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7話
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「これは綺麗な格好だ、シルメリア。しっかりとエスコートをしないと、恥をかいてしまいそうだよ」
「バルト様……ありがとうございます」
私はバルト様と二人でパーティーに出席することになった。お父様は驚いていたけれど、快く了承してくれた。私はアーシェ姉さまが装飾屋で選んでくれた衣装を身に付けている。私が派手だとして断った、例の服を結局買ったわけで……。
おかげでバルト様には褒められたので良かったのだけれど、やはり恥ずかしい面もあるわね。
「それではまず、中に入ろうかシルメリア」
「はい、バルト様」
私達はパーティー会場に入っていった。今日は貴族の中でも高位のアレクセイ・ドロワット侯爵の誕生日パーティーだ。噂では王族も来るとかなんとか聞いたことがある。それはそれで緊張するけれど、バルト様はあんまり緊張している様子ではなかった。
「バルト様……早々たる面子が揃っているようですね……すごいです」
「確かにな。なかなか面白い光景だよ。私達も公爵と侯爵令嬢なのだから、立場としては周囲と同等以上なのだがな」
「それは確かにそうなんですが……」
私はたまに自分の立ち位置を忘れてしまう。自分がその立場になると位の高さを忘れてしまうものだ。
「謙虚なところはシルメリアの持ち味……魅力だろうな」
「そんな……謙虚だなんて。私はそんなことは……」
なんだか照れ臭い……バルト様は恥ずかしがる様子もなく、こういったことをハッキリと言う性格なようだ。嬉しいけれど、バルト様に視線を合わせることが出来なかった。
「まずは……どうしようか?」
「ドロワット侯爵に挨拶をするのが良いと思われますが、今は忙しそうですね。どうしましょうか?」
「適当に食事でも先に済ませようか?」
「そうですね、そうしましょう」
私達は先にご飯をいただくことにした。周囲にいるメイドに頼めばオーダーも可能だけれど、バイキング形式の食事だけで十分だわ。バルト様も同じ気持ちのようだ。とりあえず目に入る串焼きなどを食べて行く。
「お、この食べ物はなかなか美味しいな」
「本当ですか? あら、美味しい」
「だろう。何の肉を使っているのか気になるところだが……」
「どうやら鹿の肉みたいですね」
「ほう、鹿か……」
鹿の肉は比較的レアな食べ物だ。肉類は食べ物の隅に何の肉かの記載がされていた。護衛も引き連れて次々と食事を済ませていく。向こうの方に行けば座ることも出来るのだけれど、私達はそのまま食べ続けた。
「おや、ドロワット侯爵の前の人物は……」
「どうかしたのですか、バルト様? あ、あれは……」
そんな時、私達はドロワット侯爵に挨拶をしている人物に目が行った。食事をしていた手が思わず止まってしまう。なぜならウィル様がそこには居たからだ。
「バルト様……ありがとうございます」
私はバルト様と二人でパーティーに出席することになった。お父様は驚いていたけれど、快く了承してくれた。私はアーシェ姉さまが装飾屋で選んでくれた衣装を身に付けている。私が派手だとして断った、例の服を結局買ったわけで……。
おかげでバルト様には褒められたので良かったのだけれど、やはり恥ずかしい面もあるわね。
「それではまず、中に入ろうかシルメリア」
「はい、バルト様」
私達はパーティー会場に入っていった。今日は貴族の中でも高位のアレクセイ・ドロワット侯爵の誕生日パーティーだ。噂では王族も来るとかなんとか聞いたことがある。それはそれで緊張するけれど、バルト様はあんまり緊張している様子ではなかった。
「バルト様……早々たる面子が揃っているようですね……すごいです」
「確かにな。なかなか面白い光景だよ。私達も公爵と侯爵令嬢なのだから、立場としては周囲と同等以上なのだがな」
「それは確かにそうなんですが……」
私はたまに自分の立ち位置を忘れてしまう。自分がその立場になると位の高さを忘れてしまうものだ。
「謙虚なところはシルメリアの持ち味……魅力だろうな」
「そんな……謙虚だなんて。私はそんなことは……」
なんだか照れ臭い……バルト様は恥ずかしがる様子もなく、こういったことをハッキリと言う性格なようだ。嬉しいけれど、バルト様に視線を合わせることが出来なかった。
「まずは……どうしようか?」
「ドロワット侯爵に挨拶をするのが良いと思われますが、今は忙しそうですね。どうしましょうか?」
「適当に食事でも先に済ませようか?」
「そうですね、そうしましょう」
私達は先にご飯をいただくことにした。周囲にいるメイドに頼めばオーダーも可能だけれど、バイキング形式の食事だけで十分だわ。バルト様も同じ気持ちのようだ。とりあえず目に入る串焼きなどを食べて行く。
「お、この食べ物はなかなか美味しいな」
「本当ですか? あら、美味しい」
「だろう。何の肉を使っているのか気になるところだが……」
「どうやら鹿の肉みたいですね」
「ほう、鹿か……」
鹿の肉は比較的レアな食べ物だ。肉類は食べ物の隅に何の肉かの記載がされていた。護衛も引き連れて次々と食事を済ませていく。向こうの方に行けば座ることも出来るのだけれど、私達はそのまま食べ続けた。
「おや、ドロワット侯爵の前の人物は……」
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そんな時、私達はドロワット侯爵に挨拶をしている人物に目が行った。食事をしていた手が思わず止まってしまう。なぜならウィル様がそこには居たからだ。
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