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神帝陛下って誰ですか?
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普段は、自分たちの世界で『最上位者』としてふるまっているライラ達。
配下の前では見せる訳にはいかない『素』を、この場では、少しだけだせるので、みな、一様に声が少しだけ弾んでいる。
『ナメられる訳にはいかない』という責はあるが、ここには、簡単に他者を見下すような愚者はいない。
互いが互いを認めている。
ゆえに、少しだけ緩む。
とはいえ、緩み切る事はない。
そんな、むしろ、ちょうどいい関係性。
とはいえ、派閥的なものも多少はあって、
「モンスターの災害だけではなく、未だに、バカ共が、たまに沸いて結束しおる」
「どれだけ統制しても、アホどもが決死の覚悟で起こすテロ行為だけは減らんよなぁ。何かしら対策できんもんかのう」
「何しても無理じゃろう。やつらは言い分が狂っておる。権利を勘違いしたバカの暴走なら、正論や事実を並べる事での対処も不可能ではないが、ただ暴れる理由が欲しいだけのカス共相手では何もできん」
「わかるわー、あいつら会話にならんのじゃよなぁ。前に、ウチの世界の首都で暴れたアホ共のトップは、こう叫んでおったよ。『全ての世界はゼノリカに支配されている! この支配構造は改革せねばならない!』と」
「いや、うん、世界はゼノリカに支配されておるよ? で、それの何が悪いんじゃ?」
「わしも同じことを聞いた」
「で? やつらは、なんと答えたんじゃ?」
「何が悪いかなど問題ではない。とにかく改革せねばならぬのだ!」
「ぶははっ、わけがわからん!」
「ガチガチのガチで、そのわけのわからん事を言ってくるからのう。アホには驚かされるわい」
「おるよなぁ、ほんとうに……理屈はどうでもいいとか、本気でのたまうバカ。自分の理解できないこと、理解したくないことは、屁理屈の一言ですますバカ」
「そして、そんなバカの方が行動力はあるという」
「厄介、厄介」
沙良想衆の面々は、みな、和気あいあいという訳でもないが、それなりに『近い』のだが、
長強(そんなバカ共は殺して終わり……議題にあげるほどの価値もない。というか、お前ら、けっきょく、最終的には、ウチ(楽連・愚連)に丸投げだろうが)
UV1「……」
楽連と百済は、やはり別枠という感じなのか、少し距離感が違う。
長強は、ほとんど会話には加わらず、
時折、微笑んで(決して筋肉バカじゃない。空気は読む)うなずくくらい。
ウルトラバイオレット001は、
『監査機関の頂点』という『非常に重たい立場』であり、
自分は司法の側に立っているという自覚があり、
単純に責任感も強いため、
常に、ピンと張り詰めた表情で、静かにたたずんでいる。
楽連は軍事(抑止力と治安維持)で、
百済は司法(ゼノリカ神法に基づき、『神の裁き』を執行する)。
沙良想衆は、行政(楽連と百済がやらない仕事の大半。つまり、山ほど仕事がある訳だが、沙良想衆の下部組織には、あらゆる部門の頂点が集まっているので、何を任されたとしても、なんら問題なく遂行できる)。
そして、天上は、立法(あくまでもゼノリカ神法の補強。改革など、とんでもないっ)を担う。
ふと、ライラたちの会話を黙って聞いていたアクエリアスが、アンドロメダに向けて、
「こたびの招集……なにやら、今までとはワケが違いそうじゃのう。なんでも、バロール猊下が直接、ここまで、上の命令を伝えにこられるとか?」
「ふむ」
「……『十席の御方々』以外の九華が、大災害でもないのに降りてくるとは……」
「ただ命令を伝えるというだけで、下界まで降りてくるのは……もしかして、初めてではないか?」
「初めてじゃな。物語っておるよ……何やら、大きな事が起こると」
「ふふ……楽しみじゃわい。事と次第によっては、何人か上に上がれるチャンスやもしれん」
「かもしれんのう…………ん、そろそろじゃな」
会談の途中で、『アンドロメダ』がチラと時計を確認した。
その直後、
「みな」
ボソっとそう声を発すると、それまで朗らかな顔でお喋りをしていた老人たちが、一斉に、キっと、その顔つきを最上位者のソレに変えて黙った。
時計の針が、てっぺんに届く前に、みな、席から立ち上がり、この空間の最奥にある扉――唯一、『上の層へと繋がっている扉』に視線を向ける。
そして、時計の針がてっぺんに到着するコンマ数秒前、
ババっと、
右手を左胸にあてて、スっと頭を30度ほど下げる。
ゆっくりと、扉が開く音が響いた。
「そろっているな」
聞かれて、アンドロメダが、頭を下げたまま、
「はっ。ブナッティ・バロール星典魔皇猊下。十人蒼天、ここに」
「うむ」
威厳たっぷりに頷くと、バロールは、上座に腰かけ、
「座りなさい」
低く、通る声でそう言った。
十人蒼天は、軍隊よりも揃った動きで頭をあげて、アンドロメダから順番に腰をおろしていく。
全員が座ったのを確認してから、バロールは、
「これより、神帝陛下の命を伝える」
穏やかに、しかしハッキリとそう言った。
バロールの発言に、その場にいた誰もが、ピクっと耳を動かした。
そして、つい、視線を彷徨わせてしまう。
アンドロメダが、全員を代表して、
「もうしわけございません、猊下……今、なんとおっしゃったのでしょうか?」
「これより、神帝陛下の命を伝えると言っている。気持ちは分かるゆえ、一度目は許すが、これ以降、二度と聞き返す事は許さない」
「「「「「「「「……」」」」」」」」
バロール以外の、この場にいる全員の顔に、汗が浮かんだ。
みな、心の中で、
(猊下は……頭がおかしくなったのか?)
(神帝陛下? ……神帝陛下って……神帝陛下のことか? 聖典の? 神帝陛下から命令? いやいや、そんなバカな……)
(しんていへいか……誰のことじゃ? まさか、神帝……いや、それはない。しかし、となると……いったい、誰の……)
(な、なにかの隠語か?)
(神の御言葉……神法の一文を述べるということか? それとも、他の……)
配下の前では見せる訳にはいかない『素』を、この場では、少しだけだせるので、みな、一様に声が少しだけ弾んでいる。
『ナメられる訳にはいかない』という責はあるが、ここには、簡単に他者を見下すような愚者はいない。
互いが互いを認めている。
ゆえに、少しだけ緩む。
とはいえ、緩み切る事はない。
そんな、むしろ、ちょうどいい関係性。
とはいえ、派閥的なものも多少はあって、
「モンスターの災害だけではなく、未だに、バカ共が、たまに沸いて結束しおる」
「どれだけ統制しても、アホどもが決死の覚悟で起こすテロ行為だけは減らんよなぁ。何かしら対策できんもんかのう」
「何しても無理じゃろう。やつらは言い分が狂っておる。権利を勘違いしたバカの暴走なら、正論や事実を並べる事での対処も不可能ではないが、ただ暴れる理由が欲しいだけのカス共相手では何もできん」
「わかるわー、あいつら会話にならんのじゃよなぁ。前に、ウチの世界の首都で暴れたアホ共のトップは、こう叫んでおったよ。『全ての世界はゼノリカに支配されている! この支配構造は改革せねばならない!』と」
「いや、うん、世界はゼノリカに支配されておるよ? で、それの何が悪いんじゃ?」
「わしも同じことを聞いた」
「で? やつらは、なんと答えたんじゃ?」
「何が悪いかなど問題ではない。とにかく改革せねばならぬのだ!」
「ぶははっ、わけがわからん!」
「ガチガチのガチで、そのわけのわからん事を言ってくるからのう。アホには驚かされるわい」
「おるよなぁ、ほんとうに……理屈はどうでもいいとか、本気でのたまうバカ。自分の理解できないこと、理解したくないことは、屁理屈の一言ですますバカ」
「そして、そんなバカの方が行動力はあるという」
「厄介、厄介」
沙良想衆の面々は、みな、和気あいあいという訳でもないが、それなりに『近い』のだが、
長強(そんなバカ共は殺して終わり……議題にあげるほどの価値もない。というか、お前ら、けっきょく、最終的には、ウチ(楽連・愚連)に丸投げだろうが)
UV1「……」
楽連と百済は、やはり別枠という感じなのか、少し距離感が違う。
長強は、ほとんど会話には加わらず、
時折、微笑んで(決して筋肉バカじゃない。空気は読む)うなずくくらい。
ウルトラバイオレット001は、
『監査機関の頂点』という『非常に重たい立場』であり、
自分は司法の側に立っているという自覚があり、
単純に責任感も強いため、
常に、ピンと張り詰めた表情で、静かにたたずんでいる。
楽連は軍事(抑止力と治安維持)で、
百済は司法(ゼノリカ神法に基づき、『神の裁き』を執行する)。
沙良想衆は、行政(楽連と百済がやらない仕事の大半。つまり、山ほど仕事がある訳だが、沙良想衆の下部組織には、あらゆる部門の頂点が集まっているので、何を任されたとしても、なんら問題なく遂行できる)。
そして、天上は、立法(あくまでもゼノリカ神法の補強。改革など、とんでもないっ)を担う。
ふと、ライラたちの会話を黙って聞いていたアクエリアスが、アンドロメダに向けて、
「こたびの招集……なにやら、今までとはワケが違いそうじゃのう。なんでも、バロール猊下が直接、ここまで、上の命令を伝えにこられるとか?」
「ふむ」
「……『十席の御方々』以外の九華が、大災害でもないのに降りてくるとは……」
「ただ命令を伝えるというだけで、下界まで降りてくるのは……もしかして、初めてではないか?」
「初めてじゃな。物語っておるよ……何やら、大きな事が起こると」
「ふふ……楽しみじゃわい。事と次第によっては、何人か上に上がれるチャンスやもしれん」
「かもしれんのう…………ん、そろそろじゃな」
会談の途中で、『アンドロメダ』がチラと時計を確認した。
その直後、
「みな」
ボソっとそう声を発すると、それまで朗らかな顔でお喋りをしていた老人たちが、一斉に、キっと、その顔つきを最上位者のソレに変えて黙った。
時計の針が、てっぺんに届く前に、みな、席から立ち上がり、この空間の最奥にある扉――唯一、『上の層へと繋がっている扉』に視線を向ける。
そして、時計の針がてっぺんに到着するコンマ数秒前、
ババっと、
右手を左胸にあてて、スっと頭を30度ほど下げる。
ゆっくりと、扉が開く音が響いた。
「そろっているな」
聞かれて、アンドロメダが、頭を下げたまま、
「はっ。ブナッティ・バロール星典魔皇猊下。十人蒼天、ここに」
「うむ」
威厳たっぷりに頷くと、バロールは、上座に腰かけ、
「座りなさい」
低く、通る声でそう言った。
十人蒼天は、軍隊よりも揃った動きで頭をあげて、アンドロメダから順番に腰をおろしていく。
全員が座ったのを確認してから、バロールは、
「これより、神帝陛下の命を伝える」
穏やかに、しかしハッキリとそう言った。
バロールの発言に、その場にいた誰もが、ピクっと耳を動かした。
そして、つい、視線を彷徨わせてしまう。
アンドロメダが、全員を代表して、
「もうしわけございません、猊下……今、なんとおっしゃったのでしょうか?」
「これより、神帝陛下の命を伝えると言っている。気持ちは分かるゆえ、一度目は許すが、これ以降、二度と聞き返す事は許さない」
「「「「「「「「……」」」」」」」」
バロール以外の、この場にいる全員の顔に、汗が浮かんだ。
みな、心の中で、
(猊下は……頭がおかしくなったのか?)
(神帝陛下? ……神帝陛下って……神帝陛下のことか? 聖典の? 神帝陛下から命令? いやいや、そんなバカな……)
(しんていへいか……誰のことじゃ? まさか、神帝……いや、それはない。しかし、となると……いったい、誰の……)
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*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
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