妹に婚約者を奪われました。後悔してももう遅い。

マルローネ

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4話 

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「ワンワンワンッ!」


「こら、ジョセフ! そんなに走り回らないの!」


 私は貴族街を愛犬のジョセフと共に走っていた。ジョセフは10歳になるけど、全長は私よりも大きいくらいに育っている。ただの犬ではなくて、魔犬に該当するから当然ではあるけれど。

 私を護衛してくれている者達も、なんだか苦笑いしているようだった。最近では私の方が振り回されている……これではどちらが主人か分からない。でももちろん、私が主人には相違ない。

 ジョセフの前に立つと手を差し伸べる。

「グルルルルルル……」

「はいはい、よ~しよし」

「わうぅぅぅぅぅぅ……」


 差し伸べた手をジョセフは舐めまわしていた。私や周囲に居る護衛には懐いているジョセフだけれど、無関係の人には牙を剥き出しにする可能性を秘めていた。実際に噛みつくことはないけれど、番犬としての地位は確立されているというか……。


 私は護衛と共にジョセフを連れて、貴族街の一画に辿り着いた。事前に向かうことは伝えているけれど、幼馴染のジェームズ・ルーグナー公爵令息の屋敷だ。新築特有の匂いがしており、本邸と比べても遜色がない程に大きかった。

 次期当主を務めているジェームズの威厳を体現した屋敷なのかもしれない。



------------------------------



 貴族街にあるルーグナー家の正門のベルを鳴らした。ベルの音とほぼ同時に、使用人と思われる複数の人物が姿を現す。私を歓迎してくれているようだ。


「これはアリス・グレート様! お待ち申し上げておりました。ジェームス様がお待ちしております……ささ、どうぞ中へお入りくださいませ!」

「あ、ありがとう……それでは遠慮なく」

「はいっ」


 想像以上に好待遇……というよりも、丁寧なおもてなしを受けて逆に恐縮してしまった。よくよく見ると、ルーグナー家に居る使用人達には見覚えがある。子供の頃にジェームズと遊んでいた時に見かけた使用人達なのかもしれないわね。


「ジェームズ様は奥の貴賓室にいらっしゃいます」

「ありがとうございます。早速、向かわせていただきます」


 私は使用人達にお礼をすると護衛達と共に奥の部屋を目指した。何年振りかしら彼に会うのは……私が13歳の頃が最後だったから6年振りくらいになるわね。

 途中でルーグナー家は長期遠征をした時もあったから、より会えない期間が長くなっていた。緊張の一瞬だ。


 ノックをして貴賓室の中へと入った。


「失礼いたします……」


 中へ入ると長身の人物が私を迎えてくれていた……面影は多少変わっているけれど、間違いない。彼がジェームズ・ルーグナー本人だ。


「久しぶり、かな? アリス」

「ジェームズ……本当に久しぶりね」

「ああ、そうだな。元気にしていたか?」

「もちろんよ……!」


 私は自然と涙を流し、幼馴染との6年振りの再会を喜んでいた。
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