有能婚約者を捨てた王子は、幼馴染との真実の愛に目覚めたらしい

マルローネ

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33話 後悔 

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 フリック王子殿下視点……。


「なんで……こんなことになってしまったんだ……」


 私は現在、地下牢に幽閉されている……この第三王子殿下である私が、だ。国家反逆未遂罪とかいう罪に問われてるようだ。反逆未遂か……確かに言われてみればその通りかもしれないが。これには深い理由があるのだ。

 キングダム侯爵は以前のパーティーの席で、私では次期国王の座は難しいことを告げた。そこから、今回の計画は始まったわけだが……隣国のエラルド王国の一部の貴族と共謀して、私はこの国から出て行くというものだった。

 その際に運が悪ければ、サンマルト王国は大混乱に陥る可能性があったわけだが……何せ、王位継承争いの最中に行う計画だったからな。しかしそれは、キングダム侯爵がヘマをした形で終わりを告げたのだ。芋づる式に私にまで被害が及んでしまったということである。

 
「くそう……なぜ、こんなことに……私はただあの男の甘言に惑わされて、ただ、それだけなのに……! うわぁぁぁぁぁぁぁ……!!」


 これで何度目になるか分からない心の奥底からの叫びだ。地下牢中に響き渡っている。また、看守が私の元に来るかもしれない。今までは厳重注意だけで済んでいたが、もしかしたら今回は鉄格子を開けて殴られるかもしれないな。私に恨みを持つ臣下は多いはずだ……今の私は積極的に仕返しが出来る立場にまで降格してしまっている。もうどうでも良い……全てがどうでも良くなっていた。


「私の叫び声に反応して看守が来たか……いっそのこと殺して欲しいものだ」

 私はどうせ死んだも同然なのだから……最早、この先の人生で楽しめることなど何一つ出て来ることはあるまい。

 無期懲役とはそれほどの罰に値するのだ。

 コッコッコッ……と歩く音が聞こえて来る。看守が来たか、しかし、いままでの足音とは異なっている……違う人物が来ているのか? それとも、履いている靴だけを変更したのか。どちらでも良いがな。


「フリック王子殿下……みっともない真似はお止めください……」


 私の入っている牢屋の前に現れたのは……意外な人物だった。


「シャーリー……貴様、どの面を下げてここに来ている!?」

「あなた様のそんなお姿は見たくありませんでした……本当に残念でございます」


 私に会いに来たのは、私を地の底に沈めた張本人……シャーリー・ウェンデル伯爵令嬢だったのだ。私は怒りの感情が込み上げて来た。この女だけは、許すわけにはいかん……! 必ず、復讐してやる……! 私の決心は確かなものになっている。

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