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満点合格!!
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「……っ」
突如、あらわれた救援。
そして、叫び。
その真剣な言葉を受けて、シグレはハっとして、すぐに、
「ニー!」
空に浮かんでいるニーを呼び寄せて、頭に着地させると、そのまま、
「あんがとぉおお!!」
腹の底からそう叫んでから、救世主に背中を向けてダッシュする。
振り返らず、必死で、両足を回転させる。
走る、走る、走る。
――30秒ほど、頭をからっぽにして全速ダッシュをしてから、
「た、助かった。危なかった……ほんま死ぬかと思った……はぁ、はぁ……」
息を切らしながら、それでも足を止めず、
「ニー、あたし、どのくらい離れたらええん? はぁ、はぁ……た、たぶんやけど、あの言い方から察するに、あの人の切り札って、広範囲の殲滅魔法的なやつやろ? ぜぇ……ふぅ……ぁ、あとどのくらい離れれば――」
「……」
「ニー?」
「あ、ごめん……気付いた上で、あの人を立ててあげた訳じゃなかったんだね」
「は?」
「……『あの人』は、あの場をどうにかできる切り札とかは、たぶん、持っていない」
「? それ、どういう」
「強い『力』は何も感じなかった。――波形が同じだったから、あの人は、間違いなく、シグレと同じで『御主人に召喚されて、チートをもらった人』……だけど、『強い力』は持っていない。『数真』の反応と、『ファントムレクイエム』を着ていたことから、『GL解放』のチートをもらったって事はわかる。GLの解放は……ハッキリ言って、シグレが貰ったものとは比べ物にならないくらいの、とんでもなく凄まじいチートだよ。けど、まだまだ発展途上の初期段階。あの魔力量から推察するに、おそらく、『あの人』のGLは1000以下……。将来はともかく、今のあの人じゃ、ホルスドには、何をしても勝てない」
それを聞いて、シグレは立ち止った。
GLどうこうはイマイチ分からなかった。
しかし、さっきの救世主が、ホルスドには勝てないという事だけは理解できた。
シグレは、必死に呼吸を整えながら、
「ほ、ほな、なんで……ぁ、あの人、あんな、切り札がどうとか言うてたん?」
「それは、たぶん、御主人から、シグレの事を聞かされたからだと思うよ。シグレの性格は、少し特殊だから、『普通に逃げろって言っても聞かない』って判断したんだと思う」
「……」
「シグレ。君はバカじゃない。だから、あの人の行動の意味が分かるよね? シグレの、その命は、そこまでして守られた命なんだ。大事にしないと。だから、立ち止まらず、はやく逃げて。あの人の足止めは、たぶん数分しかもたない。GLが解放されているなら、MPは高いと思うけど、足止めの手段が呪縛しかないなら、ホルスド相手だと話にならない。いいかい、シグレ。よく聞いて。これからは少し慎重に行動――って、シグレ?!」
ニーの言葉を最後まで聞かず、シグレはきびすを返して走り出した。
さっきの場所に戻ろうと、全速でダッシュ。
そんな『謎行動』を開始したシグレに、ニーが叫ぶ。
「なにやってんの?!」
「あたし、なにやってんねやろぉなぁ!」
シグレは、大きく息を吸って、
「ようわからん。けど、あれや……なんていうか……今のあたしには、一緒に生きたいと思うヤツが、ニーを筆頭に、それなりにおるんや。ゼロさんはカッコ良かったから好きや。一緒におりたい。カース3兄弟も、あのパンクにスタイリッシュな感じが、なんか好き。神様もそうやな。嫌いやない。ちょっと浮世離れしすぎて近づきがたいけど、悪い人やないと思う。――うん、一緒におりたい。そう思えるヤツが、あたしには数人おる。あのクソみたいな世界で生きとった時と違って……これから、この世界で生きていけば、『そう思えるヤツ』が、たぶん、何人かできると思う。けどなぁ」
そこで、シグレは、顔を赤くして、たははと笑いながら、
「一緒に死にたいと思えるヤツには、ここを逃したら、もう二度と会えん気がする」
「……」
「ニーは見たかなぁ? さっきの男なぁ、実は、あたしに『逃げろ』って叫んどる時、めっちゃ泣きそうな顔してたんや」
「……」
「たまにそういう顔つきの奴もおるから、単にそういう表情の男なんやと思ったけど……なんてことあらへん。ただただ、泣きそうな顔してたんや。あのホルなんとかっていうクソ野郎の前に飛び出すんが、恐くて、恐くて、たまらんくて、悩んで、苦しんで、だから、めいっぱい辛くて、心底からしんどくて、だから――」
「……」
「うまれて初めてや。こんな『胸がいっぱい』になる感情……」
シグレは、人生最高の笑顔をみせてから、それを、
「勘違いかもしれへんけど、まあ、別にそれでも構わん。問題は、それでもええと思えるかどうかやと思うんや」
『覚悟をかためた表情』にセットしなおして、
「最後かもしれへんから……それに、今、異常なほどテンションあがっとるから……今から、ちょっとだけ、ええ女を気取って、あの男子に対して、めっちゃ上からもの言うけど、引かんとってな、ニー」
――シグレは、思い出す。
あの『ちょっと難儀な性格』をしていそうな、同年代っぽい男の顔。
少し釣り目で、奥二重。
若干、不健康そうで、眉毛がちょっと太かった。
一瞬だったけど、あまりに衝撃的だったからか、鮮明に思い出す事ができた。
身長は170センチに達していないくらい?
もしかしたら年下?
ちょっとヒョロいけど、ガリガリってわけじゃない体形。
服装が、ちょっとキメ過ぎていて、ぶっちゃけどうかとは思ったけど、ニーの発言から、もしかしたら『もらったチート』の一つかもしれないと思えたので許容範囲。
そういえば、あの神様、ちょっとアレ気味やったっけ……
なんて、そんな事を思い浮かべながら、
シグレは、
「すぐに行くから、まだ死ぬな! 死ぬならあたしの死体の横で死ね! あんたは……一緒に死ぬ相手として、満点合格!!」
突如、あらわれた救援。
そして、叫び。
その真剣な言葉を受けて、シグレはハっとして、すぐに、
「ニー!」
空に浮かんでいるニーを呼び寄せて、頭に着地させると、そのまま、
「あんがとぉおお!!」
腹の底からそう叫んでから、救世主に背中を向けてダッシュする。
振り返らず、必死で、両足を回転させる。
走る、走る、走る。
――30秒ほど、頭をからっぽにして全速ダッシュをしてから、
「た、助かった。危なかった……ほんま死ぬかと思った……はぁ、はぁ……」
息を切らしながら、それでも足を止めず、
「ニー、あたし、どのくらい離れたらええん? はぁ、はぁ……た、たぶんやけど、あの言い方から察するに、あの人の切り札って、広範囲の殲滅魔法的なやつやろ? ぜぇ……ふぅ……ぁ、あとどのくらい離れれば――」
「……」
「ニー?」
「あ、ごめん……気付いた上で、あの人を立ててあげた訳じゃなかったんだね」
「は?」
「……『あの人』は、あの場をどうにかできる切り札とかは、たぶん、持っていない」
「? それ、どういう」
「強い『力』は何も感じなかった。――波形が同じだったから、あの人は、間違いなく、シグレと同じで『御主人に召喚されて、チートをもらった人』……だけど、『強い力』は持っていない。『数真』の反応と、『ファントムレクイエム』を着ていたことから、『GL解放』のチートをもらったって事はわかる。GLの解放は……ハッキリ言って、シグレが貰ったものとは比べ物にならないくらいの、とんでもなく凄まじいチートだよ。けど、まだまだ発展途上の初期段階。あの魔力量から推察するに、おそらく、『あの人』のGLは1000以下……。将来はともかく、今のあの人じゃ、ホルスドには、何をしても勝てない」
それを聞いて、シグレは立ち止った。
GLどうこうはイマイチ分からなかった。
しかし、さっきの救世主が、ホルスドには勝てないという事だけは理解できた。
シグレは、必死に呼吸を整えながら、
「ほ、ほな、なんで……ぁ、あの人、あんな、切り札がどうとか言うてたん?」
「それは、たぶん、御主人から、シグレの事を聞かされたからだと思うよ。シグレの性格は、少し特殊だから、『普通に逃げろって言っても聞かない』って判断したんだと思う」
「……」
「シグレ。君はバカじゃない。だから、あの人の行動の意味が分かるよね? シグレの、その命は、そこまでして守られた命なんだ。大事にしないと。だから、立ち止まらず、はやく逃げて。あの人の足止めは、たぶん数分しかもたない。GLが解放されているなら、MPは高いと思うけど、足止めの手段が呪縛しかないなら、ホルスド相手だと話にならない。いいかい、シグレ。よく聞いて。これからは少し慎重に行動――って、シグレ?!」
ニーの言葉を最後まで聞かず、シグレはきびすを返して走り出した。
さっきの場所に戻ろうと、全速でダッシュ。
そんな『謎行動』を開始したシグレに、ニーが叫ぶ。
「なにやってんの?!」
「あたし、なにやってんねやろぉなぁ!」
シグレは、大きく息を吸って、
「ようわからん。けど、あれや……なんていうか……今のあたしには、一緒に生きたいと思うヤツが、ニーを筆頭に、それなりにおるんや。ゼロさんはカッコ良かったから好きや。一緒におりたい。カース3兄弟も、あのパンクにスタイリッシュな感じが、なんか好き。神様もそうやな。嫌いやない。ちょっと浮世離れしすぎて近づきがたいけど、悪い人やないと思う。――うん、一緒におりたい。そう思えるヤツが、あたしには数人おる。あのクソみたいな世界で生きとった時と違って……これから、この世界で生きていけば、『そう思えるヤツ』が、たぶん、何人かできると思う。けどなぁ」
そこで、シグレは、顔を赤くして、たははと笑いながら、
「一緒に死にたいと思えるヤツには、ここを逃したら、もう二度と会えん気がする」
「……」
「ニーは見たかなぁ? さっきの男なぁ、実は、あたしに『逃げろ』って叫んどる時、めっちゃ泣きそうな顔してたんや」
「……」
「たまにそういう顔つきの奴もおるから、単にそういう表情の男なんやと思ったけど……なんてことあらへん。ただただ、泣きそうな顔してたんや。あのホルなんとかっていうクソ野郎の前に飛び出すんが、恐くて、恐くて、たまらんくて、悩んで、苦しんで、だから、めいっぱい辛くて、心底からしんどくて、だから――」
「……」
「うまれて初めてや。こんな『胸がいっぱい』になる感情……」
シグレは、人生最高の笑顔をみせてから、それを、
「勘違いかもしれへんけど、まあ、別にそれでも構わん。問題は、それでもええと思えるかどうかやと思うんや」
『覚悟をかためた表情』にセットしなおして、
「最後かもしれへんから……それに、今、異常なほどテンションあがっとるから……今から、ちょっとだけ、ええ女を気取って、あの男子に対して、めっちゃ上からもの言うけど、引かんとってな、ニー」
――シグレは、思い出す。
あの『ちょっと難儀な性格』をしていそうな、同年代っぽい男の顔。
少し釣り目で、奥二重。
若干、不健康そうで、眉毛がちょっと太かった。
一瞬だったけど、あまりに衝撃的だったからか、鮮明に思い出す事ができた。
身長は170センチに達していないくらい?
もしかしたら年下?
ちょっとヒョロいけど、ガリガリってわけじゃない体形。
服装が、ちょっとキメ過ぎていて、ぶっちゃけどうかとは思ったけど、ニーの発言から、もしかしたら『もらったチート』の一つかもしれないと思えたので許容範囲。
そういえば、あの神様、ちょっとアレ気味やったっけ……
なんて、そんな事を思い浮かべながら、
シグレは、
「すぐに行くから、まだ死ぬな! 死ぬならあたしの死体の横で死ね! あんたは……一緒に死ぬ相手として、満点合格!!」
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