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14:続編を読まずに死んじゃった
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「ふぅ……」
まぁたあの方にお礼を言えなかった。
っていうか、パーティーの参列者だと思ったのに、どこ探しても見つからないんだもん。
「どうしたのだ、ルシアナ嬢」
「あ、殿下……申し訳ございません」
「先日の誘拐未遂事件のことか?」
今日はお城でベンジャミン皇子とお茶会の日。
特に和気あいあいとした雰囲気なんてものもなく、ただただ婚約者と定期的に顔を合わせるための行事でしかない。
しかも今日はいつもより護衛の騎士の数が多かった。
まぁそうよねぇ。誘拐されかけたんだし。
「あの時一緒にいたご令嬢が、社交界デビューだったのです。あんなことがあって、パーティーが怖くなったりしないか気がかりで」
「……自分の身より他人のことが気になるのか?」
「ちょっと予想外なところもありましたが、基本、誘拐しようとしているのなら殺される心配はないと思っていましたので」
実際その通りで、あの時の奴らに私を殺す気はなかったと思う。
予想外なのは怪我をさせても構わなかったという点。
「誘拐犯に心当たりは──とそなたに聞いても、分からぬだろうな」
「むしろ、第一皇子の婚約者ですから……誘拐されるだけの理由はありますわ」
「そうだな……しかし残念なことに、いったい誰が誘拐を依頼したのかは分からぬ。まったく殺すのはひとりにして、もう片方は生かしておけばよかったものを」
結局、氷漬けにされた方も溶かしてみたら死んでいたそうな。
ま、まぁそうよね。うん。
犯人は死んでしまったけど、あの二人に私の誘拐を依頼した人物がいる。
だって「傷つけてもいいと言われた」って、あの男の口から出たんだもの。
依頼者がいなくて、あの二人が計画実行したなら、言われたなんて言うはずがない。
さすがに皇子の婚約者が──というのもあって、王国でも調査をしてくれているようだけど。
証拠が何もない。
もちろんパーティーの主催者である伯爵は、なんの関係もなかった。
原作にはない襲撃イベントだったし、私にも犯人が分からなかった。
「あまりこの話は楽しくないな。話題を変えよう。ん-、そういえば……侯爵家が所有する別荘を売りに出すそうだな」
「あ、殿下のお耳にも入ったのですか?」
珍しく柔らかな笑みを浮かべて私を見る。
お互いこういう身分だから、恋愛結婚なんて出来る訳がないと分かり切っている。
だから殿下から恋人だとか、そういった感じの扱いは受けたことがない。
だけどたまーに、こうして優しく微笑んでくれることがあった。
ルシアナにとっては、たったそれだけで満足だったみたい。
私《・》は……原作の展開を知っているだけに、笑いかけられたぐらいじゃ絆されないけど。
「本宅以外でしたら、王室の方でお気に召す物件があれば、ご紹介いたします」
「はは。なかなか商魂たくましいな。ひとり心当たりがある。あまり仲がいい方ではないが、声を掛けてみよう」
「仲がよろしくないのですか?」
「……三番目の弟だ」
三番目……ひえっ。
それって確か、北部の悪魔と呼ばれている第三皇子のこと?
原作ではこれまた描写の少ないキャラで、イラストはおろか名前すら出てこないのよね。
分かっているのは、第一皇子とは腹違いで母親は平民。めちゃくちゃ魔力が高く、平気で人を傷つける狂暴性を持つ人物だって語られていた。
幼い頃に前皇后──つまりベンジャミン皇子の母君に虐められて、怒りで魔力暴走させて後宮を半壊させたってことぐらい。
後宮という場所柄、防御結界のおかげで人間は全員無事だったらしいけど。
その後、第三皇子は王宮から追放されて北部を治めるリュグライド公爵が後継人として引き取った……という説明まではあった。
ただ、続編は北部を中心にしたストーリーになっているから、もしかしてそっちでメインになるキャラなんじゃないかって噂はあった。
そして私は、続編を読まずに死んじゃったから真相が分からない。
うぅ、こんなことだったら表紙カバーを見とくんだったぁ。
予約してたから、買う前から袋に入れられてて中身まったく見てなかいのよぉ
まぁたあの方にお礼を言えなかった。
っていうか、パーティーの参列者だと思ったのに、どこ探しても見つからないんだもん。
「どうしたのだ、ルシアナ嬢」
「あ、殿下……申し訳ございません」
「先日の誘拐未遂事件のことか?」
今日はお城でベンジャミン皇子とお茶会の日。
特に和気あいあいとした雰囲気なんてものもなく、ただただ婚約者と定期的に顔を合わせるための行事でしかない。
しかも今日はいつもより護衛の騎士の数が多かった。
まぁそうよねぇ。誘拐されかけたんだし。
「あの時一緒にいたご令嬢が、社交界デビューだったのです。あんなことがあって、パーティーが怖くなったりしないか気がかりで」
「……自分の身より他人のことが気になるのか?」
「ちょっと予想外なところもありましたが、基本、誘拐しようとしているのなら殺される心配はないと思っていましたので」
実際その通りで、あの時の奴らに私を殺す気はなかったと思う。
予想外なのは怪我をさせても構わなかったという点。
「誘拐犯に心当たりは──とそなたに聞いても、分からぬだろうな」
「むしろ、第一皇子の婚約者ですから……誘拐されるだけの理由はありますわ」
「そうだな……しかし残念なことに、いったい誰が誘拐を依頼したのかは分からぬ。まったく殺すのはひとりにして、もう片方は生かしておけばよかったものを」
結局、氷漬けにされた方も溶かしてみたら死んでいたそうな。
ま、まぁそうよね。うん。
犯人は死んでしまったけど、あの二人に私の誘拐を依頼した人物がいる。
だって「傷つけてもいいと言われた」って、あの男の口から出たんだもの。
依頼者がいなくて、あの二人が計画実行したなら、言われたなんて言うはずがない。
さすがに皇子の婚約者が──というのもあって、王国でも調査をしてくれているようだけど。
証拠が何もない。
もちろんパーティーの主催者である伯爵は、なんの関係もなかった。
原作にはない襲撃イベントだったし、私にも犯人が分からなかった。
「あまりこの話は楽しくないな。話題を変えよう。ん-、そういえば……侯爵家が所有する別荘を売りに出すそうだな」
「あ、殿下のお耳にも入ったのですか?」
珍しく柔らかな笑みを浮かべて私を見る。
お互いこういう身分だから、恋愛結婚なんて出来る訳がないと分かり切っている。
だから殿下から恋人だとか、そういった感じの扱いは受けたことがない。
だけどたまーに、こうして優しく微笑んでくれることがあった。
ルシアナにとっては、たったそれだけで満足だったみたい。
私《・》は……原作の展開を知っているだけに、笑いかけられたぐらいじゃ絆されないけど。
「本宅以外でしたら、王室の方でお気に召す物件があれば、ご紹介いたします」
「はは。なかなか商魂たくましいな。ひとり心当たりがある。あまり仲がいい方ではないが、声を掛けてみよう」
「仲がよろしくないのですか?」
「……三番目の弟だ」
三番目……ひえっ。
それって確か、北部の悪魔と呼ばれている第三皇子のこと?
原作ではこれまた描写の少ないキャラで、イラストはおろか名前すら出てこないのよね。
分かっているのは、第一皇子とは腹違いで母親は平民。めちゃくちゃ魔力が高く、平気で人を傷つける狂暴性を持つ人物だって語られていた。
幼い頃に前皇后──つまりベンジャミン皇子の母君に虐められて、怒りで魔力暴走させて後宮を半壊させたってことぐらい。
後宮という場所柄、防御結界のおかげで人間は全員無事だったらしいけど。
その後、第三皇子は王宮から追放されて北部を治めるリュグライド公爵が後継人として引き取った……という説明まではあった。
ただ、続編は北部を中心にしたストーリーになっているから、もしかしてそっちでメインになるキャラなんじゃないかって噂はあった。
そして私は、続編を読まずに死んじゃったから真相が分からない。
うぅ、こんなことだったら表紙カバーを見とくんだったぁ。
予約してたから、買う前から袋に入れられてて中身まったく見てなかいのよぉ
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