偽聖女と蔑まれた私、冷酷と噂の氷の公爵様に「見つけ出した、私の運命」と囚われました 〜荒れ果てた領地を力で満たしたら、とろけるほど溺愛されて

放浪人

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第23話:剥がれる化けの皮と、偽りの光

私がイザベラに近づくにつれて、彼女の様子が、明らかにおかしくなっていった。

「くっ……な、なによ、これ……身体が、熱い……!」

彼女は胸を押さえ、苦しげに顔を歪めている。
その美しい額には、脂汗が、玉のように滲んでいた。

私の放つ、純粋な生命の光。
それは、生命あるものを育み、癒す、慈愛の力。
しかし、その光は、同時に、異質なもの、偽りのものを、決して許しはしない。
聖なる光は、不浄な闇を、容赦なく炙り出す鏡でもあるのだ。

「あなたのその力……どこか、歪んでいるようですね」

私が静かに告げると、イザベラは「な、何を馬鹿なことを!」と激昂した。

「わたくしのこの力こそ、神に与えられた真の聖女の力! あなたのような紛い物とは違う!」

彼女はそう叫ぶと、両手を前に突き出し、自身の力——治癒の光を、私に向かって放とうとした。
しかし。

「——あ……がっ……!? な、でない……!?」

彼女の手のひらから放たれたのは、いつものような温かく、神々しい黄金の光ではなかった。

それは、黒い靄のようなものが混じった、禍々しく、淀んだ、見るからに不浄な光。
そして、その偽りの光は、私の放つエメラルドグリーンの光に触れた瞬間、まるで水と油のように激しく反発し、バチチッ!と音を立てて、哀れなほどあっけなく霧散してしまった。

「う、そ……なんで……!? わたくしの力が……わたくしの聖なる力が……!」

イザベラは、信じられないという顔で、自分の手を見つめている。
そして、拒絶反応は、彼女の体内で、さらに激しくなっていた。

「ああ……あああああっ! 身体が……身体が、言うことを……!」

彼女はついに、その場に膝から崩れ落ちた。
そして、その身体から、今度は、紛れもない***黒いオーラ***が、陽炎のように、ゆらゆらと立ち上り始める。

それは、生命の光とは真逆の。
死と、破滅と、絶望を連想させる、邪悪な魔力だった。

「イザベラ……!?」
王太子が、狼狽して彼女に駆け寄ろうとする。
しかし、彼女から放たれる、おぞましいほどの邪気に、思わず足を止めた。

「そ、その力は……ま、まさか、魔族……!?」

騎士の一人が、恐怖に震える声で叫んだ。

そうだ。
彼女の力の源泉は、神ではなかった。
この国と敵対する、闇の種族——魔族から与えられた、偽りの力だったのだ。

彼女は、魔族と契約し、その力を借りることで、「本物の聖女」として君臨していた。
そして、いずれは王太子を傀儡とし、この国を内側から魔族に売り渡すつもりだったのだろう。

しかし、私の純粋すぎる生命の力が、彼女の内に潜む邪な魔力を暴走させ、その化けの皮を、容赦なく、一枚残らず剥がし取ってしまったのだ。

「ち、違う……! 違うわ……! 私は、聖女よ……! 魔族なのは、こいつの方よ! そうよ、こいつが悪魔なのよ!」

イザベラは、もはや正気を失いかけていた。
美しく整っていた顔は憎悪に歪み、私を指差して、支離滅裂な言葉を、獣のように叫び続ける。

その醜い姿は、もはや聖女とは程遠い、一匹の哀れな悪鬼のようだった。
王太子は、愛した女の変わり果てた姿に、ただ立ち尽くすばかり。
その顔は、恐怖と、絶望と、そして、騙されていた自分への愚かさで、真っ青になっていた。

私の力の覚醒が、思いがけない形で、この国の深い、深い場所に巣食っていた闇を、白日の下に晒し始めていた。
断罪の舞台は、整いつつあった。
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