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「こ、婚約破棄ですか! ど、どうして急に……!?」
私は婚約者であり侯爵の地位についているエドモンドからそんな言葉を聞いた。何がどうなっているの?
「急な話ではない、レイア。お前は所詮、子爵令嬢でしかないだろう? だからこその話なのだ。本来であれば、もっと昔にするべき話だったかもしれん」
信じられない話だけれど、どうやら婚約破棄という言葉に間違いはないようだった。エドモンドは悪びれる様子もなく淡々と話していたから。
「地位の問題……私が子爵令嬢だからですか?」
「そういうことだな。まあ、1年間も花嫁修業をさせてやったんだ。これで次の者のところに行っても恥をかかないで済むだろう? ははははは」
笑い話なんかではないはずだけれど、エドモンドは笑っていた。どうしてそんな顔ができるんだろうか? 婚約破棄なんて、本来ならエドモンドが土下座をして謝るくらいの誠意を見せるべき案件なのに……。
「本気なんですか、エドモンド様……?」
「もちろんだ、レイア。何度も言わせないでくれ」
「そ、それなら……仕方ありませんね……」
「ふん」
やはり悪びれている素振りがない。エドモンドと婚約をして1年になるけれど……こんなに酷い人だとは思わなかった。婚約をしてから彼の本性は少しずつ分かって来たけれど。とにかく平民と貴族の差に固執する人なのだ。それが今回の件で貴族間の立場の差にも固執していることがわかったけれど……。
「ああ、荷物はそのままにしておけ。出て行く時は最低限の物だけでな」
「? どういうことでしょうか?」
何を言っているんだろう、この人は。彼と婚約するに当たって、私の屋敷から持ってきた物がある。それは父さんと母さんの形見の絵画と時計だ。若くして子爵になった、ロベルト兄さんが親愛の証としてエドモンド様の屋敷に運んだわけで……。
「形見の品々は持って帰らせていただきますね」
「何を言っている! そんなことは許さんからな!」
「えっ……?」
いきなりのことだった。エドモンドが怒りだしたのは……どういうこと?
「あの絵画と時計はもう私の物だ。返すことはしない」
「な、何を言っているんですか……!? 婚約破棄をしたのなら、そんなの関係なくなるでしょう!」
「うるさい! 返さんといったら返さんのだ! さっさと出て行くがいい! めざわりだ!」
「そ、そんな……酷い、酷過ぎます、エドモンド様……!」
「ふふふ、あれはかなりの値が付く物だからな……マール子爵家ごときが持っていて良いものではないのだよ。ははははは、私が有効活用してやる! ありがたく思え!」
もう、めちゃくちゃだった……エドモンドは私に婚約破棄をしたばかりか、婚約の際に譲渡した形見の品まで返さないと言ったのだ。そんなことは決して許されないはず……!
私は婚約者であり侯爵の地位についているエドモンドからそんな言葉を聞いた。何がどうなっているの?
「急な話ではない、レイア。お前は所詮、子爵令嬢でしかないだろう? だからこその話なのだ。本来であれば、もっと昔にするべき話だったかもしれん」
信じられない話だけれど、どうやら婚約破棄という言葉に間違いはないようだった。エドモンドは悪びれる様子もなく淡々と話していたから。
「地位の問題……私が子爵令嬢だからですか?」
「そういうことだな。まあ、1年間も花嫁修業をさせてやったんだ。これで次の者のところに行っても恥をかかないで済むだろう? ははははは」
笑い話なんかではないはずだけれど、エドモンドは笑っていた。どうしてそんな顔ができるんだろうか? 婚約破棄なんて、本来ならエドモンドが土下座をして謝るくらいの誠意を見せるべき案件なのに……。
「本気なんですか、エドモンド様……?」
「もちろんだ、レイア。何度も言わせないでくれ」
「そ、それなら……仕方ありませんね……」
「ふん」
やはり悪びれている素振りがない。エドモンドと婚約をして1年になるけれど……こんなに酷い人だとは思わなかった。婚約をしてから彼の本性は少しずつ分かって来たけれど。とにかく平民と貴族の差に固執する人なのだ。それが今回の件で貴族間の立場の差にも固執していることがわかったけれど……。
「ああ、荷物はそのままにしておけ。出て行く時は最低限の物だけでな」
「? どういうことでしょうか?」
何を言っているんだろう、この人は。彼と婚約するに当たって、私の屋敷から持ってきた物がある。それは父さんと母さんの形見の絵画と時計だ。若くして子爵になった、ロベルト兄さんが親愛の証としてエドモンド様の屋敷に運んだわけで……。
「形見の品々は持って帰らせていただきますね」
「何を言っている! そんなことは許さんからな!」
「えっ……?」
いきなりのことだった。エドモンドが怒りだしたのは……どういうこと?
「あの絵画と時計はもう私の物だ。返すことはしない」
「な、何を言っているんですか……!? 婚約破棄をしたのなら、そんなの関係なくなるでしょう!」
「うるさい! 返さんといったら返さんのだ! さっさと出て行くがいい! めざわりだ!」
「そ、そんな……酷い、酷過ぎます、エドモンド様……!」
「ふふふ、あれはかなりの値が付く物だからな……マール子爵家ごときが持っていて良いものではないのだよ。ははははは、私が有効活用してやる! ありがたく思え!」
もう、めちゃくちゃだった……エドモンドは私に婚約破棄をしたばかりか、婚約の際に譲渡した形見の品まで返さないと言ったのだ。そんなことは決して許されないはず……!
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