婚約解消したはずなのに、元婚約者が嫉妬心剥き出しで怖いのですが……

マルローネ

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2話 幼馴染 その1

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 カルロス様と婚約解消の話をしてから少しの時間が経過した。

 私はお父様達に心配を掛けないようになんとか過ごしている。現在は参加を予定していた舞踏会に出席中だ。


「お嬢様……本当に大丈夫なのでございますか? あのようなことがあったのですし、舞踏会は欠席されても宜しいかと思うのですが……」

「ありがとう、ジョセフ。でも、私は大丈夫だから。むしろ、気分転換をしたいくらいだったし」

「左様でございますか。それであれば良いのですが……」


 心配そうに私を見ているのは、付き人のジョセフだ。カーリー家の執事の一人でもある。彼の心遣いはとても嬉しいけれど、婚約解消になったからと言って、予定していた舞踏会を欠席するわけにもいかないし、こういった華やかな場は、今の鬱屈とした精神を晴らすには丁度良いと思えた。その為に出席したのだけれど。

 もちろん、そう簡単に割り切れるものではないけどね。


「お嬢様、差し出がましいようですが、よろしいでしょうか?」

「どうしたの、ジョセフ?」

「あちらにいらっしゃいますお方はもしかすると……」

「えっ?」


 舞踏会で何をしようか、誰に挨拶をしようか悩んでいた時、ジョセフが私に話しかけて来た。彼の指差す方向には……。


「あれ……? もしかして、グラン?」

「はい、おそらく間違いないかと思われます」


 驚いた……まさか、こんなところで会うなんて。

 グラン・フェリオド伯爵令息……簡単に言えば私とは幼馴染の関係になる。昔から気が合う相手で話していて楽しかった。1年程から長期遠征でシーロード王国を離れていたはずだけれど、戻って来ていたのね。私は自然と頬が緩んでしまっていた。

「やはりグラン様にお会い出来るのは嬉しいのですね、お嬢様」

「ちょ……何言っているのよ!」

「申し訳ありません、冗談です」

「もう……!」

 ジョセフは私の心の中を見透かしているようで、なんだか嫌だった。カルロス様と婚約解消したばかりで、そんな気持ちになれるわけないでしょ……。単純にグランとの再会を楽しみにしているだけだ。うん、そう思いたい……そういうことにしておこう。

 というよりも、カルロス様のことは忘れないといけない……そう言う意味では、グランとの再会を楽しむのは有りなんだと思うけれど。

「とにかく、細かいことは良いの。グランに挨拶をしてくるわ」

「そうですね、それが良いと思われます」

 幼馴染との久しぶりの再会を喜ぶのが悪いはずがない。私は何に対して遠慮していたのだろうか? やっぱり、カルロス様との恋愛関係に対してだろうか……? でも、それは終わった恋なのだ。とにかくまずはグランとの挨拶を優先しよう。考えるのはその後で問題ないでしょう。
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