攻撃力と防御力共に最強クラスになっているので、パートナーと一緒に無双します!

マルローネ

文字の大きさ
72 / 119

72話 戦いの傷跡

しおりを挟む

「……血と肉片の跡……多分「シンドローム」の他のメンバーは助かってないわね」

 アクアエルス遺跡の最深部の奥、隠しエリアに入った春人達であったが、そこは激しい戦闘の跡が残されているだけだった。棺が開いており、おそらくヘカーテが眠っていたのだろうと予測できる。

 周囲の遺跡の壁は所々が破壊されており、相当に激しい戦闘が行われたことが伺えた。そして飛び散っているのは肉片と思しき物体と血の跡……モンスターのそれらはすぐに消滅する為、「シンドローム」のメンバーのものであることは疑いようがない。


「自然の掟と言うのでしょうか……今まで、何人もの方の遺体は見てまいりましたが」
「慣れないわね、こういうのは」



 レナとアメリアは静かに手を合わせ、祈り捧げていた。春人も無言で彼女たちの行為に続く。アメリアもレナも決して、倒されたことに関して恨み言は言わない。遺跡を荒らしているのは人間側。返り討ちにされたからといって、恨むというのはお門違いということなのだろう。


「アメリア、この後どうしようか? オルランド遺跡も回った方がいいよね?」
「そうね……ここだけだと、あいつらが何処にいるかはわからないし」
「あら、アメリア。もしかしたら、オルランド遺跡へは行かなくても大丈夫かもしれませんよ」

 アメリアはオルランド遺跡へ行くことも前向きではあったが、レナは彼女の考えを否定するように言った。彼女はアクアエルス遺跡の隠しエリアに入ってきた人影に気付いたからだ。春人とアメリアもその気配を察知した。

「こうして会うのは、随分と久しぶりだな……」
「ミルドレア・スタンアーク?」

 春人は現れた意外な人物に目を丸くしていた。その隣にはエスメラルダの姿もある。

「高宮 春人か。久しぶりだな」
「あ、ああ……どうして此処に?」

 ミルドレアは体調が優れないのか、春人の質問にはすぐには答えず近くの壁にもたれかかるように腰を下ろした。

「……アテナとかいうモンスターにやられたの?」
「これは意外だ。まさか、その名前を知っているとはな」

 アメリアが既にアテナの名前を知っていることに、ミルドレアは驚く。だが、一流の冒険者である彼女の口から出てきたためか、そこまで疑問に思っている口調ではなかった。

「ま、予想は付くと思うけど、ジラークさんがアシッドタワーから新しい文献を持ってきてね、そこに書かれていたのよ。あとは、他にもあるけど、オルランド遺跡にはアテナっていうモンスターが眠ってるんじゃないかと想像したわけ。まさにビンゴみたいね」

 アメリアの言葉にミルドレアは小さく頷いた。

「ミルはアテナと一騎打ちをしたのよ……」
「残念ながら敗れてしまったがな。その後、奴は鉄巨人8体を引きつれて出て行った」
「鉄巨人8体って……また、ぶっ飛んでるわね」

 ミルドレアとアメリア、その後も多少の情報交換は進められていく。

「そうか……アテナは1200レベルか……」
「1200? そんな数値……嘘でしょ……!」

 あり得ない程のレベルにミルドレアとエスメラルダは驚きの表情を隠すことができない。さらに、もう1体そのレベルの者が居るのだ。それを聴いたエスメラルダの表情は絶望に満ちていた。

「今回の隠しエリアの開放は……恐ろしい傷跡を残した」
「……そうね」
「アテナは結局は俺を殺さなかったからな……実力差は明白……。まあ、それよりも奴らはアルトクリファ神聖国に向かった可能性が高いな」

 ミルドレアはアテナとの戦いを思い浮かべながら考えていた。フィアゼスの信奉する国家を滅ぼす……そのような気迫を彼はアテナから読み取っていたのだ。

「アルトクリファ神聖国か……フィアゼスを信奉する教会団体の国家」
「ええ、なるほど。あいつらがそこに向かってるなら……決戦は神聖国になりそうね」
「一度、ルナを呼び戻しますわ」

 春人、アメリア、レナ……それぞれの瞳には強大な敵に立ち向かう確かな覚悟が宿っていた。



---------------------------------------------------------------



 その頃、バーモンドの酒場では護衛の為に残っていたサキアと美由紀の二人が話をしていた。

「あなたは影……なの? 信じられないのだけど……」
「既に影の状態はお見せしたと思いますが? もう一度、ご覧になられますか?」
「いえ、大丈夫よ。ところで、私に何か御用かしら?」

 話しを振って来たのはサキアの方からだ。美由紀の存在について興味があるのか、先ほどから彼女の体型などを確認している。

「どうかしたの?」
「……予感ではありますが、あなたはやはり、マスター達にとっての「切り札」になりそうです」

 美由紀の頭の中は混乱する。サキアが何を言っているのか理解できない。それは、この世界に飛ばされて来てまだ日が浅いこととは無関係な気がしていた。

「よくわからないけど……高宮くんの役に立てるのだとしたら、それは嬉しいわね。どうも雰囲気だけだと、私なんて何の役にも立ちそうになかったから」

 美由紀は春人の強者の雰囲気も相当に感じており、アメリア達の強さも感じ取っていた。魔法が当たり前に存在する世界に於いて、ただのクラス委員長である自分など、何もできないのではないか……そのことにわずかに歯がゆさがあったのだ。

「そちらに関しましては……悟? だったでしょうか。あの者とは全く違うようです」
「え?」

 美由紀はサキアに聞き返すが、それよりも先に、もっと大きな事象により邪魔をされた。美由紀の近くから生み出される黒い物体……。

「え……こ、これって……?」
「まさか、そんなはずは……」

 美由紀だけでなく、サキアも驚いている。その黒い物体はサキアと同じく影のようであり、たちまち人間の姿へと変貌したのだ。

「久しぶりっすね、母さん。お呼びですか?」
「……は?」

 影は人間の男性へと姿を変え、美由紀にそう言ったのだ。全く意味がわからず裏声を上
げてしまう美由紀……目の前の青年の姿を、ただ茫然と見上げていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

処理中です...