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7話 視点変更あり
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(ボイド・カーティス視点)
「は~~、やっぱりレベル4相当のは豪華ですわね」
「まあ、当然だな。イレーヌ、こうしてこの舞踏会に参加出来るのは私のおかげなんだぞ?」
「分かっていますよ、ボイド様。とても感謝しておりますわ」
「ふふふ、なら良いのだがな」
私とイレーヌの二人は本日、レベル4相当の舞踏会に参加していた。宮殿内で行われている舞踏会としては隣の王族達が出席している舞踏会に次いで格式の高い催し物だ。
「わはははは、いくらイレーヌが侯爵家の生まれとはいえ、レベル4相当の格式高い舞踏会の参加は難しいのだからな? ちゃんと理解しておくように」
「理解しておりますよ、ボイド様。しかし……それを考えれば彼女はレベル4すら入れないということになりますわね」
「彼女というのはレミュラのことか?」
「左様でございますわね」
「そうだな……あいつは伯爵令嬢でしかないからな」
伯爵家の生まれの令嬢であれば、せいぜいレベル3相当の舞踏会が精一杯だろう。我が国に於ける貴族の格の違いを表すには最も簡単なものと言えようか。
どのレベルの舞踏会に出席しているかで、その人物の格がすぐに分かってしまうのだからな。まあ、レミュラが私の婚約者や愛人であれば、特別にレベル4相当の舞踏会への出席は可能だったであろうが。何のつてもない状態では難しいと言えるだろう。
「ボイド様」
「なんだイレーヌ?」
そうこうしている内に、ワイングラスを片手にイレーヌは私の身体に寄り添ってきた。なんだ? 少し酔っているのか? まったく……今は格式の高い舞踏会の合間だというのに。仕方のない奴だな……。
「私、ボイド様と婚約して本当に良かったと思っておりますわ。こうして毎日のように楽しく豪華なパーティーに参加し、贅沢三昧が出来る。私の夢の生活でしたの」
「ほほう、なるほどな。贅沢三昧を毎日……か」
やや阿呆っぽい印象を受けてしまうのは私だけか? 贅沢三昧を毎日、平民を見下しての生活というのは確かに貴族の格を知らしめる上では重要なことではあるが。わざわざ舞踏会の席で堂々と言うべき事柄ではない。
まあ、酔いも回っているから、ついつい言葉に出てしまったのだろう。イレーヌも侯爵令嬢……それなりの教育は受けているはずだからな。私は一抹の不安を胸にしまい込むことにした。
「あれ……? ボイド様、あれって……」
「どうした? イレーヌ?」
ワイングラスを持っていたイレーヌだったが、もう片方の手で会場の入り口付近を指差していた。そこには……馬鹿なあり得ない……!
「レミュラ・シェルブール……? しかもなぜ、クラレンス・マークスタイン王子殿下と一緒に居るのだ……?」
二人はレベル4相当の舞踏会会場を見学しているようだが……どうなっているのだ?
「は~~、やっぱりレベル4相当のは豪華ですわね」
「まあ、当然だな。イレーヌ、こうしてこの舞踏会に参加出来るのは私のおかげなんだぞ?」
「分かっていますよ、ボイド様。とても感謝しておりますわ」
「ふふふ、なら良いのだがな」
私とイレーヌの二人は本日、レベル4相当の舞踏会に参加していた。宮殿内で行われている舞踏会としては隣の王族達が出席している舞踏会に次いで格式の高い催し物だ。
「わはははは、いくらイレーヌが侯爵家の生まれとはいえ、レベル4相当の格式高い舞踏会の参加は難しいのだからな? ちゃんと理解しておくように」
「理解しておりますよ、ボイド様。しかし……それを考えれば彼女はレベル4すら入れないということになりますわね」
「彼女というのはレミュラのことか?」
「左様でございますわね」
「そうだな……あいつは伯爵令嬢でしかないからな」
伯爵家の生まれの令嬢であれば、せいぜいレベル3相当の舞踏会が精一杯だろう。我が国に於ける貴族の格の違いを表すには最も簡単なものと言えようか。
どのレベルの舞踏会に出席しているかで、その人物の格がすぐに分かってしまうのだからな。まあ、レミュラが私の婚約者や愛人であれば、特別にレベル4相当の舞踏会への出席は可能だったであろうが。何のつてもない状態では難しいと言えるだろう。
「ボイド様」
「なんだイレーヌ?」
そうこうしている内に、ワイングラスを片手にイレーヌは私の身体に寄り添ってきた。なんだ? 少し酔っているのか? まったく……今は格式の高い舞踏会の合間だというのに。仕方のない奴だな……。
「私、ボイド様と婚約して本当に良かったと思っておりますわ。こうして毎日のように楽しく豪華なパーティーに参加し、贅沢三昧が出来る。私の夢の生活でしたの」
「ほほう、なるほどな。贅沢三昧を毎日……か」
やや阿呆っぽい印象を受けてしまうのは私だけか? 贅沢三昧を毎日、平民を見下しての生活というのは確かに貴族の格を知らしめる上では重要なことではあるが。わざわざ舞踏会の席で堂々と言うべき事柄ではない。
まあ、酔いも回っているから、ついつい言葉に出てしまったのだろう。イレーヌも侯爵令嬢……それなりの教育は受けているはずだからな。私は一抹の不安を胸にしまい込むことにした。
「あれ……? ボイド様、あれって……」
「どうした? イレーヌ?」
ワイングラスを持っていたイレーヌだったが、もう片方の手で会場の入り口付近を指差していた。そこには……馬鹿なあり得ない……!
「レミュラ・シェルブール……? しかもなぜ、クラレンス・マークスタイン王子殿下と一緒に居るのだ……?」
二人はレベル4相当の舞踏会会場を見学しているようだが……どうなっているのだ?
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