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インフレが止まらない
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止まらない、エネルギーの奔流。
空間と一つになった、大いなる光。
気血の永久機関。
オーラが調律されてゆく。
歪んだ時空が世界を万華鏡に変えた。
眩い黄金の翼が、空を覆い尽くす。
世界が輝いている。
無限に湧き出る虹色の泡が、プクプクと天へと昇っていった。
七色の泡がはじける音は、魂を包み込む豊潤な旋律。
世界の合唱。
久遠の聖歌。
天で瞬くは、創世の花火。
――そして、降臨――
「これが……私……」
深い輝きの中で、サイケルは目を閉じて、厳かに、尊い静寂を纏っていた。
膨れ上がった数字は、すでに、認知の領域外に達している。
ただでさえインフレしていた数字が、さらに加速して、
バランスという概念そのものをブチ殺す。
限界を超えて、超えて、超えて、超えた先にある領域。
これ以上はありえないと確信できる最果て。
――存在値3500億。
「かつて、」
サイケルは、どこまでも優雅に、目を閉じたまま、
「これほどの果てに至った個があっただろうか」
柔らかく、厳かに。
「存在値3500億。ふ、ふふふ……正直、私も、ここまでとは思っていなかった」
ホォっと息をつく。
吐息すら神々しい。
「――全ての私が沸騰している――」
天上のリズム。
ただの言葉が一々芸術になる。
「あぁ、尊い」
サイケルは、己の胸に手をあてて、ジンと、込み上げてくる電流を受け止める。
全てが愛おしい。
「全てに感謝をしよう。過去にも、未来にも、数多の命に……心からの感謝を送ろう。私をここまで導いてくれた運命に……その奮励ふんれいに……」
この上ない喜びの中で、サイケルは、続ける。
「全てを包み込むアマラ。始まりの詩うたを奏でよう。完全なる調和。世界が『今日』という煌めきで満ちていくのが分かる。世界の歓喜。……さあ、祝福を……この世で唯一『私の左に立つ者』よ……私に、心からの喝采を――」
サイケルは、ゆっくりと目を開いて、センを見る。
そこで、
「………ぇ……」
サイケルは固まった。
指先一つ動かなくなったサイケルを見て、センは、
「ん? ぁあ……超神になったから『見える』ようになったのか。俺が普段、テキトーに自動展開させている簡易のフェイクオーラでごまかせられるのは、超神までだからな」
「……ぁ……ぁ……」
サイケルは、ワナワナと震えだす。
「ぁり……えない……」
サイケルの視界がグラつく。
捉える光がすべて、グニャグニャと幻想の音をたてて、不定形の歪みになる。
つい数秒までまでの厳かな雰囲気から一変し、生まれたての家畜のようになる。
足下がおぼつかない。
フラっと一歩、後ろに下がった。
震えた声で、サイケルはつぶやく。
「存在値……17兆……???」
サイケルの目が見通した『センを包む輝き』は、『己という光』をいくつ積んでも届かないであろう、真なる最果てに在った。
目の前にいるというのに、影すら見えない、遥かなる高み。
すでに、
――全てを包む『一つ』はあった――
空間と一つになった、大いなる光。
気血の永久機関。
オーラが調律されてゆく。
歪んだ時空が世界を万華鏡に変えた。
眩い黄金の翼が、空を覆い尽くす。
世界が輝いている。
無限に湧き出る虹色の泡が、プクプクと天へと昇っていった。
七色の泡がはじける音は、魂を包み込む豊潤な旋律。
世界の合唱。
久遠の聖歌。
天で瞬くは、創世の花火。
――そして、降臨――
「これが……私……」
深い輝きの中で、サイケルは目を閉じて、厳かに、尊い静寂を纏っていた。
膨れ上がった数字は、すでに、認知の領域外に達している。
ただでさえインフレしていた数字が、さらに加速して、
バランスという概念そのものをブチ殺す。
限界を超えて、超えて、超えて、超えた先にある領域。
これ以上はありえないと確信できる最果て。
――存在値3500億。
「かつて、」
サイケルは、どこまでも優雅に、目を閉じたまま、
「これほどの果てに至った個があっただろうか」
柔らかく、厳かに。
「存在値3500億。ふ、ふふふ……正直、私も、ここまでとは思っていなかった」
ホォっと息をつく。
吐息すら神々しい。
「――全ての私が沸騰している――」
天上のリズム。
ただの言葉が一々芸術になる。
「あぁ、尊い」
サイケルは、己の胸に手をあてて、ジンと、込み上げてくる電流を受け止める。
全てが愛おしい。
「全てに感謝をしよう。過去にも、未来にも、数多の命に……心からの感謝を送ろう。私をここまで導いてくれた運命に……その奮励ふんれいに……」
この上ない喜びの中で、サイケルは、続ける。
「全てを包み込むアマラ。始まりの詩うたを奏でよう。完全なる調和。世界が『今日』という煌めきで満ちていくのが分かる。世界の歓喜。……さあ、祝福を……この世で唯一『私の左に立つ者』よ……私に、心からの喝采を――」
サイケルは、ゆっくりと目を開いて、センを見る。
そこで、
「………ぇ……」
サイケルは固まった。
指先一つ動かなくなったサイケルを見て、センは、
「ん? ぁあ……超神になったから『見える』ようになったのか。俺が普段、テキトーに自動展開させている簡易のフェイクオーラでごまかせられるのは、超神までだからな」
「……ぁ……ぁ……」
サイケルは、ワナワナと震えだす。
「ぁり……えない……」
サイケルの視界がグラつく。
捉える光がすべて、グニャグニャと幻想の音をたてて、不定形の歪みになる。
つい数秒までまでの厳かな雰囲気から一変し、生まれたての家畜のようになる。
足下がおぼつかない。
フラっと一歩、後ろに下がった。
震えた声で、サイケルはつぶやく。
「存在値……17兆……???」
サイケルの目が見通した『センを包む輝き』は、『己という光』をいくつ積んでも届かないであろう、真なる最果てに在った。
目の前にいるというのに、影すら見えない、遥かなる高み。
すでに、
――全てを包む『一つ』はあった――
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