
これは、捨てられた悪役令嬢が、農業で華麗に成り上がり、真実の愛と幸せを掴む、痛快サクセス・ラブストーリー!
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
婚約者として五年間尽くしたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
「偽物の聖女は要らない」と追放された私、隣国で本物の奇跡を起こしたら元の国が滅びかけていた件
歩人
ファンタジー
聖女リーゼロッテは、王太子カールに「お前の加護は偽物だ」と断じられ、
婚約を破棄された。代わりに聖女の座に就いたのは、愛らしく微笑む男爵令嬢エルゼ。
追放されたリーゼロッテが隣国に辿り着いたとき、その地は疫病に苦しんでいた。
彼女が祈ると、枯れた泉が蘇り、病は癒え、荒野に花が咲いた。
——本物の聖女の力が、ようやく枷を外されて目覚めたのだ。
一方、リーゼロッテを失った王国では結界が綻び始め、魔物が溢れ出す。
カールは今さら「戻ってくれ」と使者を送るが、リーゼロッテの隣には、
彼女の力を最初から信じていた隣国の若き王がいた。
「あの国に戻る理由が、もう一つもないのです」
「冷酷で理屈っぽい」と捨てられましたが、この国を影から支えていたの、実は私なんです
水上
恋愛
【全7話完結】
「冷酷で理屈っぽい」
そう断じられ婚約破棄されたヴィオラ。
しかし、追放先の辺境で、その知識を用いて泥沼の街道を舗装し、極上のチーズや保湿クリームを開発して大活躍!
一方、彼女を捨てたことで、王都では様々な問題が発生する。
馬車が揺れを制御できなくなり、隣国の大使が王都で嘔吐。
それが外交問題に発展して……。
追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される
黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」
無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!?
自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。
窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる