攻撃力と防御力共に最強クラスになっているので、パートナーと一緒に無双します!

マルローネ

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19話 円卓会議 その4

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 アーカーシャのシンボルである中央時計塔。その広場から北へと向かった先に中央会場が建てられている。普段はサーカスの一団のショーや各国のパーティなどに利用されている場所であるが、この日は各国の円卓会議に利用される。会場の周辺や内部は王国軍や神聖国神官たちに守られている。暗殺者ギルドの者達もいるが、さすがに王国軍たちと一緒のところには居ないようだ。

「さて、今年もこの季節がやってきましたな」

 中央会場の一室を貸切り、円卓のテーブルの前にそれぞれの最高権力者が座っていた。まず、最初に話し出したのはアルトクリファ神聖国の大神官ヨハネス・バークレーである。今年で50歳を迎える為、初老に差し掛かった年齢と言えるだろう。

「そうですわね、もう来てしまったというのが正解かしら?」

 続いて話を切り出したのは、トネ共和国の元首、ニーナ・ヴァレンチノである。サイドテールの美女は真剣な眼差しでヨハネスを見据える。

「……ゴホ、今回はもう一人、客人が居りますな」

 クルガー・ハインリッヒが言葉を発した。年齢76歳の彼は既に杖がなければ歩けないほど衰弱が見て取れた。本来であれば、この場所に来れる身体ではなかったのだ。護衛であるイスルギに支えられて来たことは明白だ。

「あ、あの……ええっと」
「ま、そんなわけだから、私たちが代表ね」

 円卓のテーブルに座った3人の首脳陣。そこにはもう1グループ、新進気鋭の冒険者「ソード&メイジ」のアメリアと春人の二人が居た。

「ギルド長がおられないようだけど?」
「平気よ、用件だけ伝えるだけだから。ここまでの護衛も面倒だしね」

 ニーナに対してアメリアは平然と言ってのけた。共和国元首にする態度ではないことは明らかだ。

「最強の冒険者さんは基本的な礼儀作法も知らないようね」
「必要かしら? 元々、ここは腹の探り合いの場でしょ。一触即発、言葉を間違えれば首脳陣の後ろに控える各国の精鋭が牙をむくわ」

 アメリアはそう言いながら、ニーナ、ハインリッヒ、ヨハネスの背後に陣取る者達に挑発とも取れる視線を投げた。それぞれ空気は一変する。

「春人、どうかしら?」
「ミルドレア・スタンアークが一歩前に踏み出した。彼はこの場でも平然と襲うかもね」

 アメリアの挑発に乗った者を春人は的確に割り出した。ほんの一瞬の動きを正確に感じ取った春人の眼力に、空気はまた少し変化する。

「……お前たちの用件はなんだ?」

 顔色1つ変えないミルドレアからの質問。春人に動きを見抜かれたが、全く気にしている素振りを見せない。

「想像は付くでしょ? アーカーシャ周辺に干渉するのはやめて、分割統治を解消して。今後、アーカーシャは1つの独立した地域としてやっていくわ。もちろん、交易なんかはするから安心していいわよ」

 まさに宣戦布告。クライブ、イスルギも目を見開いた。リガインは以前アメリアに敗れているからか、おとなしく様子を見ている。万が一、襲いかかってきた時のことを考えて春人は万全の態勢を取っていた。

「独立……なるほど」
「言いよったな。しかもギルド長も連れんで「ソード&メイジ」が直接言うとは……どういうつもりや?」

 イスルギ、クライブ両者共に比較的落ち着いた口調だった。やはり予想はしていたということだろう。

「言葉の通りよ。私達は独立の準備を進めるわ。あんた達の権力の象徴も移動してよね。まあ、残していくなら使ってあげるけど」

 明らかな挑発……3国の反応を見ているのは明らかだ。それはニーナ、ハインリッヒ、ヨハネスだけでなく、ミルドレア、イスルギ、クライブ、リガインにも感じ取れた。宣戦布告と取る者、融和の道を選ぶ者、なにも干渉しない者……それらをアメリアは見極めようとしているのではないか。彼らはそう感じていた。

 少しの間、沈黙が流れた。皆、先に言葉を発することを躊躇っている。アメリアからの独立宣言……ここまではっきりと言われるとは思わなかったのだろう。

「では私の方からも宣言させていただきましょうか」


 そんな沈黙を破り話し始めたのはヨハネス大神官だ。

「遺跡の管理及び、遺跡内の宝は我らが管理させていただこう。元々、あの宝は全てフィアゼス神の物。あの方の意志を受け継ぐ我らにこそ、所有権がある」

 ヨハネスは高らかに宣言した。こちらも予想されていたことだが、室内の雰囲気はまた一段と変化した。

「あんたらが遺跡を開放しているのは、本当なんだ」
「これは滑稽だ。我らが大聖堂には古来より、隠し扉が記された書物が格納されていた。これは我らが所有すべき物に該当すると言う何よりの証拠。冒険者たちが行っていることはただの墓荒らしに過ぎぬ」

 アメリアの問いにヨハネスはさらに笑いながら答えた。彼は冒険者そのものをバカにしているといった様子だ。神聖国の隠し扉の開放は管理上致し方ないということだろう。

「勝手なこと言ってくれるわ」
「シュレン遺跡の隠し扉は既に探索は終了している。今後、オルランド遺跡やサイトル遺跡にも向かう予定だ」

 ミルドレアは無表情ながらも挑戦的な口調で、アメリアと春人を見据えて言った。

「オルランド遺跡は現在7階層を攻略中なのよ。まだ最下層ではないけど、敵のレベルは60~70はあったわ」
「ちょうどいい。オルランド遺跡の隠し扉は8階層にあるとされている。俺も近いうちに向かうとしよう。シュレン遺跡のミノタウロスは狩り応えがなくてな」

 アメリアの表情が変化する。ミノタウロスのレベルは99、そのモンスターを楽に狩れる者であれば8階層まで来ることは容易だろう。この場に居る時点でアルトクリファ神聖国の中でも最強の手練れであることは間違いない。それだけの力を有している国家ということになる。
 この事実に王国と共和国の最高戦力たちはどのように感じているのか……春人はなんとなく視線を送ったが、表情からは読み取れなかった。


「……あなた方の意志はわかりました。本日は失礼させていただきますわ」
「そうやな、これ以上、手の内は出さん方がええな」

 ニーナとクライブはそれぞれ悟り難い表情になっていた。リガインも彼らに合わせて瞳を閉じる。

「円卓会議はここまでと致しましょう」
「……うむ、それが良い」

 イスルギ、ハインリッヒもトネ共和国の首脳に合わせるように言葉を選んだ。まだ、開始して数分の出来事だったが、円卓会議はこれをもって終了となった。



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「いや~、緊張したわ」
「アメリア……絶対うそだろ」

 円卓会議はいままでの中でも最も短い時間で完了し、お互い早々に席を立つことになってしまった。しかしその内容は今までの中でも一番重要なことだったと言えるだろう。へたをすれば戦争という事態になりかねない。

 アメリアと春人は王国軍や神官たちが見送る中、堂々と正面の扉から出ていき中央会場を後にした。今日中には各国の精鋭たちも帰国をするはずだ。

「なあ、アメリア。ギルド長たちから許可はもらっていたけど、あそこまで言ってよかったのか?」

 アーカーシャ中央の時計塔の辺りまで春人は移動し、アメリアに質問した。念のため尾行がいないかも警戒しながら。

「大丈夫よ、多分ね。神聖国の布告は予想通りだったし、あとの二国はどう出るかはわからないけど、まあ牽制という意味では成功じゃないかな」

 独立宣言をして相手の出方を伺う。その第一段階は終了した。しかし、今後各国がどう動くかについては、アメリアですら読めていない。だが、彼女にはそれに対応するだけの自信がある。春人はアメリアの言葉やしぐさからそれを読み取っていた。
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