悪役令嬢ですが、二度目は無能で通します……なので執事は黙っててください

放浪人

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第43話 崩れる舞台

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(視点:ミレイユ)

熱い。
胸の奥が焼けるように熱い。
聖印――いいえ、あの石が、私の心臓を握り潰そうとしているみたい。

どうして?
どうして誰も拍手してくれないの?
さっきまで、みんな私を見ていたじゃない。
「聖女様」「可哀想に」「頑張って」って、優しい言葉を投げてくれたじゃない。

なのに、今は誰も私を見ない。
みんな、あの女――リディアを見ている。
あんな地味で、可愛げのない、冷たい女の言葉に耳を傾けている。

『役を降りる』ですって?
ふざけないでよ。
私がどれだけ苦労して、この場所まで上り詰めたと思っているの?
貧しい村で生まれて、何もない私が、この石の力だけで王太子に愛され、国中の憧れになったのよ。
この舞台がなくなったら、私はただの「貧しい娘」に戻ってしまう。

「嫌……嫌よ……!」

奪われたくない。
認められたい。
置いていかないで。
私を見て。私だけを見て!

「奇跡を……もっと凄い奇跡を見せれば、みんな戻ってくるはずよ……!」

私は胸元の石を強く鷲掴みにした。
指が焦げる匂いがする。
痛い。でも、この痛みこそが代償。
もっと強く、もっと輝く光を出せば、あんな女の言葉なんて掻き消せる。

「ああああああっ!!」

叫びと共に、私は魔力を全て注ぎ込んだ。
体中の血管が沸騰する感覚。
視界が真っ白に染まる。

「ミレイユ、やめろ!」

セオドールの声が聞こえた気がした。
でも遅い。
もう止まれない。
私の中の渇望が、石の暴走と共鳴して、制御不能なエネルギーとなって溢れ出した。

ドガァァァン!!

爆発音が鼓膜を破る。
審問台の床が砕け、破片が飛び散る。
私の体は光の渦の中心で、人形のように舞い上がった。
熱い。苦しい。
でも、これでいい。
破壊でも何でもいい。
みんなが恐怖に顔を歪めて、私を見上げている。
そう、私が主役。
この悲劇のヒロインは、私なのだから。
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