攻撃力と防御力共に最強クラスになっているので、パートナーと一緒に無双します!

マルローネ

文字の大きさ
60 / 119

60話 親衛隊 その3

しおりを挟む
「あ~~~、良く寝た~~」

 ジャミル達が階段の下で臨戦態勢を取る中、棺からは、緊張感のない声が周囲にこだました。

 オルランド遺跡のアテナと似通っている獣耳の少女であり、もふもふとした尻尾も同じである。髪はやや茶色がかっており、アテナよりも長い髪をしていた。

 服装も腹の出たミニスカートという出で立ちで、肘近くまでの長さがある手袋も付けている。全体的な服のカラーは黄色になっていた。この色についてはアテナと変わっているがスパッツなど似ている部分は非常に多く、双子のようなものだった。

「へへ~、ケルベロス~~! おはよ~~」
「くう~ん」

 少女は起き上がり、漆黒の狼の身体にすり寄った。先ほどまで怒りの形相をしていた狼は嘘のように甘えた声を出し、少女の顔を舐めたのだ。

「きゃはは、くすぐったいよ~~! あ、フェンリルもおはよ~~!」
「ハルルっ」

 白銀の狼も立ち上がり、少女の前へと歩み寄った。そして、彼女の身体を背後から舐める。モンスター同士の久しぶりの再会ということだろうか。


「あれ? なんか人が居るね」

 そして、一通り少女と狼は再開を喜んだのか、ようやくジャミル達の存在に気付いた。赤い瞳をギョロリと彼らに向けた獣耳の少女は品定めでもするかのように4人を見据える。

 アテナと比較すると甘えた印象の拭えない彼女ではあるが、そこから放たれる波動はアテナと変わらない程に強烈なものであった。

「彼女がこの中のボスかな……もはやレベル上限が見えないね」
「狼より……さらに高い……」

 ジャミルとメドゥは黄色い少女から放たれる気配に、言葉がうまく出てこない状態になっていた。メドゥもサーチの魔法で彼女の能力は測れていないのだ。

「う~ん、どうしようか、ケルベロス? 久しぶりの人間だし、食べちゃおうか?」
「グルルルルルッ」

 少女はケルベロスと呼ばれた黒い狼の身体にもたれ掛りながら、なにやら楽しそうな会話をしている。彼女は笑っているが、話している内容は相当に物騒だ。

「よ~~し、なら早速始末しちゃえ~~。ヘカーテより命ずるよ! 行け行け、サイクロプス~!」

 ヘカーテと名乗った少女は右手を高らかに掲げ、階段の下に立っているサイクロプス2体に攻撃を命じた。命令されたサイクロプスは向きを変え、即座にジャミル達に狙いを定める。


「へいへいへい! 巨人野郎ども、やる気満々じゃねぇか!」
「これは不味いわね……レベル380の怪物が2体なんて」

 オルガもアンジーも急遽、殺意の波動を見せてきたサイクロプスに警戒心を強める。階段の上の者達はまだ戦闘意欲はないようだが、いつ攻撃を仕掛けて来ても不思議ではない。その恐怖が二人をさらに警戒させていた。


「ち、考えていてもしょうがないな! 先手を取るぜ!」

 早口のオルガだが、目の前の圧倒的な存在を目の当たりにしているからか、さらに早口になり、気付いた時にはサイクロプスに挑んでいた。

「ブウウウ!」

 ある意味でその素早い行動は功を奏する。4人の中で最も戦闘力の高いオルガがサイクロプスと打ち合い、緩衝材になることで、他の3人は自然と彼をバックアップすることができたからだ。

「オルガ~~、援護する~~~」

 メドゥは話し方こそゆっくりではあるが、この上ない程のスピードで彼にスピードアップとフィジカルアップの魔法をかけた。5分間、オルガは攻撃能力と速度が1.4倍に上昇した。
 この時、オルガの実力はメドゥの援護もあり、単体でもレベル380のサイクロプスと打ち合えるレベルになっていた。

 アンジーとジャミルはネクロマンスの能力で操っているキマイラも最大限活用し、もう一体のサイクロプスに照準を合わせたのだ。攻撃はこちらから動いたが、それが命取りになってしまった。想像以上に速いサイクロプスの攻撃が彼らを襲う。


「危ないわ! 下がって!」

 オカマ口調ではあるが、言動は勇敢な戦士のそれだ。どちらかと言うと後衛のジャミル、完全に後衛型のメドゥを庇い、アンジーは手に持つウォーハンマーでサイクロプスのカウンター攻撃を受け止めた。オルガとは違い、アンジーはメドゥの補助魔法による強化を受けていても尚、後方へと大きく飛ばされてしまった。

「ぐっ! 完全にガードしたはずなのに……こんなに弾き飛ばされるなんて……!!」

 ウォーハンマー越しに両腕に伝わる強烈な痺れ……それが、サイクロプスの攻撃力の高さを物語っていた。

「つ~~よ~~~い~~!」
「アンジーがあそこまで吹き飛ばされるとはね。仕方ない、キマイラ!」

 4体のキマイラはサイクロプスの攻撃に恐れをなしていたが、ジャミルからの直接命令を受け、その感情も消失したようだ。

 すぐに人形のような能面になり、サイクロプスに向かっていく。だが、レベル137程度の強さではサイクロプスにダメージは与えられない。そんなことはジャミルもわかっていた。

 さらに、サイクロプスの方が攻撃速度は速く、キマイラを突進させても返り討ちに逢うことは明白であった。そして予想通り、サイクロプスはキマイラが射程に入ると、素早く棍棒を振り払った。

「今だっ!」

 ジャミルの大声が周囲に轟いた。それを合図にして、サイクロプスの攻撃を受ける直前のキマイラ達が一斉に身体を光らせ、その直後、大爆発を起こしたのだ。その爆発は部屋を広範囲に焼き払い、煙幕を周囲にまき散らした。ジャミルは、以前にミルドレアが倒したキメラと同じような技を強制的に発動させたことになる。

「さて、レベル137の自爆ではあるが、4体同時だ……倒せたか……?」

 ジャミルはそう言ったが、彼の考えは瞬時に外れることになる。爆炎から勢いよく飛び出してきたのは巨人の大きな腕と棍棒であり、そのままジャミルに襲いかかった。

 咄嗟に両腕でガードし、脳天への直撃は回避したジャミルではあるが、そのダメージは計り知れず、ガードした両腕はいとも簡単に折れてしまった。

「ぐう……! こ、これは不味いね……!」

 90度に折れ曲がった両腕を見て、さすがのジャミルも後退せざるを得なかった。後退中の彼に追撃が入らないようにメドゥとアンジーが立ちはだかる。
 爆発の直撃を受けたサイクロプスはさすがにダメージを負っているようだったが、致命傷には至っていない。

「このままでは不利になるだけね。サイクロプスを倒すわよ! ダメージは負っているわ!」
「うんっ!」

 一時宣戦を離脱したジャミル。その間の戦局はオルガとサイクロプス、そしてアンジー&メドゥと、もう一体のサイクロプスという構図になっていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

処理中です...