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第27話 囲い込み
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(視点:レージ)
雪崩から二日。
屋敷の空気は一変した。
私は執事としての権限を最大限に行使し、屋敷の警備体制を根本から作り直した。
「回廊の窓すべてに鉄格子を入れろ。裏口は封鎖。使用人の出入りも、私の許可証がなければ認めない」
「し、しかしレージ様、それではまるで監獄です……」
「構わん。不審者が入り込む隙を作るよりマシだ」
私は使用人たちに冷たく言い放つ。
鍵の束がジャラリと鳴る。
その音が増えるたびに、リディア様の自由が減っていくことを私は知っている。
だが、甘い顔はもうできない。
採掘場の爆発は、明らかに人為的なものだった。
バルド監督は行方不明。おそらく消されたか、逃亡したか。
敵は本気だ。
リディア様が「無能」であろうとなかろうと、彼女の存在そのものを消しに来ている。
ならば、物理的に遮断するしかない。
屋敷を要塞化し、彼女を最深部に閉じ込め、一切の情報を遮断する。
それが、今の私にできる唯一の防衛策だ。
「……レージ」
リディア様の部屋に入ると、彼女は窓際に立っていた。
新しく取り付けられた鉄格子に手を触れ、外の雪景色を眺めている。
その背中は、小さく、頼りなく見えた。
「これは、何?」
「防犯のための措置です。最近、物騒ですので」
「……私を閉じ込めるつもり?」
彼女が振り返る。
その瞳は、私の本心を完全に見透かしていた。
責めるような、それでいて諦めたような目。
「安全のためです。しばらくの間、外出はお控えください。お部屋で必要なものは全て私がご用意します」
「……散歩もだめ?」
「許可できません」
「誰かと会うのは?」
「ご遠慮ください」
私は無表情に告げる。
彼女の顔が歪む。
「……それは優しさじゃないわ」
静かな声だった。
「ただの管理よ。あなたは私を守りたいんじゃなくて、自分が安心したいだけでしょう?」
図星だった。
彼女を失う恐怖。
またあの断罪の日のように、私の手が届かない場所で彼女が傷つけられる悪夢。
それに耐えられないから、私は彼女を鳥籠に押し込めようとしている。
「……否定はいたしません」
私は目を伏せた。
「ですが、あなたを失うよりは、嫌われる方を選びます」
「……ずるい人」
リディア様はふいっと顔を背けた。
その拒絶の仕草さえ、今の私には救いだった。
生きて、そこにいてくれるなら。
たとえ彼女の心が離れても、その命だけは繋ぎ止める。
私はポケットの中で、増えた鍵の冷たい感触を確かめた。
雪崩から二日。
屋敷の空気は一変した。
私は執事としての権限を最大限に行使し、屋敷の警備体制を根本から作り直した。
「回廊の窓すべてに鉄格子を入れろ。裏口は封鎖。使用人の出入りも、私の許可証がなければ認めない」
「し、しかしレージ様、それではまるで監獄です……」
「構わん。不審者が入り込む隙を作るよりマシだ」
私は使用人たちに冷たく言い放つ。
鍵の束がジャラリと鳴る。
その音が増えるたびに、リディア様の自由が減っていくことを私は知っている。
だが、甘い顔はもうできない。
採掘場の爆発は、明らかに人為的なものだった。
バルド監督は行方不明。おそらく消されたか、逃亡したか。
敵は本気だ。
リディア様が「無能」であろうとなかろうと、彼女の存在そのものを消しに来ている。
ならば、物理的に遮断するしかない。
屋敷を要塞化し、彼女を最深部に閉じ込め、一切の情報を遮断する。
それが、今の私にできる唯一の防衛策だ。
「……レージ」
リディア様の部屋に入ると、彼女は窓際に立っていた。
新しく取り付けられた鉄格子に手を触れ、外の雪景色を眺めている。
その背中は、小さく、頼りなく見えた。
「これは、何?」
「防犯のための措置です。最近、物騒ですので」
「……私を閉じ込めるつもり?」
彼女が振り返る。
その瞳は、私の本心を完全に見透かしていた。
責めるような、それでいて諦めたような目。
「安全のためです。しばらくの間、外出はお控えください。お部屋で必要なものは全て私がご用意します」
「……散歩もだめ?」
「許可できません」
「誰かと会うのは?」
「ご遠慮ください」
私は無表情に告げる。
彼女の顔が歪む。
「……それは優しさじゃないわ」
静かな声だった。
「ただの管理よ。あなたは私を守りたいんじゃなくて、自分が安心したいだけでしょう?」
図星だった。
彼女を失う恐怖。
またあの断罪の日のように、私の手が届かない場所で彼女が傷つけられる悪夢。
それに耐えられないから、私は彼女を鳥籠に押し込めようとしている。
「……否定はいたしません」
私は目を伏せた。
「ですが、あなたを失うよりは、嫌われる方を選びます」
「……ずるい人」
リディア様はふいっと顔を背けた。
その拒絶の仕草さえ、今の私には救いだった。
生きて、そこにいてくれるなら。
たとえ彼女の心が離れても、その命だけは繋ぎ止める。
私はポケットの中で、増えた鍵の冷たい感触を確かめた。
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