捨てられた令嬢は幼馴染と新たな恋をする

マルローネ

文字の大きさ
4 / 6

4話

しおりを挟む

「はあ……どうしたらいいのかな」


 シュゴー侯爵家……カイルの屋敷に住まわせてもらって5日が経過していた。5日間は矢のように過ぎて行ったけれど……どうしたらいいのか私にはわからない。その要因が……。

「おはようございます、エリス様」

「おはよう……メリーさん」

「私のことはメリーと呼び捨てにしてくださいと申したと思いますが」

「う~ん……なかなか難しくて」


 メリーが私の専属のメイドとして選ばれた。昔の私を知っているからというのがその理由みたいだけれど。確かにメリーは完璧な人だった。礼儀的にはもちろん、私の内面もサポートしてくれている。おかげでこの5日間は快適に過ごせたのだけれど。


「私の呼び方についてはまあとりあえずはいいです。しかし……カイル様のことはどのように考えているのでしょうか?」


「えっ? カイルのこと?」

「そうです」


 メリーに対しての悩みの種はそこにあった。やたらと私とカイルの仲のことを聞いて来るのだ。確か昔もそんな感じだったような気がするわね。私とカイルはそもそも何も始まっていない。身分の差からそんな話は出なかったからだ。侯爵令息と子爵令嬢では離れすぎている。昔からそのように思われていたはずだ。

 ノーブルと婚約できただけでもラッキーだと言われていたのに……それ以上の立場の人と婚約なんて考えられなかった。でも、今のメリーは違うようだ。

「またその話? 前にも言ったけれど、私とカイルは単なる幼馴染で……」

「それは聞いております。ですが昔の話であることも事実。今はどのようにお考えでしょうか?」

「今はって……それは……」


 久しぶりに会ったカイルは随分と男前になっていた。一瞬だったけれど見惚れてしまうほどに。ああダメだわ……そんなこと考えたらいけない。

「私はノーブルと婚約していた身だし……カイルとの仲なんてかんがえられないわ」

「ノーブル様との仲は既に終わっているはず。そう考えればカイル様との関係も冷静に対応できるのではないですか?」

「いえ、そんな簡単には……」


 私は周りの貴族から見れば婚約破棄された捨てられた子爵令嬢でしかない。そんな悪名がわいている私と一緒に居ること自体が新たな噂になりかねないのに……カイルはこの5日間まったく態度を変えていなかった。

「本来なら、私が近くにいるだけでもカイルの迷惑になりそうなのに……」

「カイル様は迷惑だと考えていないということでしょう。エリス様、もしもカイル様が一緒になりたいと言ったらその時は……応じていただけるのでしょうか?」

「ええっ? そんなこと……」


 メリーの発言は一人のメイドとしてはあまりにも大きな内容だった。真剣にカイルの将来を考えているのかもしれない。彼には恋人はいないらしいし。私はなんて答えたらいいんだろうか?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。 誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。 無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。 ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。 「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。 アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。 そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?! ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています

「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!

野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。  私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。  そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。

ある愚かな婚約破棄の結末

オレンジ方解石
恋愛
 セドリック王子から婚約破棄を宣言されたアデライド。  王子の愚かさに頭を抱えるが、周囲は一斉に「アデライドが悪い」と王子の味方をして…………。 ※一応ジャンルを『恋愛』に設定してありますが、甘さ控えめです。

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

処理中です...