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棍棒を構えたホブゴブリンは──眠っていた。
立ったまま寝るとは、器用な奴だな。
それでも声を出されては面倒なので、ギリギリまで近づいて一時停止。そして一気に駆け寄ってそのぶよぶよな喉笛を切り裂いた。
一時停止が切れた時には、既に死んだあと。
「中は薄暗いが、奥の方に明りが見えるな」
「行く?」
「あぁ、慎重に行こう」
ホブゴブリンの身長は二メートルを超える。それに合わせて巣穴も結構大きかった。
ぐねぐねとした一本道を進むと、左右に小部屋になった横穴を発見。
そのいくつかでホブゴブリンが眠っていたが、一時停止して永眠させていく。
三つ目の小部屋で遂に気づかれてしまうが、もう後の祭りだ。
ドスドスと駆けてくるホブゴブリンどもは奥の通路からしかやってこない。他に枝分かれした道もなかったので当たり前だ。
こうなると俺の一時停止の独壇場だ。
ただ前を見て瞬きをすればいいだけだからな。
一時停止をして、セシリアが魔法でまとめて切り裂く。
手前の奴らが倒れればまた一時停止。セシリアが魔法で切り裂く。
これだけでホブゴブリンの死体が積み上がって行った。
「失敗したな……これじゃあ奥に進めない」
「うぅ……外の方がよかったね」
山積みになった死体をどかしてまで、奥に行きたいとは思わないな。
だが積み上げられた死体は、ホブゴブリンどもから動かしてくれた。
怒り狂った一体の、他より一回りデカい奴が死体を担いではこちらに向かって投げてきやがった!
「あぶねっ」
避けながら来た道を引き返す。
そうして巣穴を出ると、俺とセシリアは左右に分かれた。
『ウルガアアァァァァッ』
棍棒を振り回し飛び出してきたホブゴブリンに──一時停止。
ピタリと動きは止まったが、勢いがついていたのでそのまま前のめりに倒れる。
丁度いい。このままハンマーの刃を振り下ろして首を切り落とそう。
そう思ったが、意外とこれが硬い。
それならそれでこうだ!
うなじに刃を突き刺し、そのハンマーをもう一本のハンマーで叩いた。
カー……ンと音が響く。
やっていることは採掘場での作業と一緒だ。
岩を砕くために、掘削用ハンマーで叩いていた動作と全く同じ。
何度も何度もハンマーで叩き、遂には──
『ゴブァッ』
一時停止が解けた瞬間、奴は短い断末魔を上げ、首と胴とが分離した。
「骨……」
あの大きな奴が仲間の死体をぶん投げてくれたおかげで、奥の通路に進むことが出来た。
奥に残ってたホブゴブリンは三体だけ。それほど大きな群れではなかったようだ。
一番奥にあったのは、奴らにとっては宝物倉なのかな。
動物とかモンスターの骨が積み上げられていて、他にも毛皮、それに石がごろごろ。
「んー、リヴァ。この毛皮、たぶんダメぇ」
「え、ダメって何がどう?」
「見てこえ。汚い」
あぁ、ズタボロだ。なんていうか、とにかく剥ぎましたーって感じ。
これなら俺がやったほうがまだマシだ。
剥ぎ方も問題だが、何より血や土がついていて物理的に汚い。これじゃ売り物にもならないだろうし、獣人族の所へ持って行くのも申し訳なくなるな。
骨……何かに使えるのかなぁ。
一応モンスターの骨も、素材として取引はされているし、持って帰るか。
あとは石だ。
「光物……には見えないが……」
「こえ、鉄鉱石よ。人間の町でもドワーフの集落でも、取引してくりぇうの」
「へぇ、鉄鉱石か。光物じゃないけど、戦利品にはなりそうだな」
全部を収納袋に入れてテントへと引き返す。
帰った時には深夜になっていた。
立ったまま寝るとは、器用な奴だな。
それでも声を出されては面倒なので、ギリギリまで近づいて一時停止。そして一気に駆け寄ってそのぶよぶよな喉笛を切り裂いた。
一時停止が切れた時には、既に死んだあと。
「中は薄暗いが、奥の方に明りが見えるな」
「行く?」
「あぁ、慎重に行こう」
ホブゴブリンの身長は二メートルを超える。それに合わせて巣穴も結構大きかった。
ぐねぐねとした一本道を進むと、左右に小部屋になった横穴を発見。
そのいくつかでホブゴブリンが眠っていたが、一時停止して永眠させていく。
三つ目の小部屋で遂に気づかれてしまうが、もう後の祭りだ。
ドスドスと駆けてくるホブゴブリンどもは奥の通路からしかやってこない。他に枝分かれした道もなかったので当たり前だ。
こうなると俺の一時停止の独壇場だ。
ただ前を見て瞬きをすればいいだけだからな。
一時停止をして、セシリアが魔法でまとめて切り裂く。
手前の奴らが倒れればまた一時停止。セシリアが魔法で切り裂く。
これだけでホブゴブリンの死体が積み上がって行った。
「失敗したな……これじゃあ奥に進めない」
「うぅ……外の方がよかったね」
山積みになった死体をどかしてまで、奥に行きたいとは思わないな。
だが積み上げられた死体は、ホブゴブリンどもから動かしてくれた。
怒り狂った一体の、他より一回りデカい奴が死体を担いではこちらに向かって投げてきやがった!
「あぶねっ」
避けながら来た道を引き返す。
そうして巣穴を出ると、俺とセシリアは左右に分かれた。
『ウルガアアァァァァッ』
棍棒を振り回し飛び出してきたホブゴブリンに──一時停止。
ピタリと動きは止まったが、勢いがついていたのでそのまま前のめりに倒れる。
丁度いい。このままハンマーの刃を振り下ろして首を切り落とそう。
そう思ったが、意外とこれが硬い。
それならそれでこうだ!
うなじに刃を突き刺し、そのハンマーをもう一本のハンマーで叩いた。
カー……ンと音が響く。
やっていることは採掘場での作業と一緒だ。
岩を砕くために、掘削用ハンマーで叩いていた動作と全く同じ。
何度も何度もハンマーで叩き、遂には──
『ゴブァッ』
一時停止が解けた瞬間、奴は短い断末魔を上げ、首と胴とが分離した。
「骨……」
あの大きな奴が仲間の死体をぶん投げてくれたおかげで、奥の通路に進むことが出来た。
奥に残ってたホブゴブリンは三体だけ。それほど大きな群れではなかったようだ。
一番奥にあったのは、奴らにとっては宝物倉なのかな。
動物とかモンスターの骨が積み上げられていて、他にも毛皮、それに石がごろごろ。
「んー、リヴァ。この毛皮、たぶんダメぇ」
「え、ダメって何がどう?」
「見てこえ。汚い」
あぁ、ズタボロだ。なんていうか、とにかく剥ぎましたーって感じ。
これなら俺がやったほうがまだマシだ。
剥ぎ方も問題だが、何より血や土がついていて物理的に汚い。これじゃ売り物にもならないだろうし、獣人族の所へ持って行くのも申し訳なくなるな。
骨……何かに使えるのかなぁ。
一応モンスターの骨も、素材として取引はされているし、持って帰るか。
あとは石だ。
「光物……には見えないが……」
「こえ、鉄鉱石よ。人間の町でもドワーフの集落でも、取引してくりぇうの」
「へぇ、鉄鉱石か。光物じゃないけど、戦利品にはなりそうだな」
全部を収納袋に入れてテントへと引き返す。
帰った時には深夜になっていた。
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