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「モンハウの報告はギルドにしておくよ。君ら名前は? ギルドにモンハウ討伐の功労者だって伝えておくからさ」
「……いや、俺たちは冒険者登録してねえから……」
「は? 冒険者じゃないのかお前。でも──」
「リック」
熱血漢なパーティーリーダーってところか。それを魔術師の男が止める。
俺が地下街の住人だって気づいたんだろう。
「冒険者でなくても、モンハウ討伐に貢献すればそれなしの報酬が貰えるはずだ。だから名前と、どこか連絡の取れる場所があれば上に伝えておく」
「そんなの出るのか」
魔術師が言うには、冒険者であれば貢献値が結構貰えるとのこと。
勿体ないことをした……。
それから規模に応じてお金の報酬も出るそうだ。
あと──
「モンハウ討伐者としてちょっとした有名人になれる」
──と。
うぅん、それはノーサンキューかな。
とにかくくれるものがあるなら貰うさ。
名前と、それから地下三階の教会のことを話すと、このパーティーも生臭坊主に世話になったことがあると言っていた。
「じゃあギルドにはそう伝えておくよ」
「これ──少ないけど助けてくれたお礼よ」
「俺たちもやっと駆け出しを卒業したところで、あんまりいいものを渡せないのが情けないところなんだけどさ」
そう言って彼らは数本のポーション瓶と、じゃらりと音のする巾着袋をくれた。
中身は魔石だろう。
「ありがとう。正直助かるよ。今の俺にはお金が必要だからさ」
「そうか! 役に立ててくれるのなら、助けて貰った甲斐もあるってもんだ」
「いやいやリック、それなんかおかしいぞ」
「ほんと、ありがとね」
彼らは階段を下りて魔法陣へと乗った。
最後にもう一度振り返って手を振るので、俺もセシリアも手を振り返して──そして四人は転移装置を発動させた。
なんだか良い冒険者だったな。助けられてよかった。
「いば、よあった?」
「ん? そうだな。良かったと思ってる。人助けが出来て、お礼も貰えて。ギルドから報酬う、貰えるのかよほんとに」
でも今はこの巾着袋の中身だ。結構魔石が入ってるだろ?
口の紐を解いて中身を見ると、魔石とはちょっと違う石が見えた。
……これ……。
「宝石か!?」
「わぁ、きえい。あ、こえこえっ」
俺が掌にだした石の一つを摘まみ上げ、セシリアがにこにこ顔で俺を見た。
「まおうしぇき」
「……魔王チェキ?」
「うぇ?」
いや、首傾げられても困るんだけど。
「まぁこんな所でがちゃがちゃ広げねえで、上に戻って教会で神父に自慢しながらゆっくり見るか」
「うんっ、はい!」
立ち上がって階段を下り、魔法陣を──
「はぁ、なんだよこりゃ。俺様のモンハウが潰れてんじゃねーか!」
そんな声がして視線を左に向けると、大量のモンスターを背後に抱えて走って来る男が──いた。
「……いや、俺たちは冒険者登録してねえから……」
「は? 冒険者じゃないのかお前。でも──」
「リック」
熱血漢なパーティーリーダーってところか。それを魔術師の男が止める。
俺が地下街の住人だって気づいたんだろう。
「冒険者でなくても、モンハウ討伐に貢献すればそれなしの報酬が貰えるはずだ。だから名前と、どこか連絡の取れる場所があれば上に伝えておく」
「そんなの出るのか」
魔術師が言うには、冒険者であれば貢献値が結構貰えるとのこと。
勿体ないことをした……。
それから規模に応じてお金の報酬も出るそうだ。
あと──
「モンハウ討伐者としてちょっとした有名人になれる」
──と。
うぅん、それはノーサンキューかな。
とにかくくれるものがあるなら貰うさ。
名前と、それから地下三階の教会のことを話すと、このパーティーも生臭坊主に世話になったことがあると言っていた。
「じゃあギルドにはそう伝えておくよ」
「これ──少ないけど助けてくれたお礼よ」
「俺たちもやっと駆け出しを卒業したところで、あんまりいいものを渡せないのが情けないところなんだけどさ」
そう言って彼らは数本のポーション瓶と、じゃらりと音のする巾着袋をくれた。
中身は魔石だろう。
「ありがとう。正直助かるよ。今の俺にはお金が必要だからさ」
「そうか! 役に立ててくれるのなら、助けて貰った甲斐もあるってもんだ」
「いやいやリック、それなんかおかしいぞ」
「ほんと、ありがとね」
彼らは階段を下りて魔法陣へと乗った。
最後にもう一度振り返って手を振るので、俺もセシリアも手を振り返して──そして四人は転移装置を発動させた。
なんだか良い冒険者だったな。助けられてよかった。
「いば、よあった?」
「ん? そうだな。良かったと思ってる。人助けが出来て、お礼も貰えて。ギルドから報酬う、貰えるのかよほんとに」
でも今はこの巾着袋の中身だ。結構魔石が入ってるだろ?
口の紐を解いて中身を見ると、魔石とはちょっと違う石が見えた。
……これ……。
「宝石か!?」
「わぁ、きえい。あ、こえこえっ」
俺が掌にだした石の一つを摘まみ上げ、セシリアがにこにこ顔で俺を見た。
「まおうしぇき」
「……魔王チェキ?」
「うぇ?」
いや、首傾げられても困るんだけど。
「まぁこんな所でがちゃがちゃ広げねえで、上に戻って教会で神父に自慢しながらゆっくり見るか」
「うんっ、はい!」
立ち上がって階段を下り、魔法陣を──
「はぁ、なんだよこりゃ。俺様のモンハウが潰れてんじゃねーか!」
そんな声がして視線を左に向けると、大量のモンスターを背後に抱えて走って来る男が──いた。
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