妹が婚約者を奪いました。後悔してももう遅いですよ?

マルローネ

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「ニエル、オルテガ様……これはどういうことでしょうか?」


 妹の伯爵令嬢であるニエルが、私の婚約者であるオルテガ様と引っ付いていた。どういうつもりなのか。ちなみにオルテガ様は侯爵令息だ。


「姉さまは察しが悪いわね。オルテガ様との相性は私の方が良かったということよ」

「まあ、そういうわけだな、セラ。ははは、済まない」

「オルテガ様……ニエル! あなたは……!」


 私は二人の浮気現場を見せられたわけだ。とても許せる状況ではない。ニエルは昔から私の私物を欲しがる癖があった。その都度、許して来たけれど……今回ばかりはそうはいなかい。


「ニエル、オルテガ様から離れて。オルテガ様もです。侯爵令息として決して許されないことをしていますよ?」

「何を言っているんだ、お前は? たかが伯爵令嬢の分際で私に説教をしようと言うのか?」


 オルテガ様は全く悪びれている様子がなかった。


「お前は本当に迷惑な女だった。勉学に勤しめだの、パーティー会場での礼儀作法をもっとこうしろだの……。それと引き換え、ニエルはとても良い女だぞ?」

「あれはオルテガ様のことを思って……」


 私は将来、侯爵様になるであろうオルテガ様のことを考えて忠告していた。でも、オルテガ様は考えを改めるどころか、私を叱責する毎日で……。勉学も礼儀作法も面倒だからとまともに学ばないのだ。これでは将来が大変なことになってしまう。

「うるさい! お前は本当に口うるさい女だったな! お前などとはもう婚約破棄だ。私はニエルと一緒に将来を設計していく!」

「婚約破棄……? そんなこと出来るはずがないでしょう?」


 いくら侯爵令息とは言っても、まだ正式な爵位を与えられていない身……こんなわがままな婚約破棄など、認められるはずがなかった。しかも、ニエルと浮気までしているのに……オルテガ様は何を考えているのだろうか?

「適当に理由を付ければそんなことは容易いんだよ、セラ。それが侯爵家と伯爵家の地位の違いというわけだ。お前は昔からヒステリー気味だった。私が妹に乗り換えたとしても問題はあるまい。それとも……やたらと周りに説教をしたがる精神的疾患でも負っているのかもしれんな。どのみち、お前とは婚約関係を続けられないということだ」

「な、精神的疾患……!? 何を言っているんですか?」

「お前は病気持ちなんだよ! 自覚しろ!」

「そうよ、姉さま。ヒステリーはみっともないわよ? 素直にオルテガ様と婚約破棄することね。代わりは私が務めてあげるから」


 これは酷過ぎる話だった。妹も一緒になってオルテガ様に賛同している……私が精神的な障害を持っているということにして、婚約破棄を成立させる気なのだ。侯爵令息という肩書きを存分に使って真実にする気なのだろうか。

 そんなことは絶対に許せないけれど……その日、私は強引に屋敷から追い出されたのだった。私は無力だ……。どうしたらいいんだろうか。
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