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3話
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「ライド、少し落ち着け。この場所は卒業パーティー会場だぞ? こんなところで婚約破棄の話など……一体、何を考えているんだ」
「シグマ、お前にだけは言われたくないぞ。侯爵令息のくせに浮気をしやがって……決して許さん! 恥を知れ!」
「……」
ライド様はシグマ様の言葉も全く届いていないようだった。完全に勘違いではあるのだけれど……今のライド様には通じなさそうね。これでは浮気ではないことを証明するのが、非常に難しいわ。なんとか婚約破棄を許して貰わないといけないのだけれど……いえ、今のライド様と婚約関係というのは、色々微妙だけどね。
「ライド、シルヴィア嬢との関係が浮気ではないと証明すれば、お前は落ち着くのか?」
「ふん、どうせ証明など無理だろうがな。まあ、証明してみせたら納得してやる」
「……ふう、シルヴィア嬢、どうしようか?」
「しょ、証明ですよね……でも」
証明するのは難しい。でも、このパーティー会場の雰囲気はマズいわね……ここで証明しなければ、噂が悪い方向に傾くのは間違いなかった。
「お前は本当に昔から、人の話を聞かない奴だな……」
「何を誤魔化しているのか分からないが、私の屋敷に来ていたのはシルヴィアに会いに来ていたんだろう? わかっているんだぞ!」
「元々はお前が私を呼んだんじゃないか」
「うるさい! 黙れ!」
シグマ様がライド様の屋敷に来ていたのは事実だけれど、あれは確かにライド様が呼んだからだと思う。詳しい経緯は分からないけれど、ライド様が何かを相談していたような気がするわ。でも、シグマ様とライド様の話に周囲の人達も興味深々で聞いている気がする。これはシグマ様の狙いなのかしら?
「シルヴィア嬢の仲について悩んでいるから、私を呼んだんじゃなかったか?」
「うっ……! それを今言うのかお前は……!」
「本当のことだろう? 真実を否定してなんになるんだ。お前は……」
「くっ……」
私との仲について? それってつまり、ライド様が私との仲について悩んでいたってこと? 初めて聞いたけれど……どういうことなのかしら?
「あのシグマ様。どういうことでしょうか?」
「そのままの意味ですよ。ライドは不器用な男ですからね。その上、無駄にプライドが高い。その関係でこいつは悩んでいるんですよ」
「シグマ様……?」
シグマ様はどこまでも笑っていた。ライド様のことを擁護しているようにも見えるけれど……。
「さて、ライド。シルヴィア嬢と浮気をしていないという証明だったな。まあ、私から言っても問題はないが、お前なら本当は分かっているんじゃないのか?」
「ど、どういうことだ……?」
ライド様は意外なことに焦っているようだった。シグマ様が完全にイニシアティブを取っているように見えるわね。
「お前はシルヴィア嬢のことが好き過ぎるんだろう? だから、こんなに大事になっているわけだ」
「……!」
ライド様は顔が真っ赤になっていた。えっ、何なのこれは……。
「シグマ、お前にだけは言われたくないぞ。侯爵令息のくせに浮気をしやがって……決して許さん! 恥を知れ!」
「……」
ライド様はシグマ様の言葉も全く届いていないようだった。完全に勘違いではあるのだけれど……今のライド様には通じなさそうね。これでは浮気ではないことを証明するのが、非常に難しいわ。なんとか婚約破棄を許して貰わないといけないのだけれど……いえ、今のライド様と婚約関係というのは、色々微妙だけどね。
「ライド、シルヴィア嬢との関係が浮気ではないと証明すれば、お前は落ち着くのか?」
「ふん、どうせ証明など無理だろうがな。まあ、証明してみせたら納得してやる」
「……ふう、シルヴィア嬢、どうしようか?」
「しょ、証明ですよね……でも」
証明するのは難しい。でも、このパーティー会場の雰囲気はマズいわね……ここで証明しなければ、噂が悪い方向に傾くのは間違いなかった。
「お前は本当に昔から、人の話を聞かない奴だな……」
「何を誤魔化しているのか分からないが、私の屋敷に来ていたのはシルヴィアに会いに来ていたんだろう? わかっているんだぞ!」
「元々はお前が私を呼んだんじゃないか」
「うるさい! 黙れ!」
シグマ様がライド様の屋敷に来ていたのは事実だけれど、あれは確かにライド様が呼んだからだと思う。詳しい経緯は分からないけれど、ライド様が何かを相談していたような気がするわ。でも、シグマ様とライド様の話に周囲の人達も興味深々で聞いている気がする。これはシグマ様の狙いなのかしら?
「シルヴィア嬢の仲について悩んでいるから、私を呼んだんじゃなかったか?」
「うっ……! それを今言うのかお前は……!」
「本当のことだろう? 真実を否定してなんになるんだ。お前は……」
「くっ……」
私との仲について? それってつまり、ライド様が私との仲について悩んでいたってこと? 初めて聞いたけれど……どういうことなのかしら?
「あのシグマ様。どういうことでしょうか?」
「そのままの意味ですよ。ライドは不器用な男ですからね。その上、無駄にプライドが高い。その関係でこいつは悩んでいるんですよ」
「シグマ様……?」
シグマ様はどこまでも笑っていた。ライド様のことを擁護しているようにも見えるけれど……。
「さて、ライド。シルヴィア嬢と浮気をしていないという証明だったな。まあ、私から言っても問題はないが、お前なら本当は分かっているんじゃないのか?」
「ど、どういうことだ……?」
ライド様は意外なことに焦っているようだった。シグマ様が完全にイニシアティブを取っているように見えるわね。
「お前はシルヴィア嬢のことが好き過ぎるんだろう? だから、こんなに大事になっているわけだ」
「……!」
ライド様は顔が真っ赤になっていた。えっ、何なのこれは……。
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