6 / 8
6話
しおりを挟む
「素直になってからよく考えるんだ、ライド。本当に私とシルヴィア嬢が浮気をしていると思っているのか?」
「そ、それは……!」
私のことを愛している……別れたいとは思っていない。本音を吐露したライド様だったけれど、ここにきてシグマ様は本題へと入ったようだ。そうだった、忘れかけていたけれど、本題はライド様の婚約破棄発言だったのだ。周囲の貴族たちにも聞かれて大変なことになっているのは変わらないわけで……。
「よく見ろライド。お前の発言のせいで、周囲は疑心暗鬼になっているぞ? 愛しのシルヴィア嬢も非常に悪く言われている。どうする気なんだ? こんなのはお前が望むことではないだろう?」
「た、確かにそうだな。……私はどうやら、大きな思い違いをしていたようだ。シルヴィアとシグマが浮気をしているなんて……そんなことをなぜ思ってしまったのか」
「まあ、そこはお前の悪い癖が出てしまったのだろう。今後はしっかりと反省することだな」
「わ、わかっている……反省するさ」
「ライド様……」
ライド様は先ほどまでの態度を一転させたようだった。このままいけば、浮気の件は完全に解決しそうだ。
「ライド、シルヴィア嬢に言うべきことがあるだろう?」
「ああ、わかっている。シルヴィア……」
「は、はい」
「私はどうやら物凄い勘違いをしてしまったようだ。本当にすまなかった」
ライド様は頭を深々と下げて私に謝った。こんな光景は見たことがない。今までも自分が悪いことでもほとんど謝罪したことのない彼が……まあ、今回の件はそのくらい大事だったわけだけれど。
ライド様からの謝罪か……なんだかめずらしいものを見た気がするわ。
「許せないです、ライド様。私が浮気しているなんて……それを思いこみで判断したのですから。しかも、こんな公共の場所で婚約破棄を言うなんて。本当に反省してくれますか?」
「あ、ああ……もちろんだ。貴族連中には私からも言っておくよ。シルヴィアにとってマイナスにならないように配慮は最大限させてもらう」
「……そうですか」
こんな婚約破棄を言って来るライド様……私は好きにはなれなかった。今回の件を許したとしても、今後の婚約生活を円滑に進めるのかというと、非常に難しいものがあるだろう。私はどういう風に言うのが正しいのだろうか?
「シルヴィア嬢、どのようにされるのですか? ライドとの仲はこのまま進めて行くのでしょうか?」
「シグマ様……そうですね。私は……」
ライド様との今後。これは私の将来にも非常に影響のある事柄だ。今回の事件を機にしっかりと考えなければならない。
「そ、それは……!」
私のことを愛している……別れたいとは思っていない。本音を吐露したライド様だったけれど、ここにきてシグマ様は本題へと入ったようだ。そうだった、忘れかけていたけれど、本題はライド様の婚約破棄発言だったのだ。周囲の貴族たちにも聞かれて大変なことになっているのは変わらないわけで……。
「よく見ろライド。お前の発言のせいで、周囲は疑心暗鬼になっているぞ? 愛しのシルヴィア嬢も非常に悪く言われている。どうする気なんだ? こんなのはお前が望むことではないだろう?」
「た、確かにそうだな。……私はどうやら、大きな思い違いをしていたようだ。シルヴィアとシグマが浮気をしているなんて……そんなことをなぜ思ってしまったのか」
「まあ、そこはお前の悪い癖が出てしまったのだろう。今後はしっかりと反省することだな」
「わ、わかっている……反省するさ」
「ライド様……」
ライド様は先ほどまでの態度を一転させたようだった。このままいけば、浮気の件は完全に解決しそうだ。
「ライド、シルヴィア嬢に言うべきことがあるだろう?」
「ああ、わかっている。シルヴィア……」
「は、はい」
「私はどうやら物凄い勘違いをしてしまったようだ。本当にすまなかった」
ライド様は頭を深々と下げて私に謝った。こんな光景は見たことがない。今までも自分が悪いことでもほとんど謝罪したことのない彼が……まあ、今回の件はそのくらい大事だったわけだけれど。
ライド様からの謝罪か……なんだかめずらしいものを見た気がするわ。
「許せないです、ライド様。私が浮気しているなんて……それを思いこみで判断したのですから。しかも、こんな公共の場所で婚約破棄を言うなんて。本当に反省してくれますか?」
「あ、ああ……もちろんだ。貴族連中には私からも言っておくよ。シルヴィアにとってマイナスにならないように配慮は最大限させてもらう」
「……そうですか」
こんな婚約破棄を言って来るライド様……私は好きにはなれなかった。今回の件を許したとしても、今後の婚約生活を円滑に進めるのかというと、非常に難しいものがあるだろう。私はどういう風に言うのが正しいのだろうか?
「シルヴィア嬢、どのようにされるのですか? ライドとの仲はこのまま進めて行くのでしょうか?」
「シグマ様……そうですね。私は……」
ライド様との今後。これは私の将来にも非常に影響のある事柄だ。今回の事件を機にしっかりと考えなければならない。
72
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。
婚約破棄は先手を取ってあげますわ
浜柔
恋愛
パーティ会場に愛人を連れて来るなんて、婚約者のわたくしは婚約破棄するしかありませんわ。
※6話で完結として、その後はエクストラストーリーとなります。
更新は飛び飛びになります。
まさか、今更婚約破棄……ですか?
灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
チャールストン伯爵家はエンバー伯爵家との家業の繋がりから、お互いの子供を結婚させる約束をしていた。
エンバー家の長男ロバートは、許嫁であるチャールストン家の長女オリビアのことがとにかく気に入らなかった。
なので、卒業パーティーの夜、他の女性と一緒にいるところを見せつけ、派手に恥を掻かせて婚約破棄しようと画策したが……!?
色々こじらせた男の結末。
数話で終わる予定です。
※タイトル変更しました。
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
【完結】見えるのは私だけ?〜真実の愛が見えたなら〜
白崎りか
恋愛
「これは政略結婚だ。おまえを愛することはない」
初めて会った婚約者は、膝の上に女をのせていた。
男爵家の者達はみな、彼女が見えていないふりをする。
どうやら、男爵の愛人が幽霊のふりをして、私に嫌がらせをしているようだ。
「なんだ? まさかまた、幽霊がいるなんて言うんじゃないだろうな?」
私は「うそつき令嬢」と呼ばれている。
幼い頃に「幽霊が見える」と王妃に言ってしまったからだ。
婚約者も、愛人も、召使たちも。みんな私のことが気に入らないのね。
いいわ。最後までこの茶番劇に付き合ってあげる。
だって、私には見えるのだから。
※小説家になろう様にも投稿しています。
婚約破棄ですか……。……あの、契約書類は読みましたか?
冬吹せいら
恋愛
伯爵家の令息――ローイ・ランドルフは、侯爵家の令嬢――アリア・テスタロトと婚約を結んだ。
しかし、この婚約の本当の目的は、伯爵家による侯爵家の乗っ取りである。
侯爵家の領地に、ズカズカと進行し、我がもの顔で建物の建設を始める伯爵家。
ある程度領地を蝕んだところで、ローイはアリアとの婚約を破棄しようとした。
「おかしいと思いませんか? 自らの領地を荒されているのに、何も言わないなんて――」
アリアが、ローイに対して、不気味に語り掛ける。
侯爵家は、最初から気が付いていたのだ。
「契約書類は、ちゃんと読みましたか?」
伯爵家の没落が、今、始まろうとしている――。
聖女の魔力を失い国が崩壊。婚約破棄したら、彼と幼馴染が事故死した。
佐藤 美奈
恋愛
聖女のクロエ公爵令嬢はガブリエル王太子殿下と婚約していた。しかしガブリエルはマリアという幼馴染に夢中になり、隠れて密会していた。
二人が人目を避けて会っている事をクロエに知られてしまい、ガブリエルは謝罪して「マリアとは距離を置く」と約束してくれる。
クロエはその言葉を信じていましたが、実は二人はこっそり関係を続けていました。
その事をガブリエルに厳しく抗議するとあり得ない反論をされる。
「クロエとは婚約破棄して聖女の地位を剥奪する!そして僕は愛するマリアと結婚して彼女を聖女にする!」
「ガブリエル考え直してください。私が聖女を辞めればこの国は大変なことになります!」
「僕を騙すつもりか?」
「どういう事でしょう?」
「クロエには聖女の魔力なんて最初から無い。マリアが言っていた。それにマリアのことを随分といじめて嫌がらせをしているようだな」
「心から誓ってそんなことはしておりません!」
「黙れ!偽聖女が!」
クロエは婚約破棄されて聖女の地位を剥奪されました。ところが二人に天罰が下る。デート中にガブリエルとマリアは事故死したと知らせを受けます。
信頼していた婚約者に裏切られ、涙を流し悲痛な思いで身体を震わせるクロエは、急に頭痛がして倒れてしまう。
――目覚めたら一年前に戻っていた――
次に貴方は、こう言うのでしょう?~婚約破棄を告げられた令嬢は、全て想定済みだった~
キョウキョウ
恋愛
「おまえとの婚約は破棄だ。俺は、彼女と一緒に生きていく」
アンセルム王子から婚約破棄を告げられたが、公爵令嬢のミレイユは微笑んだ。
睨むような視線を向けてくる婚約相手、彼の腕の中で震える子爵令嬢のディアヌ。怒りと軽蔑の視線を向けてくる王子の取り巻き達。
婚約者の座を奪われ、冤罪をかけられようとしているミレイユ。だけど彼女は、全く慌てていなかった。
なぜなら、かつて愛していたアンセルム王子の考えを正しく理解して、こうなることを予測していたから。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる