否定確信の願望否定録

カラス

文字の大きさ
1 / 1
人形憎愛

第一否定 人形憎愛 第零節

しおりを挟む
 とても……とても暗く辺り一面何もない空間に僕は立っていた。
 そこで特に何もすることはない……慌てたり灯りを探したり叫んだり走ったり歩いたり泣いたり怒ったり笑ったりなどを一切せずにただただボーとしている。
 この空間をよく知っている何度も何度もここに来ているからだ、最初はかなり怖かった。
 何もできないこの空間が誰もいないこの世界が……だけどある時からここが一番心地いい場所だと理解できるようになっていた。
 もうそろそろだろうと思い始めた頃、何もなかった暗闇に光が照らし出される。
 綺麗な朝日を思い浮かべれるような光はこの世界を照らし、周りには見たこともない花が辺り一面に咲き始めた。
 光が全てを照らし出すと、一面の花々の中に白いワンピースを着た女性が立っていた。
 その女性は僕の存在に気づくと微笑みを浮かべながらこちらに近づいてくる……ああそうかそろそろか。
 そっと目を閉じ少ししてからもう一度目を開ける。                              
 ……先程までの風景とは一変し周りにはテレビや本棚など見慣れた部屋で僕は目覚める。
 太陽の光が窓から差し込み、鬱陶しい暑さもなく肌に心地いい風が吹くいい季節だ。
 もう少し寝たら先程の夢の続きが見れるかも知らないが、そんな願いは叶わない。
 あと少し時間が経てば間違いなくあの厄介者が僕に電話をかけてくるからだ。
 そしてまた僕を危険な仕事に巻き込むのだ。

(ブーー、ブーー、ブーー)

 ……やはり電話が鳴ってしまった……間違いなくあいつからだろう。
 電話を出ないという手段もあるがそれをすればさらにめんどくさいことになる。
 しかし電話をとるのは非常に面倒くさい……。

「はぁ、まったく今からもう一眠りしようと思ったら……よし知らなかった事にして寝るとするか。」

  布団にくるまり寝ようとした直後に……

「おっはよージン!君の数少ない友達にして親友のこの私が起こしにきてあげたぞ!!」

 そいつは大きな声を出げ堂々と部屋に侵入してきた……最悪だ。
 腰ほどぐらいの黒くて長い髪が窓から照らされていた月明かりに当てられて宝石の様に煌めき出す。
 その髪に似合うかのような綺麗な顔をした女性、腕には何かのプレゼントの様な物が入っているであろう箱を持っていた。
 普通の男性なら喜びそうなこの状況だが、僕はコイツの大変さをよく知っている。
 一切の遠慮もなく侵入してきたこいつ……彼女の名前は引坂 加羅ひきざか かる 高校一年の時ある事件に関わって以降、彼女の頼みごとを僕の都合を一切気にせずに無理矢理協力させられている……本当いい迷惑だ。
 こうなっては仕方がない、ゆっくりと体を起こす。

「これはこれはどうもわざわざ起こしに来てもらってありがとうございます。
 色々とツッコミたいことがあるんだが、めんどくさいから一つだけ聞くよ。
 どうやって入った?」

「どうやって入ったって?そんなもの簡単な話だよ鍵を開けて正面から堂々と入ったんだよ?」

 と彼女は不思議そうに首を傾けて答える。
 ちなみに鍵など渡した覚えは全く無いのだが、どんな神経をしているのだコイツは。

「そうか……でも僕はお前に鍵を渡した覚えはないんだが?」

「勿論! 君がくれるはずないから堂々とスペアを作ったに決まっているだろう、流石私だ!」

「……お前は一度刑務所にはいらないといけないのでは?」

 と半分呆れ気味に彼女に言ってやったが、まぁ例え彼女を無事に捕らえ、刑務所に入れられても1時間もしないうちに出てきそうだから意味ないか、と考えてるうちに彼女は手に持っていた箱を僕に投げる。
 箱を開けると中には男物のスーツが入っていた。

「さぁさぁジン、早速だがスーツに着替えてくれ、飯に行こう。」

「……スーツだって? 一体僕をどこに連れて行く気なんだ?」

「じゃあ私は隣の部屋で優雅にお茶でも飲んでるので着替えてくれたまえよ。」

 何の説明もなく彼女は部屋から出る。
 一応ここは僕の家と言おうと思ったが、彼女に言ったところで無駄だと思った僕はスーツを着る事にしたが……。

「……何故サイズがわかるだ。」

 何故か体に見事に合ったスーツに着替えると、彼女に僕の家を荒らされてしまう前に部屋を出る……そして僕はまた厄介な事件に巻き込まれるのだろうな。
 そうしてまた僕は誰かの願望を否定するのだろう。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

処理中です...