恋愛小説の悪役令嬢に転生しました!~借金のために皇子と婚約したけど、返済目処が立ったので婚約破棄されてさしあげます~

夢・風魔

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40:庭園で──ルシアナ視点

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 そう……こうなっちゃうよね。
 庭園にある小さな噴水が見える生垣に隠れて、原作通りの光景を目にしていた。

 チクりと胸が痛む。
 ルシアナ……これはあなたの痛みなの?
 私にはベンジャミン皇子との思い出なんて、本当は持っていない。
 この世界に来たのは、ほんの二カ月ちょっと前だもん。
 私が知るベンジャミン皇子のことは、まるで映画で見たような記憶しかない。

 だから彼が他の女性といたって、別に辛いことなんてないって、そう思っていたのに。

 ルシアナの魂は、私の中に残っているのかな。
 彼女がこの光景を目にして、胸を痛めているのかな。
 ルシアナもベンジャミン皇子に対して、恋心は抱いていなかったみたいだけど。
 でも婚約者に選ばれるために、一年間必死に頑張ってきたもんね。

 はぁ……せめて転生するにしろ、転移するにしろ。ベンジャミン皇子と婚約を結ぶ前だったら良かったのに。
 
 あぁ、でも婚約者の選定に選ばれるため、必死に勉強したのがきっかけて鑑定眼に覚醒したんだもんね。
 鑑定出来なければ、呪いの品を見つけることも出来なかっただろうし。グレン卿から呪いのことを教えてもらう機会もなかったはず。

 没落回避のためには、鑑定は必須だったと思う。
 
 侯爵家の没落を回避するためには、どうやっても私たち・・は痛みを伴わなきゃいけないわけね。

 ふぅ。

 分かった。
 じゃあ私も覚悟を決めて、立派な悪役令嬢になってみせるわ!

 大丈夫。
 全部終われば、みんなでハッピーエンドを迎えられるはずだもん。

 とりあえず私は、どこぞの五十五歳男爵に身売りしなくて済めばそれでいいわ!!
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