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師匠にまるなげ
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――アダムとの激闘後、シューリは、アダムと別れ、センのもとに転移した。
シューリは、与えられた指輪の効果で、いつでも、センと二人きりになる事ができる。
ただし、『何か会わなくてはいけない理由』がない時に、この指輪を使う事はない。
その理由は単純。
理由もないのに会いにいくようなマネは、プライドが許さないから。
「ひさしぶりでちゅね」
「いや、実質、三日ぶりくらいだろ。なに言ってんだ」
二人きりの世界で、そんな会話をかわすセンとシューリ。
ちなみに、センは、極大魔法で己をすりつぶす直前に、シューリと、『死ねたら、後は頼む』的な会話を、直接会って交わしていた。
「三日も会えなかったんでちゅよ。オイちゃん、さびしくて死にそうでちた」
「へぇ」
「会いたくて、会いたくて、震えていまちた」
「本当は?」
「なんで、たったの中三日で、あんたの顔なんか見なきゃいけないのかと辟易していまちゅ」
「……素直なやっちゃなぁ」
「で? 弁明は?」
「あん?」
「あのクソガキのことでちゅ。なんか、呼び出しうけて襲われたんでちゅけど」
「ああ、アダムな。あいつ、おもしろくね? 戦闘力は現世の限界点に達していて、存在値も最果て級。でも、神闘を知らないから、まだまだ発展途上。あの領域に至っていて、強くなるのはむしろこれからという、とんでもない原石。もし、神闘をマスターしたら、どれだけの存在になるのか……俺は、あいつがどこまで強くなるか見てみたい。というわけで、シューリ姉さん、あいつの指導、おなしゃーす」
センの言葉を、シューリは、少しだけ抑えたニタニタ顔をして、黙って聞いている。
腕を組み、少しだけ気だるげに、静かに耳を傾けている。
「ほら、ぶっちゃけ、俺って教えるの下手じゃん? まあ、そこらの武をまったく知らんやつよりは、多少、教えるのもマシな自覚があるけどさぁ……結局、お前の方が上手いじゃん? ガチンコで闘ったら俺がほぼ勝つってだけで、戦闘以外は全敗の勢いじゃん?」
「……」
「ただ強いだけの俺と違って、シューリさんは、マジで万能で全能な、ぶっちゃけ最強の、『勝利と幸運の女神様』じゃん? じゃあ、俺がやるより、シューリ姉様がやる方がいいなーってな具合の方程式でザッツオール」
「……」
「恐いっす、なんか言ってくださいよ、師匠」
「……」
「ごめんなさい! まさか、いきなり襲うとは思っていませんでした!」
事前に、アダムから報告は受けている。
『どの程度の強さを持つのか、奇襲をかけて試してみました。素晴らしい強さでした。これからはあの強さに至れるよう精進します』という、簡素なメッセージ。
『えぇ、うそーん。なんで、奇襲とかそんなキテレツなマネを……おまえ、ほんと、なんで、そんなに脳内が常にフルアーマーデストロイモードなの? バカなの? 死ぬの?』と焦り、
シューリに対する言い訳を考えようとしたが、
そのタイミングでシューリが襲来してしまったので、
なんとか勢いで流そうとした――
が、結果はごらんのありさま。
「言っておきまちゅけど、次、あのクソガキが、何か一つでも、オイちゃんにナメたマネかましてきたら、その時は、マジで殺しまちゅからね」
「あいつはバカじゃない。一度闘ったんなら、お前の強さは理解したはず。二度と、バカなマネはしねぇよ」
センの言葉を聞いて、シューリは、一瞬だけだが、しかし、確かに、イラっとした炎を纏った。
(……ノンキかっ……)
呆れに染まった心の声は、当然、センには届かなくて、
だから、センは、バカ丸出しで続ける。
「つぅか、お前の強さを理解したなら、あいつ、お前に平伏しただろ? 普通に神様扱いされたろ? どうやら、あいつ、自分より強い奴の事は崇拝するっぽいから。いわゆる狂信者体質だな」
シューリは、与えられた指輪の効果で、いつでも、センと二人きりになる事ができる。
ただし、『何か会わなくてはいけない理由』がない時に、この指輪を使う事はない。
その理由は単純。
理由もないのに会いにいくようなマネは、プライドが許さないから。
「ひさしぶりでちゅね」
「いや、実質、三日ぶりくらいだろ。なに言ってんだ」
二人きりの世界で、そんな会話をかわすセンとシューリ。
ちなみに、センは、極大魔法で己をすりつぶす直前に、シューリと、『死ねたら、後は頼む』的な会話を、直接会って交わしていた。
「三日も会えなかったんでちゅよ。オイちゃん、さびしくて死にそうでちた」
「へぇ」
「会いたくて、会いたくて、震えていまちた」
「本当は?」
「なんで、たったの中三日で、あんたの顔なんか見なきゃいけないのかと辟易していまちゅ」
「……素直なやっちゃなぁ」
「で? 弁明は?」
「あん?」
「あのクソガキのことでちゅ。なんか、呼び出しうけて襲われたんでちゅけど」
「ああ、アダムな。あいつ、おもしろくね? 戦闘力は現世の限界点に達していて、存在値も最果て級。でも、神闘を知らないから、まだまだ発展途上。あの領域に至っていて、強くなるのはむしろこれからという、とんでもない原石。もし、神闘をマスターしたら、どれだけの存在になるのか……俺は、あいつがどこまで強くなるか見てみたい。というわけで、シューリ姉さん、あいつの指導、おなしゃーす」
センの言葉を、シューリは、少しだけ抑えたニタニタ顔をして、黙って聞いている。
腕を組み、少しだけ気だるげに、静かに耳を傾けている。
「ほら、ぶっちゃけ、俺って教えるの下手じゃん? まあ、そこらの武をまったく知らんやつよりは、多少、教えるのもマシな自覚があるけどさぁ……結局、お前の方が上手いじゃん? ガチンコで闘ったら俺がほぼ勝つってだけで、戦闘以外は全敗の勢いじゃん?」
「……」
「ただ強いだけの俺と違って、シューリさんは、マジで万能で全能な、ぶっちゃけ最強の、『勝利と幸運の女神様』じゃん? じゃあ、俺がやるより、シューリ姉様がやる方がいいなーってな具合の方程式でザッツオール」
「……」
「恐いっす、なんか言ってくださいよ、師匠」
「……」
「ごめんなさい! まさか、いきなり襲うとは思っていませんでした!」
事前に、アダムから報告は受けている。
『どの程度の強さを持つのか、奇襲をかけて試してみました。素晴らしい強さでした。これからはあの強さに至れるよう精進します』という、簡素なメッセージ。
『えぇ、うそーん。なんで、奇襲とかそんなキテレツなマネを……おまえ、ほんと、なんで、そんなに脳内が常にフルアーマーデストロイモードなの? バカなの? 死ぬの?』と焦り、
シューリに対する言い訳を考えようとしたが、
そのタイミングでシューリが襲来してしまったので、
なんとか勢いで流そうとした――
が、結果はごらんのありさま。
「言っておきまちゅけど、次、あのクソガキが、何か一つでも、オイちゃんにナメたマネかましてきたら、その時は、マジで殺しまちゅからね」
「あいつはバカじゃない。一度闘ったんなら、お前の強さは理解したはず。二度と、バカなマネはしねぇよ」
センの言葉を聞いて、シューリは、一瞬だけだが、しかし、確かに、イラっとした炎を纏った。
(……ノンキかっ……)
呆れに染まった心の声は、当然、センには届かなくて、
だから、センは、バカ丸出しで続ける。
「つぅか、お前の強さを理解したなら、あいつ、お前に平伏しただろ? 普通に神様扱いされたろ? どうやら、あいつ、自分より強い奴の事は崇拝するっぽいから。いわゆる狂信者体質だな」
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