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第26話:解けた呪いと、絆の奇跡
アレクシス様の、素肌の指先が、私の頬に触れている。
そこから伝わってくるのは、呪いの冷気などではなく、ただ、優しく、温かい彼の肌の感触だけ。
忘れていた、人肌の温もりだった。
「……どうして……? 呪いは……」
私の口から、疑問の言葉が、震えながらこぼれる。
愛する者に触れると、生命力を奪ってしまう、あの忌まわしいヴァインベルクの呪いは、どうなったというの?
彼は、私の疑問を見透かしたように、その蒼い瞳を、愛おしげに、とろけるように細めた。
「君の光が、私を救ってくれたんだ、リリアーナ」
「私の、光が……?」
「ああ。君が王都へ連れて行かれたあの日から、俺の呪いの苦痛は、日に日に酷くなっていった。君という光を失い、この身も、領地も、少しずつ元の死の世界に戻り始めていたからな。……だが」
彼は一度、言葉を切る。
そして、私の頬に触れる彼の指先に、慈しむように、力がこもった。
「昨夜、君が送ってくれた光が、俺に届いた。あの温かい光は、俺の体内に巣食っていた呪いの根源を、優しく溶かし、浄化してくれたんだ。……まるで、何百年も凍りついていたものが、春の暖かな日差しで、音もなく解けるように」
彼の言葉に、私は息を呑んだ。
あの時、私が彼に届けと願った想いは、本当に届いて、そして、こんな奇跡まで起こしてくれていたのだ。
私の覚醒した生命の力が、空間を超えて、彼の呪いを癒していた。
「もう、何も恐れることはない」
アレクシス様は、そう言って、はっきりと微笑んだ。
私がずっと、ずっと見たいと願っていた、氷の仮面ではない、彼の心からの、本当の笑顔。
その破壊力は、凄まじかった。
私の心臓は、喜びと、愛しさと、幸福感で、はち切れそうになっていた。
この、信じられない奇跡の光景を、儀式場にいた誰もが、固唾を飲んで見守っていた。
「呪いが……解けた、だと……? ヴァインベルクの、あの不治の呪いが……?」
国王が、呆然と呟く。
ヴァインベルク家に代々伝わる、誰も解くことのできなかった絶望の呪い。
それを、この偽聖女と蔑まれた少女が、いとも容易く、遠く離れた場所から解いてしまった。
その事実が、彼らの常識を、価値観を、根底から覆していた。
「そんな……馬鹿な……ありえない……」
王太子は、腰が抜けたようにその場にへたり込み、ただぶつぶつと、虚ろな目で何かを呟いている。
愛した女は魔族と通じた悪女で、蔑んでいた少女は神のごとき力を持つ本物の聖女。
そして、その少女は、自分が最も敵に回してはいけない公爵の、唯一無二の想い人。
彼が犯した過ちの大きさに、その取り返しのつかない結末に、ようやく気づいたのだろう。
しかし、もう遅い。
全ては、終わったのだ。
アレクシス様は、私の頬に触れていた手を、今度は優しく、私の手を取るために差し伸べた。
私は、吸い寄せられるように、その手を取る。
初めて、素肌で触れ合う、彼の手。
大きくて、少しごつごつしていて、剣ダコがあって、そして、信じられないくらい、温かかった。
繋がれた手から伝わる彼の温もりが、私に、もう一人ではないのだと、はっきりと教えてくれているようだった。
私たちの間には、もう、何も隔てるものはない。
そこから伝わってくるのは、呪いの冷気などではなく、ただ、優しく、温かい彼の肌の感触だけ。
忘れていた、人肌の温もりだった。
「……どうして……? 呪いは……」
私の口から、疑問の言葉が、震えながらこぼれる。
愛する者に触れると、生命力を奪ってしまう、あの忌まわしいヴァインベルクの呪いは、どうなったというの?
彼は、私の疑問を見透かしたように、その蒼い瞳を、愛おしげに、とろけるように細めた。
「君の光が、私を救ってくれたんだ、リリアーナ」
「私の、光が……?」
「ああ。君が王都へ連れて行かれたあの日から、俺の呪いの苦痛は、日に日に酷くなっていった。君という光を失い、この身も、領地も、少しずつ元の死の世界に戻り始めていたからな。……だが」
彼は一度、言葉を切る。
そして、私の頬に触れる彼の指先に、慈しむように、力がこもった。
「昨夜、君が送ってくれた光が、俺に届いた。あの温かい光は、俺の体内に巣食っていた呪いの根源を、優しく溶かし、浄化してくれたんだ。……まるで、何百年も凍りついていたものが、春の暖かな日差しで、音もなく解けるように」
彼の言葉に、私は息を呑んだ。
あの時、私が彼に届けと願った想いは、本当に届いて、そして、こんな奇跡まで起こしてくれていたのだ。
私の覚醒した生命の力が、空間を超えて、彼の呪いを癒していた。
「もう、何も恐れることはない」
アレクシス様は、そう言って、はっきりと微笑んだ。
私がずっと、ずっと見たいと願っていた、氷の仮面ではない、彼の心からの、本当の笑顔。
その破壊力は、凄まじかった。
私の心臓は、喜びと、愛しさと、幸福感で、はち切れそうになっていた。
この、信じられない奇跡の光景を、儀式場にいた誰もが、固唾を飲んで見守っていた。
「呪いが……解けた、だと……? ヴァインベルクの、あの不治の呪いが……?」
国王が、呆然と呟く。
ヴァインベルク家に代々伝わる、誰も解くことのできなかった絶望の呪い。
それを、この偽聖女と蔑まれた少女が、いとも容易く、遠く離れた場所から解いてしまった。
その事実が、彼らの常識を、価値観を、根底から覆していた。
「そんな……馬鹿な……ありえない……」
王太子は、腰が抜けたようにその場にへたり込み、ただぶつぶつと、虚ろな目で何かを呟いている。
愛した女は魔族と通じた悪女で、蔑んでいた少女は神のごとき力を持つ本物の聖女。
そして、その少女は、自分が最も敵に回してはいけない公爵の、唯一無二の想い人。
彼が犯した過ちの大きさに、その取り返しのつかない結末に、ようやく気づいたのだろう。
しかし、もう遅い。
全ては、終わったのだ。
アレクシス様は、私の頬に触れていた手を、今度は優しく、私の手を取るために差し伸べた。
私は、吸い寄せられるように、その手を取る。
初めて、素肌で触れ合う、彼の手。
大きくて、少しごつごつしていて、剣ダコがあって、そして、信じられないくらい、温かかった。
繋がれた手から伝わる彼の温もりが、私に、もう一人ではないのだと、はっきりと教えてくれているようだった。
私たちの間には、もう、何も隔てるものはない。
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