婚約破棄ですか? 優しい幼馴染がいるので構いませんよ

マルローネ

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12話

 あ、マルクスは相当に怒っているみたい。まあ、仕方ないわよね。自分の部下が貶められようとしたんだし。マルクスはグリアさんの方向を見ていた。


「グリア、尋ねたいことがあるのだが……」

「はい。なんでしょうか、マルクス様」

「お前はグレンデル殿とアレッサ嬢に失礼な暴言を吐いたのか?」


 吐いたわけはないと分かっているけれど、念のための確認だ。それは私にも分かっていた。


「いえ……暴言を吐いた覚えはありません。ただ、グレンデル様の話を遮って用件を聞いただけです」

「ふむ、それくらいのことか」


 マルクスはグレンデル様に向き直る。


「それだけのことで屋敷にまで訪れて書面での謝罪を要求するとは、どういうつもりなのだ? グレンデル殿。この場での軽い謝罪で十分に済む事案だと思うが?」

「そ、それは……ですから冗談半分だったと……」

「ふざけるな」


 冗談半分だという言い訳は、マルクスによって一蹴されてしまう。私も聞いていたけれど、あの時のグレンデル様とアレッサ様は明らかに冗談ではなかった。私が応じていたなら、本気で書面での謝罪を要求していただろう。


「グレンデル殿……自らの屋敷、家系を重んじて考えた方が良いぞ? それで? 本気で書面での謝罪を要求するつもりか?」


 マルクス・ファーム大公殿下からの最後通告と言えるだろうか。彼は有無を言わせない表情をしていた。

「ぐ、グレンデル……! どうするの……!」

「あ、それは……申し訳ありませんでした! マルクス様……!」

「つまりは冗談半分だという言葉も撤回するということだな?」

「さ、左様でございます……申し訳ありません!」


 今にも土下座しそうなグレンデル様だった。正直な話、彼が行ったことを思えばざまあみろとしか言えないのだけれど。普通に考えたら可哀想に映るかもしれないわね。


「ふん、まあ認めたからと言って許されることではないがな。国王陛下にも嘘を吐いていたようだし……然るべき罰は覚悟しておくのだな!」

「ま、マルクス様……!」


 私の幼馴染とは思えない迫力を見せていた……これが本来のマルクス・ファームといったところかしら。グレンデル様もアレッサ様も反論はまったくできない様子だ。これは勝負あったわね……。
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