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聖典
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神の伝説はしっかりと『聖典』として残っている。
どこで何をして、何を言って、何がどうなって世界は救われたのか。
もちろん、『一言一句正確に』ではないし、時系列等も、若干違っていたりする。
ただ、嘘は書かれていない。
『盛られていない』とは言わないし、作者(複数。当時の闘いに関わったゼノリカの面々。パメラノも作者の一人)の主観も、多分に含まれているのは事実。
ゆえに、完璧な描写がなされている訳ではない――が、大嘘はない。
『~~を倒した』という場面が、『~~を華麗にかっこよく倒した』になっている程度で、多少の演出・脚色はあるが、本質が改竄されている個所は一つもない。
パメラノは、ジャミを相手に何度か、神の話(聖典にはない裏話を含めて)をしたこともあるのだが、『徹底したリアリスト』のジャミは、これまで、『パメラノが語る神に関する伝説』をまともに聞いてこなかった。
ジャミは、非常にまじめな人間である。
クソまじめすぎて、面白味がないと言われているレベル。
ゆえに、剣や魔法に関する努力は必死に積んだ。
努力の量で、ジャミに勝てる者は、全世界を見渡してみても少ない。
ジャミは、パメラノから、どれだけの無茶な課題を出されても歯を食いしばって乗り越えた。
決して、背を向けた事も、くじけた事もない。
――が、神の話を聞く時は、
『主は、その時、こうおっしゃられ――』
『ナルホドー(腹減ったな)』
『そして、主は――』
『サスガデスー(毎度、長いな……というか、それ、前も聞いた)』
『しかして、主は――』
『スバラシー(しかし、いつ聞いても嘘くさいなぁ……)』
常にこんな感じだった。
『簡単にはお会いできない』というルールがもたらした弊害。
『存在しないだろ、そんなもん』という当然の懐疑。
『もしかしたら、いるのかもしれない。神の存在を完全否定をする気はない。けれど、どうせ会う事は出来ない【誰か様】の、それも、どっぷりと盛られた話なんか、正直、聞いていられない』という心の乖離。
神を信じている者も当然いる。
『死を想う事』が可能な『知的生命』とはそういうものだ。
しかし、世界が成熟するにつれてリアリストが増えるのも世の常であり、ゆえに、現状の割合としては、『そんなもんいねぇだろ派』の方が増えてしまった(主の存在は事実であり、その伝説を目の当たりにした者がまだ生きており、かつそれが最上位権力者なので、みな、『ただの創作物』だとは思っていないが、やはり、丸ごと信じろと言われても難しい)。
(まさか、主が実在したとは……というか、実在したというだけでも大概だというのに、あれほどの『尊き耀きを放つ御方だった』とは……ぃ、いやはや……)
リアリストであるがゆえに、『会える』と聞いた時は盛大に吐いた。
ぐるぐると視界が廻って、全身の節々に謎の痛みが発生したりもした。
なぜか、首筋が痙攣して、指先などの末端が冷たくなった。
ある意味で、神という存在は、ジャミの中(ジャミだけではなく、他の者にもあてはまる)で『認知の領域外』にあったのだ。
『知らない世界』にいる御方。
夢の中の存在。
神話のヒーロー。
九華……というか、五聖命王(上から二番目の地位。主の系譜に連なる者)よりも下にいる『全ての者の視点』で言えば、
センの活躍を題材にした『聖典』は、ぶっちゃけ、
第一アルファ人視点でいうところの『ドラゴン○ール』でしかないのだ。
史実をもとにしているファンタジーなので、『○神演義』の方が例として理解はしやすいだろうが、しかし、聖典は、あまりに主役の英雄感がつよすぎるという点で、やはりドラゴ○ボールが最も適した例となるだろう。
――超すごくて、超強くて、超高潔な、究極の主人公が、
なんやかんや、かっこよく、世界を平和にしました――
ああ、うん。
まあ、読み物としては面白いよ。
好きな人も多いよね。
なんせ全世界一のスーパー大ベストセラー。
読んで、胸を熱くした事はあるよ?
涙が流れた事だって、そりゃあるさ。
けど、『ぜんぶ、事実なんですよ』って言われましてもねぇ……
どこで何をして、何を言って、何がどうなって世界は救われたのか。
もちろん、『一言一句正確に』ではないし、時系列等も、若干違っていたりする。
ただ、嘘は書かれていない。
『盛られていない』とは言わないし、作者(複数。当時の闘いに関わったゼノリカの面々。パメラノも作者の一人)の主観も、多分に含まれているのは事実。
ゆえに、完璧な描写がなされている訳ではない――が、大嘘はない。
『~~を倒した』という場面が、『~~を華麗にかっこよく倒した』になっている程度で、多少の演出・脚色はあるが、本質が改竄されている個所は一つもない。
パメラノは、ジャミを相手に何度か、神の話(聖典にはない裏話を含めて)をしたこともあるのだが、『徹底したリアリスト』のジャミは、これまで、『パメラノが語る神に関する伝説』をまともに聞いてこなかった。
ジャミは、非常にまじめな人間である。
クソまじめすぎて、面白味がないと言われているレベル。
ゆえに、剣や魔法に関する努力は必死に積んだ。
努力の量で、ジャミに勝てる者は、全世界を見渡してみても少ない。
ジャミは、パメラノから、どれだけの無茶な課題を出されても歯を食いしばって乗り越えた。
決して、背を向けた事も、くじけた事もない。
――が、神の話を聞く時は、
『主は、その時、こうおっしゃられ――』
『ナルホドー(腹減ったな)』
『そして、主は――』
『サスガデスー(毎度、長いな……というか、それ、前も聞いた)』
『しかして、主は――』
『スバラシー(しかし、いつ聞いても嘘くさいなぁ……)』
常にこんな感じだった。
『簡単にはお会いできない』というルールがもたらした弊害。
『存在しないだろ、そんなもん』という当然の懐疑。
『もしかしたら、いるのかもしれない。神の存在を完全否定をする気はない。けれど、どうせ会う事は出来ない【誰か様】の、それも、どっぷりと盛られた話なんか、正直、聞いていられない』という心の乖離。
神を信じている者も当然いる。
『死を想う事』が可能な『知的生命』とはそういうものだ。
しかし、世界が成熟するにつれてリアリストが増えるのも世の常であり、ゆえに、現状の割合としては、『そんなもんいねぇだろ派』の方が増えてしまった(主の存在は事実であり、その伝説を目の当たりにした者がまだ生きており、かつそれが最上位権力者なので、みな、『ただの創作物』だとは思っていないが、やはり、丸ごと信じろと言われても難しい)。
(まさか、主が実在したとは……というか、実在したというだけでも大概だというのに、あれほどの『尊き耀きを放つ御方だった』とは……ぃ、いやはや……)
リアリストであるがゆえに、『会える』と聞いた時は盛大に吐いた。
ぐるぐると視界が廻って、全身の節々に謎の痛みが発生したりもした。
なぜか、首筋が痙攣して、指先などの末端が冷たくなった。
ある意味で、神という存在は、ジャミの中(ジャミだけではなく、他の者にもあてはまる)で『認知の領域外』にあったのだ。
『知らない世界』にいる御方。
夢の中の存在。
神話のヒーロー。
九華……というか、五聖命王(上から二番目の地位。主の系譜に連なる者)よりも下にいる『全ての者の視点』で言えば、
センの活躍を題材にした『聖典』は、ぶっちゃけ、
第一アルファ人視点でいうところの『ドラゴン○ール』でしかないのだ。
史実をもとにしているファンタジーなので、『○神演義』の方が例として理解はしやすいだろうが、しかし、聖典は、あまりに主役の英雄感がつよすぎるという点で、やはりドラゴ○ボールが最も適した例となるだろう。
――超すごくて、超強くて、超高潔な、究極の主人公が、
なんやかんや、かっこよく、世界を平和にしました――
ああ、うん。
まあ、読み物としては面白いよ。
好きな人も多いよね。
なんせ全世界一のスーパー大ベストセラー。
読んで、胸を熱くした事はあるよ?
涙が流れた事だって、そりゃあるさ。
けど、『ぜんぶ、事実なんですよ』って言われましてもねぇ……
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