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11話 とりあえず帰ってくれた
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突っ込みどころが多すぎて何から言えば良いのか分からなくなっていた。
一度は本気で好きになったカルロス・シングマ侯爵令息だけど、今、目の前に居るのは別人のように思えてしまうからだ。
「なあ、フローラ? 悪くはないだろう? 第二夫人や愛人というポストがあるのだからな」
「愛人……第二夫人……」
第二夫人はともかくとして、愛人って……私の扱いはその程度のものなの? いくらリディア様が近くに居るからといっても、その言い方は酷いと思う。いえ、そういう問題ではないか。
「カルロス殿、話を聞いていないのですか? 私とフローラは婚約を考えている関係なのです。彼女に言い寄るのは止めていただけませんか?」
「私はフローラのことを信じていますが、本当に素早い行動ですねグラン殿」
「どういう意味ですか……?」
「簡単ですよ、フローラのことを前から狙っていたのではありませんか? それとも、浮気紛いのことをしていたか……」
「そんなわけはないでしょう……」
あり得ないことだった。グランがそんなことするわけないし、そもそも1年間も他国に行っていたんだから。
「私は遠征に行っていたので、彼女と浮気をすることは不可能ですよ」
「ほう、そういえばそうでしたな。ではなぜ、フローラと仲良くなっているのですか?」
「フローラと仲良くなっているのが、そんなに問題なのですか? 彼女は婚約解消をしているのですし、特に問題はないように思いますが……」
「……」
シングマ侯爵令息は無言でグランを睨んでいる。それから、私も睨んでいた……なんだか怖いわね。
「まあ、いいでしょう……今日のところはこのくらいにしておきましょうか」
「えっ? どういうことですか?」
「パーティー会場でするような話でもないということさ。また、君の屋敷にでも行かせてもらうよ。そこで、しっかりと今後について話そうじゃないか」
「いえ、待ってください。私はシングマ侯爵令息とやり直すつもりはありませんよ?」
「それはグラン殿が居るからか? まあいい、そのことについても後日、話し合おうじゃないか」
「あの、だから……」
シングマ侯爵令息はそこまで言うと、私の話を聞かずにそのまま去って行った。リディア様と共に……いやいや、このまま話すのは不利と踏んで、仕切り直しをしたようにしか見えないんだけれど……。
「グラン、これってもう一度会う必要があるのかしら……?」
「会う必要はないだろうけど、彼は君の屋敷を訪ねるだろうね」
「そうよね……」
シングマ侯爵令息は私を諦めていなかったの……? まさか、あそこまで執念深い人だとは思ってなかっただけに、非常に驚きだわ。ものすごく嫌だけれど、もう一度会う必要があるみたいね……。
「とりあえず、1つだけ決めておかないといけないことがあると思うんだ」
「グラン……?」
「その……私と君が婚約、するのかどうか……」
「あっ……」
私は顔を赤くしてしまった。
そういえば彼は会話の中で、歯の浮くような名文句をたくさん言っていたような気がする。忘れてたけど、婚約関係を結ぶ予定もあるとなっているのよね……。
正直、かなり恥ずかしいけれど不思議と嫌な気分はしなかった。むしろ嬉しいくらいだ。シングマ侯爵令息が次回、やって来るまでに、その辺りも事実にしておく必要があるのかもしれない。
まあつまりは……グランと正式に婚約をする方向で進むということね。
一度は本気で好きになったカルロス・シングマ侯爵令息だけど、今、目の前に居るのは別人のように思えてしまうからだ。
「なあ、フローラ? 悪くはないだろう? 第二夫人や愛人というポストがあるのだからな」
「愛人……第二夫人……」
第二夫人はともかくとして、愛人って……私の扱いはその程度のものなの? いくらリディア様が近くに居るからといっても、その言い方は酷いと思う。いえ、そういう問題ではないか。
「カルロス殿、話を聞いていないのですか? 私とフローラは婚約を考えている関係なのです。彼女に言い寄るのは止めていただけませんか?」
「私はフローラのことを信じていますが、本当に素早い行動ですねグラン殿」
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「簡単ですよ、フローラのことを前から狙っていたのではありませんか? それとも、浮気紛いのことをしていたか……」
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あり得ないことだった。グランがそんなことするわけないし、そもそも1年間も他国に行っていたんだから。
「私は遠征に行っていたので、彼女と浮気をすることは不可能ですよ」
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「フローラと仲良くなっているのが、そんなに問題なのですか? 彼女は婚約解消をしているのですし、特に問題はないように思いますが……」
「……」
シングマ侯爵令息は無言でグランを睨んでいる。それから、私も睨んでいた……なんだか怖いわね。
「まあ、いいでしょう……今日のところはこのくらいにしておきましょうか」
「えっ? どういうことですか?」
「パーティー会場でするような話でもないということさ。また、君の屋敷にでも行かせてもらうよ。そこで、しっかりと今後について話そうじゃないか」
「いえ、待ってください。私はシングマ侯爵令息とやり直すつもりはありませんよ?」
「それはグラン殿が居るからか? まあいい、そのことについても後日、話し合おうじゃないか」
「あの、だから……」
シングマ侯爵令息はそこまで言うと、私の話を聞かずにそのまま去って行った。リディア様と共に……いやいや、このまま話すのは不利と踏んで、仕切り直しをしたようにしか見えないんだけれど……。
「グラン、これってもう一度会う必要があるのかしら……?」
「会う必要はないだろうけど、彼は君の屋敷を訪ねるだろうね」
「そうよね……」
シングマ侯爵令息は私を諦めていなかったの……? まさか、あそこまで執念深い人だとは思ってなかっただけに、非常に驚きだわ。ものすごく嫌だけれど、もう一度会う必要があるみたいね……。
「とりあえず、1つだけ決めておかないといけないことがあると思うんだ」
「グラン……?」
「その……私と君が婚約、するのかどうか……」
「あっ……」
私は顔を赤くしてしまった。
そういえば彼は会話の中で、歯の浮くような名文句をたくさん言っていたような気がする。忘れてたけど、婚約関係を結ぶ予定もあるとなっているのよね……。
正直、かなり恥ずかしいけれど不思議と嫌な気分はしなかった。むしろ嬉しいくらいだ。シングマ侯爵令息が次回、やって来るまでに、その辺りも事実にしておく必要があるのかもしれない。
まあつまりは……グランと正式に婚約をする方向で進むということね。
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