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第10話:月夜の告白と、絶望の呪い
祭りの喧騒を後にし、私たちは静かな夜道を、城へと向かって歩いていた。
あれほど賑やかだった音楽もざわめきも、今はもう遠い。
聞こえるのは、草むらで鳴く虫の声と、私たちの間に漂う、重苦しい沈黙だけ。
先ほどの出来事が、冷たい楔のように、私たちの間に打ち込まれていた。
アレクシス様は、私の少し前を、顔を伏せるようにして歩いている。
月明かりに照らされたその背中が、ひどく寂しそうに、そして小さく見えた。
まるで、傷ついた獣が、必死に痛みを堪えているかのようだ。
(何か、言わなきゃ……)
(でも、どんな言葉をかければいいの……?)
彼の苦悩の根源に触れるのが、怖かった。
知ってはいけない領域に、踏み込んでしまうような気がして。
やがて、城が見える丘の上まで来た時、彼が不意に、ぴたりと立ち止まった。
そして、夜空に浮かぶ、満月を見上げるようにして、静かに口を開いた。
「……リリアーナ」
「……はい」
「君に、話しておかなければならないことがある」
彼の声は、ひどく落ち着いていて、凪いだ湖面のようだった。
それが逆に、私の胸を激しくざわつかせた。
まるで、これから何か、とてつもなく重い告白をする人の声だったから。
私はゴクリと唾を飲み込み、彼の次の言葉を待った。
彼はゆっくりと、本当にゆっくりと、私の方へ振り返る。
銀色の月光を浴びた彼の顔は、まるで精緻な彫刻のように美しく、そして、この世のものとは思えないほど、深い哀しみを湛えていた。
「私が……人々から『氷の公爵』と呼ばれている理由は知っているか?」
「それは……人を寄せ付けない、冷たい雰囲気だから、と……王都では、そう……」
「それもある。だが、本当の理由は違う」
彼は自嘲するように、ふっと、力なく笑った。
その笑みは、見ているこちらの胸が、締め付けられるほど痛々しかった。
「私には、呪いがかけられている。ヴァインベルクの次期当主にのみ発現する、古からの、忌まわしい呪いだ」
やっぱり……。
私が図書室で、必死に探していた、その答え。
彼自身の口から、今、それが語られようとしている。
「毎夜、私を苛むあの苦痛も、その呪いによるものだ。だが、それすらも、呪いの本質ではない。本当の恐ろしさは……別にある」
彼は一度、言葉を切り、そして、私から目を逸らさないように、その哀しげな瞳で、まっすぐに見つめて言った。
その蒼い瞳は、深い、深い、光の届かない絶望の淵の色をしていた。
「——私は、愛する者に、素手で触れることができない」
「え……?」
「もし触れてしまえば……その相手の生命力を、この身が尽きるまで、際限なく吸い取り続けてしまう。……つまり、殺してしまうんだ」
その告白は、あまりにも衝撃的で。
私の頭は、一瞬、完全に真っ白になった。
呼吸の仕方も、忘れてしまったかのようだった。
愛する者に、触れられない。
触れたら、殺してしまう。
なんて、残酷な……。
なんて、絶望的な呪いなんだろう。
ようやく、全てが繋がった。
彼が、どんな時も決して手袋を外さなかった理由。
私に触れようとして、いつも、いつも、苦しげに寸前で手を引っ込めていた理由。
あの夜、地獄の苦しみの中ですら、私に「近づくな」と、悲痛に叫んだ理由。
それは全て、私を傷つけないため。
私を、守るためだったんだ。
彼の優しさは、いつだって、私を傷つけないための、必死の行動だったんだ。
「君がこの領地に来てから、不思議と、呪いの苦痛が和らぐ時がある。君の持つその生命の力が、無意識のうちに呪いを抑制しているのかもしれない。……だから、私は、愚かにも、君を手放したくなくなった」
彼の声が、震えている。
必死に、感情を押し殺しているのが分かった。
「だが、それは同時に、地獄でもある。君がそばにいればいるほど、私は……君に、触れたくなる。その温もりを、確かめたくなる。……この手で、君を壊してしまいかねないほどの、おぞましい衝動に駆られるんだ」
彼の告白は、魂からの、悲痛な叫びだった。
愛しているからこそ、近づけない。
愛しているからこそ、傷つけてしまうかもしれない恐怖に、彼はたった一人で、ずっと耐えてきたのだ。
「すまない……こんな話をするつもりは、なかったんだが……君の優しさに、甘えてしまった……」
彼はそう言って、ついに、片手で顔を覆った。
その指の隙間から、押し殺したような、嗚咽が漏れた。
氷の公爵が、泣いている。
私のために、泣いてくれている。
涙が、私の頬を止めどなく流れていた。
悲しいとか、怖いとか、そんな単純な感情じゃない。
彼の孤独と、その計り知れない痛みを思って、胸が張り裂けそうだった。
苦しくて、苦しくて、息ができない。
私は、無意識のうちに、一歩、彼へと踏み出していた。
この人を、一人になんてしておけない。
たとえ触れることができなくても、そばにいたい。
あなたの痛みを、半分だけでも、私に分けてほしい。
「アレクシス様……」
私が彼の名前を呼んだ、その時だった。
「——見つけたぞ、偽聖女!」
甲高い、耳障りな声が、夜の静寂を無慈悲に切り裂いた。
茂みの中から、複数の人影が、ざざっ、と躍り出る。
彼らが手にしているのは、月光を鈍く反射する、抜身の剣。
その切っ先は、まっすぐに、私に向けられていた。
そして、その中心に立っていたのは——。
王都で私を陥れた、あの女。
本物の聖女、イザベラだった。
「なぜ、あなたがここに……!?」
絶望的な呪いの告白の直後に訪れた、最悪の再会。
イザベラの歪んだ、嘲るような笑みが、月明かりの下で、不気味に、禍々しく煌めいていた。
あれほど賑やかだった音楽もざわめきも、今はもう遠い。
聞こえるのは、草むらで鳴く虫の声と、私たちの間に漂う、重苦しい沈黙だけ。
先ほどの出来事が、冷たい楔のように、私たちの間に打ち込まれていた。
アレクシス様は、私の少し前を、顔を伏せるようにして歩いている。
月明かりに照らされたその背中が、ひどく寂しそうに、そして小さく見えた。
まるで、傷ついた獣が、必死に痛みを堪えているかのようだ。
(何か、言わなきゃ……)
(でも、どんな言葉をかければいいの……?)
彼の苦悩の根源に触れるのが、怖かった。
知ってはいけない領域に、踏み込んでしまうような気がして。
やがて、城が見える丘の上まで来た時、彼が不意に、ぴたりと立ち止まった。
そして、夜空に浮かぶ、満月を見上げるようにして、静かに口を開いた。
「……リリアーナ」
「……はい」
「君に、話しておかなければならないことがある」
彼の声は、ひどく落ち着いていて、凪いだ湖面のようだった。
それが逆に、私の胸を激しくざわつかせた。
まるで、これから何か、とてつもなく重い告白をする人の声だったから。
私はゴクリと唾を飲み込み、彼の次の言葉を待った。
彼はゆっくりと、本当にゆっくりと、私の方へ振り返る。
銀色の月光を浴びた彼の顔は、まるで精緻な彫刻のように美しく、そして、この世のものとは思えないほど、深い哀しみを湛えていた。
「私が……人々から『氷の公爵』と呼ばれている理由は知っているか?」
「それは……人を寄せ付けない、冷たい雰囲気だから、と……王都では、そう……」
「それもある。だが、本当の理由は違う」
彼は自嘲するように、ふっと、力なく笑った。
その笑みは、見ているこちらの胸が、締め付けられるほど痛々しかった。
「私には、呪いがかけられている。ヴァインベルクの次期当主にのみ発現する、古からの、忌まわしい呪いだ」
やっぱり……。
私が図書室で、必死に探していた、その答え。
彼自身の口から、今、それが語られようとしている。
「毎夜、私を苛むあの苦痛も、その呪いによるものだ。だが、それすらも、呪いの本質ではない。本当の恐ろしさは……別にある」
彼は一度、言葉を切り、そして、私から目を逸らさないように、その哀しげな瞳で、まっすぐに見つめて言った。
その蒼い瞳は、深い、深い、光の届かない絶望の淵の色をしていた。
「——私は、愛する者に、素手で触れることができない」
「え……?」
「もし触れてしまえば……その相手の生命力を、この身が尽きるまで、際限なく吸い取り続けてしまう。……つまり、殺してしまうんだ」
その告白は、あまりにも衝撃的で。
私の頭は、一瞬、完全に真っ白になった。
呼吸の仕方も、忘れてしまったかのようだった。
愛する者に、触れられない。
触れたら、殺してしまう。
なんて、残酷な……。
なんて、絶望的な呪いなんだろう。
ようやく、全てが繋がった。
彼が、どんな時も決して手袋を外さなかった理由。
私に触れようとして、いつも、いつも、苦しげに寸前で手を引っ込めていた理由。
あの夜、地獄の苦しみの中ですら、私に「近づくな」と、悲痛に叫んだ理由。
それは全て、私を傷つけないため。
私を、守るためだったんだ。
彼の優しさは、いつだって、私を傷つけないための、必死の行動だったんだ。
「君がこの領地に来てから、不思議と、呪いの苦痛が和らぐ時がある。君の持つその生命の力が、無意識のうちに呪いを抑制しているのかもしれない。……だから、私は、愚かにも、君を手放したくなくなった」
彼の声が、震えている。
必死に、感情を押し殺しているのが分かった。
「だが、それは同時に、地獄でもある。君がそばにいればいるほど、私は……君に、触れたくなる。その温もりを、確かめたくなる。……この手で、君を壊してしまいかねないほどの、おぞましい衝動に駆られるんだ」
彼の告白は、魂からの、悲痛な叫びだった。
愛しているからこそ、近づけない。
愛しているからこそ、傷つけてしまうかもしれない恐怖に、彼はたった一人で、ずっと耐えてきたのだ。
「すまない……こんな話をするつもりは、なかったんだが……君の優しさに、甘えてしまった……」
彼はそう言って、ついに、片手で顔を覆った。
その指の隙間から、押し殺したような、嗚咽が漏れた。
氷の公爵が、泣いている。
私のために、泣いてくれている。
涙が、私の頬を止めどなく流れていた。
悲しいとか、怖いとか、そんな単純な感情じゃない。
彼の孤独と、その計り知れない痛みを思って、胸が張り裂けそうだった。
苦しくて、苦しくて、息ができない。
私は、無意識のうちに、一歩、彼へと踏み出していた。
この人を、一人になんてしておけない。
たとえ触れることができなくても、そばにいたい。
あなたの痛みを、半分だけでも、私に分けてほしい。
「アレクシス様……」
私が彼の名前を呼んだ、その時だった。
「——見つけたぞ、偽聖女!」
甲高い、耳障りな声が、夜の静寂を無慈悲に切り裂いた。
茂みの中から、複数の人影が、ざざっ、と躍り出る。
彼らが手にしているのは、月光を鈍く反射する、抜身の剣。
その切っ先は、まっすぐに、私に向けられていた。
そして、その中心に立っていたのは——。
王都で私を陥れた、あの女。
本物の聖女、イザベラだった。
「なぜ、あなたがここに……!?」
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