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3話 幼馴染 その2
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「あ、あの……突然、申し訳ありません……」
「……?」
見知った幼馴染との再会なだけのはずなのに、私はどこか緊張した声で話しかけていた。
「フローラ? フローラじゃないか! 久しぶりだな!」
「グラン……! 久しぶりね」
グランは私の顔を見るなり、明らかに声色が変わっていた。その反応はとても嬉しかったけれど、周囲の貴族達は何事かと、こちらを見ているようだ。少し二人してテンションが高くなってしまったかもしれない。
「ああ、済まない。取り乱してしまったようだ」
「いえ……私もいきなり声を掛けてしまって、申し訳なかったわ」
「いや、フローラが謝ることじゃないさ。私が急に声を荒げたのが問題だった」
なんだかグランとの会話は久しぶりなはずなのに、こういうやり取りは普通に行えているわね。グランが次にどういう言葉を出して来るのか、ある程度予想が出来るのもなんだか不思議な気分だった。
「……」
そんな私達のやり取りを、ジョセフは傍らで見守っていた。決して邪魔にならないように少しだけ離れながら。たまにジョセフをお父様のように見てしまうことがあるけれど、今もまさにそれね。
「グラン、大体1年振りくらいね。こうして話しをするのは」
「そんなくらいか。それ程時間は経っていないのに、随分と久しぶりに感じるな」
「そうかもしれないわね」
「こうして会えて嬉しいよ、フローラ」
「ええと……私もよグラン」
私はとりあえず、率直な感想を述べたけれど、正直答えにくかった。カルロス様との婚約解消が頭の中をよぎってしまったからだ。カルロス様との婚約は、グランが長期遠征に出ている間に結ばれたものだ。おそらく彼はそのことを知らないだろう。
カルロス様との婚約は数カ月前に結ばれたけれど、恋愛的な部分が強かったと思っている。私は彼に惹かれて婚約したのだから。私がこうしてグランと話しているのは、本来であれば望ましいものではないだろう。
しかし今はその婚約も解消状態……グランと楽しく話していたとしても、全く問題はないはず。私がやや遠慮しているのは、婚約解消からまだ日が経っていないことが挙げられる。こればかりはどうしようもないわね……時間が解決してくれることを祈るしかない。
「それにしても、戻って来ていたのねグラン。それなら連絡を入れてくれれば良かったのに」
「ああ、それについては申し訳ないと思っているよ。ただ、君に婚約者が居ると聞いたから、遠慮していたんだ」
「えっ?」
「確か、カルロス・シングマ侯爵令息と婚約しているのだろう? こちらに戻って来てから知ったのだが」
「あ、それは……」
私はなんて答えれば良いか本当に迷ってしまっていた。既にグランはカルロス様との婚約を知っていたのね。それは特に問題ないのだけれど、婚約解消をしているとはどうも伝えにくい。どうしよう……。
「お嬢様、グラン様。お話のところ誠に申し訳ないのですが……」
「どうかしたの、ジョセフ?」
そんな時、ジョセフが私達の会話に割って入るように話しかけて来た。一体、なんだろうか?
「その、非常に申し上げにくいのですが……舞踏会会場にカルロス・シングマ侯爵令息が来たようです」
「なっ……」
グランに婚約解消の件を話そうか迷っていたところに、まさかカルロス様が現れるなんて、完全に予想外だった。
まあ、貴族達が参加する舞踏会なのだしカルロス様が来ていたとしても普通ではあるんだけれど。ややこしいことにならないと良いけれどね、大丈夫かしら……。
「……?」
見知った幼馴染との再会なだけのはずなのに、私はどこか緊張した声で話しかけていた。
「フローラ? フローラじゃないか! 久しぶりだな!」
「グラン……! 久しぶりね」
グランは私の顔を見るなり、明らかに声色が変わっていた。その反応はとても嬉しかったけれど、周囲の貴族達は何事かと、こちらを見ているようだ。少し二人してテンションが高くなってしまったかもしれない。
「ああ、済まない。取り乱してしまったようだ」
「いえ……私もいきなり声を掛けてしまって、申し訳なかったわ」
「いや、フローラが謝ることじゃないさ。私が急に声を荒げたのが問題だった」
なんだかグランとの会話は久しぶりなはずなのに、こういうやり取りは普通に行えているわね。グランが次にどういう言葉を出して来るのか、ある程度予想が出来るのもなんだか不思議な気分だった。
「……」
そんな私達のやり取りを、ジョセフは傍らで見守っていた。決して邪魔にならないように少しだけ離れながら。たまにジョセフをお父様のように見てしまうことがあるけれど、今もまさにそれね。
「グラン、大体1年振りくらいね。こうして話しをするのは」
「そんなくらいか。それ程時間は経っていないのに、随分と久しぶりに感じるな」
「そうかもしれないわね」
「こうして会えて嬉しいよ、フローラ」
「ええと……私もよグラン」
私はとりあえず、率直な感想を述べたけれど、正直答えにくかった。カルロス様との婚約解消が頭の中をよぎってしまったからだ。カルロス様との婚約は、グランが長期遠征に出ている間に結ばれたものだ。おそらく彼はそのことを知らないだろう。
カルロス様との婚約は数カ月前に結ばれたけれど、恋愛的な部分が強かったと思っている。私は彼に惹かれて婚約したのだから。私がこうしてグランと話しているのは、本来であれば望ましいものではないだろう。
しかし今はその婚約も解消状態……グランと楽しく話していたとしても、全く問題はないはず。私がやや遠慮しているのは、婚約解消からまだ日が経っていないことが挙げられる。こればかりはどうしようもないわね……時間が解決してくれることを祈るしかない。
「それにしても、戻って来ていたのねグラン。それなら連絡を入れてくれれば良かったのに」
「ああ、それについては申し訳ないと思っているよ。ただ、君に婚約者が居ると聞いたから、遠慮していたんだ」
「えっ?」
「確か、カルロス・シングマ侯爵令息と婚約しているのだろう? こちらに戻って来てから知ったのだが」
「あ、それは……」
私はなんて答えれば良いか本当に迷ってしまっていた。既にグランはカルロス様との婚約を知っていたのね。それは特に問題ないのだけれど、婚約解消をしているとはどうも伝えにくい。どうしよう……。
「お嬢様、グラン様。お話のところ誠に申し訳ないのですが……」
「どうかしたの、ジョセフ?」
そんな時、ジョセフが私達の会話に割って入るように話しかけて来た。一体、なんだろうか?
「その、非常に申し上げにくいのですが……舞踏会会場にカルロス・シングマ侯爵令息が来たようです」
「なっ……」
グランに婚約解消の件を話そうか迷っていたところに、まさかカルロス様が現れるなんて、完全に予想外だった。
まあ、貴族達が参加する舞踏会なのだしカルロス様が来ていたとしても普通ではあるんだけれど。ややこしいことにならないと良いけれどね、大丈夫かしら……。
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