最強ドラゴンを生贄に召喚された俺。死霊使いで無双する!?

夢・風魔

文字の大きさ
56 / 97

56

しおりを挟む
 私が……私がキャスバルの無念を晴らしてみせます!
 そのためにも彼のペンダントが必要でしたわね。

 まずは自室に戻り、どうやってペンダントを手に入れるか考えなければ。

「姫――アリアン姫様」

 後ろから呼び止められ、その声がジャスランだというのは振り向かなくともわかりますわ。
 私を「姫」と呼ぶのは、この城でもジャスランだけですもの。

「ジャスラン、どうかなさいましたか?」
「いえ、私のほうこそ、どこに行っておいでなのかと思って心配しておりましたところです。何分、キャスバル王子の件もございますので」
「え、えぇ。そうですわね。心配をかけてごめんなさい。今から部屋に戻って休むつもりでした」
「左様でしたか。ではお部屋までお供いたしましょう」
「えぇ」

 ここは大人しくジャスランに従いましょう。
 きっと彼が親衛隊の部下に命じて、部屋の前の扉を見張らせるでしょうが……問題ありませんわ。
 私の部屋から中庭へと通じる隠し通路がありますもの。

 ジャスランに見送られ、そして案の定警備の兵が扉の前に。

『これじゃあ外に出れないわね』
「ひゃっ」
『あら、ごめんなさい。驚かせてしまったようね』
「あ、いえ、大丈夫です。私も、扉の件も」

 まずは動きやすい服に着替えて……うぅん、どれもこれも動きやすいとは程遠い服ばかりですわ。
 あ、そうだ!

 乗馬の練習用の服でしたら、殿方のようなズボンですし……よしっと。

「さぁ、みなさま行きましょう」
『え、どこへですか?』
『王女様、計画はあるですかぁ?』
「はい」

 自室の奥にある寝室に向かい、ベッドの下に敷かれたカーペットに手を入れて――床に隠してある小さなハンドルを回すと――。

『あら。壁に隙間が』
『わぁ、これって隠し通路ってやつですか?』
「はい。王族の寝室なんかには、こういった隠し通路があるのが常識なのですよ」
『お城のあるあるですぅ。なんだか大冒険みたいでワクワクするですぇ』
『カルネ、ワクワクなんて失礼でしょ。王女様は……』
「いえ、大丈夫です。私は……キャスバルのためなら、大冒険だって立派にやってみませますっ」





 レイジさまが護衛にとつけてくださった幽霊のみなさんと隠し通路を行きながら、これからのことを話します。

「ペンダントはおそらくニライナの使者の方の部屋にあるはずです。キャスバル王子の品ですから、我が国で管理するとは考えられません」
『じゃあ、その使者の部屋を、ひとつひとつ調べるしかないわね』
「はい……使者の方は、今頃全員、謁見の間で父と一緒だと思います。キャスバルの捜索の指揮を取るため。そして父が不穏な動きを見せないか見張るために」
『問題は誰の部屋にあるかですね』
『あら、そんなの、アタシたちでちょちょいっと見て調べればいいじゃない』
『ですぅ。私たちなら壁もすり抜けられますし、もし箱に入れて保管されていても――』
『覗けますね♪』

 まぁ、なんて頼もしいのでしょう!

 死霊使いは禁忌の魔法を用いて死者を強制的に従える、呪われた職だと聞きましたが……。
 彼女らは強制的に従えさせられているようにも見えないし、むしろ楽しんでいるようにすら見える。
 それに……死者というには、あまりにも活き活きとしていて、まるで生きている人のよう。
 不吉だ。呪われている。
 そういったものを何一つ感じさせない。
 きっとレイジ様がそういう方だからなのでしょうね。

 私は彼を信じます。
 キャスバルを見つけてくださった彼を……。

「キャスバルがレイジ様にお仕えするようになったら、彼も見えるようになるのかしら……」
『え? アリアン王女、今何か言ったかしら?』
「あ、いえ。なんでもありません。では三人には使者が寝泊まりするお部屋の位置をお教えします。まずこの通路の先が中庭になっています――」

 幸い使者の方が泊まる部屋は、中庭に面した部屋になっています。
 ペンダントが見つかれば、あとは私がこっそり忍び込んで――あ。

「ペンダントが見つかったら、そのままあなた方が持ち出せないのでしょうか?」

 と尋ねてみましたが、三人は揃って首を振るだけ。
 え、幽霊さんは物に触れない?
 はぁ、すり抜けるだけ……。

 そ、それでは……キャスバルがレイジ様にお仕えして見えるようになっても、彼の胸に飛び込むことは出来ないのですね……。
 キャスバル……。

「い、いいえ。今はそんなことを考えてる場合じゃありませんわ」
『何を考えてたの?』
『何ですかねぇ?』
「さぁ、行きましょう!」

 通路の終着点にあるレバーを下ろせば、中庭に面した壁が静かに動いて抜け出すことが出来る。
 この壁もつる草によって隠されているので、そっと顔を覗かせても外から見つかる心配はない。
 誰もいませんね……では――。

『行ってくるわね』
『王女様は待っててねぇ』
『カルネちゃんはあっちの部屋に行きま~す』

 三人を見送って暫くすると、魔術師のように見えるカルネさんがペンダントを見つけたと。

『特に箱に収められていたりもありませんでしたですぅ。なんていうか、すっごい雑な感じで机の上に置いてあったですぅ』
『あら。王子様の持ち物なら、大事に扱うはずでしょ? 万が一紛失でもしたら、それこそ首でも飛ぶんじゃないかしら』
「く、首が飛ぶかどうかはわかりませんが……そうですね、財産没収、お家断絶ぐらいは……あら? みなさん、どうかなさいましたか?」

 三人が私を見る目が、どこか怯えているような。
 私、変なことでも言いましたかしら?





『では王女様。私がサポートしますから、楽ぅにしてくださいですぅ』
「は、はい。よろしくお願いします」

 カルネさんはやっぱり魔術師だったのですね。
 呪文を詠唱し彼女が杖を振ると、私の体がほんの少しだけ地面から――。

「浮きましたっ」
『しーっ。声を出さないの』
「はっ。す、すみません」

 手で口元を抑え、辺りを見回して人がいないかを確認。
 だ、大丈夫ですわね。
 それでは、参ります。

 勢いよくジャンプすると、私の体は大きく飛び跳ねる。
 そして二階の部屋にあるバルコニーまで到達し、そこからこっそり中へと忍び込む。

 だ、誰もいませんね?
 いるわけありませんものね?

 部屋に明かりはなく、窓から差し込む月明かりだけが頼り。

『こっちですぅ』

 案内され向かったのは、部屋の隅に置かれたベッド脇の机。
 そこに青い瑠璃石が嵌め込まれた、キャスバルのペンダントが置かれていた。
 布に包まれている訳でもなく、また布の上に置かれている訳でもなく、ただ雑然とそこに置かれただけのペンダント。

 ペンダントを見て不自然だと感じるのは、私だけではないはず。
 王家の者の所有物を、傷がつくかもしれない状態にしておくなんて……。

 でも、このペンダントにキャスバルが。
 そう思うと、どこか暖かさを感じる。
 彼が今、私を包み込んでくれているのかもしれない。
 あぁ、キャスバル……。

 ペンダントを手にしようとしたその時――。

『誰か来ますっ。王女様、隠れてっ』
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

ハイエルフ少女と三十路弱者男の冒険者ワークライフ ~最初は弱いが、努力ガチャを引くたびに強くなる~

スィグトーネ
ファンタジー
 年収が低く、非正規として働いているため、決してモテない男。  それが、この物語の主人公である【東龍之介】だ。  そんな30歳の弱者男は、飲み会の帰りに偶然立ち寄った神社で、異世界へと移動することになってしまう。  異世界へ行った男が、まず出逢ったのは、美しい紫髪のエルフ少女だった。  彼女はエルフの中でも珍しい、2柱以上の精霊から加護を受けるハイエルフだ。  どうして、それほどの人物が単独で旅をしているのか。彼女の口から秘密が明かされることで、2人のワークライフがはじまろうとしている。 ※この物語で使用しているイラストは、AIイラストさんのものを使用しています。 ※なかには過激なシーンもありますので、外出先等でご覧になる場合は、くれぐれもご注意ください。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

裏スキルで最強異世界攻略~異世界召喚されたのだが、勇者じゃないと追い出されたので新しい国を造りました~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
いつものようにヤンキーに絡まれて逃げていたら、いつの間にか異世界召喚されてました。でも、スキルが『農民』しかなかったから、いらないと追放されました。 エブリスタ、カクヨム、ノベリズム、ノベルアップ、小説家になろうにも掲載しています。

社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル 14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり 奥さんも少女もいなくなっていた 若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました いや~自炊をしていてよかったです

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

処理中です...