器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~

夢・風魔

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「くっそぉ。十五階のネームドとボスのタイミングが被るなんてなぁ」
「レア度で言えばやっぱボスだろ」

 ダンジョンへ向かう途中、そんな会話が聞こえてきた。
 どうりでパーティーが多い訳だ。
 全員ボスの方に行ってくれればいいんだけど──とはいかず、十五階に転移すると数組のパーティーが階段にいた。

「眠らなくて大丈夫か?」
「この時間なら普段でも起きてるじゃない」
「にゃー」
「よい、じゃあ行くか。ここは初めてだし、慎重に行こう」

 緩やかな斜面に遺跡が建ち並ぶ。モルダンさんが言った通りだ。
 若干、高原構造も混じっているみたいだな。

「ロイド、右奥の柱の陰」
「了解」

 炙り出すために魔法スキルを一発、柱にぶつけた。
 出てきたのは、にゃびより小さくて黒っぽいモンスターだ。
 なんだろう、あれ?

「グレムリンにゃ! 睡魔の魔法スキル持ってるにゃから、気を付けるにゃよロイド」
「なんで俺にだけ言うんだよ」

 グレムリン。名前は聞いたことがある。
 妖精タイプのモンスターってことなんだけど、この見た目じゃ子供の夢を打ち砕くほど不気味だな。
 大きな耳と左右に角。皮膚は爬虫類のようだし、妖精というより妖魔か悪魔だろ。

 試しにプチ・ファイアを撃ってみる。

「ここのモンスターは魔法耐性が高いって言ってたじゃない」
「うん、確かめたかったんだ。まったく利かないのかどうか」
「んー、ちょっと利いてるぐらいかにゃー」

 利かない、訳じゃないのか。
 それじゃあ──

「"プチ・スラッシュ"!」
「キシェエェェッ」
「あれ? 一撃……」

 吹っ飛んだグレムリンは血泡を吹きながらそのまま起き上がることはなかった。
 意外に楽かも?

 そう思ったのもつかの間。

「グゲッゲ」
「キヒェー」
「キシシシシシ」

 うえぇー。出るわ出るわ。瓦礫の向こうから、岩陰からと続々出てくる。

「もうっ、こいつらキリがないわ!」
「ずっとここにいたらガルガルも探せにゃいにゃ!」
「そうだな。でも次々湧いてくるし」
「にゃびはなんて言ったの?」
「ここにいたらガルオンが探せないってさ。でも先に進めないし」

 魔法陣で転移してきてまだ百メートルも進んでいないっていうのに。
 そんなことを思っていると、次々と冒険者が走り抜けて行った。
 すれ違いざまにニヤリと笑いながら俺を見る奴もいる。

 もしかして……

「階段にいた連中! あいつら、誰かがグレムリンに囲まれるのを待ってたのか!?」
「なんですってっ。なんて奴らよ!」

 でも犯罪行為でもなんでもない。
 ムカつくけど、知らなかった俺たちがいけないんだ。

 でもこのままじゃいつまでも先に進めない。無視して走ったら、他人に擦り付けてしまう可能性もある。
 そんな卑怯者にはなりたくない!

「ルナ、にゃび! 少しだけ時間をくれっ」
「時間って、どうするのよ!?」
「少しだけにゃーよぉ」
「あぁ、少しだ。『ステータスボード』」

 俺たちには範囲スキルがない。一匹ずつしか倒せないから、だから湧きが早いと殲滅が間に合わなくなる。

「殲滅速度を上げるために今必要なのはこれだ! よし、二人ともあの岩の上に飛び乗ってっ」
「取りこぼしは任せて!」
「にゃにゃーっ」

 二人が近くの岩に飛び乗ったあと、グレムリンたちは俺めがけて突っ込んでくる。
 躱して、斬って、引っかかれて。
 俺の周辺に十匹近いグレムリンが集まったところで──

「"プチ・バーストブレイク"!!」

 俺を中心に、小範囲の攻撃スキル。
 剣先に魔力を流し、地面に叩きつけることで剣圧を爆発させる。

「ギャギャッ」
「ギュアァッ」

 放射線状にグレムリンが吹っ飛ぶ。
 範囲は半径一メートル半ぐらいか。本当に狭い範囲だな。
 でも今みたいな場面なら効果ありだな。

 それと、俺から近ければ近いほどダメージが大きいみたいだ。
 即死した奴とそうでない奴とがいる。
 すぐに矢が飛んで来て、ルナが止めを刺す。
 範囲外にいたグレムリンは四匹。

 それもにゃびの爪ですぐに数は半減し、一匹は矢で、もう一匹は俺のプチ・バッシュで絶命。

「ドロップは無視して、走り抜けよう!」
「うにゃー」
「左手のほうへ! 遮蔽物が少ないからグレムリンが隠れる場所もそうないと思うの」
「了解っ」

 グレムリンが隠れにくそうな場所を選んで走り抜ける。
 何匹か襲ってきたが、少数なら脅威ではなかった。

 高台の方まで行くと、グレムリンとは別のモンスターの生息区域に。
 見た目は大きなイタチっぽいけど、当然、かわいさはない。

「うへっ。あいつサンダーを撃って来るのか!?」
「魔法を使うから、魔法耐性が高いのね」
「尻尾が逆立つと魔法の合図みたいだな。その間に攻撃を受けると、スキルを中止するみたいだ」
「その前に倒せばいいにゃっ」

 まぁその通りだ。

 移動をしながら時々ルナが木や岩、瓦礫に登って辺りを見渡す。
 彼女は耳も、そして目もいい。
 ガルオンを探しながら暫く移動を続けた。
 その間に他の冒険者の姿も見るが、全員がガルオンを探している──ように見える。
 いや、見えるじゃなくってそうなんだろう。

「あぁん、見つからない。でも他の冒険者も狙ってるし、湧きタイミングなのは間違いないと思うんだけど」
「そうにゃねぇ。前回倒されたタイミングを知ってるにゃら、だいたいの予測は出来るにゃ。それを知ってる冒険者を見張ってれば、気づけるんにゃ」
「そうか──あ、にゃびがさ、前回ネームドが倒されたタイミングを知ってる冒険者なら、次に湧くタイミングも分かるって。その冒険者が動けば、他の冒険者にも──」
「それで一斉に……か。だったらやっぱり今がそのタイミングよね。もう、どこかしら」

 岩の上からルナが辺りを見渡す。俺も一緒に登って見てみるけど──コボルトっぽいモンスターの姿は見えない。
 
 急にずしっと重さを感じたかと思うと、「うにゃっ」とにゃびが俺を踏み台にしてジャンプした。
 
「うにゃにゃっ! 犬っコロ見つけたにゃー!!」
 
 え、マジか!?
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