異世界転生はもう飽きた。100回転生した結果、レベル10兆になった俺が神を殺す話

閃幽零

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それに

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「今後の現世、第2~第9アルファについてだが……」
















 そこで、神は、厳かに、




「これまで、無駄に時間だけはあったんだ。『任せられる優秀なヤツ』の数万~数十万くらいいるだろ?」







 丁寧に言葉を並べていく。

 質問ではなく確認。







 砕けた口調。

 ゆえに、より高く感じる頂きの質。

 究極の自然体。

 本物の上位者。







 ただ、自然に、ただそこに『存在』するだけで、この上なく完全な絶対者たりうる――







「第2~第9アルファの事は、『天下よりも下』の奴らに任せて、お前ら――『ゼノリカ』は、今後、死力を尽くして存在値を磨け。後ろにいる九華。お前らもだ」




 主に声をかけられて、九華の者達は、みな、ハっと息をのんで硬直する。

 声が出ない。

 体が震えている。




 ――主の威光は、あまりにも輝きが強すぎる――










「――『今』に甘んじるな。今日を置き去りにしていけ。これからは、常に『そこ』よりも高い『どこか』だけを目指せ」







 目の前にいるのは、ただ、ちょっと意識をリンクさせただけの化身。

 なんだったら、今の状況は、ラジオを聞いているのとほとんど変わらない(マジの『神の声』なので、ラジオだろうがなんだろうが、凄まじい事に変わりはないのだが)。




 ただの変わったオーラドール。

 主本人ではない、ちょっとした分身の一つ。




 分かっている、そんな事。

 だが、




 その耀きから、目が離せない。










 その遠さが、むしろ――矛盾している表現かもしれないが、けれど、実際、溺れるほどに心地いい。

 この御方が、『ここ』ではない『どこか遠く』に、しかし『確かに』おられる。

 その事実に、胸が震え、高鳴り続けている。







 ――主はおられた――

 簡単な一文、しかし、なんと……なんと喜ばしい事かっ!







「世界統治のシステムは既に完成しているはず。現世の支配に関しては、『そこそこ統治の才能』がある『テキトーなヤツ』に任せて、今後、『可能性を持つ者』は全員、『自身の存在値を磨く事』だけ考えるようにしろ。全員で限界を超えていけ」




 そこで、主はニっと微笑み、小さな太陽から、御立ちあそばされて、

 右手を腰にあて、左手で、『地』を指さしながら




「最悪、今後、現世で何かがあった時は『俺』が出てやる。どんな問題がおころうと、一瞬で解決してやるよ」




 // これまでのセンは、他の世界に転生してしまうと、第2~第9アルファには手が出せない状態になっていた(無限転生のルールの一つ。他世界への移動不可)。しかし、無限転生という枷が破壊され自由になったセンは、いくらでも世界を行き来する事が可能となった。

 ならば、なんの問題もない。

 最悪、自分が出ればいい。

 それで、全て解決する。

 頭を使うのは得意じゃないが、

 センの領域まで至ってしまえば、小難しい事を考える必要などない。

 現世に、『センの介入』をどうにかできる『可能性』は存在しない。 //







 そこで、主は、左手を腰にあて、右手で『天』をさしながら、




「くだらない縛りはなくなった。クソつまんねぇだけの『世界管轄や事務処理に忙殺される日々』に『さよなら』を告げろ。退屈は終わりだ。これからは収穫祭といこうじゃないか」




 舞い散る閃光は、かく語りき。




「強くなれ、賢くなれ、高くなれ、遠くなれ――なんだったら、俺を超えてみろ。無理か? 当たり前だ。それでもやってみろ。『今の俺』くらい、超えてみろ。無理だと嘆く前にあがけ。積み上げた根性を数えてみせろ」







 神の言葉に、誰もが喉をつまらせる。

 どんな命令でも、命をかけて実行するつもりではいるが、







「師……よ……」







 ついに、平熱マンが、口を開いてしまった。

 先は続かない。

 しかし、想いは表情に溢れ出ていた。










 ――それだけは、出来る気がしない――










 何を言われても、

 どれだけ焚きつけられても、







 ――あなた様を超える事だけは、出来る気がしない――







 言葉を浴びるほどに、その想いは強くなる。




 平に続いて、ゾメガとミシャも、思わずうつむいてしまった。

 高みを知っているがゆえの躊躇。







 それを受けて、神は、ニコリと微笑まれて、













「できるはずだ。……限界や不可能なんていう無粋な輩は、俺のこの手が、残らず殺してしまったのだから。それに……」










 主は、一歩、『皆』に近づいて、両手を、柔らかな翼のように広げて、



















「お前たちは――この俺に愛されているのだから」



















 一気に、濁流のように、主の御言葉に『応えたい』という欲求が膨れ上がっていく。




 信じられないほどの、感情の奔流。







 ――魂がわめいていたんだ。







 みなの胸に湧き上がる。

 ――神の愛に応えたい――

 これほどの御方に愛されているという、その、もったいない祝福に報いたい。




 ゆえに困惑が加速する。

 想いに応えたい。

 けれど、出来る気がしない。




 ああ、主よ。

 天そのものよ、

 光の帝みかどよ
















 ――この歯痒はがゆさすら愛おしく存じます――
















「これから俺は、無限を目指す。ついてこい。以上だ。アダム、あとは頼んだ。俺は練武の続きに戻る」




「かしこまりました」




 神前の礼を尽くし切っているアダムを残して、










 この上なく尊い神帝陛下の『意識のカケラ』は、アバターラから消えたのだった。










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