2 / 15
2話 幼馴染 その1
しおりを挟むカルロス様と婚約解消の話をしてから少しの時間が経過した。
私はお父様達に心配を掛けないようになんとか過ごしている。現在は参加を予定していた舞踏会に出席中だ。
「お嬢様……本当に大丈夫なのでございますか? あのようなことがあったのですし、舞踏会は欠席されても宜しいかと思うのですが……」
「ありがとう、ジョセフ。でも、私は大丈夫だから。むしろ、気分転換をしたいくらいだったし」
「左様でございますか。それであれば良いのですが……」
心配そうに私を見ているのは、付き人のジョセフだ。カーリー家の執事の一人でもある。彼の心遣いはとても嬉しいけれど、婚約解消になったからと言って、予定していた舞踏会を欠席するわけにもいかないし、こういった華やかな場は、今の鬱屈とした精神を晴らすには丁度良いと思えた。その為に出席したのだけれど。
もちろん、そう簡単に割り切れるものではないけどね。
「お嬢様、差し出がましいようですが、よろしいでしょうか?」
「どうしたの、ジョセフ?」
「あちらにいらっしゃいますお方はもしかすると……」
「えっ?」
舞踏会で何をしようか、誰に挨拶をしようか悩んでいた時、ジョセフが私に話しかけて来た。彼の指差す方向には……。
「あれ……? もしかして、グラン?」
「はい、おそらく間違いないかと思われます」
驚いた……まさか、こんなところで会うなんて。
グラン・フェリオド伯爵令息……簡単に言えば私とは幼馴染の関係になる。昔から気が合う相手で話していて楽しかった。1年程から長期遠征でシーロード王国を離れていたはずだけれど、戻って来ていたのね。私は自然と頬が緩んでしまっていた。
「やはりグラン様にお会い出来るのは嬉しいのですね、お嬢様」
「ちょ……何言っているのよ!」
「申し訳ありません、冗談です」
「もう……!」
ジョセフは私の心の中を見透かしているようで、なんだか嫌だった。カルロス様と婚約解消したばかりで、そんな気持ちになれるわけないでしょ……。単純にグランとの再会を楽しみにしているだけだ。うん、そう思いたい……そういうことにしておこう。
というよりも、カルロス様のことは忘れないといけない……そう言う意味では、グランとの再会を楽しむのは有りなんだと思うけれど。
「とにかく、細かいことは良いの。グランに挨拶をしてくるわ」
「そうですね、それが良いと思われます」
幼馴染との久しぶりの再会を喜ぶのが悪いはずがない。私は何に対して遠慮していたのだろうか? やっぱり、カルロス様との恋愛関係に対してだろうか……? でも、それは終わった恋なのだ。とにかくまずはグランとの挨拶を優先しよう。考えるのはその後で問題ないでしょう。
67
あなたにおすすめの小説
最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる
椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。
その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。
──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。
全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。
だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。
「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」
その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。
裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。
初恋のひとに告白を言いふらされて学園中の笑い者にされましたが、大人のつまはじきの方が遥かに恐ろしいことを彼が教えてくれました
3333(トリささみ)
恋愛
「あなたのことが、あの時からずっと好きでした。よろしければわたくしと、お付き合いしていただけませんか?」
男爵令嬢だが何不自由なく平和に暮らしていたアリサの日常は、その告白により崩れ去った。
初恋の相手であるレオナルドは、彼女の告白を陰湿になじるだけでなく、通っていた貴族学園に言いふらした。
その結果、全校生徒の笑い者にされたアリサは悲嘆し、絶望の底に突き落とされた。
しかしそれからすぐ『本物のつまはじき』を知ることになる。
社会的な孤立をメインに書いているので読む人によっては抵抗があるかもしれません。
一人称視点と三人称視点が交じっていて読みにくいところがあります。
【完結/短編】いつか分かってもらえる、などと、思わないでくださいね?
雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
宮廷の夜会で婚約者候補から外されたアルフェニア。不勉強で怠惰な第三王子のジークフリードの冷たい言葉にも彼女は微動だにせず、冷静に反論を展開する。
【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~
山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。
この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。
父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。
顔が良いから、女性にモテる。
わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!?
自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。
*沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m
姉が私の婚約者と仲良くしていて、婚約者の方にまでお邪魔虫のようにされていましたが、全員が勘違いしていたようです
珠宮さくら
恋愛
オーガスタ・プレストンは、婚約者している子息が自分の姉とばかり仲良くしているのにイライラしていた。
だが、それはお互い様となっていて、婚約者も、姉も、それぞれがイライラしていたり、邪魔だと思っていた。
そこにとんでもない勘違いが起こっているとは思いもしなかった。
お母様!その方はわたくしの婚約者です
バオバブの実
恋愛
マーガレット・フリーマン侯爵夫人は齢42歳にして初めて恋をした。それはなんと一人娘ダリアの婚約者ロベルト・グリーンウッド侯爵令息
その事で平和だったフリーマン侯爵家はたいへんな騒ぎとなるが…
好きじゃない人と結婚した「愛がなくても幸せになれると知った」プロポーズは「君は家にいるだけで何もしなくてもいい」
佐藤 美奈
恋愛
好きじゃない人と結婚した。子爵令嬢アイラは公爵家の令息ロバートと結婚した。そんなに好きじゃないけど両親に言われて会って見合いして結婚した。
「結婚してほしい。君は家にいるだけで何もしなくてもいいから」と言われてアイラは結婚を決めた。義母と義父も優しく満たされていた。アイラの生活の日常。
公爵家に嫁いだアイラに、親友の男爵令嬢クレアは羨ましがった。
そんな平穏な日常が、一変するような出来事が起こった。ロバートの幼馴染のレイラという伯爵令嬢が、家族を連れて公爵家に怒鳴り込んできたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる